
ボロアパートで暮らすヤニねこは猫耳で美少女だったが、ぐーたらでだらしなくて下品で臭くて汚いヤニカスだった。

『ヤニねこ』6巻より(にゃんにゃんファクトリー/講談社)
そんな彼女の、ぐうたらでだらしなくて下品で臭くて汚くて可愛くてちょっとエロい日常。
という、Twitter発のショート漫画。
かつて自虐・他虐のための蔑称だった「おたく」や「腐女子」がそうなったように、「クズ」という自虐・他虐のための蔑称が
「(愛称としての)自称・他称」
として特にネット界隈でカジュアルになりつつあるような気がするんですが、それを象徴するような漫画。

『ヤニねこ』6巻より(にゃんにゃんファクトリー/講談社)
ルックスがおっさんだったらたぶん売り物になりませんが、ちょいエロ猫耳美少女であることで商品になったというか、
「見た目さえ美少女であれば、どこまで許されるか」
という「おっさんの美少女(※ケモナー)擬人化」の実験みたいな。
受け入れられているのは、ルックスの愛らしさ故なのか、自分の内なるクズ性の共感なのか。

『ヤニねこ』6巻より(にゃんにゃんファクトリー/講談社)
「マイルドなノワール」というか、ある種のクズ文学というか、原義の意味での「カタルシス」というか。クズと文学は昔から相性良いですしね。
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自分の怠惰や意志の弱さと向き合って、そして負けて、共感を誘う「ダメ人間漫画」がヒットする事例、近年静かに増えてる気もします。
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「ヤニカス」ネタ以外のクズネタ要素として、うんこネタ・おならネタ・ちんこネタ・火事ネタwww やたら何かが燃えます。
一般論的に長続きしやすい日常ものであるにも関わらず、作品として初期に「出オチ漫画かな」と思ったんですが、早や6巻。

『ヤニねこ』6巻より(にゃんにゃんファクトリー/講談社)
出オチ漫画と思った理由は、
「普通、クズネタばっかりそんなに続かない」
と思ったからです。
現に焼き直しのネタ(定番ネタとも言う)も多いですが、ヤニカス以外にも増えたキャラにそれぞれダメ人間属性を割り振って、どうにかこうにか面白さが延命しています。
「みんな違って、みんなクズ」
というか、クズでダメなキャラたちが互いに少しずつ許し合って(「妥協しあって」とも言う)大らかに回る群像劇、意外と現代人に対して示唆に富んだ作品と言えるかもしれません。

『ヤニねこ』6巻より(にゃんにゃんファクトリー/講談社)
正しい者同士でギスギス暮らすより、正しくない者同士で許し合って暮らす彼女たちを、羨ましく思う人たちも意外と多いかもしれない。
モノは言いよう、理屈は何にでもくっつく、というやつですね。
ちなみに自分が
「現実にヤニねこ達と許し合って暮らせますか?」
と訊かれたら、

『ヤニねこ』6巻より(にゃんにゃんファクトリー/講談社)
絶対イヤです^_^
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