AQM

あ、今日読んだ漫画

#ファイブスター物語 16巻 評論(ネタバレ注意) #fss_jp

お久しぶりです。

いつぞやは、15巻の評論と題したタイトル詐欺みたいな長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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連載20ヶ月分(設定資料集回を含む)を収録した、22ヶ月ぶりの新刊、16巻でございます。

 

今年の7月に大阪から九州某県に転勤で引っ越しまして、書籍類を発売日にタイムリーに入手することに難儀しております。

本日10/8は16巻の公称発売日ですが、商品登録された初日に予約した16巻の入手に関してはこのていたらく。

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とはいえ、連載追っかけ組なので単行本のおおよその内容は既に知っていて、あと地域差の影響を受けない電子書籍購入予定の他作品に関する記事の予定で明日も明後日も明明後日もスケジュールも詰まっているので、本ブログ初、まだ入手していない単行本を評論いたしたいと思います。

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乗りたい!このビッグウェーブに!

 

とはいえ、内容の話・評論というよりは考察や展開予想にあたるかと思いますが、連載当時に毎月逐次ブログ書いてしまっていて、もう一度書く気力が湧きません。例によってこの記事の末尾に連載時の評論記事へのリンクを並べて貼っておきますので、興味があったらクリックしてみてください。

単行本の独自要素については入手次第、書きたいことがあったら追記したいと思います。

 

ということで、今回もFSSにまつわる世間話。

前回少々絶賛しすぎたので、バランスを取って今回はFSSとそのファンの悪口を書きましょうか。

 

FSSを自分より若い知人にオススメできるか

私にはできませんでした。

 

Discordの、必ずしもオタクばかりとも限らないチャンネルに参加して、たまにボイチャで雑談などしているんですが、私以外にもFSS古参ファンが2人います。

仮にA2さんとA3さんとしましょうか。A3さんは奥様もFSS読者とのことで、うちのブログのFSSに関する記事も読んでいただいているんだそうで、面映い限りです。イェーイ、奥様、見てる〜?

そんで、何の話をしていても3人揃うと雑談しているうちに話題がFSSに及びがちです。

周囲は「まーたFSSの話してるよw」と苦笑、という雰囲気ですが、煙たがられるというよりは

「言ってる中身は全然わからんけど、いい歳したおっさんたちが漫画の話で盛り上がってはしゃいでて面白い」

と言っていただいているので、社交辞令を厚かましく額面どおりに受け取って、割りと無遠慮にFSSの話をしています。

 

で、聴いていた人から訊かれるわけです。

「FSSって私が今から読んでも楽しめますか?」

 

私も、A2さんも、A3さんも、FSS古参ファンの反応は

「・・・」

というものでした。

 

唐突な自分語り

当時、自分は田舎の小学生で、学校から帰ってアニメの再放送を見ているような、特にオタクとまでは言えない、どこにでもいるような子どもでした。

好きな漫画は「キン肉マン」と「キャプテン翼」でした。

ガンダムは当時のガキの一般教養として普通に知っていましたが、所属していた少年サッカーチームの練習で忙しかったこともあって、「エルガイム」も「Zガンダム」もリアルタイムで追いかけていませんでした。

が、再放送で「Zガンダム」とガンダム世界観にどっぷりハマり、そんな折り、本屋さんで「逆襲のシャア」の公開を控えてネオジオン総帥姿のシャア(美樹本晴彦の筆)を表紙にした「アニメージュ」を見かけて、初めてアニメ雑誌を買いました。

いま思えば、あれが自分の人生がオタク方面に転んだ分水嶺でした。

そこからは坂を転がるように「アニメディア」「OUT」「アニパロコミックス」と手を拡げ、当然「ニュータイプ」にも手を出し、そこで「FSS」にも出会います。初めて見たのは、2巻のコーラス-ハグーダ戦のエピソードで、確かクローソーがエルメラ王妃にファティマの未来を予言している回でした。

想像してみてください、「キン肉マン」や「キャプテン翼」が好きな子どもが、クローソーの意味不明な独り言の漫画に出会った時の気持ちを。

なんて理解不能で、不親切で、わかりづらい漫画なんだろう!絵もマニアックっぽくて上手いんだか下手なんだかよくわからんぞコレ!黒髪の女の子(クローソー)の服の肩のパーツが吉川晃司の肩パッドよりデカいぞ!

好奇心旺盛な子ども時代、意味がわからないものの意味がわかりたい欲求は強く、学校の図書館司書の先生に「フランス語の辞書はありますか?」と尋ねて困惑させたりしました。「ないけど何に使うの?」と尋ねられたので「読んでる漫画のセリフ(ラキシスとモラードのシーン)がフランス語で意味がわからないので」と素直に答えて「こっちこそ意味がわからない」みたいな顔をされたので、次の休日にフランス語の辞書を求めて市立図書館に行きました。今はネットで翻訳できて便利ですね。

「FSS」とはそれ以来、30年以上の付き合いになります。

 

FSSを他人にオススメできない理由

時制を現在に戻して、FSSをDiscordのお友達にオススメできなかった理由について。

どうしてオススメできなかったのか、少し考えて言語化してみましょう。

 

金銭的・時間的なコストのハードルが高い

単純に単行本の価格が高く、もし買って読んで「not for me」となったときのダメージが大きすぎます。副読本が多いのもネックです。

また、完結までに数十年単位の時間がかかり、一生の付き合いになるある種の覚悟のようなものが必要です。

ネットの向こうの有象無象ども(失礼)にアフィ踏ませるのはなんとも思いません(失礼)が、既に人間関係を築いた相手にオススメするには、リスクが高すぎます。

似たような理由で、巻数の非常に多い「ワンピース」や「バキ」なども安易に他人に勧められません。

Discordのお友達、という要因も大きいかもしれません。学校や職場のお友達と違って、「貸して試しに読んでみてもらう」ができませんから。

 

面白い漫画は他にもたくさんある

自分もFSS信者なので、「客観的に見てFSSより面白い漫画はいくらでもある」とは言いませんが、よりローコストで、コンスタントで、漫画表現も最新のノウハウにキャッチアップされたモダンで面白い漫画はいくらでもあります。

「ハコヅメ」と「かぐや様」、読んでますか。連載の今週木曜の最新話、どっちもすごい展開で、ちょっと震えましたね。

「FSS」は作者が映画・音楽・ファッション・ゲームなど他分野/異業種の影響を受けつつ、漫画家を含む多くのクリエイターやオタク文化に影響を与えてきた作品です。

自分は昔MMO「リネージュ2」のゴースティン鯖にいましたが、「FSS」の登場人物から名前を拝借したプレイヤー、本当に多かったです。お前、名前が「††F.U.ログナー††」のくせにチャットで下ネタ連発すんじゃねえよw キャラ崩壊も甚だしいわw

が、この作者・この作品は、「同業」である他の「漫画」の影響を受けることを極力避けて「独自性と孤高」を保ってきた面があります。奇遇なのか、富野由悠季の「クリエイターは業界の外からインプットするべき」という薫陶とも符号します。

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永野護自身も「ミュージシャン」「アニメーター」「デザイナー」「映画監督」など、多種多様な肩書きを名乗ることを好み、「漫画家」を正面切って名乗ることを避けている節があります。また月刊ニュータイプの編集部も漫画専業ではなく、作品のフレームも80年代に建て付けられた、ホウザイロのように古い作品で、漫画表現のモダンなノウハウがフィードバックされにくい作品です。もはやFSSの個性というか味ですが、この作品のギャグコメディ表現について、読者のみなさんも一度はなにか思ったことがあったんじゃないでしょうか。

「月刊ニュータイプ」という雑誌自体も、セールスの何割かをこの作品の存在に依存している面もあり、今さら週刊少年ジャンプのように「不人気で打ち切り」「他作品に枠を奪われる」という競争原理に基づく危機感も感じられません。普通の漫画は7年休載したら復帰できませんし、読者も待ってくれません。例外は冨樫ぐらいです。

もう少し付け加えると、読者層の新陳代謝も鈍く、固定客化・高齢化・内輪化しています。「花の詩女 ゴティックメード」の上映に行った経験がある方はおわかりかと思いますけど、客層の8割方、中年〜初老です。

この辺は、この作品に限らず、また漫画に限らず、長期にわたって愛されるコンテンツに共通して言えることで、ヅカなんかは親子二代、三代に渡るファンの逸話も珍しくありません。

 

出会い方の問題

「ガンスリンガー・ガール」は「FSS」より後発、かつ既に完結済みの名作ですが、

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「GUNSLINGER GIRL」1巻より(相田裕/KADOKAWA)

ヒロインたちが、長命と短命の別はあるものの「FSS」のファティマと設定上の共通点を多く抱えています。戦闘用の人造人間で人権も制限されていたり、「マスター」に従い守護するようプロダクトとしてあらかじめ洗脳(条件付け、マインドコントロール、ダムゲートコントロール)されていたり。

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15巻の評論記事の際に、Twitterでいただいた反応です。

「一生読むな」とは乱暴でいかがなものかと思いますし、読みたきゃ勝手に読めばいいと思いますが、友人さんの言いたい意図はなんとなくわかる気はします。

簡単にいうとこの作品は「国内屈指の厨二病漫画」です。超高校級です。「最強ランキング」でディスカッションが始まったり喧嘩したりするやつです。

正直、今巻も作品内ではもんのすごいことが起こってるんですけど、外から見たらコップの中の嵐というかね、「そんなもんただの作者の匙加減じゃん」ともいえる展開です。

わからんのよ、俺。

自分が厨二病全開の頃にこの作品に出会ってしまったし、語り合う相手も同年代で似たような出会い方をした奴ばっかりなんで。

厨二病だったあの頃に還してくれる作品ですごい好きなんですけどさ、いい大人になってから「FSS初対面」って、どう思うんだろ。キツくね?

わからんのよ、俺。

インプリンティングというか条件付けというかダムゲートコントロールみたいなもんで客観的な評価なんか無理なのよ。「私にもどこまでが自分の感情だかわからない」のよ。

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「ファイブスター物語 リブート」6巻より(永野護/KADOKAWA)

拙者もわかるでござるぞ…アイシャ殿…少年…

有名なシーンで、ヨーンに対して同病相憐れむアイシャのセリフですけど、同時に他者に対して「私たちの気持ちはわかるまい」という孤独や断絶、拒絶も含意されていると思うんですよね。

他人はいつも冷たく、こともなげに、まるでスカ閣下のように言い放ちます。

「エストは静にもティータにも勝てないではないか」

「光皇に懸想して王族としての人生を棒に振るなど馬鹿げておる」

「そんなに面白いのなら『●●』ぐらい売れてないのはおかしいではないか」

「それは本当に『この世で最高のもの』か?」

友人の口から聞きたくない言葉です。

 

自分にとってのFSSは、理解するために市立図書館でフランス語の辞書と単語一つ一つと格闘したような思い出が一冊ごと、ページごと、コマごと、セリフごとにミルフィーユのように薄くぶ厚く積み重なって地層のようになっていて、

例えば「3日間でFSS全巻読破しました!」とか言われると、仲間が増えて嬉しい反面、たぶん「次は30日間、その次は3ヶ月かけてもう一度、二度、三度読もう!きっと新しい発見が(以下略」とか思っちゃうのよ。

俺の30年をそんな簡単に理解されたくないのよ。

いや、わかってんのよ。「たった15〜16冊の漫画を理解するのに30年は要らないだろ、大袈裟な」ってのは。ジャンルを衰退させるやっかいな自称古参のくだらない自意識だというのは。

 

出会い方について、「人生において出会った時期」と、もう一つあって、人間はどうしても「自分で見つけたもの」の価値を高く見積もる(ハードルを下げる)心理的な作用があって、反対に「他人に薦められたもの」のハードルを上げる作用があります。

俺が薦めたことで、無駄にハードルが上がって、この作品が正しく評価されないんじゃないかと不安を感じてしまって、

「できれば俺の関知しないところで勝手にFSS読んでハマって欲しい」

と思ってしまうんですよね。

 

「選民意識」「駄サイクル」スレスレを走るFSS読者

上で少しファン層の固定化・高齢化・内輪化について触れ、また自称古参の自意識についても触れましたが、

孤高を保つ作者と「私にはわかる」と思ってる読者の悪魔合体でファンのコミュニティがどうなるかというと、「選民意識」「駄サイクル」スレスレの自意識の肥大です。

「駄サイクル」については石黒正数の「ネムルバカ」がおそらく元祖でかつ詳しいので、機会があったら読んでみてください。

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「ネムルバカ」より(石黒正数/徳間書店)
ネムルバカ (RYU COMICS)

ネムルバカ (RYU COMICS)

  • 作者:石黒正数
  • 徳間書店(リュウ・コミックス)
Amazon

作者がまあロックンローラーらしく少しの虚勢も含めて「俺様すげえ!かっけえ!」の自画自賛を隠しもしない性格で、また読者が作者のモチベ下げてまた休載されたら困るからって

「さすが永野!そこに痺れる憧れる!」

って絶賛するもんだから、傍目から見たらちょっと宗教じみてて気持ち悪いと思うんですよね。富野由悠季が角川を「永野をチヤホヤしすぎるな!」と怒るのも、そういうところなんじゃないかと思います。

自分も「信者」名乗っちゃうし、「簡単に理解されたくない」とか言い出すし、なにかこう「FSS読者であること」「古参ファンであること」にアイデンティティを過剰に持ってしまっているというか。

サンクコストとしてこの作品に投じた金銭も時間も労力も膨大なので、この作品が面白くないと困るし、もう今さら引っ込みつかないんですわ?

パンピーには理解されないこの最高の作品についていって理解できるオレ最高なんだが?君の瞳に映った俺に乾杯なんだが?

あ?なにマウント取ろうとしてんの?俺の方がFSSくわしいんだが?

お前「瞳の中のファーラウェイ」を歌詞を見ずにフルで歌えるわけ?

瞳の中のファーラウェイ

瞳の中のファーラウェイ

  • 長山洋子
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

選民意識的な要素も駄サイクル的な要素も、熱狂的なファンが支えるコンテンツではよくある話で、自分から見たFSSファンコミュニティはあまり他者・他作品を傷つけたり内ゲバ始めたりせず、カルト化せずに健全というか許容範囲かなと思います。ファンもさすが伊達に年くってないというか。

が、そうした自分の気持ち悪い自意識が見透かされそうで、未読の人にオススメするのはなかなか気が進みません。

この作品に対する自分の心象ってもう、良くも悪くもオタク心理の煮凝りみたいなもので、無防備にオタク丸出しになってしまうんですよね。

すっごい早口で訊かれもしない解説始めるからね、俺。

 

本当に好きな作品を否定されるのが怖い

いろいろ言い訳しましたけど、要するに、自分にとって付き合いの長い本当に大切な作品なので、他人にオススメして、作品と自分の感性がセットで拒絶されるのがとても怖いです。

特に自分より年若く感性も若い人に

「あなたが好きなFSSを読んでみたけど全然面白くなかったです」

って言われたらと思うと、とても臆病になります。

 

なので、この記事を読みにきた人の9割以上はどうせFSSの既存ファンのおじさんおばさんだと思うんですけど、残り1割未満のFSSを読んでみようか迷ってる皆さん、あとDiscordのMさん、自分はオススメしませんので、どうか読みたかったら自分で勝手に読んでください。

そして読んでみて面白くなくても、ウチに「面白くなかった」「昔読んでたけど挫折した」などとコメントしにこないでください。コメントしたらどうなるかというと、たぶん心理的な防衛本能の働きによって私があなたをとても嫌いになります。

あと読まずに批判する人は30年ROMっててください。

 

もし「その火を飛び越して」初めてFSSを読んでみたけど面白かったという人がいたら、いつかネットのどこかで一緒にFSSの話で盛り上がりたいもんですね。

 

アンチじゃないです

FSSの悪口というか、他人にオススメできない理由をたくさん挙げて、「ただのアンチやんけコイツ」と思われたままお帰りいただくとアレなので、念のため作者・永野護の名言を引用しておきます。

天照に対峙するアイシャのように、愛憎はしばしば表裏一体です。

僕は富野さんをボロクソに言うけど、でも富野さんをバカにする奴がいたら、僕はマジギレしますよ。

(「ファイブスター物語アウトライン」 富野由悠季と永野護の対談より)

ファイブスター物語アウトライン―永野護
ファイブスター物語アウトライン―永野護
  • 作者:永野 護
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2001/12
  • メディア: 大型本

 

16巻について

(単行本を入手次第追記予定)

 

16巻収録話の連載時の感想記事リンク

この16巻の続き、17巻相当のお話も絶賛連載継続中なので、お前らもニュータイプ毎月買えよ。

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口絵・巻末の設定画

(単行本を入手次第追記予定)

 

連載時との差分

(単行本を入手次第追記予定)

 

 

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