#AQM

あ、今日読んだ漫画

#2.5次元の誘惑 7巻 評論(ネタバレ注意)

先輩たちが卒業し、高校の一人漫画研究部として日々部室で二次オタ活動に勤しむ奥村(高2♂)。

学校が新入生を迎えたある日、漫画研究部のドアを叩く一人の新入生がいた。奥村と同じく古の名作「アシュフォード戦記」「リリエル外伝」とそのヒロイン「リリエル」をこよなく愛する彼女・天乃リリサは、キャラ愛が高じて高校生になったらコスプレイヤーになることを夢見ていた。

で始まるコスプレ青春もの。

新進コスプレイヤーとして頭角を現したリリサ。同年代のコスプレ仲間も集まり、いざ、コミケ夏の陣!

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「2.5次元の誘惑」7巻より(橋本悠/集英社)

集まった仲間の一人、アリアの音信不通で元・漫画家の父親にアリアの愛が届くように、目指すは並いる強豪を抑えて注目度ナンバーワン!

というわけで真夏の祭典、夏コミケにリリエル外伝組が初見参! そして明らかになるアリアの父親の正体! 新進気鋭の4人組がぶち当たる夏コミケの試練! 新キャラ、新人ランキング2位と3位の人!

と、祭典らしく盛り沢山な一冊。

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「2.5次元の誘惑」7巻より(橋本悠/集英社)

やー、情報量多いわ熱いわ笑えるわ可愛いわかっけーわで相変わらず最高です。

本来、他人と競うもんじゃないはずのコスプレに上手いこと「勝ちたい理由」や「強くなる描写」を入れてくるよね。

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「2.5次元の誘惑」7巻より(橋本悠/集英社)

可愛かっこいいのがいっぱい出てきて眼福。

あと黒髪ショートカットコミュ症のノノアの健気ダメオタ小ネタが可愛い。

次巻はいよいよ、自分が初めてこの作品に出会った、約束された神回です。次も楽しみだー。

 

2.5次元の誘惑 7 (ジャンプコミックスDIGITAL)

2.5次元の誘惑 7 (ジャンプコミックスDIGITAL)

  • 作者:橋本悠
  • 発売日: 2020/12/04
  • メディア: Kindle版

 

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#鬼滅の刃 全23巻 【完】 評論(ネタバレ注意)

「生きていることはそれだけで奇跡

 あなたは尊い人です 大切な人です

 精一杯生きてください 最愛の仲間たちよ」

 

TVアニメがきっかけでこの漫画が流行った時点で17〜18冊ぐらい出ていたので、乗り遅れました。友達と鬼滅の話ができなかったので、ちょっと寂しかったです。

イッキ読みするのに17冊は億劫(おっくう)だったので先延ばししたけど、この12月4日に最終23巻が出ると聞いたので、やっとイッキ読みをしました。正確には11月29日の日曜日に22冊をイッキ読みして、23巻の発売に備えました。22冊イッキ読みはやっぱり少し疲れました。

でもとても面白かったです。

 

過去のジャンプ作品やバトル漫画作品で培(つちか)われたノウハウやエッセンスが惜しげもなく投入された特徴が随所(ずいしょ)に見えて、大ヒット作であるだけにそのルーツを探ってオタクな自分が大好きな「アレに似てる、コレに似てる」と並べ立てる例のアレのやつをやりたい誘惑にかられます。

この作品の最初の1ページ目は、雪の中、意識を失った妹を背負って歩く少年から始まるけど、

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「鬼滅の刃」1巻より(吾峠呼世晴/集英社)

これは「ファイアパンチ」の最初の1ページ目とまったく同じシチュエーションでした。

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「ファイアパンチ」1巻より(藤本タツキ/集英社)

僕は初見(しょけん)でこの漫画の1ページ目を開いて、まず

「『●●の要素は○○に似てる』という話はキリがないのでやめよう」

と思いました。

漫画で大事なのは、「〜に似ていること」や「〜に似ていないこと」や「〜に影響を受けていること」ではなくて、その結果出来上がった作品が面白いかどうかのはずだし、ただでさえこの作品はメタ(漫画の中身以外の話)にスポットが当たった語られ方がとても多いです。

ちなみに「鬼滅の刃」第1話が週刊少年ジャンプで発表されたのは2016年2月15日、「ファイアパンチ」第1話がジャンプ+で発表されたのは2016年4月18日で、順番で言えば「鬼滅の刃」が2ヶ月早くて、僕が遅ればせながら読んだ順番が逆なだけでした。

同じジャンプ仲間の作品同士でパクったパクられたの喧嘩はあんまり意味がない上に、間隔を見ても内容を見ても模倣(もほう)する合理的なメリットもないし、「ジャンプ作品に共通するヒットの方程式だ!」という程のものでもないので、僕が思うにはこれはただの偶然の一致です。

 

1億2千万部売れてるからといって100万部売れてる漫画の120倍面白いかというとそんなことはないし、単行本1冊あたり500円の120倍の6万円払う普遍的価値(ふへんてきかち)があるかというとそんなこともないけど、そんなことは作者の責任でも作品の責任でも僕の責任でもないし、そもそもそんな漫画はたぶんこの世に存在していなくて、幸いなことに「鬼滅の刃」は出版と印刷と流通の皆さんの日々の尽力のおかげで1冊440円で買って読めます。

たくさんの語り手によっていろんな角度から語り尽くされつつあるこの作品について、何の専門性も持たない僕が独自の視点とか新たな切り口とかを今さら提示する功名心(こうみょうしん)はあきらめて、読んで感動したところを五月雨(さみだれ)に平凡に素朴にシンプルに小並感(こなみかん)に感想のやつをやります。

まだ一周しか読んでないニワカの戯言(ざれごと)なので多少の誤りは許して欲しいです。ネタバレを避けるためになるべく他人の感想や考察も避けてきたので、トンチキなことや、誰かがもうとっくに言っていることをアレするかもしれないです。1冊440円とは言え鬼滅で炎上したらとても火力が高そうです。

国民的大ヒット作なので、あらすじや設定をあらためて紹介する必要も感じないのは、楽でよいですね。

 

あとマナー講師みたいで恐縮ですけど、鬼滅ファンのみんなへのお願いとして、TV会議で「全集中の呼吸で対応お願いします(笑)」とか「部長だから我慢できた(爆)」とか部下に言うのはやめましょう。殺すぞ。

 

大正時代

最初は普通に「読者のみんなの社会とは倫理(りんり)や価値観(かちかん)が違います」という意味かな、と思いました。

細かいディティールは大正時代に由来(ゆらい)する背景設定などが多いけど、現代劇に置き換えてもそれらのディティールも置き換え可能なように見えました。「大正時代でなければならないイベント」とかは特にないし、史実の人物、例えば森の柱が森鴎外(もりおうがい)だったり、生き延びた土方歳三(ひじかたとしぞう)が上弦の鬼になっていたりすることもないです。

ただ背景設定などで前時代的(ぜんじだいてき)な因習(いんしゅう)に基づく不幸な過去を抱えているキャラが多くて、現代劇で描かれると「警察呼べ」「児童相談所に相談しろ」「Twitterで告発して炎上させたれ」とか余計なことばかり考えて没入(ぼつにゅう)が損なわれそうなので、その辺の事情がなんだかよくわからない大正時代に設定されていて良かったです。

あと見ていて「着物や袴(はかま)を楽しそうに描く人だな」と思いました。楽しく描けるのが一番だし、和洋折衷(わようせっちゅう)でなんだか耽美(たんび)な大正時代には、鬼にまつわる怪奇でおどろおどろしい物語が浮いてしまわずによく似合っていると思いました。案外それが一番の理由かもしれないと思いました。

高橋留美子の現作「MAO」も大正時代が舞台に描かれていて、通底(つうてい)する雰囲気が似ているように思いました。

あ、さっそく「アレに似てる話」をついやってしまった。もうだめぽ。

 

導入

主人公の炭治郎は、悟空やルフィやゴンのように夢や冒険を求めて旅立つわけではなくて、家族を惨殺されて生き残りの妹は鬼にされるという、巻き込まれ型の極致(きょくち)な動機で物語に身を投じます。最近は動機がカジュアルな主人公の作品が増えた中、だいぶ陰気なスタートです。

ある意味、遺族による復讐と私刑の物語で、現代劇に置き換えるとより凄惨(せいさん)に読者感情をも損なったかもしれませんが、社会の治安維持(ちあんいじ)能力が現代より劣る大正時代の設定でなんとなく中和(ちゅうわ)されている他、炭治郎のポジティブで優しい人柄と「妹を人間に戻す」「同じ悲劇を繰り返させない」という建設的な目的意識などで糊塗(こと)され、鬼殺隊の当主・産屋敷耀哉の強い使命感で昇華(しょうか)されています。

禰豆子も冒頭で死んでいたら炭治郎はどうしていたか、のif(もし)はちょっと興味があります。柱たちのように、より冷徹で復讐心に燃える剣士になっていたかもしれませんし、あるいは失意のまま普通に暮らして一生を終えていたのかもしれません。

 

ギャグコメディ

もともと抜いたコマはちょいちょいあったものの「暗い漫画だわね」とか思って読んでいたら、3〜4巻で善逸と伊之助が登場したあたりから顕著(けんちょ)にギャグコメディ色がすごく強くなって面食らいました。

絵もなんか巻末のおまけ4コマっぽいというか、「ジャンプの後ろの方」っぽくなって作者の頭が狂ったのかと思ったけど、それ以来、割りと最後までそんな感じでした。

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「鬼滅の刃」4巻より(吾峠呼世晴/集英社)

いねえよそんな人。

ギャグとしてそんなに高度なことやってるわけではないけど、陰惨(いんさん)な序盤や過去エピソード、シリアスな戦闘シーンとのギャップがひど過ぎて、言ってる中身もシンプルにくだらないやら微笑ましいやらで力技で笑わされてしまいます。

桜餅の食いすぎで髪がピンクになった(いい加減な設定だなw)というこの人に至っては、最高幹部の柱のくせに衣装にしろ志望動機にしろ言動にしろ、全体的に出る漫画を間違えちゃった感すごいです。

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「鬼滅の刃」21巻より(吾峠呼世晴/集英社)

ガビーンじゃないが。クライマックスやぞ。

ある意味テコ入れっぽいし妥協(だきょう)だったかもしれないけど、功(こう)を奏(そう)して楽しく読めるよね。

 

鬼自体は昔話・童話の類(たぐい)の昔から定番の悪役で、特に目新しくはないシンプルなものですけど、無惨を始祖とするツリー状の増え方は多くの吸血鬼の設定に近いです。

吸血鬼は一般的に血を吸って仲間を増やしますが、この作品の鬼が増えるメカニズムは逆に傷口に鬼の血を浴びることです。

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「鬼滅の刃」1巻より(吾峠呼世晴/集英社)

まるで血液感染する感染症・伝染病のメタファー(こっそりたとえること)のようです。

よく考えたら捕食(ほしょく)する側が途中で出血して捕食を中断するという、けっこう不自然なプロセスです。僕が堅あげポテト食ってる途中で口の中切れるみたいなものでしょうか。

桃太郎の鬼は実は無惨の直系でした的に日本全国の鬼にまつわる伝承(でんしょう)と絡めたり、戦国大名の誰々は実は鬼化してました的な、連載長期化していてもネタに困らない、シンプルなだけに拡張性(かくちょうせい)の高いネタの宝庫な設定ですけど、拡(ひろ)げも掘り下げもせずシンプルな扱い方で、作者の興味はここにはなかったんだろうなと思いました。

 

無惨

なんかこの人ひとりだけ特に高橋留美子っぽくない?

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「鬼滅の刃」16巻より(吾峠呼世晴/集英社)

「悪の魅力」的な人間的魅力が描かれない、卑小(ひしょう)な人格が話題のラスボスですけど、人間の姿をして人間の言葉を操っているだけで基本的に人間じゃないし、そのようになって以降は生存本能のまま振る舞っていただけなので、劇中終盤で言っていたとおり、彼にとって鬼殺隊はさぞ迷惑で鬱陶(うっとう)しかっただろうなと思います。

吉野家いって牛丼食ってたら「牛が可哀想だろ!許せない!」って知らない奴に怒られて、じゃあって次は別の吉野家いって牛丼食ってたらまた「牛が可哀想だろ!許せない!」ってまた怒られた人、みたいなメンタリティで、本質的に本人なんで怒られてるのかよくわかってないし「悪の魅力」もへったくれもありません。

本人には罪の意識もないから当然改心もしないし、ただ人間との生存競争に負けただけとしか思ってないだろうし、事実そうだったなと思います。

ただ普通は加点ポイントにするラスボスの魅力で、作品として点数稼ぐの放棄してるというか、上弦の鬼たちすら作品の愛憎のコミュニケーションの輪の中に入れてもらえたのに、この人ひとりだけ一応言葉が通じてるだけのディスコミュニケーションすぎてちょっと面白いよね。

 

鬼殺隊

鬼殺隊の戦闘スタイルは、その本質が駆除であり処刑であることを象徴するように、多くの場面で鬼と一対一で対峙しません。もともとタイマンでは上弦の鬼が柱を大きく上回る戦闘スペックを誇っていることもあり、鬼1体に対して柱クラス3〜4人以上で対峙するし、毒で相手を弱らせることも躊躇(ちゅうちょ)しません。

剣士の誇りを賭けた決闘でもなければ、どっちが強いか決める力比べでもなく、ひたすら相手を殺すことを完遂(かんすい)することに特化していて、いかにも少年漫画らしく「多対一は卑怯だ」などと口にされる場面すら描かれません。

 

鬼殺隊はその多くが炭治郎とおおむね同じく、鬼に親しい者を奪われた人間たちで構成されていて、戦う遺族会、戦う被害者の会、という側面が強いです。

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「鬼滅の刃」16巻より(吾峠呼世晴/集英社)

炭治郎と違って「鬼になった身内を元に戻す」という目的がない分、動機に占める復讐心の割合がより大きいように見える私設の集団ですけど、ややもすれば独善的(どくぜんてき)な私刑集団に陥(おちい)りかねないような集まりが、その戦闘スタイルにも関わらず、97代に渡って鬼と対峙する産屋敷家の強い使命感によって、煉獄に象徴される「強く正しい」誇りを持った組織であるよう統制・維持されています。

 

この作品で僕が一番感銘というかショックを受けたのは最終決戦のこのシーンでした。

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「鬼滅の刃」21巻より(吾峠呼世晴/集英社)

ラスボスを前に、身を投げ出して肉の壁として強者を守る、名も無い弱者たち。

頭がイカレています。少年漫画では普通、逆です。

鬼殺隊はこのように上から下まで基本的に滅私(めっし)で、その対象は敬愛する当主への忠誠ですらなく、自分の生命を含むすべてのリソースを無惨を倒すこと一点に集中しています。生き残って戦後に自分が幸せになりたい当たり前の欲望が欠落しています。まるで時代劇の「忠臣蔵(ちゅうしんぐら)」のようです。

このシーンはこの作品のこの特殊な状況下では命と希望を繋ぐためのとても美しい精神性である反面、普遍的(ふへんてき)な美談として語るにはとても危険な描写であるようにも見えました。

彼らは自発的にやってるから良いですけど、もし「前に出ろ」と声をかけているのが柱だったら、ブラック経営者vsブラック経営者の仁義なき戦いに陥って目も当てられません。

 

千年の歴史があるみたいなので陸奥圓明流(むつえんめいりゅう)的な「実は吉良上野介は鬼で赤穂浪士(あこうろうし)は鬼殺隊でした」とか「実は鬼化していた信長を倒しました」とか「実は桃太郎は桃の柱で、今の恋柱の先祖でした」的なスピンオフ妄想が捗(はかど)ります。

 

柱たち

ジャンプのバトル漫画あるあるなのであまり語ることはないですけど、あるあるが悪弊(あくへい)なら改める必要もあるけど割りとメリットしかない、愛されキャラの宝庫。

デザイン的には世界観に対して穏当なデザインが比較的多くて、迷彩服の人やロボなどはいません。

バトル描写でそこまで細かい設定の理屈や因果(いんが)の縛り・制限を積み上げる作品じゃないので、割りと作者の匙加減(さじかげん)で強さや勝ち負けはどうにでもなっちゃった気がします。

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「鬼滅の刃」16巻より(吾峠呼世晴/集英社)

使い捨てとは言わないけど、「本格的な出番=ほぼ最後の戦い」な人や、「無惨を倒す未来に繋ぐ」ための捨て石になることにまったく躊躇(ちゅうちょ)しない、雑兵と同じく希望を繋ぐために「無惨殺すべし」に殉(じゅん)じた、というか脳みそ全振りしたイカレた人が多かったです。

動機の強さのためか、この手のエリート集団にありがちな、派閥の対立や対抗意識、裏切りなどもありませんでした。

「繋ぐ」というイメージがとても強く印象に残った人たちでした。

あと、今まで大して出番もなかった一番性格悪そうなフェイタンみたいな奴に限って、わずかな前フリでいきなりこんなこと言い出すのホントやめて欲しい。

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「鬼滅の刃」22巻より(吾峠呼世晴/集英社)

なんやその幻影旅団の人がToLoveるのキャラに惚れちゃったみたいな組み合わせ。

柱には萌えないと決めていたのに、たった3コマで持っていくのやめて。最終話あああああああああああああああああああああああ。

 

構成

構成というか「23巻という長さは妥当(だとう)か」という話ですけど、23巻という巻数は自分のような後発(こうはつ)組でも読んでみようと思える巻数だし、この巻数に納めたおかげで10年後、20年後も新規の読者に読まれる作品になったと思います。

「23巻という短さ」は集英社としても残念だろうし、キャラのファンとしてもっと彼らの物語を読みたくなった自分も残念ではありますけど。

16巻から最終決戦シリーズに入るロングスパートをかけた作品で、16〜23巻の間が「鬼殺隊の一番長い夜」的な、作中たった一晩の出来事でした。ラストバトルのシリーズが全23巻の35%を占めます。実はTVアニメでブレイクした時点で既に引き伸ばしようのないロングスパートに入っていたように見えます。

15〜16巻の柱の特訓あたりが最後のセーブポイントで、日常回や中ボス戦などのサブストーリーをこなしていくか、ラストバトルに突入するか、の分岐点(ぶんきてん)だったんだなー。

 

禰豆子

「ヒロインがずっと竹を咥(くわ)えている」と聞きました。

そのうち読むつもりだったのでネットを徘徊(はいかい)する際も「鬼滅の刃」の内容に関わる言及は注意深く避けていましたが、それでも漏れ聞こえてくる情報はあります。

「長男だから我慢できた」、「緑と黒の市松模様」、「ずっと猪の皮を被っている人」、そして「ずっと竹を咥えているヒロイン」。

漫画のやることだし、そういう長男もいるだろうし、猪の皮を被っている人もいても不思議ではないですが、「ずっと竹を咥えているヒロイン」だけは意味がわかりません。

漫画やアニメではキャラの見分けをつけやすくしたり、キャラクターの特徴を印象付けるために、頭、特に髪におかしなアクセサリーをつけているキャラは多いし、顔の一部を意図的(いとてき)に隠すことで全体の美しさを引き立てたり、その奥を見たい欲求を刺激する、サングラスや眼帯がトレードマークのキャラも多いです。

だからと言って、なんで竹を咥えるのだ。

その疑問が結局、僕がこの作品を読む動機の決め手になりました。

 

轡(くつわ)という道具があります。馬の口にはめる金具で、手綱(たづな)を繋げることで人馬の意思疎通(いしそつう)を可能にした、人類史上でも重要な発明で、「ハミ」とも呼ばれます。

似た道具で、「猿轡(さるぐつわ)」と表現されるように、拘束(こうそく)された人物の口を塞(ふさ)ぐ道具があります。主な目的は、拘束された人物に声をあげさせないことと、舌を噛んで自死することを防ぐことです。

乗り物として意思疎通して制御すること、声を出させないこと、自死を防ぐこと、いずれにしても非人道的で、少年漫画のヒロインが身に着けるにはビジュアルとしてあまりふさわしくないように思いました。

 

その後、そのヒロインは鬼と化しつつも、鬼を倒す主人公に帯同(たいどう)しているとのことだったので、なんらかの封印なんだろうと思いました。

呪術的に鬼の力を制約する封印であったり、物理的に人間に噛みつくことを防いだり、竹から鬼成分を中和(ちゅうわ)するエキスが出ていてそれをチュウチュウ吸ったり、竹から鬼成分を中和するフレーバーが出ていて鼻でクンクンそれを吸ったりしているのだろうと思いました。

第1話で鬼になった禰豆子は炭治郎と共に、駆けつけた鬼殺隊の柱の一人・冨岡義勇に制圧され気絶させられ、2人が目覚めたときにはすでに竹の轡を嵌められていました。

冨岡義勇は今後の身の振り方や、禰豆子を太陽の光に晒(さら)さないよう指南(しなん)してくれましたが、竹の轡をつけるだけつけておいて何の説明もしませんでした。

なんで!? エキスは????

炭治郎も禰豆子につけられた竹の轡を受け入れ、外そうとしても何のペナルティもなさそうなこの拘束具を、禰豆子も外そうともしません。

なんで!? お前らソレ気にならないの????

鬼と化したが人を喰わない禰豆子は人間のような食事もしないし、人語も話しません。竹の轡があっても実はそんなに困らない。

だからってそんな。邪魔じゃん。

炭治郎を乗せて走るわけでもなく、そもそも喋らないし自殺もしないし噛まないし、エキスもフレーバーも入ってないなら、冨岡義勇はなんのためにコレをつけたの? 趣味なの?

実際、ずっと後に竹の轡が外されている場面がありますが、

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「鬼滅の刃」17巻より(吾峠呼世晴/集英社)

薬を飲んだこともありますが、なくてもいいみたい。

(追記)

読み返したらこのシーンを待たずに15巻きっかけで轡はずれてました。ごめんなさい。

 (追記終わり)

 

「鬼滅の刃」はある切り口では過剰(かじょう)なくらいの説明をしますけど、別の切り口では設定や状況の説明を省き、言語化(げんごか)しません。作者は物語を通じて少年漫画のフォーマットの中で自分が語りたい部分にリソースを偏らせていて、「ずっと竹を咥えているヒロイン」はまるでその象徴です。

禰豆子自身、最序盤と終盤を除いて、ずっと鬼化して竹の轡をつけて人語を話しません。にも関わらず、とても表情豊かで愛おしいキャラで、言葉を尽くすほど相互理解から離れていく無惨と対照的です。

禰豆子のデザインはシンプルながらとても印象的で美しい姿をしています。

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「鬼滅の刃」3巻より(吾峠呼世晴/集英社)

口元隠しておでこ隠さず。

竹のおかげで僕はこの漫画を読むことになりましたけど、作者が描きたかったことは禰豆子がどう生きるか、いかに読者に愛されて欲しいかであって、恋柱の髪がピンク色である理由が桜餅の食い過ぎなのと同じく、作者にとって竹の轡を咥えている理由なんてきっとどうでもいいし、実は僕にとってもどうでもよかったのだと思いました。

 

炭治郎

暗い過去を背負いながらも品行方正(ひんこうほうせい)で天然入ったポジティブでとても優しい、ちょっと根性論というか精神論が強く出てて「呼吸はトモダチ!怖くない!」とか言い出しそうなお前大丈夫か感はあるものの、近年稀に見る高い好感度、嫌われ要素の少ない主人公です。

こんな奴に「お嬢さんを僕にください」って言われたい部門3年連続1位。

主人公の未熟さや錯誤(さくご)でピンチに落ち入る展開は、バトル漫画に限らずラブコメ漫画などでも作劇の定番な反面、読んでいて読者が主人公にイライラしてしまう諸刃の剣でした。最近は炭治郎のように、愚かな振る舞いをしない、余計なトラブルを増やさない、読んでてイライラしない主人公が増えてきたように思います。

序盤でなんか「この子、優し過ぎて大成(たいせい)しないわ」みたいなフラグがあって、

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「鬼滅の刃」1巻より(吾峠呼世晴/集英社)

普通は「欠点としての優しさ」を克服するエピソードとか入れたくなるもんですけど、特にそういうのもないまま、優しいまま事を成してしまいました。僕が見落としているだけかな?

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「鬼滅の刃」5巻より(吾峠呼世晴/集英社)

でもその方がいいし、それで良かったと思ます。

苦境にあっても自らを奮い立たせ、愚直に努力を繰り返し、その力を他人に優しくするために振るった、まるでアンパンマンのようになんのヒネリもない誠実な主人公を僕はとても好きになりました。

 

エンディング

いい表紙すぎて表紙がネタバレというか。

最終話と最終巻のタイトルは「幾星霜を煌めく命」。とても美しいタイトルです。

これから読む人もたくさんいるでしょうから詳しい中身の話はここでは控えますが、ドキドキしてハラハラして哀しくてでも希望に満ちた、少年漫画の王道を極める最終巻でした。

もうテンパってぐっちゃぐっちゃの展開で、スカして登場したたくさんのキャラたちが全員もう必死で、「がんばれ!がんばれ!」って半泣きになりながら読みました。

生きていくこと、シンプルでストレートでとても力強いメッセージ。

炭治郎たちのように僕もがんばって生きようと思ったし、昔のいろんな作品で昔の子どもたちがそうしたように、命が繋がり巡っていることに想いを馳せた子どもがたくさんいるんじゃないかなと思いました。

 

このブログの一番最初に

友達と鬼滅の話ができなかったので、ちょっと寂しかったです。

と書いたけど、そもそも僕は元々あんまり友達がいないので、いざ鬼滅を読んでも鬼滅の話をする友達がいません。

部長だから我慢できた人に「なんで禰豆子は竹を咥えているんだと思いますか?」と相談すると「仕事をしろ」と言われて怒られます。

 

大人になっても好きな漫画の話ができるように、「鬼滅の刃」を懐かしく語り合えるように、みんな今いる友達やこれからできる友達を大切にしましょう。

人と人との縁は本当に宝物だと思います。

最終巻の表紙で見えなくなった右目と動かなくなった左腕を巧妙に隠された炭治郎が、あの後何年生きたのかは作者だけが知っていますが、善逸と伊之助が生涯の友であったであろうことは読者全員が知っていて、僕はそれをとても羨ましく思いました。

 

 

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#ワールドトリガー 204話 (ジャンプSQ. 2021年1月号) 評論(ネタバレ注意)

遠征選抜試験のドラフト会議回。

 

前回まではこちらから。

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「第204話 遠征選抜試験②」。
本編計19ページ。

  • (余談) 
  • (扉絵)
  • (第204話 本編)
  • (所感)

以下、余談のあとにネタバレ情報を含んで論評しますので閲覧ご注意。

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#紛争でしたら八田まで 3巻 評論(ネタバレ注意)

12月の新刊予定にこの作品の4巻が載ってたので、早いうちに追いついて備えておきましょう。

表紙のメガネ美女、「地政学リスクコンサルタント」の八田百合がクライアントの依頼を受けて世界を股にかけて紛争を渡り歩き、地政学の知識と思考と調査能力と護身術で解決していく、美女!メガネ!インテリ!ハードボイルド!ワールドワイド!なかっけーお仕事もの。

ぼっちでメガネで日系で手ぶらのココ・へクマティアル、という感じ。

下品な方の出羽守っぽいというか、ちょっと「ブラック・ラグーン」みたいな洋画吹き替えワールドな感じ。

今巻は、前巻の仕掛かりのウクライナの解放右派に潜む陰謀、舞台を日本の片田舎に移して妹の友達のレディースチームの壊滅の危機、

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「紛争でしたら八田まで」3巻より(田素弘/講談社)

更にインドに飛んで日本企業の優秀な現地社員の謎の素行調査。

1巻読んだときはコンサルのケーススタディみたいな話だなと思ったんですけど、なんというかグッと血の通った話に見えてきました。日本のヤンキーの抗争の話が効いたのかもしれない。

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「紛争でしたら八田まで」3巻より(田素弘/講談社)

愛国心というのは最近とかくイメージ悪いですけど、嫌いで出てった故郷が他人に馬鹿にされたり蹂躙されたりしているのを黙って見てられない気持ちがすごい伝わってくるエピソードでした。

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「紛争でしたら八田まで」3巻より(田素弘/講談社)

あと、インドのカースト、きっついわ…八田がどう捌くのか、次巻が近日でよかったわ。

 

紛争でしたら八田まで(3) (モーニングコミックス)

紛争でしたら八田まで(3) (モーニングコミックス)

  • 作者:田素弘
  • 発売日: 2020/09/23
  • メディア: Kindle版

 

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#ツインズシング 1巻 評論(ネタバレ注意)

双子の美少女女子高生・晴音と詩乃と1つ2つ年上の従兄のメガネの翔の3人はバンドを組み、地元の北関東を拠点にちょっとした有名インディーズバンドとなったが、翔の大学進学に伴う上京をもって1枚のミニアルバムを残して解散した。

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「ツインズシング」1巻より(ゴリラスロウ/ジーオーティー)

1〜2年後、晴音と詩乃の専門学校進学と上京に伴い、草食系な生態を評価されて親族公認でアパートに2人を住まわせる翔は、バンドの再結成を2人に持ちかける。

で始まるバンド青春もの。

「玉置勉強」先生がペンネームを「ゴリラスロウ」に改めての新作。

改名と打ち切り - 玉置勉強ホーム

恋愛要素抜きの同居ラブコメ、みたいなダラダラ微エロな感じ。

割りとなんでもありな作風のイメージがあるので、ダラダラ青春ものにも、バンドのサクセスものにも、サクセスした後の追憶ものにも、なんにでもなりそうなイメージがある。今んとこよくわかんねっけど雰囲気はいい感じ。

「TO-Y」以来、音楽シーンで音を描かない音楽漫画が主流になったように思いますが、本作は最近珍しく音を描き歌詞も描くクラシックなスタイルで却って新鮮。

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「ツインズシング」1巻より(ゴリラスロウ/ジーオーティー)

この人の描く雰囲気と、あと女の子の顔がすごい好きなので。

「ゴリラスロウ」、新刊を見逃さないようにインプットしておきましょう。

 

ツインズシング 1 (MeDu COMICS)

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(選書参考)

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#しょうもない僕らの恋愛論 5巻 評論(ネタバレ注意)

なんや2人してその「しかたなく表紙に出てます」みたいな顔は。

独身アラフォーの装丁デザイナー・筒見に、芸大時代に恋仲なりかけで音信が途切れ最近亡くなった安奈、の娘・くるみが「母が大好きだった人のことを知りたい」と絡んでくる。

という、影と哀愁を背負ったイケメン中年にかつて愛した女そっくりの若くて可愛い娘さんがグイグイ迫ってくる、おっさんと女子高生の恋愛もの。筒見に学生時代以来片想いし続けている絵里も絡んで三角関係っぽく。

絵里の積年の片想いが成就し、同棲を始めた筒見と絵里。多忙な生活ですれ違いが続く中、美大志望のくるみの進路相談に乗る筒見。を身咎める絵里の友人。

絵里の中の不安が大きくなっていく中、全キャラ行きつけのパブで鉢合わせしてしまう絵里とくるみ。

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「しょうもない僕らの恋愛論」5巻より(原秀則/小学館)

こちらも「第一部・完」という感じ。なんというかとても原秀則らしい展開で見どころいっぱい。

ネットには「可能性を生み出しただけでアウトなんだよ」という名言がありますが、

dic.nicovideo.jp

男女の仲って浮気や嫉妬が絡むと、まだ何も起こってないけど可能性を示唆した時点でアウトなことたくさんあるよねー、っていう。

あーめんどくさい。

最近の恋愛もの・ラブコメってこの辺ちゃんと回避する作品が増えてきたので、

僕の心のヤバイやつ Karte.58 僕は頼りたい

「いやダメだ!! ダメな気がするなんとなく」 昔のラブコメならココ回避し損ねてきたんですけど、ナイス回避w

2020/11/17 10:16

b.hatena.ne.jp

立てたフラグがまんまと直撃する、このめんどくさい原秀則節の古典っぷりが懐かしいやらかえって新鮮やら。古い新しいというより、もはやこの人の芸風。

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「しょうもない僕らの恋愛論」5巻より(原秀則/小学館)

心情的には絵里に肩入れしたいところなんですけど、恋愛って善行ポイント多い方が勝ちとか、悪行ポイント多い方が負けとかそういうもんでもないんでアレですよね。

アラフォー女性と同棲始めといて結婚についてビジョンがないのは、「あるある」ではあるんですけど、男の自分から見てもいかがなものかと思いますが。

恋のはじめかたについて、アドバイスお願いいたします

その年頃で「結婚というより恋愛したい」とか、相手によっては貴方自身が結構な地雷案件になり「私の適齢期を返して」ってプレステ2本体で頭を殴られるので、付き合う前に人生観についてよく話し合ってくだしあ。

2016/09/28 17:18

b.hatena.ne.jp

次巻は時制が飛んで、くるみが大学生になってるようです。まー法律の壁があるとは言え、アウトな女子高生が女子大生になればセーフってのもアレなんですけど。

などなどブツブツ言いながら次巻も読むます。

 

しょうもない僕らの恋愛論(5) (ビッグコミックス)

しょうもない僕らの恋愛論(5) (ビッグコミックス)

  • 作者:原秀則
  • 発売日: 2020/11/30
  • メディア: Kindle版

 

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#バトルグラウンドワーカーズ 5巻 評論(ネタバレ注意)

近未来、地球には「亞害体」と呼ばれるクリーチャーが襲来。国際組織「人類連合」が結成され、量産人型兵器を運用して亞害体を無人の辺境に封じ込めていた。無職の青年・平 仁一郎のもとに一通の通知が届く。それは人類連合のパイロットの採用審査通知だった。

という、エヴァとMATRIXとAVATARとパトレイバーとフロントミッションを足して割ったような人型兵器に、無職を集めて遠隔操縦させるSFもの。ロボはレイバーサイズ。

遠隔操縦だけど神経接続されるので、痛みがフィードバックされ破壊されると死。ヤバくなったら神経接続のプラグを抜けば緊急脱出、ただし生涯で5回これやると脳のダメージで死ぬ。

戦場は南シナ海のジャングルの島だけど、遠隔操縦なのでパイロット達は自宅から平和な日本の職場に通勤という、日常と非日常のコントラスト。

前巻の「第一部・完」と呼ぶにふさわしい展開が明けての新章。前巻ラストのページで主人公たちの第31小隊は解散し(させられ)てバラバラになったのかと思ったんですけど、そういうわけではなかったみたいです。

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「バトルグラウンドワーカーズ」5巻より(竹良実/小学館)

前回の展開を受けてそれぞれに心に傷を負い葛藤しながらも、この戦争の真実を知るべく、日常業務と並行して情報収集にあたる第31小隊メンバー。メンバーの前に明らかになる開戦経緯。一方、蘇芳島では…

でぇええええ! 衝撃展開の次はまたもや衝撃展開。いや、ジャンプの漫画とかでよくある、見慣れた展開ではあるんですけど、でぇええええ!

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「バトルグラウンドワーカーズ」5巻より(竹良実/小学館)

混迷を極める展開で、ちょっと気が早いですけどこの漫画どうオチがつくんでしょうか。

またもや続きが気になるヒキで次巻に続く。

 

バトルグラウンドワーカーズ(5) (ビッグコミックス)

バトルグラウンドワーカーズ(5) (ビッグコミックス)

  • 作者:竹良実
  • 発売日: 2020/11/30
  • メディア: Kindle版

 

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#紛争でしたら八田まで 2巻 評論(ネタバレ注意)

表紙のメガネ美女、「地政学リスクコンサルタント」の八田百合がクライアントの依頼を受けて世界を股にかけて紛争を渡り歩き、地政学の知識と思考と調査能力と護身術で解決していく、美女!メガネ!インテリ!ハードボイルド!ワールドワイド!なかっけーお仕事もの。

ぼっちでメガネで日系で手ぶらのココ・へクマティアル、という感じ。

下品な方の出羽守っぽいというか、ちょっと「ブラック・ラグーン」みたいな洋画吹き替えワールドな感じ。

紛争解決の道筋が、ミステリーというよりはコンサルタントのケーススタディの設問を解いてるみたいな感じはあります。

今巻は前巻仕掛かりのタンザニア・魔女狩り事件のクロージング、

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「紛争でしたら八田まで」2巻より(田素弘/講談社)

舞台をイギリスに移して格差の拡大とブレクジット状況下でIRA?に襲撃される大手パブチェーンの問題解決。

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「紛争でしたら八田まで」2巻より(田素弘/講談社)

愛国者をもって鳴らす経営者のパブを次々と襲撃するのは本当にIRAの残党なのか。

次巻への仕掛かりはロシアとヨーロッパに挟まれる地政学上の要衝・ウクライナで過激化し、活動を資金援助する大手ゼネコンの手を焼かせる解放右派。

クールでクレバーながら意外と人情話みたいなのもやんのね、っていうのと、政治的な矛盾を経済の現場の機転で一発逆転を狙い様で、なんとなく新谷かおるの往年の名作「クレオパトラD.C.」を思い出しました。

「クレオパトラD.C.」と言えばそろそろ日本編も見たいわね、と思ったら次巻予告によると3巻はウクライナ編の完結と、日本編だそうです。テンポよくて良いね。

 

紛争でしたら八田まで(2) (モーニングコミックス)

紛争でしたら八田まで(2) (モーニングコミックス)

  • 作者:田素弘
  • 発売日: 2020/06/23
  • メディア: Kindle版

 

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#明日はどっちだ今日ガール 2巻 【完】評論(ネタバレ注意)

金無歩(かねなし あゆむ)は29歳、無職。会社を退職し日雇いのバイトで糊口をしのいで暮らしている。アパートの隣には会社時代の後輩の戸成隣(となり りん)が住んでいて、互いに親しく部屋を出入りしている。

そんな歩の自堕落で虚無的な無職生活日常ギャグコメディ4コマ。くだらなく他愛のない、陰キャでニートなあるあるネタ系。なんというか全体的に気弱で優しい話が多い感じ。繊細で内向的で詩的で思索的で刹那的で、良い友人に恵まれるファンタジーも相まって、他愛ないけど優しい漫画。

ユルい割りにおかしなテンション、間というか風味というか雰囲気というか、も独特。

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「明日はどっちだ今日ガール」2巻より(みぎひざ/KADOKAWA)

今巻で完結。

4コマなんでストーリー的なオチがつかない完結でも全然許されると思うんですけど、過去のモヤモヤと未来のこれから、読者にスッキリを与えてくれる優しいポジティブな完結でした。

ダラダラした剣豪みたいな、ダラダラ剣を振ってるのに太刀筋が読めなくて避けられないみたいな、おかしなセンスの漫画。

情報量が少なく、思いつきで描いたような、読んだ瞬間はフフッてなって読み終わったら忘れてるようなネタが多いんですけど、作品全体は妙にこの先記憶に残りそうな予感がする。

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「明日はどっちだ今日ガール」2巻より(みぎひざ/KADOKAWA)

面白かったし、好きでした。また。

 

明日はどっちだ今日ガール2 (電撃コミックスNEXT)

明日はどっちだ今日ガール2 (電撃コミックスNEXT)

  • 作者:みぎひざ
  • 発売日: 2020/11/27
  • メディア: Kindle版

 

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#転生したらスライムだった件 16巻 評論(ネタバレ注意)

サラリーマン(37)が刺されて死んで異世界に転生したらスライムだったけど、付与された特殊能力で強力な魔物スキルをガンガン吸収してスライムにして最強、人型にも顕現可能に。

多くの魔物を配下にジュラの森の盟主となり「魔国連邦」を建国。襲来した人類国家ファムルス王国軍2万の兵を撃退してリムルは魔王に覚醒。暗躍する魔王クレイマンとの対決姿勢を強める。

ということで今巻はバトルなしで敵味方ともに会議回、各陣営の戦力を盤面に並べ直して整理する巻。1巻からの長きに渡り封印されっぱなしだったヴェルドラがようやく出番。

 

魔国連邦は暴風竜ヴェルドラの封印解除が成功、武装国家ドワルゴン、獣王国ユーラザニアの残党に加えて、人類国家のブルムンド王国、魔王王朝サリオンと同盟締結。

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「転生したらスライムだった件」16巻より(伏瀬/川上泰樹/講談社)

えっ、お前最強っぽいのにコメディ要員として復活したの?

 

魔王クレイマン陣営はミリムを引き込み、魔王連合に加えて自由組合も同盟関係で暗躍?

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「転生したらスライムだった件」16巻より(伏瀬/川上泰樹/講談社)

 

クレイマン陣営に利用されてるっぽい上に魔物を敵視しつつなんでか幹部に吸血鬼が混ざっててよくわからない西方聖教会。

 

更によくわからない、他の魔王連中からなんか恨みを買ってる魔王レオン。

 

の四つ巴。レオンってなんだっけ?各陣営、現実世界の日本出身の異能がいるので、魔王レオンも日本出身だったりするんかしらね。

クレイマンを叩きたいけど、その前に西方聖教会をけしかけられる展開かしらね。

オーバーキル気味に戦力充実してるように見えて、16人もいる魔王のうち魔国連邦が擁する魔王はリムルだけという、有利なのか不利なのか。ヴェルドラって魔王と比べて格上なのか格下なのか。

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「転生したらスライムだった件」16巻より(伏瀬/川上泰樹/講談社)

対・魔王戦が増えていきそうな展開なので、リムル配下や同盟国のメンバーたちのヤムチャ化がちょっと心配だw

 

 

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#薬屋のひとりごと 7巻 評論(ネタバレ注意)

なろう小説のコミカライズ。古代中国の華やかな後宮を舞台に美女ありイケメンありミステリーあり。

人攫いに後宮の下女として売り飛ばされた薬師で毒マニアの少女・猫猫(マオマオ)が、謎のイケメン高官・壬氏(じんし)の引き合いもあって上級寵妃のお付きの下女として、華やかな後宮内で起こる難事件を薬と毒の知識と花街出身の度胸で解決する時代ものの探偵もの。ちょっとラブコメも有り。

ガンガンとサンデーGXでそれぞれ同時にコミカライズされていて、サンデー版も出来物だと聞きますが、間違って読んでない方の続巻を買ってしまわないように気をつけましょう。

前巻で、事故を装ったっぽい、壬氏の命を狙う事件を怪我を負いながらもすんでのところで阻止した猫猫。今巻はその謎解き編かなと思ってたんですけど、仕組まれた事故のからくりは判明したものの、犯人は行方不明で動機や目的も不明、と「続きはWEBで!」みたいな感じに。

その他、蘇りの妙薬をめぐる薬師対決!? 玉葉妃の懐妊!? 新たな妃・楼蘭妃の入宮、壬氏の正体チラ見せ、妓楼での猫猫の姉貴分・白鈴の恋のキューピット役、青い薔薇を探す壬氏の依頼、天敵の実の父親・羅漢との将棋対決など、多事多難。

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「薬屋のひとりごと」7巻より(日向夏/ねこクラゲ/七緒一綺/しのとうこ/スクウェア・エニックス)

伏線ばらまき巻というか、どれもこれも気にはなるものの先行きは見えずでつまみ食いしてる感じ。

この作者のことなので収束したり絡みあったりという興味深い展開が待っているだろうとは思うんですが、ノベライズに比べて進行に時間がかかるコミカライズ、ストーリー的にはこの巻単体でそれほど面白いものではありません。後の巻のカタルシスのための「溜めの巻」というか、「途中の巻」というか。

壬氏と猫猫の変人対決のコメディ描写をエンタメ要素に差し出して引っ張ってる感じはします。

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「薬屋のひとりごと」7巻より(日向夏/ねこクラゲ/七緒一綺/しのとうこ/スクウェア・エニックス)

ある程度の冊数をまとめて読む方が楽しめる漫画かなー、とも思ったんですが、前巻のあの続きが気になるのもそうなんですけど、猫猫の理屈くさい思索が横軸として面白いので、我慢できずに読んでしまいましたw

 

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#BADON 3巻 評論(ネタバレ注意)

オノ・ナツメの現作、煙草が超高級品な「ACCA」世界観、首都・バードンが作品タイトルで舞台。

リコ、ラズ、ハート、エルモの4人の男は、それぞれ犯した罪でヤッカラの刑務所に収容されていたが、国王代替わりの恩赦・減刑で刑期が明け、4人で煙草店を営むべく揃ってバードンへ。前科持ちのハンデを抱えつつ煙草店を開業。

「二度と悪事にもサツにも関わらない人生」を夢見る男たちの商売繁盛記にはならず、良かれ悪しかれ罪を犯した過去がつきまとうハードボイルド風味。

1巻2巻と単巻で完結するエピソードでしたが、今巻が2巻の伏線を受けつつ、エピソードとしてはやはり単巻で完結ながら、一応、前巻を読んでることが前提の話。

バードンの老舗煙草店・タットラーを若くして継いだレニーは、4人が開業した煙草店・プリミエラと、彼らが取引する煙草職人のホーク兄弟の動向を注視していた。ヤッカラ出身の謎の4人組、そしてホーク兄弟には裏社会との取引が疑われ、バードンにはヤッカラから流れてきた大麻入りの煙草が流通していた…

ヤッカラから執拗につきまとってくる裏社会の繫がり。

今巻は4人の元・服役囚のうち、表紙のリコにスポット。詐欺罪で9年間服役、会計担当。女を騙して罪を問われたリコの過去とは。

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「BADON」3巻より(オノ・ナツメ/スクウェア・エニックス)

大きな事件が起こる話ではなかった、というより、大人力と言うか、おじさん力で事件を起こさせなかったと言うべきか。

最近、「ハコヅメ」って漫画を読んでハマって、

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あれもかっこいいおじさんがたくさん出てくるんですが、「BADON」も同じくおじさんばっかり出てくるんですけど、なんつーか同じ種族とは思えねえなw かっこよさの種類がまた違いすぎるw

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「BADON」3巻より(オノ・ナツメ/スクウェア・エニックス)

罪と後悔を背負った哀愁を漂わせつつ、スタイリッシュで、でも大切なものを守るための芯を感じさせる、大人ななー。

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「BADON」3巻より(オノ・ナツメ/スクウェア・エニックス)

って読んでて思ったんですけど、よく考えたら俺もおじさんだったわ。いつかこんな渋いおじさんになりたい、と思ってる間にたぶん俺死んじゃってるわ。

 

BADON 3巻 (デジタル版ビッグガンガンコミックス)

BADON 3巻 (デジタル版ビッグガンガンコミックス)

 

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#氷菓 13巻 評論(ネタバレ注意)

アニメでお馴染み、お前らの好きなえるたその氷菓です。

地方の高校の古典部の1年生の男女4人が、学校を舞台に数々の謎を解明する探偵もの風の青春もの。平凡な成績の省エネやれやれ野郎ながら推理力だけなんでか突出してるイケメン高校生・折木奉太郎が主人公。あんま説明要らないよね。京アニ絵でこそないですが、良い作画。漫画になるとセリフの字数多いね。コナンもだし、推理もの・探偵ものはしょうがない。

巻末に原作者と作画者から、あの事件に関する哀悼とお見舞いのコメント。

ビジュアルはアニメ設定準拠の、原作小説のコミカライズですが、今巻から大きな変化がありまして、最初の1話はアニメ最終回「遠まわりする雛」の漫画での完結エピソードで、2話目からはついに、アニメ化されていない2年生編に突入します。あの最終回のその先、私の知らない物語。

エピソード「入部受付はこちら」①〜③、「友達は祝われなきゃいけない」①を収録。

2年生に進級し、新入生勧誘のイベントで校庭に折りたたみテーブルを引っ張り出してブースを構え、古典部への入部希望者を募る奉太郎とえる。

新入生に大声で声をかける体育会系部活や、手作りクッキーを配る製菓研究会と比べ、積極的に勧誘するでもなくポツンと座ってるだけの2人。

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「氷菓」12巻より(米澤穂信/タスクオーナ/KADOKAWA)

当然、入部希望者がやってくるわけもなく、暇な二人はそれぞれ向かいで盛況な製菓研究会が気になっていた。

2人がそれぞれ製菓研が気になる理由とは、そしてその原因とは。そして2人の会話に密かに聞き耳を立てる者がいた…

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「氷菓」12巻より(米澤穂信/タスクオーナ/KADOKAWA)

ででで、出たー!私は気になるだけなので考えるのはお前がやれ奴ぅ!

自分がTVアニメ版で一番好きな話は第19話「心あたりのある者は」なんですけど、アレと同じく、えるが気になったというだけのどうでもいい疑問を、奉太郎とえるの安楽椅子探偵的な思索と会話が紐解き、そして意外な急展開に繋がるエピソード。

新キャラも登場。レギュラーが男2女3の5人になり、なんかSOS団っぽくなりましたねw

やー、ミステリーなんで、やっぱエピソード初見が一番面白いな!って言う。原作未読のアニメ版ファンの方はぜひ。

今巻冒頭の、アニメ最終回だった「遠まわりする雛」の完結編も、丁寧で繊細な心の機微の描写、とても良いコミカライズ。

 

氷菓(13) (角川コミックス・エース)

氷菓(13) (角川コミックス・エース)

 

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#その着せ替え人形は恋をする 6巻 評論(ネタバレ注意)

祖父の弟子として雛人形作りの職人を夢見て修行中も、趣味がなくぼっちな男子高校生(15)と、スクールカースト最上位だけどオタク趣味のコスプレ好きで裁縫下手なギャル(15)のクラスメイトのボーイミーツガール。

ひょんな縁でギャルに衣装の講評を頼まれ、ガチでダメ出ししたら泣かれて土下座で謝った流れで、コスプレ衣装を作ってあげることに。

青年誌に載っちゃった少女漫画というテイで、少女漫画の絵だけどテーマがテーマだけに青年誌のヤングガンガンだけに、着替えシーンやエロコスも多く読者サービス多め。

今巻は、池袋のコスイベントで意外な正体の新キャラレイヤー登場・その実際、バニーガール衣装の意外な落とし穴、渋谷のハロウィンで陽キャに囲まれて鬱る五条くんなど。

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「その着せ替え人形は恋をする」6巻より(福田晋一/スクウェア・エニックス)

 

前巻のあとで自分はジャンプブランドの強力なコスプレ青春漫画を読み始めまして、

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先方はこっちの1年あとにWEB連載開始みたいですが、連載ペースが早いので巻数でも追い越し気味。非常にエモーショナルな作りでいたく感動して、「その着せ替え人形は恋をする」に強力なライバル出現だなあ、ネタとかカブるんだろうなあ、とか思ったんですけど、コスプレが漫画作品としてマイナージャンルなだけで、警察漫画とかカブりまくってるし、こうしてこっちの新刊読んでみると、ディティールの違いが持ち味の違いを生んでいて、むしろ読み比べが楽しいです。

 

コスプレする女の子と相方の男の子の高校生コンビの未満恋愛ラブコメ、着替えシーンやコスプレ衣装の微エロ要素、多くの登場人物がコスプレ趣味を変人扱いされて悩んでいたりと、共通点も多いんですけど、

読者の見えないところでヒロインが衣装作っちゃう「2.5次元」と、主人公男子があれこれ工夫して衣装作りを見せる「着せ替え人形」、

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「その着せ替え人形は恋をする」6巻より(福田晋一/スクウェア・エニックス)

男子がプロデュース&撮影特化の「2.5次元」と、ウィッグや小道具まで製作・ディレクションする「着せ替え人形」、

ヒロインが固定キャラ縛りコスプレの「2.5次元」と、エピソードの度に姿が変わる「着せ替え人形」、

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全員、同一人物です

男性向け美少女絵が描かれる「2.5次元」と、少女漫画絵の「着せ替え人形」、

と対比してみると面白いですね。

少年漫画らしい「コスプレイヤーの熱い生き様!」な「2.5次元」のパンチ力に対して、

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「その着せ替え人形は恋をする」6巻より(福田晋一/スクウェア・エニックス)

実際の「作る」「メイクする」「着る」のテクニックや「あるある」に宿る、コスプレの細かい楽しみの表現は「着せ替え人形」が繊細な感じ。

 

どちらも共通して、周囲の偏見やコンプレックスに悩みながらもキラキラ楽しそうに「好き」を貫く主人公たち、読んでて眩しすぎておっさんもう目が潰れそう。

共存共栄しつつ「コスプレ青春漫画」を盛り上げてくれると良いですね。どちらも楽しい作品なので、両方読みます。

 

 

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#紛争でしたら八田まで 1巻 評論(ネタバレ注意)

表紙のメガネ美女、「地政学リスクコンサルタント」の八田百合は、イギリス・バーミンガムでの休暇中、仕事の依頼の連絡を受ける。次の仕事はミャンマーの日本企業の工場での紛争の解決。

1週間でミャンマー語をマスターした八田はロンドン・ヒースロー空港から現地に飛び、今回のクライアントである日本企業の社長から状況をヒアリングする。そこには書類や日本人の感覚からは窺い知れない、構造的で複雑な利害関係があった。

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「紛争でしたら八田まで」1巻より(田素弘/講談社)

クライアントの依頼を受けて世界を股にかけて紛争を渡り歩き、地政学の知識と思考と調査能力と護身術で解決していく、「紛争解決コンサルタント」漫画。

既刊3巻まで出てますが、とりあえず1巻だけ。

ぼっちでメガネで日系で手ぶらのココ・へクマティアル、という感じ。確か某・西尾維新作品のヒロインが最終的にこういう感じのカリスマ紛争解決屋みたいになるんでしたっけ。

下品な方の出羽守っぽいというか、ちょっと「ブラック・ラグーン」みたいな洋画吹き替えワールドな感じ。放送禁止用語多いなあコレ。何回ビ○チ言われんねんw

紛争解決の道筋が、ミステリーというよりはコンサルタントのケーススタディの設問を解いてるみたいな感じはあります。どういう経歴の作者が書いてんだろコレ。

1巻前半でミャンマー労働紛争を解決したら、次は東アフリカのタンザニアに飛んで魔女狩り事件、の途中で次巻に続く。

美女!メガネ!インテリ!ハードボイルド!ワールドワイド!なかっけーお仕事もの。

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「紛争でしたら八田まで」1巻より(田素弘/講談社)

物馴れたというか、士郎正宗っぽい頭の良いワイルドみ。

地政学って自分あんま疎いんでアレなんですけど、そっちの分野の興味を持つきっかけ作りになりそうな。かっけーことは良いことだ。

 

紛争でしたら八田まで(1) (モーニングコミックス)

紛争でしたら八田まで(1) (モーニングコミックス)

  • 作者:田素弘
  • 発売日: 2020/03/23
  • メディア: Kindle版

 

(選書参考)

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