#AQM

あ、今日読んだ漫画

#カグラバチ 1巻 評論(ネタバレ注意)

「斉廷戦争」から15年。

『カグラバチ』1巻より(外薗健/集英社)

戦争を終わらせた六振りの妖刀を世に送り出した日本随一の刀匠・六平国重は、息子を見習い弟子に刀を打ち続ける穏やかな日々を過ごしていた。

が、「毘灼」を名乗る妖術士集団に工房を襲われ、六平は死亡、回収され秘蔵されていた六振りの妖刀も強奪され、14歳の息子・チヒロだけが遺された。

『カグラバチ』1巻より(外薗健/集英社)

3年後、生き残ったチヒロは、父の仇である「毘灼」を追い、奪われた六振りの妖刀を回収すべく、名工・六平国重が遺した七振り目の妖刀を手にとっていた。

という週刊少年ジャンプ本誌連載のバトル漫画。

ずっと前に漫画『バクマン』で

「日本刀が出てくる漫画は人気が出る」

的なことが言われていましたし、

『カグラバチ』1巻より(外薗健/集英社)

本作の表紙を見て

「また日本刀バトル漫画か」

と思ったんですが、思ったそれ以上に刀にフィーチャーした漫画でした。

過去のジャンプのいろんな大ヒット作の匂いがして「どれのアシスタントだったんですか」と訊きたくなるような、

『カグラバチ』1巻より(外薗健/集英社)

画面はあらゆる意味で近年の正統派ジャンプ・バトル漫画という感じ。

剣戟アクションというよりは能力バトル寄り。

「刀社会」となり妖術士が跋扈し裏社会と繋がる日本と東京、妖術とそれの源となる「玄力」、妖術を駆使し取り締まる国家機関「神奈備(かむなび)」、

『カグラバチ』1巻より(外薗健/集英社)

不死の力を持つ鏡凪一族の少女。

六振りの妖刀が持つ力とは、「斉廷戦争」とは誰と誰の戦いだったのか、チヒロの出生が「斉廷戦争」の終戦前後と符合することに何か意味があるのか。

世界観と主人公の設定の顔見世も終わってない1巻で、現時点で面白いもつまらないもクソもないですが、「悪・即・斬」でテンポよく進んで、全貌もまだ見えてないだけに「切る」にはもったいない、2巻も読んでみよう、と思わせる1巻。

『カグラバチ』1巻より(外薗健/集英社)

最初の「サビ」は3巻ぐらいかな?

 

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#シメジ シミュレーション 5巻 【完】 評論(ネタバレ注意)

中一で学校が嫌になり、科学者?の姉と二人暮らしの団地の押入れに引きこもっていたら頭からシメジが生えてきた月島しじまは、一念発起して押入れを出て受験して高校に通うことにした。

『シメジ シミュレーション』5巻より(つくみず/KADOKAWA)

高校では読書をして他人との交わりを持たないつもりだったが、頭に目玉焼きを乗せたメガネっ子の山下まじめがグイグイくるので、友達になる。

2人は穴掘り部に入部したり、美術の授業を受けたり、ファミレスに行ったり、頭のシメジが増えたり、学校をサボったり、お泊まり会をしたり、姉の作ったおかしな機械でおかしな夢を見たりする。

『少女終末旅行』のつくみず先生の現作は、女子高生2人の少し不思議なんかファンタジーなダルくてユルくてアンニュイな不条理日常4コマ。

4コマ漫画ですが、半分ギャグコメディ、半分は詩という感じ。

『少女終末旅行』の主人公、チトとユーリも意味があるのかないのか、毎巻必ずカメオ出演。

今巻で完結。

『シメジ シミュレーション』5巻より(つくみず/KADOKAWA)

何かの研究者であるところの、しじまの姉によって、世界は人が思念したように形を変える世界に改変されてしまった。

そして人によって思念の形が違うため、人々の思念によって世界はめちゃくちゃになった。

しかし、意外と誰も困っていなかったので、めちゃくちゃになった世界で人々も、しじまとまじめも、それなりに順応して暮らしていた…

漫画を語るにあたってなるべく自分の言葉で語りたいなと思いますが、哲学的でエンタメとしては難解です。

完全な理解が及ばないのは哲学に関わる学と教養が足りないせいか、感性に乏しいせいか、私がつくみず先生ではない別の人間であるせいか。

『シメジ シミュレーション』5巻より(つくみず/KADOKAWA)

類似のテーマを持った過去作品群に喩えたい衝動をグッと我慢して、自分なりに自分の言葉で。

それぞれの人が望んだとおりの形を取る世界になった。

そのことによって、各人はそれぞれが望むモノの囲まれて過ごすようになり、あるいは個で孤であることに耐えきれず他者と溶け合って、社会は溶けた。

まじめと一つになることを拒んだしじまは孤独になり、世界を溶かしたことを後悔する姉と再会した。

姉は世界を遡行して元に戻して自ら消えることを望み、その望みは叶えられ、人々は個を取り戻したが、同時に孤となった。

そして…

『シメジ シミュレーション』5巻より(つくみず/KADOKAWA)

あらすじで語ると、そういうお話かなと思います。一応、ストーリーらしきものは在ります。

さて。

結末まで読んだ上での解釈や受信したメッセージ、どうも何を書こうと思っても

「そんな陳腐に説教くさい作品だっただろうか?」

と我ながら首を捻ってしまいます。

強いて言えば個で在りながら孤で居られない二律背反とか、そういう感じ。

『シメジ シミュレーション』5巻より(つくみず/KADOKAWA)

思ったことをそのまま描けば、夜や宇宙の闇、孤独の持つどこか懐かしい暖かさが強く印象に残ったこと、

あらすじはともかく、こう思索しこう表現したつくみず先生の心象を、理解を拒まれているわけではないにも関わらず、自分が一生、完全には理解できないであろうこと、

にも関わらず、この作品をこの先の人生で何回か何十回か読み返しては

「わからんけど、なんか好きだから、もっかい読もう」

と思うんだろうな、ということ。

幼少の頃、描かれている全てやその背景を理解できなくても、それでも好きだった絵本や童話や詩がたくさんあったことを思い出しました。

うーんわからん、でもなんか心地良く、何かに触った感じがします。

何に触ったかは、まだわからない、言葉にできない。

『シメジ シミュレーション』5巻より(つくみず/KADOKAWA)

今度もっかい読もう。

 

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#いっていっぱいいって 【完】 評論(ネタバレ注意)

位置原光Zによるオムニバス短編集。艶っぽくて良いタイトル。

『いっていっぱいいって』より(位置原光Z/白泉社)

昨年はアダルト向け漫画誌「快楽天」(ワニマガジン社)に連載されたショート漫画をまとめた単行本『青春リビドー山』がKADOKAWAが出ましたが、

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今作は白泉社の恋愛・ラブコメ漫画専門誌「楽園 Le Paradis」連載の短編をまとめた単行本を同じく白泉社から。

『いっていっぱいいって』より(位置原光Z/白泉社)

同作者の過去刊『性懲りショートステイ』の続巻と言って良いと思います。

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「楽園 Le Paradis」誌を直接は読んだことないんですけど、位置原光Z先生の白泉社の単行本はなぜかセリフが写植じゃなくて手書きなんですよねw

ジャンル?作風?は、出版社・単行本を問わず「エロ下ネタギャグラブコメ」でいいのかな?という感じ。

『いっていっぱいいって』より(位置原光Z/白泉社)

いわゆる「18禁」要素というか「濡れ場」や「ハダカ」は出てこない、まあ言ったら若い男女のシュール・ナンセンスな会話劇なんですけど、ほとんどの短編においてその若い男女が終始ムラムラしながらアホみたいな会話をしていて、笑えるのにエロいですというか、エロいのに笑えますというか。

性的でナンセンスな一言から始まるトンチキ会話芸、というのが一つの型なんですけど、

『いっていっぱいいって』より(位置原光Z/白泉社)

自分この作者の単行本全部持ってるんですけど、展開が似てくる一つの型でありながらネタのバリエーションが豊かというか、

「次から次へとよくネタが浮かぶな〜」

と感心する系と言う意味で、ちょっと『姫様拷問』も思い出します。

『いっていっぱいいって』より(位置原光Z/白泉社)

アダルト誌の「快楽天」系に比べるとラブコメ誌の「楽園」系は気持ち「ラブコメを意識」しているの、か?気のせいか?という。

面白くてエロいんですけど、あとムラムラしてる男女がなんか一生懸命で可愛いんですよねw

短編集なんで初登場で出番が短いキャラばっかりなんですけど、

『いっていっぱいいって』より(位置原光Z/白泉社)

なんかお気に入りキャラになっちゃうっていうw

 

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#神さまがまちガえる 4巻 【完】 評論(ネタバレ注意)

百合漫画『やがて君になる』の作者の現作。

ほぼ現代の日本。世界は少し、おかしくなった。

『神さまがまちガえる』4巻より(仲谷鳰/KADOKAWA)

異常気象ならぬ、異常現象・超常現象が断続的に起こるように。

「周期性例外事象」、通称「バグ」。

ある時は1日が27時間になったり、ある時は人類全員が突然迷子になったり。

大規模・影響大なバグは短期で収束し、逆に小規模・影響小なバグは長期化する傾向に。

政府の「例外庁」が収束予測を発表する世界。

『神さまがまちガえる』4巻より(仲谷鳰/KADOKAWA)

主人公の中学生男子の"紺"は親元を離れて(?)シェアハウスに下宿。

ヒロインの、シェアハウスの大家の美女"かさね"は、兼業で大学の教員・バグの研究者。

世界規模で起こるバグは当然、彼らが暮らすシェアハウスや紺の通う中学校でも発生し、今日も紺はかさねの助手として、バグの不思議と向き合うのだった。

という、非日常を舞台にした日常もの。

『神さまがまちガえる』4巻より(仲谷鳰/KADOKAWA)

発生するバグは人死にが出たりする深刻なものではなく、「神様が地球にいたずらしたような」ものが中心。

作品全体のテイストものほほんとした日常ものテイストで、主人公たちが解決に向けて活躍する、というよりは「わー、ちょっと困るけど、おもしろーいw」とリアクションしてる間にバグが勝手に解消するものがほとんどです。

『神さまがまちガえる』4巻より(仲谷鳰/KADOKAWA)

ざっくり言うと「おねショタSF日常もの」、と形容して良いと思います。「おねショタ」という言葉が想起させるほど恋愛要素はなく「仲良し」ぐらいの匙加減。

今巻で完結。

日常回を重ねた後、ラスト2話でストンと完結しました。

クライマックスのバグは「世界からバグが無かったことになるバグ」。

ラストっぽいw 最初から決めてたラストですかね。

出自が不明だった紺の謎は既に明かされていますが、もう一つの謎、ヒロイン・かさねだけがバグの影響を受けない「特異点」である原因・理由は明かされないままでした。

ついでに「おねショタ匂わせ」も特に進展ありませんでした。

『神さまがまちガえる』4巻より(仲谷鳰/KADOKAWA)

自分は自分以外のこの作品の感想を読んでないのでわかりませんが、読者層が違ったりもっと広かったりしたら「伏線放棄!」との指摘があったかもしれません。

自分は、「楽しかったし、まあいいか」と思います。

小品で自分がそこまで入れ込んでなかった、ということなのか、これもバグのせいなのかw

そういえば、漫画作品が2〜3巻で完結すると打ち切りっぽく感じるのに、4巻だとそう感じないのも、バグのせいでしょうかw

『神さまがまちガえる』4巻より(仲谷鳰/KADOKAWA)

ゆるい不条理SFシミュレーターとして楽しい作品でした。

 

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#バーナード嬢曰く。 7巻 評論(ネタバレ注意)

読書するのはめんどくさいが読書家を気取りたい一心で、読んだことにするふりに腐心する女子高生・町田さわ子、自称「バーナード嬢」と、その友人たちの読書語り。

『バーナード嬢曰く。』7巻より(施川ユウキ/一迅社)

読書あるあるネタ、読書家の自意識、SF好きの友人・神林しおりとの無自覚な微百合ネタなど。

ニッチなネタながらアニメ化もされ、いつの間にか作者・施川ユウキの代表作みたいな扱いに。

テーマがテーマだけに「この漫画が好き」であること自体、読書通でインテリ気取れるアイテムになっているメタな面も。

『バーナード嬢曰く。』7巻より(施川ユウキ/一迅社)

初期には「読まずに語るいい加減なさわ子」を「グーパンで殴って修正する読書原理主義に尖った神林」みたいな読書家プロレス的なやりとりがあったんですけど、気がつけば「割りとちゃんと読書するようになったさわ子」と「丸く穏やかになった神林」みたいな感じに。

他、長谷川さんと遠藤くんを含め、読書に対するスタンスが少しずつ違う二律背反を体現した4人が4人とも作者の脳内に住んでんだよな、と思うと奇異に思うより「わかるわかるー」ってなりますよね。

『バーナード嬢曰く。』7巻より(施川ユウキ/一迅社)

という読書家あるあるコメディ。

本の話をしているようでいて、ずっと読む側の自意識の話をしているような作品。

「コンテンツを語る若者たち」という意味で、類似の作品を挙げれば『邦キチ』かなと思います。

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『バーナード嬢』より、もうちょっと「キャラ<取り扱う作品」な作品ですが、アレもキャラがコンテンツを語れば語るほど、読後に残る印象は作品よりもそれを語るキャラだったりします。

『バーナード嬢曰く。』7巻より(施川ユウキ/一迅社)

思うに、好きな本や好きな映画などのコンテンツに触れてそれを語るというのは、新たな知識や考え方、未知の驚きに触れるという面がもちろん強いんですけど、

「自分は何が好きなのか」

「自分は何が嫌いなのか」

コンテンツに触れる自分自身に新たな角度で光を当てて、コンテンツを鏡にして

「自分はどんな人間なのか」

を知っていく過程でもあるんだろうな、と思います。

『バーナード嬢曰く。』7巻より(施川ユウキ/一迅社)

自分も漫画を読んでいて、またその感想を書いていて、

「自分はこういう作品に(喜ぶ・怒る・悲しむ・拒絶する)人間だったのか」

と思う瞬間がちょいちょいあります。

基本的に好きな作品だけを語りたいブログですけど、嫌いな作品を語るのも自分を知るヨスガとして良いのかもしれないな、と思ったりします。

炎上すんのもヤだから、非公開で嫌いな作品についての感想を記録として残す、というのは良いかもしれませんね。

『バーナード嬢曰く。』7巻より(施川ユウキ/一迅社)

と、この感想も自分の話、自意識の話ばっかりw

 

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#幼女戦記 29巻 評論(ネタバレ注意)

サラリーマンがリストラ逆恨みで殺されて成仏の際に神に反抗した罰で、近代欧州っぽい異世界、WW1前のドイツそっくりな帝国の魔導師の素質持ちの女児に転生。

『幼女戦記』29巻より(東條チカ/カルロ・ゼン/KADOKAWA)

戦勝と栄達と安穏な後方勤務を夢見つつ、少佐の階級、エース・オブ・エース「白銀」「ラインの悪魔」の二つ名、第二〇三遊撃航空魔導大隊大隊長として、戦場の空を支配する主人公ターニャ・デグレチャフ11歳。12歳になった。

作画の東條チカ先生は、二毛作で『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のスピンオフ・コミカライズも同時連載で描き始めましたが、力が分散するどころか、なんか却って『幼女戦記』の筆圧も上がってるようなw

『幼女戦記』29巻より(東條チカ/カルロ・ゼン/KADOKAWA)

ロリおね百合ぃ。

帝国(擬ドイツ)東方に国境を接するルーシー連邦(擬ソビエト連邦)に対する偵察侵入。ターニャたちがルーシー連邦へ侵入を果たしたまさにその時、ルーシー連邦は帝国に対する宣戦を布告した…

北のレガドニア、西のフランソワ、南の南方大陸ときて、お次は東のルーシー連邦。

言わずもがなにソビエト連邦をモデルにした国家。魔導士とはいえたった48人で大国・ルーシー連邦の首都・モスコーを蹂躙。

『幼女戦記』29巻より(東條チカ/カルロ・ゼン/KADOKAWA)

あまりに強すぎるその力はそれを怖れる他国をより結託させ、ターニャが最も恐れる「世界大戦」への道を加速させていく…

敵国首都への浸透作戦、敵国首脳を心胆寒からしめることに成功した第二〇三遊撃航空魔導大隊を待っていたのは…

という、大作戦成功の後の、今巻は繋ぎの巻。繋ぎの巻ですが、相変わらずド派手な展開。

『幼女戦記』29巻より(東條チカ/カルロ・ゼン/KADOKAWA)

大国・ルーシー連邦との長大な前線の各所から第二〇三遊撃航空魔導大隊への救援要請が殺到する中、参謀本部から自由遊撃の裁量を任されたターニャの選択は、前線を支える重要補給拠点ながらルーシー連邦軍に包囲され窮地に陥るティゲンホーフ市の救援だった。

味方軍勢の第ピンチに、この作品らしいケレン味に満ち満ちた千両役者の参上からの俺TUEEEE展開。

今巻で前線補給都市であるティゲンホーフ市を救援して、次巻以降はここを拠点に広範な前線を飛び回る展開でしょうか?

『幼女戦記』29巻より(東條チカ/カルロ・ゼン/KADOKAWA)

ルーシー連邦軍が魔導師部隊を導入していないのがちょっと自殺行為にも見えてきますね。

他、ターニャの孤児院時代の幼馴染が地上部隊の士官として登場。狂言回しとして、なんかすんのかな。

相手がルーシー連邦ということもあって「もう一人の祝福者」の出番がないのと、最近

「後世の記者が十一番目の女神の謎を追う」

エピソードが挿入されないことが増えましたね。

『幼女戦記』29巻より(東條チカ/カルロ・ゼン/KADOKAWA)

アレ好きなんで、またたまにやって欲しいな。

 

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#ゾンビさがしてます 3巻 【完】 評論(ネタバレ注意)

『三ツ星カラーズ』『ひとりぼっちの○○生活』の作者・カツヲの新作は、ポストアポカリプスなゾンビもの。

作品テーマ変わりすぎワロス。

『#ゾンビさがしてます』3巻より(カツヲ/KADOKAWA)

13年前、人類社会は通称「あかいひ」を迎え、人口の9割が死亡するかゾンビ化した。

わずかに生き残った人類は都市部を離れて隔離された村で細々と命脈を保っていたが、当時、幼かったり生まれていなかったために「あかいひ」の記憶を持たない新しい世代の若者たちが育ち、都市部を奪還すべく行動を始めた。

アキ、ハル、ナツキは村を抜け出し、古びたオート三輪を駆って旧都市部へと向かう…

という、ポストアポカリプスなゾンビもの。第1話で同じく人間の生き残りの少女、ユウとサクラを拾っての5人旅。

仲間を増やしショッピングモールに立て籠もり武器を作ってゾンビを撃退し、わずかな生き残りたちに邂逅しながら、残された写真を頼りに昔に村を出たアキの父親、そして「あかいひ」の謎に近づいていく…

という、およそゾンビの王道展開要素を全て詰め込んだような、コメディ要素こそあるものの「ゾンビもの」に対して真正面からガップリ四つで取り組むような作品。

『#ゾンビさがしてます』3巻より(カツヲ/KADOKAWA)

シリアスで深刻な展開もありつつも、表紙ヒロインのアキがどこか『三ツ星カラーズ』のさっちゃん的というか、楽天的かつバカパワー溢れるキャラ造形。

線は変わりつつも女の子が可愛いのはそのままで、脇を固めるキャラクターたちもいいキャラ揃い。

自分はホラーが苦手なのと、ゾンビものは絵ヅラが汚くなるのであんま好きではないんですけど、意外と楽しく読めてます。

さて、今巻で完結。

『#ゾンビさがしてます』3巻より(カツヲ/KADOKAWA)

「ええ、もう!?」

というアレっぽい感じ、だいぶ巻いた感じで完結しました。

アポカリプスの謎も一応、示されはしたんですけど、良くも悪くも

「それがどうした」

というか。

ヒロインのアキのリアクションも割りと「それがどうした」でしたよね。

『#ゾンビさがしてます』3巻より(カツヲ/KADOKAWA)

この世界で生きていくことには何も変わりがない、という。

正直、なにかの映画で観たことあるようなオチではありますし、煮え切らなさも感じなくはないです。

が、「死後の世界」を知らない我々の現実のメタファーでもあって、「そういうもんかな」という気も。

『#ゾンビさがしてます』3巻より(カツヲ/KADOKAWA)

「死後の世界」がよくわからなくて煮え切らなくても、「上の世界があるから」「どうせいつか死ぬから」と言って、今日生きることをやめないのは変わらないんですよね、っていう。

エンディング、昔読んだ『ぼくらの七日間戦争』の

「解放区より愛をこめて」

を少し思い出しました。

作者がこの作品で本懐を遂げられたのかどうか自分はわかりませんが、ゾンビものに限らず、

『#ゾンビさがしてます』3巻より(カツヲ/KADOKAWA)

仲間と一緒に「解放区」に立て籠もるシチュは、ロマンがあって少しワクワクしました。

 

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#刷ったもんだ! 11巻 評論(ネタバレ注意)

元ヤンキーな青春を送り、SNSで漫画クラスタに入り浸る漫画好きの真白悠(♀)は中小企業の虹原印刷(株)に就職。

『刷ったもんだ!』11巻より(染谷みのる/講談社)

企画デザイン課に配属され、印刷物のデザイン、データ作成・出力、校正を担当。担当する仕事は選挙のチラシからエロ同人誌までなんでもあり。

という印刷会社のお仕事日常漫画。

取材もしてんでしょうけど、1巻巻末の「Special Thanks」に「元勤め先の皆さま」とあり、作者が経験者なんですね。「NEW GAME!」と同じパターン。

『刷ったもんだ!』11巻より(染谷みのる/講談社)

人の生き死にに関わらない、世界も救わない、地味で実直ですけど、ウェルメイドなお仕事もの。

ラブコメ要素、元ヤン・姉御肌・武闘派の不器用女子の淡い恋も、とても可愛らしいw

前巻、「飛び道具」というか、ステレオタイプの「スカッとジャパン」的なトラブルメーカーで話を回すエピソードが多かった印象ですが、今巻は

『刷ったもんだ!』11巻より(染谷みのる/講談社)

・社内の女子LINEグループに疲れた話

・偉いさんが仕事と半端に繋がった草野球の「案件」を急に持ってくる野球回

・葉田さんの課長昇進お祝い飲み会

・気が重い、離れた実家からのトラブル連絡

『刷ったもんだ!』11巻より(染谷みのる/講談社)

・超イケメンで縦社会に超適応してるけど微妙にドジな新人男子と、指導に悩む先輩男子

と、トラブルメーカーがまったくいないわけじゃないけど、誰が悪いというわけでもなく…という、社会人あるあるというか、身につまされる匙加減。

自分も郷里を離れてあんまり帰省とかしないので、真白の「ズーン…」っていう罪悪感?後ろめたさ?憂鬱感?刺さるわぁ…

『刷ったもんだ!』11巻より(染谷みのる/講談社)

「旧弊的な組織や人間関係やトラブルメーカーが許せない!」

と一方的に他人に怒りをぶつけられるほど、自分が完璧なわけじゃない、その自覚もないわけじゃないんですよねえ…

と、観に覚えにちょっと凹んで身につまされつつも、基本的に性善説というかハッピーエンド志向というか、エンタメしつつも読んで「そうだな…自分もがんばろう…」と思える匙加減。

『刷ったもんだ!』11巻より(染谷みのる/講談社)

とりあえず、イケメン新人くんがいい奴なのと、真白の見合い話とかになんなくてよかったわw

 

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#スーパーの裏でヤニ吸うふたり 4巻 評論(ネタバレ注意)

ブラック労働環境気味な会社で働く40代(前巻で45歳に確定)サラリーマンの佐々木。

日々の唯一の癒しは、会社帰りに寄るスーパーの2番レジ担当、清楚で可憐な山田さんの明るい営業スマイルだった。

山田さん不在で「ファン活」が空振りに終わったある日、喫煙所を探す佐々木を手招きする女。

スーパーの裏の従業員用の喫煙スペースに佐々木を手招きした、後に「田山」という名であることが判明する喫煙者のその女は、「山田さんの同僚」を名乗り、佐々木が山田さんのファンであることも承知だった。

『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』4巻より(地主/スクウェア・エニックス)

かくして、スーパーの2番レジで清楚で可憐な山田さんの笑顔に癒される佐々木の日常に、その後スーパーの喫煙所でワイルドでジト目で「んははは」と笑う"はすっぱ"な田山さんと雑談するルーチンが加わった。

山田さんと田山さんが同一人物だとも気づかず…

という大人の?未満恋愛ラブコメ。

『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』4巻より(地主/スクウェア・エニックス)

1巻発売の1週間後ぐらいにタイミング良く一昨年の「次にくるマンガ大賞」WEB部門の1位獲った話題作。

本作で正体を隠しているヒロイン、山田=田山は「すぐバレるだろう」「ちょっとからかおう」と必然性なく軽い動機で正体を隠すことを始めたものの、佐々木が延々気づかないので言い出すタイミングを失って、

「佐々木が未満恋愛で2人の女性に好意を持っているような状態」

「山田=田山のペルソナ間でヤキモチを焼く状態」

など、必然性のない軽い土台の上に、一人二役が織りなす三角関係めいた人間関係の機微やちょっとしたドラマが始まってしまっています。

『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』4巻より(地主/スクウェア・エニックス)

「山田=田山」の役割分担は、いわゆるSNSの「裏垢」そのもの。バレても世界は滅びないけど、今の居心地の良い関係が壊れるのは怖いよね、っていう。

佐々木の年齢が45歳で確定したので、24歳の山田山とは21歳差。

わかりやすく説明するためのジャンルとしては「未満恋愛ラブコメ」に分類されるべきなんでしょうけど、描写を見ると作者はまだ2人の関係にラベルを貼りたくないのかな、という感じもします。

『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』4巻より(地主/スクウェア・エニックス)

さて。

4巻まででちょっとずつ脇役を増やしつつも、タイトルがタイトルなので群像劇にはあんまりいかず、という感じ。

主人公の二人にスポットを当てつつ、二人の年齢の割りには(失礼)未満ラブコメをじっくりやってます。

居心地の良い関係に安住して互いに癒しを得つつ「この関係が失われるのは怖いなあ」と思っているのも相変わらずですが、

「相手には客としか思われていない」

「相手には推し店員としか思われていない」

「相手にはタバコ友達としか思われていない」

とも互いに思いつつも、

「自分は相手のことを異性として好きかもしれない」

と4巻にしてようやく自覚が、二人ほぼ同時に芽生え始めました。

『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』4巻より(地主/スクウェア・エニックス)

互いに成人の独身同士で一見「恋の障害」はないように見えて、

佐々木には「自分はだいぶ年上のおじさんだ」、

山田山には「自分は佐々木に嘘をついている」、

という引け目があって、年齢の割りには(失礼)ここからが長そうでもありますね。

大人になってもというのか、大人になったからこそというのか、「勇気を出すのが怖い」というより「今の関係を壊すのが怖い」というか。

特にこの二人の社会的なつながりはだいぶ細く、互いの好意以外の必然性がない関係ですし。

「自分が佐々木の立場だったら」と考えると、好意を自覚しても伝えないだろうなー。

『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』4巻より(地主/スクウェア・エニックス)

という、いい歳して(失礼)未満恋愛なじれったさを楽しむ漫画です。

今巻も、良い。

 

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#望郷太郎 10巻 評論(ネタバレ注意)

『デカスロン』『へうげもの』の作者の現作。

突如地球を襲った大寒波に際し、財閥系商社・舞鶴グループの創業家7代目、舞鶴通商のイラク支社長・舞鶴太郎は、駐在するバスラで極秘に開発させていた冷凍睡眠シェルターに妻と息子を伴って避難。1〜2ヶ月の冷凍睡眠で大災害をやり過ごす心算だった。

『望郷太郎』10巻より(山田芳裕/講談社)

しかし太郎か目を覚ますと、隣で眠っていた妻も息子もミイラ化し、装置が示す数値はあれから500年が経過していることを指し示し、シェルターの外には廃墟と化したバスラの街並みが広がっていた。

人が絶えたように見える世界を前に太郎は、自らの死に場所を娘を残してきた故郷・日本に定め、長い旅路を歩き始める。

旅路で出会う、わずかに生き残った人類たちは、過去の文明の遺産を再利用しながら、狩猟と採集で食いつなぐ原始に還った生活を営んでいた。

で始まるポストアポカリプスなサバイバルなロードムービーもの。

『望郷太郎』10巻より(山田芳裕/講談社)

としてスタートした作品ですけど、もう既にジャンルが少し変わったというか本質が表れていて、実態は原始環境における経済もの、「金と人間」をテーマにした作品に。

周辺の村々を経済と軍事で支配する大国、マリョウ王国へ。

作品の大目的は日本に帰還して、残してきた娘の消息を探すことだったと思いますし、地理的には日本にだいぶ近づいてきているんですが、モンゴル自治区のハイラルやフルンボイル(作中ではマリョウ王国)で、足止めというかなんというか。

マリョウ王国では、国王を頂点にした階級社会でありながら、国王から独立した中央銀行、そして国王から独立した議会と選挙、間接民主主義が既に始まっていた…

『望郷太郎』10巻より(山田芳裕/講談社)

ということで、旧知ながら国母となったプリを頼って、ヤープト村をマリョウ王国の対等な外交相手に認めさせることが目的…だったはずが、クエスト形式に仕事が増えて膨らんで、気がつけばマリョウ王国の議員に立候補しつつ、紙による金銭(マー)・紙幣の発行に着手、経済、政治、軍事、ときて宗教も絡んでくることに。

引き続き選挙活動、それ以上に紙幣の普及活動と、既得権益を持つ対抗勢力との暗闘。

マーとは、通貨とは、カネとは一体何なのか。

マリョウ王国を舞台にがっつりと権力闘争が繰り広げられますが、闘争の戦線が多方面に拡大して、複雑ではないにしても複線で同時進行、終盤で絡み合ってきそうというかどう考えても絡み合う感じ。

・選挙戦

・戦車戦

・紙幣発行権の争奪戦

の3軸に、それぞれのキャラクターの思惑が絡んで、というところ。

『望郷太郎』10巻より(山田芳裕/講談社)

太郎の切り札も当初は「人類社会最盛期の知識」「マーの原石」「盟友・パルの武勇」だったのが、その後の「紙幣発行」に加えて今巻でとうとう「ガソリンの精製」「ガソリンエンジンの復活」とずいぶん増えましたが、それらを総動員しての多方面での総力戦。

複数の縦軸で多くのキャラの思惑が絡み合いながらも、一本に収束していく気配が見えたところで、今巻で戦車戦が決着。

「サプライズニンジャ理論」

という概念があって、

dic.pixiv.net

作劇に際して

「あるシーンで突然ニンジャが現れて、全員と戦い始める方が面白くなるようであれば、それは十分によいシーンとは言えない」

という、作劇・シナリオの心得とでもいうのかな。

信憑性というか、どれほど説得力を持って認知されてる「理論」なのかは自分もよくわかりませんが。

なんつーか今巻、「サプライズパンダ」な気がしなくもないですw

『望郷太郎』10巻より(山田芳裕/講談社)

なんなんだよ、この世界観のパンダはよwww

ガソリンを復活させた太郎のバイク行とか、脱獄したエプターの行方、なにより選挙の行方など気になることはまだ多々あるんですけど、とりあえず今巻はサプライズパンダが全部持っていきました。

人間が持つ業に基づいたキャラの動機づけ、複雑・緻密に広げた風呂敷、の畳み方・オチの付け方としては、現時点では雑というか、やっつけ感も感じなくはないですけど、まだ「エピソードの途中」ですし。

とりあえず課題が一つ・キャラが1人片付いて、

『望郷太郎』10巻より(山田芳裕/講談社)

収束に向けて状況がちょっとシンプルにはなりましたかね。

 

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#だんドーン 2巻 評論(ネタバレ注意)

1巻の川路利良に続いて、2巻の表紙は小松帯刀。お、西郷じゃないんだね。

モーニング誌で連載、TVアニメ化・TVドラマ化もされるなど好評のうちに第一部が完結した、

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『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』作者・泰三子の新作。

『だんドーン』2巻より(泰三子/講談社)

幕末、黒船の来航によって徳川260年の治世の太平は破られ、幕府を頂点とした武士階級による国論は割れ、それは将軍位の継承問題にも及んだ。

後の徳川慶喜を推す一橋派の急先鋒、薩摩藩主の島津斉彬は、茫洋とし空気が読めないながら大器の片鱗を感じさせる藩士・西郷吉之助を西洋の英雄・ナポレオンになぞらえ、新時代の日本のリーダーとなってくれることを期待し重用。

動乱の時代の重要人物として徐々に頭角を表し、幕府や他藩からも警戒される存在となりつつあった西郷の、そのサポート役として白羽の矢が立ったのは、西郷と同じく賢君・斉彬公に心酔し、目端が効いて空気も読めて、悪いことも考えられちゃうツッコミ役の便利マン藩士・川路正之進。

『だんドーン』2巻より(泰三子/講談社)

後の明治政府下における初代の大警視(警視総監)、川路利良その人だった。

動乱の時代、果たして川路は斉彬公の命のもと、西郷吉之助のサポート役として日本を近代化に導くことができるのか…

薩摩藩士から幕末を経て明治初期に維新政府の要職を務め、「近代警察の父」「日本警察の父」渾名され、その語録が未だ警察官のバイブルとして読み継がれる、史実の人物・川路利良の伝記フィクション。

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漫画好き向けにメジャー作品を使って説明しようとすれば、『るろうに剣心―明治剣客浪漫譚―』で「斎藤一の上司の警視総監だった人」という説明がわかりやすいでしょう。

『るろうに剣心―明治剣客浪漫譚―』7巻(和月伸宏/集英社)

小柄で封建的な役人然として描かれてはいるものの、元・新撰組の斎藤一を怒鳴りつけ、喧嘩番長の左之助と胸ぐらを掴み合うなど、レギュラーで武闘派の大男相手に怯む様子のない、気骨のあるおっさんとして描かれました。デコッパゲてw

史書に残っていない人物の性格や言動のディティールは、作家の癖・好み・エンタメサービス精神に基づいた想像で「面白おかしく」「わかりやすく」補完されるフィクション。

自分は出身が鹿児島なのと、司馬遼太郎をひと通り通読済みなこともあって、毎度お馴染み郷土の有名人たちが活躍するお話、楽しく読めてます。

『だんドーン』2巻より(泰三子/講談社)

「南紀派」筆頭の彦根藩主・井伊直弼の大老就任に危機感を強めた、「一橋派」として一橋慶喜を推戴する薩摩藩藩主・島津斉彬は、朝廷に直談判すべく兵を率いての上洛を画策。

井伊直属の「多賀者(忍び・スパイ)」の棟梁・タカは、旅芸人を装って「生きては帰れぬ」と称される薩摩藩に単身潜入、島津斉彬の暗殺を企てるが…

ということで、「南紀派」と「一橋派」の暗闘・勢力争いをじっくりと。

『だんドーン』2巻より(泰三子/講談社)

作中の作者のエッセイによると、エンタメ的に「安政の大獄」以降からスタートする予定だったものが、作者の「井伊直弼への執着心」から、その前日譚のような地点から作品スタートすることに変更されたのだそうです。

井伊直弼って歴史の教科書上は

「『安政の大獄』で反対派を弾圧し、『桜田門外ノ変』で暗殺された人」

なんですけど、そこの経緯を作中キャラ目線でじっくりと、セットで島津斉彬公と、彼に心酔する西郷や川路の強い動機にも脚光が。

編集の指摘通り、作品のサビはもっと後でしょうが、長いイントロも読み応えのある仕上がりに。

『だんドーン』2巻より(泰三子/講談社)

今巻は、怪物・タカの島津潜入、井伊直弼の大老就任、小松帯刀登場、島津斉彬公の急死、「戊午の密勅」まで。

年表に準拠したシリアス・イベントの間を、『ハコヅメ』以来の軽妙なコミカルな会話劇のギャグコメディで埋めていく作風。

硬くなりがちな歴史フィクションを、キャラ中心に楽しく読める工夫がなされつつも、『ハコヅメ』で見せていた「社会や組織、人間の闇」は時代性もあってより濃くなっています。

次巻は安政の大獄と、大久保利通登場とのこと。

『だんドーン』2巻より(泰三子/講談社)

読む方もじっくりいきましょう。

 

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#であいもん 16巻 評論(ネタバレ注意)

京都の老舗の和菓子屋の実家にバンドの夢を諦めて?帰ってきた跡継ぎ息子・和(なごむ)と、実家が事情あって預かってる小学生の女の子・一果(いつか)を軸にした和菓子屋さんの日常もの。

『であいもん』16巻(浅野りん/KADOKAWA)

元カノや片想いの女子高生や隠れ女装男子と「ハーレムものかよオイ」といいたくなる脇役たちに負けないツンデレ小学生のヒロイン力。

こないだ中学生になりました。

和菓子+父娘もの+職人+京都の四季+ラブコメ少々という感じ。

『であいもん』16巻(浅野りん/KADOKAWA)

長く作品の縦軸だった一果の父親の謎や一果の身の振り方もだいぶ前に一件落着しまして大きなテーマは消化して、現在は基本単話完結、味わいが深い平穏な日常モード。

一果たちの中学の文化祭、茶道部の1年生たちは3年生に負担をかけないようにと張り切るが…「静坐一味友」。

京都中の和菓子屋を「倭世」という名の女性を探して訪ねて回る怪しい探偵、「倭世」は和のばあちゃんの名前だった…「薄く濃く 今日咲きあえる」。

『であいもん』16巻(浅野りん/KADOKAWA)

和が考案した企画がカフェバーのメニューになり雑誌に掲載、「和菓子屋の若旦那」然としてきた和の、周囲の人々の感慨。「後の月」。

なでしこ保育園の草護先生は、ハロウィンのおやつの時間にアレルギーリスクの低いお菓子作りイベントを企画して悪戦苦闘。「小春空に実る」。

大学生になった鷹辻は、高校時代の同級生だった美弦ちゃんの歌声を忘れられずにいた。「秋冬プリズム」。

『であいもん』16巻(浅野りん/KADOKAWA)

「和菓子屋さん漫画」「京都漫画」「日常漫画」

として、時代の変化の影響を取り入れつつも社会の喧騒から切り離されているかのように、静かに調和して受け継がれていく、美しい空間。

秋を舞台にした表紙イラストであらためて思ったんですけど、

『であいもん』16巻(浅野りん/KADOKAWA)

京都を舞台にした四季の変化や、色とりどりの和菓子の美しさ、今さら言うことでもないですが、最もフルカラーで見たくある作品。

モノクロから想像を膨らませるのも乙なものですが、京都に住んでる人はこの世界を実写でフルカラーで日々目にしているのかと思うと羨ましく…

『であいもん』16巻(浅野りん/KADOKAWA)

いやいや、世界の美しさを知るには、まずは身近な地元から。

 

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#カワイスギクライシス 8巻 評論(ネタバレ注意)

宇宙を股にかけて版図を広げるアザトス帝国。

『カワイスギクライシス』8巻より(城戸みつる/集英社)

その辺境調査・侵略を任務とする宇宙船が地球に接近。凄腕美少女エージェントのリザは先遣調査員として地球に潜入、帝国の地球への対応を決定づけるべく調査を開始。

人類の文化レベルを調査すべく入った飲食店「猫カフェ」で、この世のものとは思えない生物と遭遇してしまう…

という、猫を知らない宇宙人が地球で猫に出会ってメロメロになる話。

『カワイスギクライシス』8巻より(城戸みつる/集英社)

宇宙のペットはあんま可愛くないらしく、猫の可愛さへの耐性ゼロの彼女たちが繰り広げるドタバタコメディ。

猫を通じて地球人の友人が増えたり、母船から追加のエージェントが派遣されたりするけど、基本的に猫・犬・ハムスターなど地球の生物のモフモフな愛らしさに悶絶してるだけの漫画。

『カワイスギクライシス』8巻より(城戸みつる/集英社)

ジャンルは「馬鹿馬鹿し可愛い面白い」。

「狂騒」という言葉がぴったりのにぎやかなドタバタギャグコメ。

割りと出オチな作品なんですけど、動物の可愛さに対する狂気じみたリアクションをベースに、

・登場する動物を増やす

・動物の可愛さに悶絶するキャラを増やす

・動画サイト、SNS、近所付き合い、動物の誕生日、海水浴お出かけ、などの動物飼育におけるシチュを増やす

・スペースオペラっぽい設定に沿ったSFシチュを増やす

『カワイスギクライシス』8巻より(城戸みつる/集英社)

などなどの要素追加とその組み合わせで延々面白いです。

今巻、読んでるこっちの体調やメンタルの問題なのかなんなのか、いつにも増して、やたらキレキレで面白かったように感じたのはなんだろうw

動物の可愛さに悶えて絶叫・発狂・阿鼻叫喚、が基本パターンのギャグコメですけど、一歩引いて冷静になったりメタ視したり、なのに狂気じみてて、緩急なんですかね。

『カワイスギクライシス』8巻より(城戸みつる/集英社)

明日もっかい読んでみたら印象変わるのか、次巻を読んでも同じように面白いのか、「戦いの中で成長している」的なやつなのか。

ギャグコメって描いてる方も読んでる方も、中弛みというか、パターン飽きやシュール酔いでだんだん面白いんだかなんだかよくわかんなくなっていくことが多い中、

『カワイスギクライシス』8巻より(城戸みつる/集英社)

8巻なんて中途半端な巻数で「いつにも増して、やたらキレキレで面白かった」なんて珍しい。

 

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#バトゥーキ 17巻 評論(ネタバレ注意)

女子中学生・三條一里はブラジル・マフィアの現ボスの落とし胤だったが、本人はそのことを知らず、組織の末端構成員の夫婦に日本で育てられた。

『バトゥーキ』17巻より(迫稔雄/集英社)

組織構成員B・Jは組織の跡目争いに一里を参加させるべく、育ての両親を誘拐。

同じ頃、カポエイラ(カポエラ)と出会い夢中になった一里は、両親を人質にとったB・Jの脅迫と指示により、高校生となって以降もカポエイラの腕を磨き、B・Jが充てがう強者たちを相手に実戦を重ねていく。

急展開、一里のルーツであるブラジルから、ルーツであるマフィアの一族郎党が大挙して来日。

『バトゥーキ』17巻より(迫稔雄/集英社)

突然の同時多発的ラストバトル。

一里 vs 超絶フィジカルを誇る姉のアグリ戦、別場で孤軍奮闘する純悟 vs レグバ。

レグバ以外にもギャングに囲まれて絶体絶命の純悟の前に現れた意外な援軍。

ストーリーなんかありゃしない、終末に向けて全身全霊でステゴロで蹴り合い殴り合う、ゲップが出るほどのバトル巻。

『バトゥーキ』17巻より(迫稔雄/集英社)

格闘技は「スピード、テクニック、体重」でしたっけ?

漫画における格闘技は現実とちょっと要件が違う気がします。

格闘技も競技と興行の二面性がありますが、漫画は第一義的にエンタメです。

故に、尺と見せ場が求められ、駆け引きが求められ、逆転劇が求められてきました。

スペック差や不利な形成を超える逆転劇の決め手は、頭脳戦的な駆け引きの末の切り札、覚醒、メンタルの変調・転調など。

『バトゥーキ』17巻より(迫稔雄/集英社)

本作における一里の逆転劇は…これ「メンタル」になんのかなあ。メンタルですよね。

満たされない者の原初的な闘争心のぶつかり合い、それをさらに超えていく…実にこの漫画らしく、一里らしく、カポエイラらしい超えていき方。

見応えあってお腹いっぱい、もう完結でいいよ、という一里のラストバトル?

『バトゥーキ』17巻より(迫稔雄/集英社)

別場の方は悪軍鉄馬が再登場、強さの方法論が一里やカポエイラとまったく違うんですけど、やっぱ悪軍かっこいいですね。

良くも悪くも男のロマンというか、『ろくでなしブルース』というか。

次巻で完結なんでしたっけ、格闘シーンで満足しちゃってストーリー的には読んでるこっちが大雑把になっちゃうんですけど、見どころは、

『バトゥーキ』17巻より(迫稔雄/集英社)

純悟と悪軍の勝ちっぷり、ラスボス?のギャングのボスがなに考えてるか、あとは一里たちの身の振り方、というとこでしょうか。

 

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#ドッグスレッド 1巻 評論(ネタバレ注意)

『ゴールデンカムイ』で大ブレイクを果たした野田サトルの新作。

自分はこの漫画は連載は追わず、単行本派で行こうと思います。

『ドッグスレッド』1巻より(野田サトル/集英社)

中学生の少年・白川朗(しらかわ ろう)は、フィギュアスケート選手として将来を嘱望されていたが、全日本ジュニア選手権の直前に、コーチ役だった母親を交通事故で喪う。

しかし、臨んだ全日本ジュニアでは驚異的な逆転劇で優勝。

にも関わらず、スコアと優勝を告げられたリンクで、椅子をリンクに投げ込み、スポンサーボードを破壊し、ライバル選手を殴る、狂ったような謎の大暴れを見せ、フィギュアスケート界から追放される。

ついたあだ名は「狂犬王子」。

『ドッグスレッド』1巻より(野田サトル/集英社)

母を喪い、フィギュアスケーターとしての将来を失った朗は、双子の妹・春名(はるな)とともに、母親の実家・北海道は苫小牧の祖父のもとに身を寄せる。

苫小牧の地元の中学校に通い出した朗は、ひょんなことから人数不足の弱小アイスホッケー部の助っ人として試合に臨むことに。

対戦相手は近隣の、全国レベルの強豪チームだった…

というアイスホッケーもの。

『ドッグスレッド』1巻より(野田サトル/集英社)

『ゴールデンカムイ』の前にヤンジャンで描いて打ち切られたアイスホッケー漫画『スピナマラダ!』(6巻完結)の、セルフリメイク作品とのことです。

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「『ゴールデンカムイ』をヒットさせたらリベンジでもう一度アイスホッケー漫画を描かせてもらう」

ことが、ヤンジャン編集部との約束だったんだとか。

アイスホッケーは日本においては、存在は知られていてもメジャーなスポーツとは言い難いかと思います。

自分もアイスホッケーのルールも、有名選手の名前も、強豪チームの名前も知りません。

アメリカとカナダでプロリーグ・NHLが盛んで「アメリカ四大スポーツ」の一角なのよね?ぐらい。

マイナースポーツ漫画の系譜というか、

ja.wikipedia.org

サッカーも『キャプテン翼』の1981年の連載開始当時は日本においてはマイナースポーツでしたが、

『キャプテン翼』1巻より(高橋陽一/集英社)

『キャプテン翼』自身の大ヒットが、日本におけるサッカーを国民的なメジャースポーツに押し上げる原動力・立役者になりました。

系譜という意味では、読み切りのバスケ漫画でデビューした後、『カメレオンジェイル』を経てバスケ漫画に回帰、『SLAM DUNK』の大ヒットによって、日本におけるマイナースポーツだったバスケットボールを隆盛させた井上雄彦が歩いた道に

ja.wikipedia.org

似ているようにも思います。

どちらも国民的ヒットを超えて国際的な大ヒットとなった作品、必然、「あの」『ゴールデンカムイ』の野田サトルによる本作『ドッグスレッド』にも期待してしまいますね。

ゲームルールや業界ルールを知らなくても描きようで競技もの漫画を読者が楽しめることも、既に『ヒカルの碁』も示していますし。

1巻としては、「フィギュアスケーター出身」という異才持ちの主人公が、「お約束」とも言える弱小チームに初心者として加入、読者に近い目線の狂言回しも兼ねてアイスホッケーのルールや見どころを伝えつつ、「才能持ちの初心者」である主人公の活躍が見せ場、というド王道のオースドックスな滑り出し。

『ドッグスレッド』1巻より(野田サトル/集英社)

『ゴールデンカムイ』でファンの心を掴み、また連載に至る経緯からも作者の並々ならぬ執念を感じずにはいられず、期待が高いのは当然かと思います。

自分もワクワクしています。

けど、『ゴールデンカムイ』初期の「ツカミ」の

「何をしでかすつもりなんだ、この漫画」

という野放図さを思い出すと、作者のアイスホッケーに対するリスペクトからなのか、「この作品は絶対に失敗したくない」というプレッシャーなのか、どこか硬さも感じなくもないです。

「王道」「横綱相撲」であることを自分に課しているというか。

なにより『キャプテン翼』『SLAM DUNK』のスタート地点と比べると、世間の作者に対する知名度や期待値が段違い。

『ドッグスレッド』1巻より(野田サトル/集英社)

1巻は期待に応えて、「悪くない」どころか「良い」ですが、

「この作者の本領はまだまだこんなものではないだろう」

という意味で、「とても良い」と言うのは、まだ温存していたくはあります。

なぜ『メダリスト』ヒロイン・いのりが焦がれてやまない全日本ジュニア金メダルをドブに捨てるような真似をしたのか、なぜ2010年なのか、なぜ交通事故が起きたのか、フィギュアを断念した双子の妹を配置した意味はなんなのか、など、気になるフックも複数。

「王道スポーツ漫画」として考えると、様々なプレイスタイルのライバルが出揃って、

「対決を見たい」

「朗がコイツにどう勝つのかが見たい」

と我々読者に思わせる、アクの強い生き様や執念を背負ったキャラクターを魅力的に、たくさん描けるところが、『ゴールデンカムイ』で示したこの作家の本領でしょう。

『ドッグスレッド』1巻より(野田サトル/集英社)

なにより、フィギュア仕込みの異色のアイスホッケーのプレイ描写が、先々とても楽しみですよね。

 

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