#AQM

I oppose and protest the Russian invasion of Ukraine.

#葬送のフリーレン 5巻 評論(ネタバレ注意)

80年前、魔王を打ち倒し平和をもたらした伝説のパーティ。

勇者ヒンメル。戦士アイゼン。僧侶ハイター。魔法使いフリーレン。

王都に凱旋した彼らには、世界を救った功績に対する歓待と、その後の長く平和な人生が待っていた。

80年が経ち、勇者も僧侶も寿命で世を去り、戦士のドワーフも老いた中、長命種エルフの魔法使いフリーレンだけがひとり変わることなく魔法を求めて彷徨いながら、かつての仲間の死と追憶に触れていく異色のファンタジーもの。

ヒロインからしたら一瞬にすぎない間しか同じ時間を過ごせない、エルフと人間の寿命と時間感覚のギャップの哀愁を淡々と。

突然現れて各所で評判で、少年サンデーのエースの座に居座った感がありますね。

北への通行のために急遽、一級魔法使いの資格が必要となったフリーレン一行は、試験に参加。

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「葬送のフリーレン」5巻より(山田鐘人/アベツカサ)

一次試験の内容は、結界に閉鎖された地でシンボルアイテム巡る争奪戦を3人1組のチームで制すること。

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「葬送のフリーレン」5巻より(山田鐘人/アベツカサ)

と、今巻は追憶話は一旦置いといて、過去回想もどちらかというと過去の因縁話に近く、やってることは完全にハンター試験(チーム戦)です。

シチュエーションバトルとでもいうか、こういうのはまあ、面白いに決まってるというか。

ヒソカ役というか、過去の試験で試験官を殺害した受験生も参加。

受験生の死も厭わない試験なので、まあ試験官の側も受験生に殺されても文句も言えないというか、だからこそ今回も試験に参加できてるんでしょうし、そういうところもハンター試験に似てんね、と思います。

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「葬送のフリーレン」5巻より(山田鐘人/アベツカサ)

バトル回ながら、この作品はバトル回の方がむしろ淡々と静かに進行する傾向がありますね。そんな中、試験の大前提をぶっ壊しにかかるフリーレンの俺TUEEEE展開。

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「葬送のフリーレン」5巻より(山田鐘人/アベツカサ)

これまでの中では比較的異質なエピソードですけど、相変わらず淡々と、バトル回ほど静かに、そしてコメディシーンに至っては投げやりにすら見える淡々さで、おかしな漫画だなあコレw

次巻も引き続きハンターじゃなかった一級魔法使い試験編とのことで、北の目的の地にたどり着くのはけっこう先になりそうね。

 

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#よふかしのうた 8巻 評論(ネタバレ注意)

少年・夜守コウ(14)はふとしたきっかけで「上手くやれていた中学生活」が嫌になり不登校に。ある夜、夜の散歩で街を放浪していると「夜と不眠」に一家言持つ謎の美少女・ナズナに声をかけられ、血を吸われる。彼女は吸血鬼だった。

夜に生きる眷属になりたいと願っても吸血鬼化しないコウ。彼女が照れながら語る「吸血鬼になれる条件」は「吸血鬼に恋して血を吸われること」だった。

「だがしかし」作者の吸血鬼ファンタジーな青春ラブコメ。作品全体を通じてアンニュイとそのアンニュイからの解放が夜を舞台に描かれる。

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「よふかしのうた」8巻より(コトヤマ/小学館)

過去がアレだったナズナの自分探しの過去探訪に出かけた2人。ナズナの曖昧な記憶を頼りに訪れた夜の高校では、吸血鬼・ニコが定時制の授業の教壇に立っていた。ニコの計らいで定時制の授業に飛び入り参加した2人は、ナズナの過去に触れていく。

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「よふかしのうた」8巻より(コトヤマ/小学館)

それはナズナの初めての眷属に成り損なった少女のお話だった…

あと、

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「よふかしのうた」8巻より(コトヤマ/小学館)

なんかコウくんに1日に2回、彼女ができた…

という今巻。

他の吸血美女たちに続いて「ニコ編」なのかなと思ったんですが、舞台は確かにニコのホームですけど、話の中心は表紙の少女、10年前にナズナの眷属になり損なった目代キョウコ。彼女を巡る過去エピソード。

ナズナが語る「終わっちゃった」物語とは。

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「よふかしのうた」8巻より(コトヤマ/小学館)

今巻でエピソード完結しないため、回想シーンのキョウコの行く末は不明なままですけど、彼女を巡る状況は不穏極まりなく、一体何が起こって彼女は姿を消したのか、吸血鬼がどう関与したのか、それがナズナにどんな影響を与えたのかは次巻を待たないといけません。

というか、キョウコが変装するシーン、あまりにも「あるキャラ」を彷彿とさせるんですけど、同一人物だったりするんですか?

とても読み応えのある巻ですけど、☆5をつけるにはまだ早いというか、次巻にとっておきましょう。

ちょっと続きが気になりすぎて「絶チル」が完結して話題のサンデー本誌の購読をするか悩むレベル。

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「よふかしのうた」8巻より(コトヤマ/小学館)

学校が舞台なせいか、いつにも増して「夜」が強調されている気がします。

あと、ナズナ〜キョウコのラインのエピソードにおいて新キャラ・リラがあまりにも浮いてるんですけど、彼女に与えられる役割は一体何なんだろうね。

気になることだらけだわー。
 

 

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#男子高校生を養いたいお姉さんの話 10巻 評論(ネタバレ注意)

親が蒸発、借金とともに残された可愛い顔の男子高校生・実が、マンションの隣の部屋の氏名不詳・職業不詳のクレイジーサイコ巨乳美人のお姉さんに養われる話。実が好きすぎて少し頭がおかしいのが7割とどこからか無尽蔵に金が出てくるのが2割以外は基本的に天然おっとりお姉さんなので微笑ましく読める癒し系。

短く読みやすくくだらなく楽しく毎回4ページをハイテンションな全力疾走で駆け抜けて黄金のワンパターンをゴリ押ししてくる日常バカコメ。

作りとしては昭和テイストのドタバタ系のボケに対して平成・令和のツッコミが入る面白さ、と言う感じです。

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「男子高校生を養いたいお姉さんの話」10巻より(英貴/講談社)

お、珍しく喧嘩しとる。

と思ったけど、

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「男子高校生を養いたいお姉さんの話」10巻より(英貴/講談社)

別に喧嘩じゃなかったわ。

特に近刊が面白くなかったわけではないんですけど、作品としてはマンネリを避けられない建て付けなのでどうしてもアレだったんですけど、今回はいろいろヤケクソ気味でなんとなく1巻の頃を思い出す感じでした。

思えば1巻の頃からある意味ヤケクソな漫画ではあったんですけどw

コメディの持ち味として「狂気と勢い」な作品だと思うので、狂気度というか作者の吹っ切れっぷりに比例して面白くなるみたいなとこはありますよね。

同じ作品で2回も3回も人工呼吸ネタをやるんじゃねえよwww

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「男子高校生を養いたいお姉さんの話」10巻より(英貴/講談社)

 

1回4ページのマンネリ漫画が10巻突破ってすごいなあ。

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「男子高校生を養いたいお姉さんの話」10巻より(英貴/講談社)

いいなあ、この狂気じみたリアクションにピタッとハマるツッコミ。「0円」じゃねえよwww

好きだなあコレ。

 

 

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#2.5次元の誘惑 10巻 評論(ネタバレ注意)

先輩たちが卒業し、高校の一人漫画研究部として日々部室で二次オタ活動に勤しむ奥村(高2♂)。

学校が新入生を迎えたある日、漫画研究部のドアを叩く一人の新入生がいた。奥村と同じく古の名作「アシュフォード戦記」「リリエル外伝」とそのヒロイン「リリエル」をこよなく愛する彼女・天乃リリサは、キャラ愛が高じて高校生になったらコスプレイヤーになることを夢見ていた。

で始まるコスプレ青春もの。

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「2.5次元の誘惑」10巻より(橋本悠/集英社)

今巻は文化祭で漫研と生徒会の合同のコスプレ喫茶編。


先日、「古畑任三郎」の全話入りBDボックスを入手しまして、

1期の1話から順次観ていっています。木の実ナナの泣きの演技すごいね。

自分は特に、古畑に秘密を暴かれ観念したあとに犯人が古畑と交わす短い本音トークのシーンが一番好きです。

「論理的でないなら、自首した方がマシだ」

「だったら、レクイエムを弾けばよかった」

罪を暴かれてなお、殺人そのものは後悔していない犯人のパーソナリティの本質や狂気が仄みえて、静かながらドラマティックだなあ、と。

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「2.5次元の誘惑」10巻より(橋本悠/集英社)

実は、というほどのことでもなく、観てたら誰でも思うことですが「古畑任三郎」は毎回同じことの繰り返しです。

冒頭で殺人が行われ、警察が呼ばれ古畑が現れ、犯人と会話の駆け引きをし、視聴者に「おわかりですか?」と語りかけ、犯人の秘密を暴き本音を語らせ、エンディングテーマと共に去っていく、定型のフォーマットの繰り返しです。

それでも飽きられなかったのは、三谷幸喜の瀟洒な脚本、変わる設定と舞台と動機とトリックで変化がつけられていたこともさることながら、ひとえに毎回の犯人役を務める大物俳優たちによって作品のテイストに大きな変化がつけられたことに尽きると思います。

役者が変わるだけで似たような話を何度でも楽しめる、というのは、作劇上面白い手法だな、と思います。視聴者・読者を驚かせるために新展開に頭を悩ませる数多くの作家たちの苦労は一体なんなんでしょうか。


実は「2.5次元の誘惑」も似たような話の繰り返しで、「古畑」の「殺人と推理」の代わりに、「抑圧からのコスプレによる解放と成長」が、役者ならぬキャラを替えて何度も繰り返されます。

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「2.5次元の誘惑」10巻より(橋本悠/集英社)

今回の役者は優等生の生徒会副会長です。

両親や教師、友人たちの前で良い子を演じる彼女は、コスプレによって自らを縛る抑圧を解放し、有り体に言うとカミングアウトをして、窮屈で後ろめたい感情から脱却し、少しだけより自由になります。

この漫画はスポットが当たるキャラを替えながら一貫してそれを繰り返し続けています。

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「2.5次元の誘惑」10巻より(橋本悠/集英社)

繰り返されること自体が作品の面白さを損なうことは実はないように思うんですが、「古畑任三郎」の面白さがその回のゲスト犯人役の大物俳優を自分が好きか嫌いかで左右されるように、スポットが当たるキャラによって面白さがブレるところがまた少し似ているな、と思います。


ちなみに「古畑任三郎」は数多くの殺人者を生み出しながら、古畑自身は(確か)ついに殺人を犯さずに終了しましたが、「2.5次元」でも自身のコスプレにハマらない人物が主人公として配置されています。

抑圧を抱えながらコスプレに頼れない彼が、終盤でいかに自分を解放して作品を締め括るのか、今から楽しみです。

 

あと全然話変わりますけど、

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「2.5次元の誘惑」10巻より(橋本悠/集英社)

今巻もののぴが可愛かったです。

 

 

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FSS (NT2021年8月号 第17巻相当) 評論(ネタバレ注意)

ファイブスター物語、連続掲載継続中。

「第6話 時の詩女 アクト4-4 カーマントーの灯火 Both 3064」。

扉絵コミで11ページ。

  

他の号はこちらから。

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  • (余談)
  • (扉絵)
  • (本編)
  • (所感)
    • 3064年
    • デザインズ
    • アンジュ
    • ホルレ
    • 集会
    • GTMアトラ&ノイス・グリオノフ
    • セントリー
    • 進捗

以下、宣伝と余談のあとにネタバレ情報を含んで論評しますので閲覧ご注意。

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#可愛いだけじゃない式守さん 9巻 評論(ネタバレ注意)

不幸体質でよく物が落ちてきたり飛んできたり車に轢かれそうになる和泉くんと、成績優秀・運動神経抜群の守ってあげる系で和泉くんのSPを自認する可憐な美少女・式守さんの清く正しく初々しい男女交際ラブコメ。日常よりです。

和泉くんに物が飛んでくる→式守さんが間一髪で守る→式守さん男前なキメ顔→カッコいい

という漫画。なんだこれ。

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「可愛いだけじゃない式守さん」9巻より(真木蛍五/講談社)

今巻は丸ごと修学旅行編。

相変わらず式守さんのイケメンっぷりと赤面っぷりのギャップが眼福です。

修学旅行の班に、いつものメンバー5人に、新キャラ?の人見知りで引っ込み思案でテンパリ屋の猿荻くん。

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「可愛いだけじゃない式守さん」9巻より(真木蛍五/講談社)

言うても9巻ですし、「不幸体質少年とイケメン彼女」のさわやか善人カップルラブコメ一辺倒だとワンパターンで飽きちゃう、ってのもあって、長期連載化を見据えてるのか2人をより深掘りするよりも友人キャラを増やしていって青春群像劇に向かっていくのを選んでる感じはあります。

正直、読んでる方は式守さんのギャップ萌えの一点目当てで読んでるところはあるので、

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「可愛いだけじゃない式守さん」9巻より(真木蛍五/講談社)

主役2人の出番を削ってまでキャラを増やして青春群像劇化するのが、吉と出るやら凶と出るやら。今のところ猿荻くんよりはワンパターンでも式守さんをもっと見たい、ってのはあります。

ワンイシューで始まったラブコメが、キャラを増やして青春もの化すること自体はよくあって成功例も多いので、猿荻くんも今後に期待。

それにしても、この作品は特にそういう面が強いですけど、ラブコメに限らず最近「どっちがヒロインなのやらw」という、

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「可愛いだけじゃない式守さん」9巻より(真木蛍五/講談社)

かわいい系の男の子が主人公の作品が増えつつある気がしますねw

 

 

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#メイドの岸さん 4巻 評論(ネタバレ注意)

早瀬貴一郎(25)は若くして日本有数の企業グループを束ねる財閥の次期当主として辣腕を振るい、政財界でも一目置かれるリーダーだったが、

生活面では病的にドジで生活能力のないポンコツ人間だった。

そんな彼を支えるのは専属メイドの岸さん。

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「メイドの岸さん」4巻より(柏木香乃/講談社)

岸さんはとても有能だったが「っス」口調でクールで無表情で無口で無愛想だった。

岸さん無しでは生きていけない貴一郎はあの手この手で岸さんの歓心を買おうとするが、岸さんはあくまでビジネスライクでクールなのだった…

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「メイドの岸さん」4巻より(柏木香乃/講談社)

という坊ちゃん&メイドさんの日常ラブコメ。

今巻は初めてのファミレスデート、出張が重なった秘書の代理役オーディション、出張先で岸さんのバレンタイン、貴一郎のホワイトデー、岸さんに迫る引き抜きの魔の手、などなど。

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「メイドの岸さん」4巻より(柏木香乃/講談社)

ラブコメっぽいイベントをこなす巻で、まあやってることはありふれてるラブコメなんですけど、無口・無表情・無愛想と三拍子そろった岸さんの…これツンデレ? クーデレ? なにデレなんだコレ? を愛でる漫画。

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「メイドの岸さん」4巻より(柏木香乃/講談社)

ヒロインが無口・無表情・無愛想な分、感情表現に今どき珍しいぐらいお花を背負いますよねw 背負った花と無表情のギャップがまたw

デレても可愛いんですけど、岸さんの塩対応シーン好きなのでもっと喜一郎に塩対応してやってほしい。

 

 

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#僕の心のヤバイやつ 5巻 評論(ネタバレ注意)

「みつどもえ」の作者の現作。

ラブコメ漫画は数あれど、WEB連載で既読にも関わらず新刊が一番楽しみな作品。ちなみにこの記事の下の方に貼ったリンク(WEB連載)から5巻の続きが読めます。

主人公は、雑誌の専属モデルもこなす陽キャ美少女・山田を殺す妄想をする、中二病で陰キャでぼっちな男子中学生。

図書館で偶然見かけた彼女は、一人でおにぎりを頬張りながらゴリラのような鼻歌を歌う、意外と割と残念な感じだった…

コメディの皮をかぶせた、エロで独りよがりで優しい中学生の、初恋の繊細な機微の描写。

 

「♪テケテーン」知ってますか「♪テケテーン」。

youtu.be

昔TVドラマが「トレンディドラマ」と呼ばれていた時代の終わりに「東京ラブストーリー」というドラマがあったんですが、毎話、クライマックスに萌えポイント(当時はそれを「萌え」とは言いませんでしたが)が用意されていて、そこに主題歌をイントロから被せる、という演出が多用されて、そのイントロが「♪テケテーン」から始まるんですけど、あまりに多用されたので視聴者は「♪テケテーン」を聴いただけでパブロフの犬よろしく条件反射で自動的に萌えてしまうという、恐ろしい演出でした。

「僕やば」なんですけど、読者がストレスを引っ張らないように小さな「雨降って地固まる」を繰り返す工夫とかいろいろあるんですけど、要するに「♪テケテーン」だな、と最近思うようになりました。

 

いくつか試してみましょう。

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「僕の心のヤバイやつ」5巻より(桜井のりお/秋田書店)
ラブ・ストーリーは突然に

ラブ・ストーリーは突然に

  • 小田 和正
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

ね?

 

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「僕の心のヤバイやつ」5巻より(桜井のりお/秋田書店)
ラブ・ストーリーは突然に

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ね?

 

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「僕の心のヤバイやつ」5巻より(桜井のりお/秋田書店)
ラブ・ストーリーは突然に

ラブ・ストーリーは突然に

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な?

 

最近はもうアレですね。市川も山田も相手のこと好きすぎる両想いなのに友達以上恋人未満を引っ張ってだいぶ読者も焦れてきて、作者もそれはわかっていて作中に読者代表みたいな人が、

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「僕の心のヤバイやつ」5巻より(桜井のりお/秋田書店)

チラホラとw

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「僕の心のヤバイやつ」5巻より(桜井のりお/秋田書店)

早くくっついて欲しいような、永遠に恋人未満を見ていたいような、読んでる方もなかなかジレンマですね。

 

自分は最近は萌子がとてもお気に入りです。

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「僕の心のヤバイやつ」5巻より(桜井のりお/秋田書店)

萌子単体でもずいぶん可愛く描かれるようになったなと思うんですけど、山田と両想いの市川と、さりげなくサポートする萌子の関係性、いいですよね。

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「僕の心のヤバイやつ」5巻より(桜井のりお/秋田書店)

萌子の出番もっともっと増えろ!

にゃあもばやしこも、最初はMOBトリオでしたけど、今巻はそれぞれらしく魅力を発揮して、いいなあこいつら、ずっと眺めていたいなあ。

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「僕の心のヤバイやつ」5巻より(桜井のりお/秋田書店)

 

それにしても少年誌のラブコメ漫画で一番の萌え要素が男主人公ってどうなんですかね。

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「僕の心のヤバイやつ」5巻より(桜井のりお/秋田書店)
ラブ・ストーリーは突然に

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な?

 

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mangacross.jp

#転生したらスライムだった件 18巻 評論(ネタバレ注意)

サラリーマン(37)が刺されて死んで異世界に転生したらスライムだったけど、付与された特殊能力で強力な魔物スキルをガンガン吸収してスライムにして最強、人型にも顕現可能に。

リムルを名乗り、多くの魔物を配下にジュラの森の盟主となり「魔国連邦」を建国。襲来した人類国家ファムルス王国軍2万の兵を撃退してリムルは魔王に覚醒。暗躍する魔王クレイマンとの対決姿勢を強める。

リムルの魔王成りに風雲急を告げ、10人の魔王による会議・ワルプルギスが開催され、新顔魔王のゲストとして招かれたリムル。冷戦状態の黒幕・魔王クレイマンと直接対峙。

一方、魔王が治める各地ではリムル陣営vsクレイマン陣営との闘争が激化していた。

ということで、配下の将軍クラス同士のバトル回+親玉同士の会議回。

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「転生したらスライムだった件」18巻より(川上泰樹/伏瀬/講談社)

普段は内政・治世にページが割かれ、たまのバトルはリムルが無双して終わり、が多い作品ですけど、今巻は手下の四天王的な十六翼将的な部下たちのかっちょいい戦闘シーンをたっぷりと。

スピンオフの「転スラ日記」の作画の方が整っていて、本編コミカライズは割りと荒削りな作画よな、と思ってたんですけど、すわ戦闘シーンとなると映える作画ですね。小説原作作品のコミカライズ作画の腕の見せどころと言う感じで、どの戦闘もかっこいい。

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「転生したらスライムだった件」18巻より(川上泰樹/伏瀬/講談社)

というか普段の日常回のコメディ要員と化していた部下の面々、お前らこんなに強かったのかよw 全員、準魔王クラスじゃねえかw

対照的にワルプルギス(魔王会議)ではリムルとクレイマンが「逆転裁判」よろしく丁々発止の舌戦…かと思いきや、法廷対決に持ち込みたいクレイマンの思惑をリムルが早々に蹴っ飛ばし、こちらも会議場を舞台にしたバトル展開にwww 会議回とはwww

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「転生したらスライムだった件」18巻より(川上泰樹/伏瀬/講談社)

という感じはありつつも、暴力で世界を統べる魔王が集まって話し合いってやっぱちゃんちゃらおかしいので、「ムカつくからぶっ殺す」で良いと思うんですよね、魔王は。なにより痛快ですし。

クレイマンの卑小な小物っぷりもやられ役として良い味だしてるわ。

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「転生したらスライムだった件」18巻より(川上泰樹/伏瀬/講談社)

こんだけ主人公と部下たちが強くてかっこよく、唯一といっていい黒幕・悪役のクレイマンを圧倒してしまうと、先々で一体誰と戦うんですかという気はせんでもない。

そんぐらい主人公陣営が強くてかっこいい巻でした。

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「転生したらスライムだった件」18巻より(川上泰樹/伏瀬/講談社)

で、最強候補の一人のお前は何やってんだよw

 

 

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#かげきしょうじょ!! 11巻 評論(ネタバレ注意)

AKB的なグループで総選挙13位ながら握手会でファンに「キモチワルイ」つって炎上、追放されるように卒業した元アイドル、無表情クールで人嫌いの愛。

すみれの花咲く頃、宝塚的な歌劇団に付属する養成機関・音楽学校への入学を果たし、そこで出会ったのは長身と強い体幹を持ち天然で天真爛漫で天才肌の少女・さらさ。

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「かげきしょうじょ!!」11巻より(斉木久美子/白泉社)

10代半ばで人生を自分の意思で歌劇に投じた"強い"女の子たちの、清く正しく美しく、熱くてシビアな楽しい青春。

前巻以来の、「オルフェウスとエウリュディケ」を題材とした課題に挑む本科生たち。

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「かげきしょうじょ!!」10巻より(斉木久美子/白泉社)

さらさの暴走、転向した男役で好評を博す愛、不可解というか難度の高い演出家・高木先生のレッスン。

と、楽しいんですけど、「オル×エウ」の授業や練習に終始してあっという間に本編終わり。

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「かげきしょうじょ!!」11巻より(斉木久美子/白泉社)

というか、基本的に本編、3話分しか入ってないんですよね、毎回。いいとこで終わったこともあって、やや読み足りない。

演劇もの・女優ものの作劇はヒロインのインプロヴィゼーションでなんとかしてしまうのが定番で、監督や演出家というのはヒロインの才能に惚れ込み畏怖し、それを引き出すためのモチベーターに近い(そして往々にしてヒロインの本番の演技に「恐ろしい子…!」って一番驚いてる)描かれ方が多いんですけど、ヒロインの演技を演出プランにカッチリ合わさせにくる支配的な演出家の描写というのは、漫画作品では珍しい気がしますね。

作中まだ演劇学校ということもあり、またリアルではそれが普通で、「支配的」というよりは演出家と俳優のイメージを本番までに一致させることがそもそも本来あるべき姿なんだと思いますが。

で、毎巻恒例の番外読み切り短編。今巻はさらさの異母姉・詩織編。

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「かげきしょうじょ!!」11巻より(斉木久美子/白泉社)

意図が読めない不可解なキャラでしたけど、この短編で心情が露になってグッと読者が感情移入できるキャラに。

男系・世襲の芸事の家に女に生まれた葛藤、異母妹・さらさへの思い。

主従が逆転してるというか、読み切り短編で完成度・読後の満足度が高いので、近刊はむしろ本編より番外編の方が楽しみになってきた感まである。

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「かげきしょうじょ!!」11巻より(斉木久美子/白泉社)

割りと淡々と話が進むんですけど、クライマックスに向けてギュッとアクセル踏み込んで一気にエモくなるんですよねえ。

言うまでもなくさらさは頑張ってるし、素直な性格で周囲への感謝も忘れない子ですけど、そのさらさが見えない、知らないところでも支えてくれた人がいたんだねえ。

 

 

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#姫様“拷問”の時間です 6巻 評論(ネタバレ注意)

国王軍と魔王軍が衝突する世界。国王軍の王女にして第三騎士団の団長・姫は、意思を持つ聖剣エクス(ツッコミ役)と共に魔王軍に囚われの身となった。

戦局を有利に導くべく、魔王軍はあらゆる手を使って敵の幹部である姫から秘密の情報を引き出そうとする…

という、ファンタジー世界を舞台にしたゆるーいコメディ漫画。

タイトルにも作中のセリフにも「拷問」という物騒な単語が踊りますが、中身はストレスなしのギャグコメディ。

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「姫様“拷問”の時間です」6巻より(春原ロビンソン/ひらけい/集英社)

半分は実質グルメ漫画です。

あとはもうこの黄金のワンパターンの手を変え品を変えの繰り返し。牧歌的で微笑ましい馴れ合いの世界。登場人物が全員ポンコツです。

くだらないワンパターンの繰り返しでも、それが可愛く面白い黄金のワンパターンであるならば、バリエーションを増やして無限に繰り返せばよい!誰も困らない!

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「姫様“拷問”の時間です」6巻より(春原ロビンソン/ひらけい/集英社)

心が折れたよっちゃかわいいw

6巻ともなるとさすがに変化がついてきて、姫様が美味しい料理に屈する以外にも、魔王が口内炎になるだけの話、初めて自転車に乗るだけの話、ボウリングをするだけの話、天下一武道会っぽい話、魔王軍が全員お子様化するだけの話など。

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「姫様“拷問”の時間です」6巻より(春原ロビンソン/ひらけい/集英社)

お子様トーチャーかわいいw

変化がついて余計くだらなくなるのすごいw もはや拷問全然関係ない。

「くだらないけど面白い」をいま一番体現してる漫画で、転勤のドタバタが落ち着いて最初に読もうと思ったのがこの漫画でした。

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「姫様“拷問”の時間です」6巻より(春原ロビンソン/ひらけい/集英社)

楽しい、可愛い、美味しそう、と三拍子揃った楽しい漫画です。

ワンパターンだけど俺が死ぬまで連載して欲しい。大好き。

 

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#ワンナイト・モーニング 5巻 評論(ネタバレ注意)

「一緒に一夜を過ごした男女が」「一緒に朝ごはんを食べる」「短編」を描きなさい。

というお題に則って描かれたようなオムニバス恋愛短編連作の第5集。

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「ワンナイト・モーニング」5巻より(奥山ケニチ/少年画報社)

「お餅っぽい」とからかってきた職場の生意気な後輩の男の子ととお正月の街でバッタリ、「お雑煮」。

高校時代に好きだったけど告白できなかった女友達に数年ぶりに連絡してみた、「コーンスープ」。

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「ワンナイト・モーニング」5巻より(奥山ケニチ/少年画報社)

友達以上恋人未満の名前のない関係に終止符を打とうと思ったら、「鍋焼きうどん」。

新しいバイト先にいた可愛い麻子さんは12歳年上の既婚者だった、「菜の花パスタ」。

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「ワンナイト・モーニング」5巻より(奥山ケニチ/少年画報社)

マッチングアプリで出会った女の子はどうしても鯵の開きが食べたくてどうしてもカラオケ行きたいウーマンだった、「鯵の開き」。

いつだかの金属バットガールがオシャレして買い物デートのはずが意外な急展開、「ホットサンド」。

公園のベンチでちょっと休憩、おまけ漫画「みたらし団子」。


オムニバスの第5集ということもあって、読む側も「今回は自分好みのエピソードが何編あるかな〜」という感じに。

甘酸っぱいエピソードに混じって、必ずしもくっついたENDじゃないちょっと切ないのが混じるのが良いですよね。

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「ワンナイト・モーニング」5巻より(奥山ケニチ/少年画報社)

自分は「コーンスープ」と「菜の花パスタ」が特にお気に入りでした。

自分、「昔好きだった」系と年の差ものに弱いなーw

実写ドラマ化とのことで、おめでとうございます。オムニバスでいろんな役者さんが見れて面白くなりそう。

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「ワンナイト・モーニング」5巻より(奥山ケニチ/少年画報社)

おずおずと単行本デビューして、2巻が出るなんて思ってもいなかった頃からすると感無量ですね。

 

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#BLUE GIANT EXPLORER 3巻 評論(ネタバレ注意)

若き日本人ジャズ・サックス・プレイヤー宮本大のサクセス・ストーリー。

日本を舞台にした「BLUE GIANT」、ヨーロッパを舞台にした「BLUE GIANT SUPREME」に続いて第三部に相当。今度の舞台はジャズの本場、アメリカ。

シアトルでの二つの目的、「シアトルのジャズを知ること」「アメリカを旅するクルマを手に入れること」を果たしたダイは修理工場の2人に見送られ、街から街で、ポートランドを経てサンフランシスコに。

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「BLUE GIANT EXPLORER」3巻(石塚真一/小学館)

その途上、前巻で縁のあったスケートボーダー・ヒッチハイカーのジェイソンを再びピックアップ、ジェイソンはダイのエージェントを買って出るのだった…

毎巻の巻末の「そして数年後」の関係者インタビューで、ダイが世界的に「成功」することは約束されていく作品で、逆境でも才能と努力を兼ね備えたダイが「吹けばなんとなかなる」展開がコアで、もう何巻も前、ヨーロッパ編から繰り返されています。

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「BLUE GIANT EXPLORER」3巻(石塚真一/小学館)

ゼロからスタート、偏屈で強力なメンバーを集めて一世を風靡するバンドに…という展開もヨーロッパ編でやりきったので、アメリカ編は趣向を変えてダイが中古の日本車でアメリカ中の都市をソロで巡りバンドメンバーは現地調達する、というロードムービー風。

ジェイソンが相棒として、しばらくレギュラー化するんかね。

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「BLUE GIANT EXPLORER」3巻(石塚真一/小学館)

正直、「ソロでアメリカ中を巡る」ことがプレイヤーとしての成長・成功に向けて何の意味があるのか、今のところ読者はよくわかんねーんですけど、作中でも記者にズバリ質問させたり、作者も自覚的。自覚的であるなら、この疑問を伏線にして、そのうち回収してくれるんだろう。

サンフランシスコのチャイナタウンで暮らし、アメリカジャズ界隈の人種の壁を前に鬱屈する中国系アメリカ人ドラマーのアレックスが今巻のメインゲストと言っていいと思います。

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「BLUE GIANT EXPLORER」3巻(石塚真一/小学館)

「ジャズとアジア人」という、ダイにとってあり得たかもしれない未来。いわゆる「外国人が握る江戸前寿司」問題、アメリカに限った話ではないことで、どう料理するのかってまあダイならこう言いますよね、っていう。そういう漫画だしね。

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「BLUE GIANT EXPLORER」3巻(石塚真一/小学館)

相変わらずクオリティは高く一冊読んだ満足度も高いですが、巻ごとに一つに街に取り組むロードムービー風にしたことで、やや単調というか、一番描きたいことを後回しにして「描いておきたいこと」リストを粛々と消化してる感も出てきて、「この旅の行く末」がまだ不透明なことも相まって、作者も読者も少し我慢のしどころ、という感じ。

 

 

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#らーめん再遊記 1〜3巻 評論(ネタバレ注意)

「ラーメン発見伝」の続編の「らーめん才遊記」の更に続編の現作。

シリーズ未読の方にものすごく雑に説明すると「ラーメン版『美味しんぼ』」みたいな作品群です。

一連の作品群はそのタイトルがSNS・ブロガー泣かせでして、「ラーメン」と「らーめん」、「才遊記」と「再遊記」と、同じ音で違う字を当てることを連発していて、紛らわしいったらありゃしない。

自分は今年に「才遊記」、次いで遡って「発見伝」を読んで「これがあの有名なラーメンハゲか」と満足し、既に1巻が刊行されていた「再遊記」は「『さいゆうき』もう読んだ」と勘違いしてスルーしてました。

字ちがうじゃねえか。

というわけで遅ればせながら既刊3巻まとめて。

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「らーめん再遊記」2巻より(久部緑郎/河合単/石神秀幸/小学館)

このシーン、いいよね。グッとくるわ。

今作の主人公の芹沢は、「発見伝」ではラーメン店開業を志すサラリーマンの主人公の好敵手として、「才遊記」では食に関して天賦の才能を持つ主人公ヒロインの雇用主・上司・師匠だった男。

意識高く生き汚く普遍性がありそうな格言・名言らしき名ゼリフを多く残したことから、ネットでは作品の主人公たちの顔と名前は忘れても、前述の自分のごとく「ラーメンハゲ」だけは覚えられているという、影の主人公。「影の」って割りには存在感ありすぎ。

でした。今作でようやく正式に主人公に。

脱サラして開業したラーメン店が苦節を乗り越えて成功し事業を拡張、ラーメン店向けに始めたコンサル業も順調、メディアにも露出しラーメン産業を盛り上げてきた立役者の一人と認められ、職人・経営者としてラーメン業界を代表する第一人者となった芹沢。

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「らーめん再遊記」1巻より(久部緑郎/河合単/石神秀幸/小学館)

初老と呼ぶにはまだ若い年齢であるにも関わらず、しかし、芹沢は鬱屈、ラーメンに対するモチベーションは下降の一途を辿っていた。

業界に次々と現れる新たな才能、味と経営を競ってきた同世代の職人・経営者たちの引退。

ラーメン業界の世代交代と新たな時代の到来を前に、なぜか芹沢はやる気が出なかった…

というスタート。

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「らーめん再遊記」1巻より(久部緑郎/河合単/石神秀幸/小学館)

雑に説明すると、自らの原点に立ち返った王が、自ら育てた天才児にその玉座を禅譲し、自らは放浪の旅に出る、的なそういう話です。そういう話をラーメン業界で。

職人・経営者のトップとしてラーメン業界の頂点に立ちそこから降りた主人公が、身分(?)を隠して大手チェーンのラーメン屋にバイトとして潜り込んで店舗内の若手のいざこざに首を突っ込んでみたり、山の頂上から見下ろしていたラーメン業界の裾野を歩いて回る話。

ちょっと「さきの副将軍、水戸光圀公」みたいね。

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「らーめん再遊記」2巻より(久部緑郎/河合単/石神秀幸/小学館)

シリーズの理屈・能書き・うんちくを一人で支えてきた意識高い系の芹沢。

今作ではいい風情で枯れていてどこかハードボイルド風味ながら、モノローグの口振りこそ露悪的でどこか投げやりなものの心の奥に隠している人の良さみたいなものが滲み出てます。

ラーメン業界の現場にこっそり紛れ込んで、若手の成長を促し人間関係や店の問題を改善して去っていく、「ラーメン界の水戸黄門」というよりは、図らずもなんか「ラーメンの妖精さん」みたいなってますけどw

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「らーめん再遊記」3巻より(久部緑郎/河合単/石神秀幸/小学館)

水戸黄門の印籠の代わりに、芹沢は権威と知名度よりもまず経験と知識を基に身についた実力を武器にして振るっている、ように説得力を伴って上手く描かれていて、その有能さが読んでいて小気味良いです。

「金を残して死ぬ者は下 仕事を残して死ぬ者は中 人を残して死ぬ者は上」

は明治の政治家の後藤新平、同じ意味の

「三流は金を残し、二流は事業を残し、一流は人を残す」

は松下幸之助の言葉とされ、プロ野球の故・野村克也の座右の銘であったとも言われますが、引退にはまだ早い中年にして金も仕事も人も既に残し終わった芹沢はどこに向かうのか。

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「らーめん再遊記」2巻より(久部緑郎/河合単/石神秀幸/小学館)

タイトルの通り、ラーメン業界を舞台にただ遊んでるだけなのか。

自分ももっと仕事で遊べる人間になりたいなあ、などと読むとついつい意識が高くなっちゃうわw

 

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#明日ちゃんのセーラー服 8巻 評論(ネタバレ注意)

学年に1人しか児童がいないド田舎の小学校で育った運動神経抜群で天真爛漫な美少女・明日小路(あけびこみち)が、田舎の私立の名門中学に入学して友達を少しずつ増やしながら過ごす日常をフェティッシュに。

何巻かけてやってましたかね、夏休み編がようやく終わりまして、新学期。

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「明日ちゃんのセーラー服」8巻より(博/集英社)

新キャラかと思ったらヒロインだった。お前こんがり焼けすぎやろwww

席替え、先生キャラ紹介、明日ちゃんの部活・演劇部、クラスメイトの卓球部の試合の応援。

日常回に戻ってきているようでいて、先生と演劇部部長の2人の新キャラ登場。

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「明日ちゃんのセーラー服」8巻より(博/集英社)

なんだこの見開き。

なかなか変な先生みたいです。

美女と美少女たちが並んで雑巾掛けしてる図。

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「明日ちゃんのセーラー服」8巻より(博/集英社)

なにこの絵…

演劇部の部長も変人キャラですけど、いい意味でこの作品らしくない、いい変人ですね。この子好きだわ。

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「明日ちゃんのセーラー服」8巻より(博/集英社)

相変わらずストーリーがあるんだかないんだか、漫画というより「動く少女」を描く求道的な連作イラストの展示みたいな作品ですけど、よく動くね。

そもそもこの作者がどうなりたい人なのかさっぱりわからないんですけど、もし次作も漫画描くなら、スポーツものとか、いっそ格闘漫画を描いてもちょっと面白そうだな、と思いました。

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「明日ちゃんのセーラー服」8巻より(博/集英社)

マジで何見て描いてんだろうこの人。

 

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