#AQM

あ、今日読んだ漫画

#化物語 17巻 評論(ネタバレ注意)

西尾維新の原作を大暮維人がコミカライズして週刊少年マガジンに掲載の鉄板漫画。キャラデザVOFAN準拠。こんなに美麗な絵でコミカライズされると原作冥利に尽きるでしょうね。ちなみに自分は原作とアニメを消化済み。

「化物語」17巻より(西尾維新/大暮維人/講談社)

わかる。

順番を入れ替えて、「こよみヴァンプ(傷物語)」の後に「つばさキャット(化物語5章)」。

今回、コミカライズの「つばさキャット」ですが、原作小説やアニメ版ではサラッと触れただけの「つばさファミリー」の回想をガッツリやりまして、実質的に「つばさファミリー+つばさキャット(つばさキャットに回想シーンとしてつばさファミリーを完全に内包)」という形に再構成されています。

「化物語」17巻より(西尾維新/大暮維人/講談社)

ファミリー→キャットのクライマックスが連続する形になるかと思ってたんですが、んおお、虎が出てきて武者が出てきて、アレとソレも「つばさキャット」の中で決着つけそうな勢いだなコレ。

原作の先のエピソードを先食いして再構成しているのでやや複雑ですが、すでに原作・アニメを消化してる組にはちょうどいい塩梅に先の展開が読めない「何物語なんだ」という、「君の知らない物語」になってていい感じです。

「化物語」17巻より(西尾維新/大暮維人/講談社)

心に闇を抱える羽川の心理的な救済に阿良々木くんが苦悩する様に結構なページが割かれ、ある種の禅問答ではあるんですけど、元がああ見えて青春小説なんでね、っていう。退屈になりがちな禅問答が大暮維人の美麗な絵で彩られるのは、得してるというか「大当たり作画ひいてんなw」って感じ。

「化物語」17巻より(西尾維新/大暮維人/講談社)

裏では忍野と鎧武者の暗闘が描かれ、忍野が街を去るくだりももしかしたら新解釈入るかもしんないな、と。

風呂敷畳みながら新しい風呂敷を拡げ始めてて、次巻予告では「あの人」登場、偽なのか、なんでもアリが加速するのか。

「化物語」17巻より(西尾維新/大暮維人/講談社)

おもしれー。

 

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#女の園の星 1巻 評論(ネタバレ注意)

女子高の国語教師を務める30代の星先生(♂)の日常もの。

去年の「この漫画がすごい」の女性向け作品1位だったので読んでみました。1巻自体は一昨年の刊。

あらすじ・設定は冒頭の1行以上は言いようがなく、ジャンルとしては会話芸よりの職業もの日常コメディかなと思います。

『女の園の星』1巻より(和山やま/祥伝社)

あとは読んでください。

も、なんなので。

高校教師あるあるっぽい内容ですが、既読の作品でいくと『動物のお医者さん』が雰囲気的には一番近いかなと思います。

『女の園の星』1巻より(和山やま/祥伝社)

表紙の星先生がハムテルで、動物の代わりに女子高生。

表紙絵などもそうですが、一見スカした無関心クールな主人公に見えますが、口数少なめながら意外と愛嬌のあるキャラで、心の中で「なんで〜なんだ…」系のツッコミと、浮世離れしな珍妙さでボケもこなすあたり、ハムテルによく似てます。

『女の園の星』1巻より(和山やま/祥伝社)

『動物のお医者さん』で動物たち(や教授たち)や、『よつばと!』などでの幼児のように、面倒を見る対象の「なんでそうなったんだ」という「理不尽な珍妙さ・シュールさ・ナンセンスさ」のネタの対象の「あるある(?)ネタ」として女子高の生徒や教員たちを置いた、という感じ。

『女の園の星』1巻より(和山やま/祥伝社)

少年漫画が一大勢力の漫画では、女子高生というと恋愛・ラブコメ要素と絡めることが多いですが、本作はそんなこともなく、レギュラー出演の女子生徒とかも今のところ特にいません。

キレで勝負、というよりジワジワくる系。

『女の園の星』1巻より(和山やま/祥伝社)

「えっ?」「なんで…?」に対するツッコミの代わりの「無言の間」が良いですよねw

有名な女性向け漫画家さんの新作かと思ってたんですが、本作が連載デビュー作とのことです。

 

 

#後ハッピーマニア 3巻 評論(ネタバレ注意)

いろいろあってタカハシと結婚したシゲカヨ。約20年後、タカハシから離婚を切り出されるシーンから物語は始まる。

駆け込む先は相変わらずフクちゃん家だった。駆け込みすぎてフクちゃんの息子の高校生にタメ口きかれてんのウケる。

「後ハッピーマニア」3巻より(安野モヨコ/祥伝社)

交錯するシゲカヨとフクちゃんのそれぞれの新婚以来の記憶と現在の生活。

シゲカヨ45、フクちゃん4つ上だったんで50、という、伝説的な作品のその後を描くアラフィフ恋愛事情コメディ。

主要登場人物の多くが既婚者で、そのほとんどが浮気・不倫中という、まあなんというか相変わらずの「ハッピーマニア世界観」とでもいうか、世の中の恋愛離れ・非婚化が進む中、アラフィフの既婚者たちが少々恋愛依存気味で、現実の世情からは浮いてる感じはします。

「後ハッピーマニア」3巻より(安野モヨコ/祥伝社)

若い頃ブイブイいわせてた(?)シゲカヨが、特に成長もないままタカハシの庇護のもとに20年が過ぎて、45歳になった今その報いを受けている、とも言え、現実を突きつけられた恋愛依存女にゴシップワイドショー的にダメ出しをし嘲笑をして溜飲を下げる、というのもまあ、一つの楽しみ方だとは思います。

やさぐれていた頃の山田玲司が90年代にミソジニー気味に描いた揶揄のまんまです。

『Bバージン』2巻より(山田玲司/小学館)

ただ「死ぬときは『いっぱい仕事した』と思って死にたい」と独白するヒロインの『働きマン』を描いた(未完ですが)後の作者が令和の今になってわざわざそんなスカッとジャパンみたいな漫画を描きますかね、という気が強くしています。

あるいは、タカハシとシゲカヨの間に子どもが産まれていたら? それが女の子だったら? あるいは男の子だったら?

「後ハッピーマニア」3巻より(安野モヨコ/祥伝社)

ものすごいモンペになっていたかもしれず、あるいは子煩悩ママになっていたかも、あるいは…

恋愛・ラブコメものの「続編もの」では、主人公たちが結ばれて親になり、その子を主人公にした作品も珍しくありませんが、そうした可能性をかなぐり捨てて、シゲカヨは無職のバツイチまっしぐら。

「後ハッピーマニア」3巻より(安野モヨコ/祥伝社)

公私共に多くのものを持っているはずの作者ですが、Wikipediaによるとシゲカヨと同じくアラフィフで、何か託すものがあるんじゃないかと思います。

恋愛に向かって斜に構えた作品を描く作家は「達観した恋愛マスター」気取りで作品ドラマ化の後はエッセイ出してタレントになってワイドショーで他人の人生にお説教するコメンテーター、というのがお定まりのコースで、正直ちょっと食傷気味なんですけど、

「後ハッピーマニア」3巻より(安野モヨコ/祥伝社)

この作家はその辺の三流の有象無象とはちょっと違う、何かを持っていると思っているんですが。

 

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#新九郎、奔る! 10巻 評論(ネタバレ注意)

室町後期(戦国初期)の武将、北条早雲の幼少期からの伝記もの。享年64歳説を採用。

ja.wikipedia.org

中世代を舞台にした作品ながら、現代の話し言葉を大胆に採用、横文字もガンガン出てくる。おっさん達の政争劇は作者の本領発揮なイメージ。

北条早雲の伝記を漫画の上手のゆうきまさみが、の時点で面白いに決まってんだけど、日本史の中でも複雑で難解なことで有名な応仁の乱がらみ。渋すぎるテーマをどう捌くのか。

「新九郎、奔る!」10巻より(ゆうきまさみ/小学館)

前巻で、新九郎の実姉・伊都の嫁ぎ先・駿河の今川家のお家騒動の仲裁、いわゆる「駿河下向」の第一幕が一応決着。

が、お家騒動の双方の勢力、あとなんだったら審判役の新九郎自身もこれで最終決着とは思っておらず、第2ラウンドに向けて耐え難きを耐えつつやる気満々。

刺客を差し向けたのは目つきがちょっとアレなあの人ですかね。

「新九郎、奔る!」10巻より(ゆうきまさみ/小学館)

新九郎は甥の龍王丸の駿河守護・正嫡としての将軍の認可を伺うべく、伊都・龍王丸の母子を京都帰還に伴うが、果たして応仁の乱の真っ只中の京の情勢、そして駿河に影響を与える関東の情勢は。というところを丁寧に。

名門・伊勢家の分家の後継者として領地は治めつつも、幕下公式では無位無官無役の三冠王(ひどい言い方w)の新九郎に転機が訪れるか。

「新九郎、奔る!」10巻より(ゆうきまさみ/小学館)

目の吊り上がり方が異相というか、ゆうきまさみ作品であんまり見た覚えのない顔つきになってきました。

今巻で一応、応仁の乱が終結。近年は戦国時代の始まりは応仁の乱ではなく、もうあと15年ぐらい後の「明応の政変」とする説が有力なんですかね?

ということで新九郎が「戦国の梟雄」と呼ばれるには今しばらく時間がかかりそうですが、なんというか「見学の子ども」だった新九郎が、10巻かけてだんだん「若手の政治家・官僚」っぽく、自分の意志で動くようになりましたね。

「新九郎、奔る!」10巻より(ゆうきまさみ/小学館)

新九郎の立身のきっかけになってくれそうな義尚は…とWikipedia見てみたら、Oh…

「駿河下向」も決着までに作中もう10年ぐらいはかかりそう。

セリフが多く、近年の漫画の中では読むのに時間がかかる作品ですけど、じっくり読むのが楽しい作品なので、ぜひこのペースでじっくり進めてほしい。

「新九郎、奔る!」10巻より(ゆうきまさみ/小学館)

義視はこれで舞台から退場かと思ったら、また出番が回ってくるんですね、Wikipedia見ると。

「大河ドラマに」って声も一部で聞こえ、好きな作品なので気持ちはよくわかりますけど、やるなら完結後だろうから10年〜20年は時期尚早なのと、なんというか、自分はゆうきまさみの筆による漫画の方がいいなあw

 

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#刷ったもんだ! 6巻 評論(ネタバレ注意)

元ヤンキーな青春を送り、SNSで漫画クラスタに入り浸る漫画好きの真白悠(♀)は中小企業の虹原印刷(株)に就職。

企画デザイン課に配属され、印刷物のデザイン、データ作成・出力、校正を担当。担当する仕事は選挙のチラシからエロ同人誌までなんでもあり。

という印刷会社のお仕事日常漫画。

『刷ったもんだ!』6巻より(染谷みのる/講談社)

取材もしてんでしょうけど、1巻巻末の「Special Thanks」に「元勤め先の皆さま」とあり、作者が経験者なんですね。「NEW GAME!」と同じパターン。

人の生き死にに関わらない、世界も救わない、地味で実直ですけど、ウェルメイドなお仕事もの。

こなれてきたと言うか、虹原印刷の人間関係も巻を重ねてキャラに愛着も湧いてきて、読んでてどんどん楽しくなってきましたね。ヒロインと淡いロマンスな黒瀬くんとの関係もいい感じというか、この淡い関係のまま最終回で突然プロポーズとかしそうよねこいつら。

『刷ったもんだ!』6巻より(染谷みのる/講談社)

今巻は新キャラとして新入社員3人が本配属。主人公ヒロインの真白にもようやく後輩が。

というかね。

真白の態度がデカすぎてコイツがまだ新入社員〜2年目社員ってこと、すっっっっっかり忘れてたわ。

ウッソだろお前、態度デカすぎだろwww

『刷ったもんだ!』6巻より(染谷みのる/講談社)

と思う反面、自分もサラリーマンで部下の上司なので、こんなにモチベに溢れて自分で悩んで解決して成長してくれる若手社員、羨ましいわ。真白、うちに来てくれ〜。

と、漫画の主人公補正でどこか嘘くさかった真白に代わり、社会人・サラリーマンの壁に当たって悩める若手ポジの新入社員の3人。

1年目が一番離職率が高いので、部活もの漫画で新入生を獲得・引き留めしたい漫画キャラのように、自分も新入社員は気を遣います。

『刷ったもんだ!』6巻より(染谷みのる/講談社)

医療が人体の回復力をアテにするように、育成も本人のモチベと体験をアテにせざるを得ないんですけど、自分もかつて新入社員だったはずで理屈として記憶に残ってるのに、年月が経って昇進しちゃうと自分の成功体験に塗りつぶされて、心理的な「小さな壁」について忘れてしまうんですよね。

大人が子どもの敏感な心理の機微を笑ったり理解できなくなったりするように。

そういう、「新入社員が悩むこと」「2年目社員が先輩になって悩むこと」の心理的な機微をなぜか上手く拾えて、ポジティブに昇華した、良い巻でした。

『刷ったもんだ!』6巻より(染谷みのる/講談社)

若手の「失敗したくない」「怒られたくない」心理的ディフェンスの隙間からわずかに見える「挑戦してみたい」モチベーションを見逃さずに、組織の仕事と擦り合わせることが上司や先輩の仕事かな、と、おっさんも彼女ら彼らを見習おう。

いやしかし、真白みたいなモチベとコミュ力が高くて失敗に対する心理的ディフェンスが低い、勝手に雑に育っていく若手は、やっぱり上司はラクだよな〜。

 

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FSS (NT2022年6月号 第18巻相当) 評論(ネタバレ注意)

ファイブスター物語、連続掲載継続中。

「第6話 時の詩女 アクト5-1 緋色の雫 Both3069」。

扉絵なしで13ページ。(途中1ページ使って戦況MAP&概要テキスト)

  

他の号はこちらから。

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  • (余談)
  • (扉絵)
  • (本編)
  • (所感)
    • ZAP立体モデル
    • フィルモア帝国GTM・ホルダ33 バイカル〜アルカナ・オーデル
    • 戦況図
    • アーリィ
    • ダランス
    • ダランス艦橋 参謀長
    • ラドンウェイ支隊長
    •  ダイ・グ

以下、宣伝と余談のあとにネタバレ情報を含んで論評しますので閲覧ご注意。

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#クマ撃ちの女 8巻 評論(ネタバレ注意)

熊狙いのライフル持ち*1女性猟師・チアキ(31)に密着取材を申し込むフリーライター・伊藤。2人は熊を求めて日々、北海道の山中に入る。

「クマ撃ちの女」8巻より(安島薮太/新潮社)

伊藤が取材を始めて最初の猟期が終わり、一旦シーズンブレイク。チアキを取材した伊藤の著書が出版され、それに伴ってチアキ自身もメディアに取材されたりもありつつ、二度目の猟期に。

前巻、巻狩り編も終わった後、作品2期目の猟期の終わりに、チアキの姉と、2人の幼少時の「山の師匠」筋の叔父さん来たるの巻、の続き。

「クマ撃ちの女」8巻より(安島薮太/新潮社)

チアキと姉、伊藤を鳥撃ちに山に連れていく叔父さん。

チアキの原点に回帰した上で、家族・親族の過去のわだかまりもクリアして、現在のクマ撃ちとしての公私共にというか、心技体の充実ぶりが再確認されるようなエピソード。という理解でいいのかなコレ。

巻の後半は再び、目を覆いたくなるようなセンセーショナルな事件が発生。実質「現役クマ撃ちの第一人者」のようなポジションに暫定的に置かれたチアキは…というエピソードの途中で次巻に続く。

「クマ撃ちの女」8巻より(安島薮太/新潮社)

ヒロイン自らフラグ立てていくスタイル。

フィギュアスケートもの漫画に近いものを感じるんですけど、作劇が基本的に「好事魔多し」な作品なんで、チアキ自身が公私両面・心技体で充実していればしているほど、その先の落とし穴を予感させて不穏なんですよね、この漫画。

この巻の続き、あまりにも気になったんで、

「クマ撃ちの女」8巻より(安島薮太/新潮社)

くらげバンチでアカウント作ってWEB連載で最新話まで続き全部読んじまったよ…w

 

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*1:猟銃免許取得後、散弾銃所持10年以上が必要

#デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い 4巻 評論(ネタバレ注意)

最強の悪魔デビィ・ザ・コルシファは最強故に地獄界で闘う相手がいなくなり、退屈しのぎに人間界へ現れた。人間界というか具体的にいうとその辺の高校生・六郎の部屋に現れた。

しかしゲームにかけてはクソ雑魚ポンコツだった最強の悪魔は、以来、人類の存亡を賭けて毎日、六郎の部屋に遊びにやってくることになった…

「デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い」4巻(平方昌宏/集英社)

という、のじゃ語尾最強美女ヒロインのクソ雑魚チョロポンコツっぷりを愛でるギャグコメディ。

ルックスはジャンプ漫画っぽいですけど、平凡な少年の家に超常の何かがやってくる、という「オバケのQ太郎」的な藤子不二雄ワールド的な、非日常キャラによる日常ギャグコメ、という定番ジャンル。

「デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い」4巻(平方昌宏/集英社)

連載1周年とのことで、おめでとうございます。

出オチの一発ネタの繰り返しですけど、系で言えば「姫様拷問」と一緒というか、最近はキャラの魅力も相まって出オチの一発ネタをずっと楽しく読ませる作品が増えましたね。

今巻はクリスマス、バレンタイン、ホワイトデー、お花見と、冬〜春のイベント回が盛りだくさん。

「デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い」4巻(平方昌宏/集英社)

どのイベントでもデビィが初心&無垢で可愛らしく、かつ馬鹿馬鹿しくて楽しいエピソード。ロリッ子じゃなくてルックスは大人の美女であることがギャップを生んでいて一層可愛らしい。

雰囲気的にはアニメ化は既に既定路線で、どこが作るか、いつ作るか、誰が演じるか、気になるところ。

「デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い」4巻(平方昌宏/集英社)

日常ギャグコメディですけど、なにげに作品中で季節が巡ってるんですけど、これって時制が進む(六郎たちの高校卒業が近づいていく)のか、季節は巡れど時制がループしていくいわゆる「サザエさん時空」なのか、どっちなんでしょうね。

あんま六郎の学年とか関係ない漫画ではあるんですけど、

「デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い」4巻(平方昌宏/集英社)

長く読みたい作品なのでその辺も気になるね。

 

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#ザ・ファブル The second contact 3巻 評論(ネタバレ注意)

幻の殺し屋組織「ファブル」の天才殺し屋と相棒の女が、ボスの命令でほとぼり冷ましに大阪のヤクザの世話になりながら長期休暇がてら一般人の兄妹、アキラとヨウコに偽装して暮らすコメディ成分多めのハードボイルドもの。

「ザ・ファブル The second contact」3巻より(南勝久/講談社)

伝説の殺し屋は不殺を貫いたまま事態を収拾し、街を去って第一部が完結、そして数ヶ月後ぐらいの続編。連載の完結時に予告されていた第二部の開始。

隣の大西市の紅白組との新たな抗争の火種が…という感じで、組織から放出されてフリーターになった主人公たち殺し屋組はまあダラダラと。

「ザ・ファブル The second contact」3巻より(南勝久/講談社)

大手の盃を受けた紅白組の組長が、いよいよ真黒組の縄張りを狙って策謀。チンピラ同士の喧嘩からスタートさせるも、早くも元・ファブル組が巻き込まれ…という展開。

エピソードのクライマックスに向けて状況を積み上げていくタイプの相変わらずの作話なので、徐々に情勢が不穏になっていき読み応えはありつつもアクションシーンもほとんどなく未だ静かな進行。

「ザ・ファブル The second contact」3巻より(南勝久/講談社)

ルーマーの顔が見えてきたのと、公私(?)両面でヨウコにスポットが集まりつつ。

「ルーマーは実はファブルの別働組織で根っこは同じなんじゃないか」とちょっと思ってたんですけど、今巻読んでるとどうもそういうわけでもなさそうな雰囲気ね。

もう2〜3巻は溜めの巻が続く感じかしらん。

ルーマーの「漫画キャラの殺し屋」としての実力値もよくわかんないこともあって、今んとこ「総力戦」だったら元ファブル組の人数的に、真黒側がまだ戦力過剰かな、という印象だし、

「ザ・ファブル The second contact」3巻より(南勝久/講談社)

何かしらハンデ要素が追加されそうな。

 

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#おしかけツインテール 7巻 評論(ネタバレ注意)

花梨ちゃん腹筋すげえな。

ソシャゲを同時並行で6つプレイする資産家でトレーダーでダメ人間的な引きこもり男・新田の広大な屋敷に遠縁の美人母娘が居候することに。

「おしかけツインテール」7巻より(高津ケイタ/芳文社)

美人ママの八重さんはキャリアウーマンで帰宅後はただの酔っ払い、美人娘の花梨さんはしっかり者で世話焼き体質でツインテの女子高生だった日常系4コマ。

妄想にもほどがあるw

人生上振れした草食系引きこもりという感じの主人公で、未成年のヒロインと歳の差もあることもあって、恋愛要素はほとんどないです。萌え要素はありますがエロ要素もなし、という感じ。

「おしかけツインテール」7巻より(高津ケイタ/芳文社)

世話焼き体質の花梨が、自堕落な新田をほっとけない、ぐらい。

いつからかわかりませんが、表紙もそうなんですけど、花梨のツインテのうなじのおくれ毛を左右に2本ずつピッピッと必ず入れて、なんか猫のヒゲみたいw

本質的に日常系ほのぼの4コマなんで、縦軸はなくてもいいぐらいなんですけど、「非サザエさん時空」で時間が流れる系で、同居を始めた時に高1だった花梨も高3になって、そろそろ終わりの匂いが。

「おしかけツインテール」7巻より(高津ケイタ/芳文社)

今巻は高3・受験生の花梨とその家族の楽しい日常、という感じながら、夏の海水浴や趣味のネトゲなどを受験勉強のために控えるかどうか、禁欲との葛藤、受験のプレッシャーからの不安、などがテーマ。

優等生でしっかり者のキャラで、正直受験に失敗する姿が想像できず、作中の家族も読者も花梨の受験の成否を誰も心配してないんですけど、

「おしかけツインテール」7巻より(高津ケイタ/芳文社)

多感な10代で人生を左右する(ように見える)試練と向き合うのは本人主観ではとても不安ですよね。周囲の信頼さえもプレッシャーになっちゃうし。

そういう意味で不安定な10代の頃に「戻りたいか」と問われれば、自分もあんまり戻りたくないなあ、と思います。

今巻ラストのヒキやあとがきを見るに、たぶん次巻で完結なんじゃないかと思いますが、ちょっと寂しいけど、この作品らしい優しい大団円を期待して待ちたいところ。

「おしかけツインテール」7巻より(高津ケイタ/芳文社)

あわせて次回作がどんな漫画になるかも、今から楽しみです。

 

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#MFゴースト 14巻 評論(ネタバレ注意)

「MFゴースト」は「頭文字D」と同じ世界観、あっちが基本的に90年代を舞台にした作品であるのに対し、202X年が舞台の続編という位置づけです。大体20〜30年後?という感じ。前作の登場人物たちがおじさんになって脇役で大量に登場。

前作主人公の藤原拓海も本人は登場しないものの、主人公の師匠としてやたら名前がたくさん登場。

国産車での公道マッチレース(脱法)だった前作に対して、今作は海外製のゴージャスなハイエンドスーパーカーが公道グランプリレース(遵法)を繰り広げるという、クルマ好きには眼福な作品。

レースシーンパートは基本的にはクルマがグルグル走って解説やドライバー自身がブツブツ言ってるだけの漫画なので、そういうのが苦手な人はやめときましょう。

「MFゴースト」14巻より(しげの秀一/講談社)

うひょひょ、アストン・マーチン!

アストン・マーチンといえば、あと数日で『007』の最新作がAmazonプライム入りなので楽しみです! ウォッチパーティでみんなで観ようぜー。

それは置いといて、

ここ数巻、レースシーンはサマーブレイクでお休み、主人公・カナタとヒロイン・恋(れん)のラブコメ祭り。

今巻からレース再開、

「MFゴースト」14巻より(しげの秀一/講談社)

それに伴って英国から自称「カナタの元カノ」が件のアストン・マーチンでMFGに参戦。

恋の三角関係だわ! 作者の「読者に何を言われようが絶対に俺はラブコメが描きたいんだ!」という強い意志を感じるのだわ!!

ラブコメとして正直センスは古いんですけど、自分も古いラブコメを読んで育ったんで嫌いじゃないんですよねw 「頭文字D」の初恋エピソードも、たぶん不評だと思うんだけど自分大好きなんだよな。

「MFゴースト」14巻より(しげの秀一/講談社)

「(おまたせ 読者の皆さん)」って、完全に確信犯ですよねこの人www

かっこいいレースシーンと、小出しにされる大ヒット作「頭文字D」のキャラ達の気になる後日談、この2つをエサに硬派な読者たちに作者の個人的な趣味嗜好のラブコメを無理やり読ませるという訳のわからない漫画になってきましたが、現にレースシーンはかっこいいし、藤原のその後は気になるし、個人的にはラブコメも大好物なんで全然構いませんがw

「MFゴースト」14巻より(しげの秀一/講談社)

あ、あらすじ紹介するの忘れてた。

サマーブレイク明けの第4戦、夏の終わりの高速バトル、「シーサイドダブルレーン」開幕。

箱根の大噴火(フィクション要素)により地形変化の影響を受けた名物コース、予選初日、タイムアタック1番手の沢渡(アルピーヌ)が昨年までのレコードを大幅に縮めるスーパーアタック。

5日目に登場するカナタは沢渡のタイムに迫ることができるか!?

「MFゴースト」14巻より(しげの秀一/講談社)

母親に向かって「目がオンナになってる」とか言うなし!

この、女の子が描きたい作家なのに硬派な読者がついちゃったギャップとせめぎ合い、おもろいなー。

次巻は全編レースシーンに…なんねーな、予選と本戦の幕間で

「私が勝ったらカナタを英国に連れて帰るわ!」

的な感じでラブコメする気でしょう! エロ同人みたいに!

 

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#邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん Season7 評論(ネタバレ注意)

新刊出てたの見落としてたので1ヶ月遅れ。

高校の「映画を語る若人の部」に入部したプレゼン下手の映子が、毎回好きな邦画を1本トンデモ説明でプレゼンして部長がツッコむ話。

今巻のお題は

・『スパイダーマン』(東映版)

・『新解釈・三國志』

・『恐怖人間』

・『無人島物語 BRQ』

・『ベイビーわるきゅーれ』

・『君は彼方』

・『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』

・『花束みたいな恋をした』(前中後編)

・『映画 えんとつの町のプペル』

・『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』

最後の『クレヨンしんちゃん』編が描きおろし、また『花束みたいな恋をした』が前中後編の3話にまたがってます。

 

池ちゃん以外の話からしましょうかw

「邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん Season7」より(服部昇大/集英社)

1巻以来、映子による映画レビューの「通常回」はトンデモ映画をDISり芸スレスレに面白おかしく紹介するスタイルなのは変わらずですが、芸風自体は目新しいものではなく、インターネット黎明期テキストサイト中心の時代の映画レビューサイトの芸風を、漫画メディアで再生産している作品。

ablackleaf.com

「通常回」の映子は映画の感想、実は

「面白かったでありまする」

「おすすめでありまする」

ぐらいしか語ってないんですよね。

タイトルのとおり映子がやってるのは「プレゼン」であって、語る映画が比較的マイナーな作品が多いことも相まって、「未鑑賞の人に作品の魅力を(映子なりに)説明する」スタイルで、実は「観て何を感じるか(感じたか)」は、聴衆(読者)にぶん投げてんです。

映子のプレゼンのキモは

・着眼点(映画作品のどこに着目し切り取るか)

・再表現(切り取ったソレをいかに面白おかしく語るか)

・客観(部長のツッコミで「一般的」な感性からの乖離を浮き彫りに)

で、あんまり自身の感想(作品の受容によって自身の内心に生じた変化)を語らず、影響を受けず(それ故に成長もせず)、映画作品に点数や星もつけません。

映子の感性が映画の影響を受けて変化(成長)してしまうと漫画作品として保たなくなる事情もあって、映子はどれだけたくさんの映画を観ようとも、少なくとも誌面上はずっと「B級邦画好きの女子高生」のままです。影響を受けて他のジャンルに移ろっていけない。若いのに。

「邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん Season7」より(服部昇大/集英社)

『プペル』西野氏の作品が私小説をエンタメに昇華したものであることを外縁情報から分析し指摘しても、「それが面白かったか、つまらなかったか」「自分がどんな影響を受け、どう変化したか」を、映子は語れないんです。

 

もう一つこの作品の「通常回」を支える要素として、映画作品選定とそのイジり方について、とても繊細に「世間(ネット)一般の最大公約数の空気を読んでやっている」点。

多かれ少なかれ「評論」「レビュー」「感想」というのは公に発表した時点で敵を作るもので、多かれ少なかれ批評・批判した作品にはファンがいるもので、事実であってもDISれば反感を買い、なんだったら褒めても褒めた筋の解釈が違えば反感を買って、よほど誰からも読まれない状態が続かない限り、規模の大小はあれど遠からずほぼ炎上します。

炎上上等で行くのも手ですし、例えば自分のブログのように「面白くなかった作品はレビューしない」というのも手です。プロの映画ライターは「案件」を選べないこともありますが、趣味のブログは作品を選ぶことができます。

『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん』がどうしているかというと、

・レビューする(イジっても許される)作品を選ぶ

・フォーカスする(イジっても許される)要素を選ぶ

・映子というキャラを使って表面上は褒めさせる(直接DISらない)

・部長のツッコミによって毎回「賛否両論・両論併記」状態を作る

・作品のファンを絶対に馬鹿にしない

によって、ややもすれば鼻持ちならないDISり芸スレスレでも、「世間一般の最大公約数」から反感を買うことを回避してます。

なので「シンゴジラ」「鬼滅」「君の名は。」みたいなガチで大ヒットしてファンを多数抱える作品のレビューはできません。(この漫画がわざわざレビューする必要もない、とも言えます)

 

ちょっとこの漫画作品自体がメジャーになりすぎたこともあり、最近では「鼻につく」とする呟きもネットでたまに見ます。

あんまりこの漫画作品がメジャーになったり、熱心に同調する読者が増えすぎると、「マイナー映画に対するファンネルを使ったイジメ」になりかねないので、割りと舵取り難しい漫画だなと、そして上手く舵取りしてる漫画だなと思います。

 

で、池ちゃんの話。

今巻、池ちゃんがらみのエピソードが12編中、5編。

表紙も併せて「池ちゃん巻」と呼んで差し支えない。

「邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん Season7」より(服部昇大/集英社)

ペラいワナビーの自称カルチャーヘッズの量産型ながら、自分の感想のペラさを自覚して懊悩する若者、というオプションで、多くの読者の共感や共感性羞恥を抉りWEB無料連載時にネットで大反響だった、今巻初登場の新キャラ。

b.hatena.ne.jp

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徹頭徹尾、映画の外縁情報を頼りに映画を語る情報まとめサイトやWikipediaのような池ちゃんのスタイルは、6巻の「エヴァ編」の江波の映画語りが徹頭徹尾、自分の人生と映画作品を重ねた「自分語り感想」だったことと、対になっています。

映子はなんでしょね。内容に対して自分の興味のみに従った「フォーカス&再表現型」とでもいうか。

池ちゃんは「映画レビュー漫画」を描き続ける作者の自虐な要素もありながら、流れ弾が読者にも精神ダメージを与える、漫才で言うところの「客イジり」でもあり、また近年のネットの禁忌の一つ「オタクイジり」でもあるので、「映子の面白いレビューに比べて…」とメタに自作品を自画自賛するのも含めて、作者、なかなかの胆力だと思います。

ちなみに今巻の描きおろしエピソードも池ちゃんの誘いでサウナに行く回。

「邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん Season7」より(服部昇大/集英社)

一本調子になりがちな映子の映画レビューとは違う視点を提供してくれて、読者の感情や見識を良かれ悪しかれ揺さぶってくれる有意義なキャラなんですけど、鉱脈でありながら劇薬でもあって、なかなか扱いが難しい新キャラだなと思ったりします。

作者が思いついちゃって描かずにはいられなかったとでもいうか、映子の「あのセリフ」も含めて本来はこの作品の最終回近くに持っていくべきエピソードだったんだろうな、と少し思ったり。

 

個人的にはこんなブログやってるにも関わらず、

「自分も『池ちゃん』であることを認めるか否か問題」

は、自分には不思議とあんまり刺さってなくて「こういう人いるよねw」ぐらいなんですけど、なんなんだろう。

メタ批評論というか、レビュー・評論・感想・批評の「フォーカス型」と「外縁情報型」と「自分語り型」の対比で言えば、どれもあっていいし、「考察型」やら「研究型」やらの他の手法も含めて、作品内容に応じて複数こなせる引き出しが多い方が読み物として幅が出るなあ、と思います。

江波みたいな「自分語り型」は1キャラにつき「チャンスは一回!」なとこあるので、エピソード(記事)の量産には不向きなんかな。

 

あとはまあ、相変わらず映子と部長の(というより部長の一人相撲の)ラブコメ要素がチャーミングなので、

「邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん Season7」より(服部昇大/集英社)

この漫画を畳んだ後は、ちょっと本気出したラブコメ描いてくんねーかな、と思ったりします。

変化球投手に160kmのストレートを要求するようでアレなんですけど。

 

ここまでこの記事、諸々コミで3,400文字ぐらいらしいです。

やー、一映画作品に対して衝動や情熱を言語化して語りたいことが8,000字分湧いてくるなら、それはそれで資質だよねえ。

未熟さ故に笑われても侮られても、恥を飛び越えて語りたいことってあるし、好きな作品を語ることで生きていけたらなあって、俺もそう思うよ。

 

 

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#ゲーミングお嬢様 5巻 評論(ネタバレ注意)

ジャンプ+でWEB連載されている、オマージュやパロディを散りばめ中毒性のある言語センスを伴った、基本ギャグコメディ進行の格闘ゲーム×お嬢様のゲーマー漫画。

格闘ゲームとお嬢様は「ハイスコアガール」といい「対ありでした」といい、なんか相性よろしいですわね。

数ある「格ゲー×お嬢様」作品の中でも最もイカれた世界観設定の作品。

「ゲーミングお嬢様」5巻より(大@nani/吉緒もこもこ丸まさお/集英社)

わざわざ作画担当を付けているにも関わらず、すごく絵が上手いわけでも美少女が可愛いわけでもないという不合理な建て付けですけど、世界観も話の展開も不合理なので全体として調和が取れているという、ツッコミどころの多いギャグ漫画のような作品。

格ゲーお嬢様の頂点を決める大舞台・EJOはついに決勝戦へ。決勝に駒を進めたのは隆子&蹴子の大本命コンビと、その弟子筋にあたる転子&張子コンビだった。決戦の火蓋が切られる。

「ゲーミングお嬢様」5巻より(大@nani/吉緒もこもこ丸まさお/集英社)

「格ゲーマー文化×お嬢様構文」のベースは共有しつつも、回によってガチ回とネタ回が割りとはっきり分かれてる作品で、私小説的なガチ回よりもエンタメに寄せたネタ回の方がネットの反響が大きい、という困った作品。

本来論で言えばエンタメと私小説は対立軸ではなく、両立させた作品は過去にも多々ありますが、実際問題、現場においてはこの二つはしばしば対立します。

「ゲーミングお嬢様」5巻より(大@nani/吉緒もこもこ丸まさお/集英社)

お嬢様構文による会話芸と『こち亀』的な風刺コメディの変化球でわかりやすく面白く幅広くネタを拾いやすいエンタメとしてのネタ回に対して、見た目こそ派手ですが私小説要素としてのガチ回の引き出しは「格ゲーマーの闘争本能」と「ゲーマー同士のクソデカ感情」で、勝負に臨む主人公たちのインナースペースとマインドセットに関わる禅問答に展開しがちです。

禅問答は恋愛・ラブコメ漫画でもよく起こるんですけど、似たような描写を繰り返しがちで、作者が語りたい内容とマスの読者が読みたい内容がだんだん乖離していくんですね。

「ゲーミングお嬢様」5巻より(大@nani/吉緒もこもこ丸まさお/集英社)

おそらく作者もワンイシューで長く引っ張れないことに自覚的で、それ故に今5巻の入魂の描写をもってガチ要素の(ほぼ)フィナーレ、というのは英断というより定石だったように思います。

割りとはっきりと「ここで最終回にしようと思えばできた」と示した巻。もはやどっちが勝つかとか超克しちゃってますよね。

なんですけど、悩ましい決断だと思いますけどおそらくは、しばらくは「連載しながら何を描きたいか考える」、走りながら充電しながらの作品継続の道を選んだんじゃないかなーと思います。

あるいは迷走に陥って作品の晩節を汚す決断になるかもしれませんけど、当面は「案件」を交えたネタ回を回しつつ引き出しを増やしながら、いつかまたエンタメ性を兼ね備えた私小説な「ガチ」にぜひ回帰してくれると良いな、と思います。

この作品のガチ回の私小説要素、本当に武骨なんですけど、「これが描きたいんだ」「これを伝えたいんだ」ってのが強く感じられて、結構好きなんですよね。

「ゲーミングお嬢様」5巻より(大@nani/吉緒もこもこ丸まさお/集英社)

良いラストバトルだった。

 

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#姫様“拷問”の時間です 9巻 評論(ネタバレ注意)

国王軍と魔王軍が衝突する世界。

国王軍の王女にして第三騎士団の団長・姫は、意思を持つ聖剣エクス(ツッコミ役)と共に魔王軍に囚われの身となった。

戦局を有利に導くべく、魔王軍はあらゆる手を使って敵の幹部である姫から秘密の情報を引き出そうとする…

という、ファンタジー世界を舞台にしたゆるーいコメディ漫画。

「姫様“拷問”の時間です」9巻より(春原ロビンソン/ひらけい/集英社)

タイトルにも作中のセリフにも「拷問」という物騒な単語が踊りますが、中身はストレスなしのギャグコメディ。半分は実質グルメ漫画。

あとはもう黄金のワンパターンの手を変え品を変えの繰り返し。牧歌的で微笑ましい馴れ合いの世界。登場人物が全員なにかしらポンコツです。

「姫様“拷問”の時間です」9巻より(春原ロビンソン/ひらけい/集英社)

オーソドックスな「通常拷問回」も楽しい巻ですが、今巻はいつにも増して「問題回」というか「話題回」を多数収録。

生命への感謝回、くじ引き回、その他もはや拷問の体裁すら採っていない変化球がことごとくいいコースに決まってるのに加えて、出色は過去一番の精神攻撃が姫を襲う日記回と、

「姫様“拷問”の時間です」9巻より(春原ロビンソン/ひらけい/集英社)

なんと言ってもサクラ回ですよね。

かつて僚友として姫の近辺に仕えながら、その実は使命を帯びて、最終的に姫を裏切って背中から斬りつけた暗殺者・サクラ。互いに数奇な運命を経て捕虜と拷問官として牢獄で再び邂逅した二人。

「姫様“拷問”の時間です」9巻より(春原ロビンソン/ひらけい/集英社)

ギャグ回の締めに使いまわされてきた定番ナレーションを、ハートウォーミングにチャーミングにリフレイン。

単行本だけに収録されている、直後の幕間の短い記述がまた良いんですよね。優しい世界。その他、書き下ろしで牧場編のアフターエピソードも収録。

あと実家に帰った回想シーンのトーチャーの、無防備な表情がとても可愛いかったです。

「姫様“拷問”の時間です」9巻より(春原ロビンソン/ひらけい/集英社)

喜怒哀楽の解像が非常に緻密・繊細な作画で、キャラの表情の演技で説明セリフを省略することで生まれるテンポは、原作者の強い助けというか、作品の大きなアドバンテージになってる印象があります。

次巻は10巻、このワンパターンなはずだった出オチの建て付けでの2桁突破は、偉業と言って良いのではw 100巻目指しちまえw

 

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#ダンダダン 5巻 評論(ネタバレ注意)

霊媒師の家系のギャルと、いじめられっ子気味で孤独なオカルトオタクの少年の同級生ガールミーツボーイから始まる、オカルトバトルなバディもの?

未だにこの漫画がどうなりたいのかまだちょっとよくわかりません。

「ダンダダン」5巻より(龍幸伸/集英社)

書き出していくと

・ボーイ・ミーツ・ガール

・オタクに優しいギャル

・ラブコメ群

・ちょいエロ

・呪術廻戦、チェンソーマンなどの最近のジャンプのオカルトバトル漫画群

・うしおととら

・東京入星管理局

・GANTZ

・メン・イン・ブラック

・漫☆画太郎

あたりを足して適当に割ったような感じ。

いろんなジャンルのごった煮というか、カオスな闇鍋みたいな漫画。クリーチャーも宇宙人から妖怪から幽霊から割りとなんでもあり。

「ダンダダン」5巻より(龍幸伸/集英社)

なんとなく見えてきたのは、

・人間(主人公たち)は宇宙人と妖怪の抗争?の板挟みらしい

・主人公の失われたキンタマを取り戻す

・隠れカリスマ霊媒師の婆ちゃんへの除霊依頼もこなす

という進行っぽいです。漫画で読んでない人は意味わかんねえなこの文章。

前巻の続き、呪いの家編の途中から途中まで。

まあ今巻ではエピソード完結までには至らず、主人公たちがピンチに転がり落ちた底で「待て次巻!」なんですけど、描写のテンションの高さも相まって「エンタメホラー」とでもいうか、読み応え十分。

「ダンダダン」5巻より(龍幸伸/集英社)

オカルトメインで「敵」の宇宙人やら妖怪やらと対峙する「災厄vs人類代表」的なエピソードがここまで続いてきたんですけど、今回は超常現象に加えて「人間の悪意」も絡んでることでよりエグみが。

「人間の悪意」が本人たち主観では「使命感」「正義感」と表裏一体なのがまた。これ、描こうと思ったら主人公たちを悪役に、鬼頭家を主役に反転させた物語も描けなくはない設定なんですよね。

大きな縦軸的には「戦える仲間」が増えそうな話で、王道を外すことに血道をあげつつ王道に回帰する、みたいな展開に。

「ダンダダン」5巻より(龍幸伸/集英社)

未だに作品としての縦軸・最終目標・ラストバトル像が提示されてない漫画なんですけど、そのことが不規則性や不安定さを生み出して読者の予想がつかないことがそれこそオカルトじみた魅力を生んでいて、このままどこまで転がっていくのか楽しみな作品。

巻末1/5ぐらいの尺を使って短編エピソード『缶蹴りをしよう』を収録。

「ダンダダン」5巻より(龍幸伸/集英社)

これまた校舎を舞台にしたラン&ガンの躍動感と、ナンセンスなすげービジュアルw

 

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