#AQM

I oppose and protest the Russian invasion of Ukraine.

#悪いが私は百合じゃない 3巻 評論(ネタバレ注意)

女子校に通ういつみは男性教師に片想い中。想いを叶えようと、いけないサイトで手に入れた惚れ薬を、

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「悪いが私は百合じゃない」3巻より(もちオーレ/KADOKAWA)

とりあえずいけ好かないお嬢様委員長に試しに飲ませてみたところ効果覿面すぎて委員長は性欲丸出しでいつみに襲いかかってきた!

というバカ百合コメ。まじバカなんですけどこの漫画。

その後も困ったらその場凌ぎに相手に惚れ薬を飲ませてなんとかしようとする同じような展開が毎回続き、三股四股五股と頭の悪い百合の多角関係が増えていく。まじバカなんですけどこの漫画。

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「悪いが私は百合じゃない」3巻より(もちオーレ/KADOKAWA)

ただでさえ漫画としてバカなのにヒロインは人間のクズ丸出しで、友人はゴミクズという、どういう百合漫画なのこれはw

ほぼ百合をモチーフにした作品しか描いてない作家さんですけど、一般的に一途でピュアなキャラ描写・青春描写が多い百合漫画界隈にあって、一貫して性欲・肉欲・エロ目線に基づいてキャラが動く、一般商業漫画の範囲では異端の百合作家。

一応、作中で18禁な直接的なエロ描写はないです、念の為。

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「悪いが私は百合じゃない」3巻より(もちオーレ/KADOKAWA)

今巻も新キャラが登場しますが、チンピラだったり詐欺師だったりセクハラ野郎(♀)だったりと碌な奴が出てきません。

萌え未満というか、お世辞にも可憐な絵柄とは言えないキャラデザにエロいと言えないはずの描写なんですけど、キャラの行動の動機もどいつもこいつも碌なもんじゃないし、展開自体もギャグコメディというかバカコメなんですけど、この可愛らしさ・エロさはなんなんですかねw

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「悪いが私は百合じゃない」3巻より(もちオーレ/KADOKAWA)

絵エロよりシチュエロとでもいうか。

結構うだうだした禅問答みたいな葛藤が延々と描かれることが多いジャンルなので、逆にここまで欲望丸出しに直情的に動かれると、かえって爽やかさ?のようなものを感じて読んでて大変楽しい。

爽やか?

 

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#とらドラ! 10巻 評論(ネタバレ注意)

まだ、やってます。

ラノベブーム初期の名作・映像化の成功事例として語られるラノベのコミカライズ。

自分、最初にこの作品に出会ったのがコミカライズの1巻だったこともあって、原作もアニメも観てないんですよね。今だったらSVODでたぶんアニメ全話観れちゃうんですけど。

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「とらドラ!」10巻より(竹宮ゆゆこ/絶叫/ヤス/KADOKAWA)

コミカライズの前巻は2019年6月、1巻は2008年、アニメ化されたのも2008年、原作ラノベの1巻は2006年の刊行とのことです。

「なんでこんなに続きが出るの遅いんだろう」とか「1つの作品のコミカライズに1人の漫画家をこんなに長期に拘束するのどうなの」とか思ってた時期もあったんですけど、ぶっちゃけ事情とか全然知らねんですけど、途中で行方不明になるコミカライズも多い中、年1冊以下のペースでも待ってさえいればコツコツ着実に続きを描いてくれて、今はもう応援しかしてねッス。

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「とらドラ!」10巻より(竹宮ゆゆこ/絶叫/ヤス/KADOKAWA)

今巻は年明けのスキー修学旅行から3年生進級を控えた進路相談まで。Wikipediaによると全25話だったTVアニメの23話までかと思います。

恋愛もの終盤のこじれた鬱展開、というよりクライマックスに向けた溜めの巻。

両片想いなのに、互いに相手の当初の恋愛成就にこだわり、当初の恋愛相手は友情優先で、と主要登場人物のほぼ全員が自分より誰かの恋愛感情を優先した結果、こじれにこじれたところに、更に進路の悩みも重なって、という展開。

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「とらドラ!」10巻より(竹宮ゆゆこ/絶叫/ヤス/KADOKAWA)

読者からはタイトルロール2人の両片想いは視えていて、あとは何かをきっかけに素直になって本音をぶち撒けられたら、というところ。

あと2冊、もしかしたらあと1冊で完結、というところまで、丁寧に丁寧に、13年かかって辿り着きました。

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「とらドラ!」10巻より(竹宮ゆゆこ/絶叫/ヤス/KADOKAWA)

座して待つのみ。

がんばれ高須、がんばれ大河、がんばれコミカライズ作者。みんな幸せになれ。

 

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#ゆゆ式 12巻 評論(ネタバレ注意)

13年目の12巻。もう老舗ですね。アニメ化も2回したんだっけ?

端的に言うと「仲良し女子高生3人組が雑談してる4コマ」なんだけど、ハイじゃないハイコンテクストというか狭いコンテクストの会話芸で、ボーッと読んでると目が滑って何が面白いのかわからなくなります。

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「ゆゆ式」12巻より(三上小又/芳文社)

はあ。日常ギャグコメディ4コマとか一番感想書きにくいわ。

「女子高生日常ギャグコメディ」というものに対して読者が最も求めるものはなんだろうか、というと「ネタ(エピソード)は新しく、テイストは作品を好きになった頃のままに」という点に尽きるのかな、と思います。

料理で言ったら「熱々の作りたての、でもいつもの味」のような。

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「ゆゆ式」12巻より(三上小又/芳文社)

10年も描いて作風がまったく変わらない、なんて相当無茶な要求ですが、そういう意味で読者の要求をきっちり完璧に満たしている作品だな、と思います。

最近、うちのブログは「ゆるキャン 12巻 絵が変わった」で検索してやってくるお客さんがたくさんいまして、

www.google.com

確かにそう書いたんですけど、

作者の別作「mono」の新刊を読んだ際に「あれ、ちょっと画風変わったかな」「monoとゆるキャンで描き分けてんのかな」と思ったんですが、

「ゆるキャン△」の新刊もちょっと画風変わってきましたか?比較的キャリアの浅かった漫画家のヒット作が長期化するとよくある話ですけど。

上手いか下手かでいうと上手くなってますけど、人によってはだんだん好みの絵から離れていってるかもしんないね。

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人気になって連載が長期になればなるほど、この「テイストを変化させずに維持し続ける」のは難しいよな、という気もします。

新しい面白い漫画がどんどん出てくる中、新しい描き方を取り入れずに、ある意味「漫画家としての成長」を封印することが求められているわけで、けっこう酷な話だなと。

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「ゆゆ式」12巻より(三上小又/芳文社)

「ゆゆ式」はいつ読んでもどの巻を読んでも同じように面白いですが、果たしてそんなことが可能なんだろうか、と思ったりもします。

自分は漫画詳しくないのでよくわからないですけど、実は変わって上達していってるんだけど、読者にそれと気づかせないとかね。

「おいしい関係」で好きなシーンですが、

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「おいしい関係」8巻より(槇村さとる/集英社)

変わってないように見えて、そう見せるために、そう満足させるために必要な努力もあるんじゃないかと。

なんの話でしたっけ。

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「ゆゆ式」12巻より(三上小又/芳文社)

そうそう、「ゆゆ式」は今巻も相変わらず面白いぞ、って話でした。

 

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#薬屋のひとりごと 9巻 評論(ネタバレ注意)

なろう小説のコミカライズ。古代中国の華やかな後宮を舞台に、美女ありイケメンありミステリーあり。

人攫いに後宮の下女として売り飛ばされた薬師で毒マニアの少女・猫猫(マオマオ)が、謎のイケメン高官・壬氏(じんし)の引き合いもあって上級寵妃のお付きの下女として、華やかな後宮内で起こる難事件を薬と毒の知識と花街出身の度胸で解決する時代ものの探偵もの。ちょっとラブコメも有り。

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「薬屋のひとりごと」9巻より(日向夏/ねこクラゲ/七緒一綺/しのとうこ/スクウェア・エニックス)

ガンガンとサンデーGXでそれぞれ同時にコミカライズされていて、サンデー版も出来物だと聞きますが、間違って読んでない方の続巻を買ってしまわないように気をつけましょう。

事件?謎?が3編、プラス次巻に続く1編の、ショートエピソード巻と言う感じでコナンとか古畑任三郎な雰囲気。

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「薬屋のひとりごと」9巻より(日向夏/ねこクラゲ/七緒一綺/しのとうこ/スクウェア・エニックス)

勧善懲悪というよりはヒロインが謎を解いて自分の利害を満たしたらそこで終わり(逮捕・検挙が目的ではない)という感じで、「犯人(たち)がその後どうなったのか」は描かれないことが多く、人によってはモヤモヤが残るというか、「大人な幕引き」のエピソードが多めですけど、自分はこれ系のモヤモヤは結構好きです。

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「薬屋のひとりごと」9巻より(日向夏/ねこクラゲ/七緒一綺/しのとうこ/スクウェア・エニックス)

毒マニアの薬師が主人公って一見変化球のようでいて、「事件」の舞台は後宮ということもあり、「被害者」「犯人」もその多くが女性で、かつ犯行が(地位を損なわないよう)秘密裏に行われるケースが多いことを考えると、殺人の手段が「毒殺」に偏って主人公が薬師なのは、よく考えたら必然だったんだな、とか思いました。

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「薬屋のひとりごと」9巻より(日向夏/ねこクラゲ/七緒一綺/しのとうこ/スクウェア・エニックス)

自分が「ミステリー風」好き、ってのもあって楽しく満足して読んでますが、本格的なミステリーマニアからしたら「毒」の存在、それを識る主人公の存在が作者の匙加減すぎてややファンタジーなのかな?と思わなくもないです。

権謀と愛憎が渦巻く後宮の人間関係、「人間が人間にこんな感情を抱き、こんな行動をとるのか」というところがこの作品の勘所なのかな。

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「薬屋のひとりごと」9巻より(日向夏/ねこクラゲ/七緒一綺/しのとうこ/スクウェア・エニックス)

マイルド?な「黒の章」とでもいうか。

まあ犯罪やその解決をテーマにした作品は大抵そうなんですけど。

 

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#刷ったもんだ! 5巻 評論(ネタバレ注意)

元ヤンキーな青春を送り、SNSで漫画クラスタに入り浸る漫画好きの真白悠(♀)は中小企業の虹原印刷(株)に就職。

企画デザイン課に配属され、印刷物のデザイン、データ作成・出力、校正を担当。担当する仕事は選挙のチラシからエロ同人誌までなんでもあり。

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「刷ったもんだ!」5巻より(染谷みのる/講談社)

という印刷会社のお仕事日常漫画。

取材もしてんでしょうけど、1巻巻末の「Special Thanks」に「元勤め先の皆さま」とあり、作者が経験者なんですね。「NEW GAME!」と同じパターン。

人の生き死にに関わらない、世界も救わない、地味で実直ですけど、ウェルメイドなお仕事もの。

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「刷ったもんだ!」5巻より(染谷みのる/講談社)

こなれてきたと言うか、虹原印刷の人間関係も巻を重ねてキャラに愛着も湧いてきて、読んでてどんどん楽しくなってきましたね。ヒロインと淡いロマンスな黒瀬くんとの関係もいい感じというか、この淡い関係のまま最終回で突然プロポーズとかしそうよねこいつら。

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「刷ったもんだ!」5巻より(染谷みのる/講談社)

今巻の途中から連載がモーニング本誌から系列の月刊誌に移ったんだそうですけど、良いと思います。文字情報の多い作品ですけど、週刊だと限られたページに詰め込み気味な感じはあったので、そう言われてみると誌面に絵で見せる間やじっくり読ませる余裕ができたような気がします。1ページあたりの文字数だいぶ減らせたんちゃうかな。

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「刷ったもんだ!」5巻より(染谷みのる/講談社)

確か元印刷会社社員だった作者が脱サラして漫画家デビューした作品だったと記憶してますが、辞めた仕事に対する愛というかリスペクトってなんなんだろう、とちょっと不思議な気はします。

そんなに好きなら辞めなきゃよかったのに、と思う反面、誌面には印刷の仕事に対する愛が溢れていて、どういう心理で描いているのか一回訊いてみたいもんですね。

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「刷ったもんだ!」5巻より(染谷みのる/講談社)

どんな仕事であれ、「その仕事をする理由」「やりがい」みたいなものって忙殺されて忘れがちになりますけど、漫画家になって一歩引いた(そしてもう戻れない)立場になって、別れた彼女の良いところばっかり憶えてるみたいに、見えてくるものがあるんだろうか。

 

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#ハコヅメ~交番女子の逆襲~ 19巻 評論(ネタバレ注意)

架空の自治体、岡島県・町山市が舞台、岡島県警 町山警察署 町山交番に配属された新人女性警察官・川合麻依と、彼女を取り巻く町山警察署の先輩・上司の警察官たちが織りなす、警察官お仕事漫画。

元警察官が描き、「パトレイバー」「踊る大捜査線」の香りのするギャグコメディに溢れた日常要素と、生々しくダークネスな事件や人間の側面が同居する奇妙な作品。

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「ハコヅメ~交番女子の逆襲~」19巻より(泰三子/講談社)

今一番面白い漫画の一つじゃないかなと思います。自分は好きすぎて連載の有料のWEB掲載を毎話、毎週木曜日0時に即読みしてます。「現役漫画家で天才を3人挙げろ」と言われたら、自分は1人はこの人を挙げます。

「ファブル」「かぐや様」と並んで、自分が毎週更新日の連載最新話(有料)を首を長くして楽しみにしている数少ない作品。

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「ハコヅメ~交番女子の逆襲~」19巻より(泰三子/講談社)

休載もほとんどなく、内容も「当たり」しか出ないクジを引いているようなもので、「いつも載っててずっと面白い」という意味で単調な作品であると言えるかもしれません。

今巻は警察日常あるあるコメディのいわゆる「通常」巻。連載で一回読んでるのにあらためてまとめて読むとやっぱ面白いね。

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「ハコヅメ~交番女子の逆襲~」19巻より(泰三子/講談社)

が、交番所長の過去話が絡むと一気に作品の闇が濃くなります。

この作品をいつまで描き続けてくれるのか知りませんが、公安もの・潜入捜査ものの話になると手加減しつつも特に筆が走るように見受けられるので、コメディ作品としてファンがついちゃった「ハコヅメ」では描けない、この作者のフルパワーでダークネスな潜入捜査ものとか、一回読んでみたい気もしますね。

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「ハコヅメ~交番女子の逆襲~」19巻より(泰三子/講談社)

次巻はその交番所長がタイトルロールを務める、激動の問題エピソードにして「大当たり」の長編エピソード、「伊賀崎警部補の胸襟」をフルで収録とのことです。

自分は連載でもう読んじゃいましたけど、これがまたすんげー面白いです。

お楽しみに!(誰目線だ

 

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#【推しの子】 6巻 評論(ネタバレ注意)

地方の病院に務めるアイドルオタな産婦人科医師・ゴローのもとに双子を妊娠したお腹を抱えて訪れた少女は、彼が熱狂するアイドル・アイ(16)だった。驚きショックを受けたゴローだったが、身近に接するアイの人柄に魅了され、彼女の出産を全力でサポートしようと決意する。

だが出産予定日の当日、ゴローはアイのストーカーに殺害される。驚くべきことに、ゴローはアイが出産した男女の双子のうち一人として転生する…

「かぐや様」の赤坂アカの作話を「クズの本懐」等の横槍メンゴが作画、という期待作。

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「【推しの子】」6巻より(赤坂アカ/横槍メンゴ/集英社)

要約すると二周目人生は伝説のアイドルの双子の子どもだった転生チートな芸能界サクセスストーリー、ミステリー付き。

縦軸はありつつも、横軸は主人公の2人が芸能界の様々な仕事を渡り歩いて、作者が見知った芸能仕事の機微を描写していく建て付けに。アイドル編、リアリティショー編ときて、今巻から新章「2.5次元舞台編」。

超人気少年漫画を原作に若手の人気の役者を集めて2.5次元化する舞台に出演することになったアクア。しかし、舞台の稽古は気難しい原作者(漫画家)を前に多事多難だった…

というわけで、大ヒット漫画原作の2.5次元舞台「東京ブレイド」に向けた役作りと稽古、そして巻の途中から本番へ。

若手のホープたちがそれぞれのライバルと火花を散らす中、ゴローの転生体・アクアはトラウマによって感情演技に支障をきたしていた…

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「【推しの子】」6巻より(赤坂アカ/横槍メンゴ/集英社)

という、「芸能界ものミステリー」というよりは「熱血演劇もの」という風情の6巻。

「ガラスの仮面」が継続的に描かれていたり、あるいは「アクタージュ」が打ち切りになっていなかったりしていたら、今巻のネタ被りで描かれなかったかもしれないですね。

というぐらい、若手舞台俳優同士のプライドが激突し高め合う舞台、という感じ。マジ「ガラスの仮面」かよ。

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「【推しの子】」6巻より(赤坂アカ/横槍メンゴ/集英社)

作品の千両役者・アクアの見せ場はまだ後なのと、第一人者たる姫川が未だに全貌を見せていなくて、脇役が頑張ってる繋ぎの巻、とも言えますけど、まあ面白く読ませること。

すごい局地戦に入り込んじゃってるというか、この漫画これでいいんだっけこんな漫画だっけ?

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「【推しの子】」6巻より(赤坂アカ/横槍メンゴ/集英社)

という気がすごくしつつも、当初から一貫して描かれてきた「観てる側の目に映らない、"やってる側"の情熱」としては正しいような気もするし、「かぐや様」をみても局地戦を真摯に一生懸命やった積み上げが縦軸に効いてくる、という展開が好きそうな作者ですし、まあなにしろその局地戦が面白いからいっかw っていう。

 

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#デストロ016 1巻 評論(ネタバレ注意)

女子高生・沙紀は、海上自衛隊高官・仙崎のオーダーで殺し屋を殺す殺し屋だった。

たくさん殺し屋がやってくるので今日も奴らをぶっ殺すゾ!

あらすじ終わり。

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「デストロ016」1巻より(高橋慶太郎/小学館)

「ヨルムンガンド」の作者が、日本を舞台に「女子高生殺し屋たちのバトルロイヤル」を描いた「デストロ246」全7巻。

女子高生なのに最強殺し屋! すごい頭悪そう! AQM頭悪そうな漫画大好き!!

の前日譚。

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「デストロ016」1巻より(高橋慶太郎/小学館)

「246」でヒロインたちより年長の大人、かつ最強の殺し屋として君臨した「沙紀」の女子高生時代のお話。

女子高生時代のお話なのに殺し屋です〜! 女子高生なのに最強殺し屋! すごい頭悪そう! AQM頭悪そうな漫画大好き!!

というハードボイルド・殺し屋アクション。

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「デストロ016」1巻より(高橋慶太郎/小学館)

前作で黒幕然として名前しか登場しなかった「仙崎」や「某国の"殺し屋に鳥の名前をつける"養成機関」がより具体的に登場、前作主人公・伊万里の先輩にあたる殺し屋も登場。

癖の強い作家ですけど、この癖に既に慣れ親しんでいさえすれば安心して「買い」です。期待通りの面白さ。

自分はMAC-10とMAC-11の区別がつかない程度の「銃好き」ですけど、銃撃戦が重点的に描かれる漫画は意外と貴重なので、それだけでも買い。「CANDY&CIGARETTE」も終わっちゃったしね。

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「デストロ016」1巻より(高橋慶太郎/小学館)

残酷描写に作者が自発的にモザイクをかけてくれるのでグロいの苦手な人も安心。

「246」があるんでヒロインが死なないことは確定してるんですけど、銃にナイフ、果ては毒まで使いこなし、伊万里のように鬱屈も抱えていない最強の殺し屋女子高生・沙紀の楽しくかっこよく殺伐な殺し屋ライフ、という感じ。あとエロ百合。おっぱい。

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「デストロ016」1巻より(高橋慶太郎/小学館)

そういえば「貧民、聖櫃、大富豪」はどうなったんだろう、と思ったら知らん間に7巻が出てるけど完結したわけではないっぽい?

読まねば。

 

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#CANDY&CIGARETTE 11巻 【完】 評論(ネタバレ注意)

警視庁警備部警護課でSPとして定年まで勤め上げ退職した平賀雷蔵(65)。

孫の医療費のために大金を求めて、武道高段者・月給100万の求人チラシに魅かれて再就職した先は政府の外郭団体の裏組織、仕事の中身は女子小学生アサシン・美晴(11)とコンビを組んでの殺し屋稼業だった、というジジロリ・アクション・ハードボイルド。

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「CANDY&CIGARETTE」11巻より(井上智徳/講談社)

ヒロインが可愛い子なんですけど掲載が青年誌別冊ということもあって、小学生にして敵をバンバン撃ち殺しグサグサ刺し殺し「あ、これアニメ化できないやつ…」ってなる。デュナンや素子やレヴィですらこんなに殺してねえw あとパンツ見えすぎ。

ちょっとびっくりしたんですけど、今巻で完結です。

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「CANDY&CIGARETTE」11巻より(井上智徳/講談社)

自分から見て「上手くいってる作品」に見えていて、描けば描いただけ面白い作品だなと思ってなので、このエピソードで完結するとあんまり思ってませんでした。

オーバーだけど、「007」が完全に完結してもう続編が作られなくなる、的に、「えっ!?」ってなった。

恐慌で世界を操り支配下に置こうとする黒幕ファルコーネの一手、アメリカ大統領選挙に傀儡を当選させることを阻止するべく、SS機構の最後のミッションは大統領候補の暗殺となった。

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「CANDY&CIGARETTE」11巻より(井上智徳/講談社)

ファルコーネとの暗闘の結末、入り組んだ愛憎と因縁の出口、そして美晴と雷蔵の生死は…

正直、もっと尺とってじっくり描かれる予定だったんじゃないかな、という、ちょっとバタバタっとした印象は受けます。

一部ご都合主義、全体的に駆け足気味ながら消化するべきエピソードはちゃんと消化されているので、打ち切りというよりは、11巻に収まるようにちょっと無理をした、ぐらいの感じ。

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「CANDY&CIGARETTE」11巻より(井上智徳/講談社)

直感的に「次に早く描きたい作品のアイデアが浮かんじゃった」っぽい印象も受けます。

ラスト、エンディングはねえ。賛否両論というか好みの問題かなという気がします。ハッピーエンドと、ビターエンドのどっちが良かったか、って話ね。

良い悪いというより好みの問題だろうなあ。「名作になるよりこの作品らしさを選んだ」という気もします。

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「CANDY&CIGARETTE」11巻より(井上智徳/講談社)

エピローグ、正直もう少し尺を長く読みたかったですけど、この作品らしいクールさというかドライさだったような気もしますね。

作品通してとても楽しく読ませていただきました。キュートな暗殺者とタフなジジイのコンビをもっと見ていたかったのでそこは寂しいですけど、次回作もとても楽しみしています。

 

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#トニカクカワイイ 18巻 評論(ネタバレ注意)

基本は理系天才フリーター・ナサくんと、謎多きクール美少女・司(つかさ)さんの、なんか可愛い男の子と女の子の新婚生活ラブコメ。

SFファンタジーな「かぐや姫」伝承にまつわり不老不死であることを匂わせつつ隠してきた日常ラブコメの、隠してきたその謎の真相が「第一部 完」として15巻で明らかに。

第二部に入るのかと思いきや、その助走とでもいうべきか、前々巻・前巻と15巻の後日談のように、でも時系列は過去回想エピソードを叙情的に。

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「トニカクカワイイ」18巻より(畑健二郎/小学館)

もともと第一部を名乗ってたわけでもなかったので、今やってるのが果たして第二部なのかというと、終わってみないとわからない感じはしますね。

自分の感覚では前々巻・前巻は第二部というよりは「第零部」で、今巻から第二部、という印象。

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「トニカクカワイイ」18巻より(畑健二郎/小学館)

その第二部ですけど、シリアス中心だったここ3冊から一転、ある意味この作品らしく可愛らしいイチャラブ日常コメディが帰ってきました。

まあ第二部でナサくんがやりそうなこと、第零部で時子がやっていた、ということもあるんですけど、この日常コメディに韜晦しつつ肝心なことは伸ばし伸ばしの迂遠な展開で遅々として話が進まないように見えて、日常描写の中に大切なことをちょっとずつ忍ばせてキャラや読者の感情を少しづつ少しづつ積もらせていく進行、なんかあだち充の作品群を彷彿とさせますね。

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「トニカクカワイイ」18巻より(畑健二郎/小学館)

絵やキャラの可愛らしさや会話芸の面白さ・漫画の上手さが、間を保たせる武器になることを十分自覚して利用して、縦軸の進みが遅いことに不思議と焦れったさを感じない。

カレーのクダリとかもうさあ、さんざんコメディ進行できてズルいだろこんなん。

いやもうなんなん事あるごとにイチャイチャしてw これでまだイタしてないことが逆に余計に腹立つわw

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「トニカクカワイイ」18巻より(畑健二郎/小学館)

こんな日常がまた後々効いてくるんでしょうね。

 

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#よふかしのうた 9巻 評論(ネタバレ注意)

少年・夜守コウ(14)はふとしたきっかけで「上手くやれていた中学生活」が嫌になり不登校に。ある夜、夜の散歩で街を放浪していると「夜と不眠」に一家言持つ謎の美少女・ナズナに声をかけられ、血を吸われる。彼女は吸血鬼だった。

夜に生きる眷属になりたいと願っても吸血鬼化しないコウ。彼女が照れながら語る「吸血鬼になれる条件」は「吸血鬼に恋して血を吸われること」だった。

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「よふかしのうた」9巻より(コトヤマ/小学館)

「だがしかし」作者の吸血鬼ファンタジーな青春ラブコメ。作品全体を通じてアンニュイとそのアンニュイからの解放が夜を舞台に描かれる。

過去がアレだったナズナの自分探しの過去探訪に出かけた2人。ナズナの曖昧な記憶を頼りに訪れた夜の高校では、吸血鬼・ニコが定時制の授業の教壇に立っていた。ニコの計らいで定時制の授業に飛び入り参加した2人は、ナズナの過去に触れていく。

それはナズナの初めての眷属に成り損なった少女のお話だった…

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「よふかしのうた」9巻より(コトヤマ/小学館)

ということで、定時制高校を舞台にした「ニコ編」かと思いきや、そこからニコとナズナの過去編へ、そして今巻で怒涛の展開へ。

まったりアンニュイ、少し不穏な作風から一転、暴風雨のように吹き荒れる暴力と殺意の嵐。

髪の色を表現するトーンが同一だったので、「そうなんだろう」とは思っていたんですが、いやはや。いやはや。急展開で言葉もないです。

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「よふかしのうた」9巻より(コトヤマ/小学館)

今やってるエピソードに決着がついても、この作品がまだ描き残していることや、最後に描きたいであろう話には尺が足りないように思いますし、次巻予告もちょっとそういう雰囲気ではないので次巻で完結とは思いませんが、逆にこのエピソードが決着したらもう描かれるべきことはそんなにたくさん残っていないような気もしますね。

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「よふかしのうた」9巻より(コトヤマ/小学館)

好きなキャラクターが多い作品なので、再びまったりアンニュイな日常よりに回帰しても自分は嬉しいですけど、この作家はどうかなー。

まだ完結作「だがしかし」しか読んだことないので、作品の畳み方も続け方もちょっと予想がつかないですね。

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「よふかしのうた」9巻より(コトヤマ/小学館)

この漫画、こういう漫画だったのか。やー、漫画って面白れーなー。

 

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#葬送のフリーレン 6巻 評論(ネタバレ注意)

80年前、魔王を打ち倒し平和をもたらした伝説のパーティ。

勇者ヒンメル。戦士アイゼン。僧侶ハイター。魔法使いフリーレン。

王都に凱旋した彼らには、世界を救った功績に対する歓待と、その後の長く平和な人生が待っていた。

80年が経ち、勇者も僧侶も寿命で世を去り、戦士のドワーフも老いた中、長命種エルフの魔法使いフリーレンだけがひとり変わることなく魔法を求めて彷徨いながら、かつての仲間の死と追憶に触れていく異色のファンタジーもの。

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「葬送のフリーレン」6巻より(山田鐘人/アベツカサ)

ヒロインからしたら一瞬にすぎない間しか同じ時間を過ごせない、エルフと人間の寿命と時間感覚のギャップの哀愁を淡々と。

突然現れて各所で評判で、少年サンデーのエースの座に居座った感がありますね。

北への通行のために急遽、一級魔法使いの資格が必要となったフリーレン一行は、試験に参加。

前巻で一次試験が終わり、今巻が二次試験編。

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「葬送のフリーレン」6巻より(山田鐘人/アベツカサ)

二次試験はダンジョンの最奥への到達。合格人数制限なし、協力するのも制約なし。

ただし待ち受け襲いかかってくるのは、受験する魔法使いたちの「完全なコピー」たち。その中には当然、最強の魔法使い・フリーレン自身のコピーも含まれていた…

まあ言ったらハンター試験みたいなもので、フリーレンがこれを受験するのは言わばネテロ会長がハンター試験を受けるようなもんです。

この作品はずっとそうですが、伝説の最強魔法使いであるフリーレンによる「俺TUEEE」の極致みたいなもんで、凡百の作品においては痛快な分、下品にもなりがちな展開なんですけど、この作品の俺TUEEEEは上品というか、なんというか気品がありますね。

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「葬送のフリーレン」6巻より(山田鐘人/アベツカサ)

フリーレンが苦戦し逆転する敵に何を据えるか、という命題に、フリーレン自身のコピーを置く、というのも決して珍しいアイデアではないはずなんですけど。

読者に「俺TUEEEE」の快感を与えつつも、フリーレン自身は自分のことを過大評価したり驕ったりすることもなく「仲間と時間に恵まれただけ」と淡々と評価していて、その内面が「自身のコピー攻略」作戦にうまいこと絡んで引き立て合っていて、読んでいて気恥ずかしくないというか、「厨二病を卒業した俺TUEEEE」というか、ある意味「厨二病の完成形」というか。

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「葬送のフリーレン」6巻より(山田鐘人/アベツカサ)

1巻というか第1話の完成度があまりにも高かったので、連載の続きの話はフリーレンの余生となるが如くある意味「蛇足」になり、過去の栄光の財産で俺TUEEEする漫画になっていくんだろう、と当初は予想していたんですけど、伝説が終わって80年経った後もフリーレン自身が変わらず丁寧に誠実に与えられた生を全うし続けているように、この漫画はずっと面白くて素晴らしいです。

この手の漫画は得てして最大の財産である「エピソードゼロ」(とそのチラ見せ)が最大の切り札だったりして、今現在のエピソードはその触媒というか刺身のツマみたいな扱いになりがちなんですけど、この作品の読み味は「エピソードゼロ」よりも「今の続き」をもっと読みたくなる、稀有な作品だなあ、と思います。

こんなに過去を振り返り続けているのに、視線は常に前に向いているというか、過去から受け取ったバトンを未来に繋げようとし続けているというか。

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「葬送のフリーレン」6巻より(山田鐘人/アベツカサ)

こんなにケレン味が強いのに淡々としていて上品なのって、すごい高級食材をメインにせずに「旨味を出汁や隠し味に使いました」みたいな、なんとも贅沢な。

 

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#化物語 15巻 評論(ネタバレ注意)

西尾維新の原作を大暮維人がコミカライズして週刊少年マガジンに掲載の鉄板漫画。キャラデザVOFAN準拠。こんなに美麗な絵でコミカライズされると原作冥利に尽きるでしょうね。ちなみに自分は原作とアニメを消化済み。

順番を入れ替えて、羽川の猫のエピソードの前に「こよみヴァンプ」・傷物語。

化物語シリーズの原作小説は、近刊はちょっと追えてないんですけど、20冊ぐらいは所蔵してて読破済みなんですが、なにしろ冊数が多いのでなかなか再読していないです。最後に読んだのは何年前だろうか。特にアニメで同じ話が観れちゃうってのもあるんですけど。

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「化物語」15巻より(西尾維新/大暮維人/講談社)

このコミカライズの今巻の原作「傷物語」も読んだのはだいぶ昔で、あんまりもう憶えてなくて、劇場版三部作も第一作は観に行ったんですけど、バタバタしてた時期でそれっきりになってました。

要するに、あらすじはぼんやり憶えてるけど、細部は忘れてる状態でした。

巻の前半で「こよみヴァンプ(傷物語)」が完結、後半は「つばさキャット(化物語 05)」に。

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「化物語」15巻より(西尾維新/大暮維人/講談社)

原作小説は書き下ろしですが、巻数が多く刊行中に後付けで追加された設定・伏線も多く、連載作品のようなライブ感があってそれはそれで乙なもんなんですけど、このコミカライズは20冊以上にわたる原作の行く末を踏まえた上で頭から描かれているので、「原作の後付け設定」をスムーズに初期エピソードに組み込んだり、エピソードの接続がスムーズになるように順番を入れ替えていたりして、ただ原作通りにコミカライズしてるだけの作品ではありません。

書き下ろしの小説にはライブ感があって、連載の漫画には先々まで見通した完成度があるという、逆転現象が起こってて面白いね。

ネタバレですが、「傷」に「鬼」が吸収されて生死郎が既に登場していたり、「化 05」が「傷」の後に回っていたり、構成の「再構築」のようなものが行われていて、美麗なビジュアルに目が奪われがちですが、作劇も原作既読勢にとっても非常に付加価値が高いコミカライズです。

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「化物語」15巻より(西尾維新/大暮維人/講談社)

追加のコメディシーンも楽しいです。

さて「化 05」ですが、アニメ1期の最終エピソードでもあり、ここまでがコミカライズされるのはある程度既定路線なんですが、その後「偽」にいくんでしょうかどうなんでしょうか。

大暮維人は残りのキャリアを、オリジナル作品を描くのか、「化物語」シリーズに捧げるのか。「化 05」まで消化して原作小説2冊分ですが、原作自体はその後20冊以上?残っています。

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「化物語」15巻より(西尾維新/大暮維人/講談社)

個人的には両方読みたいので、大暮維人が2人いればいいのに、と思います。

大暮維人のキャリアといえば、自分の在住地がバレますが、12月から宮崎市で「大暮維人展」が開かれるそうです。

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「なんで宮崎で?」と思ったら、Wikipediaを見たところ、どうやら宮崎県のご出身なんだとか。

ja.wikipedia.org

せっかく近所で開催されるので、行ってみようと思います。

「会場内撮影可」とのことなので、可能であればレポートなども記事にできれば。

 

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#神絵師JKとOL腐女子 4巻 評論(ネタバレ注意)

ピクシブで神BLイラストをアップし続ける神絵師・ミスミに心酔し熱烈な感想コメを寄せ続ける腐女子OL・アイ(26)。神絵師の同人誌コミケデビューにドキドキしてブースを訪れると、神絵師は可愛らしい女子高生(16)・ミスミだった。テンパってよくわからない感じになったアイはミスミに「好きです!」と告げて走り去ってしまう。

という、タイトルどおりBL好きな2人のガールミーツガール百合コメディ。

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「神絵師JKとOL腐女子」4巻より(さと/ヒーローズ)

2人のおつきあいが始まった中、心酔するTVアニメ「アグオカ」の公式コミカライズ漫画のオファーを「自由に描きたい」「オリジナルで勝負したい」と断ったミスミ。

ミスミはプロ漫画家としての道を模索し、アイはそんなミスミを支える決意を新たに。

という前巻を受けて、それぞれの決意を実行するに当たっての葛藤が描かれる4巻。

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「神絵師JKとOL腐女子」4巻より(さと/ヒーローズ)

可愛らしい絵柄にポップな描写で、パッと見は楽しく軽く描かれているようでいて、その実は「創作者とファン(消費者)」「オタクの孤独と邂逅」「感想屋の葛藤」「百合」などのテーマが重層的に重なっていて、その「百合」も親を含めた「世間」向きには「同性愛」「社会人と未成年(高校生)」に二重苦と、見ようによっては重ためとも言える設定。

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「神絵師JKとOL腐女子」4巻より(さと/ヒーローズ)

「社会人と未成年(高校生)」とか「百合」でなんとなくセーフな雰囲気っぽく見えますけど、実際のところそうでもないですしね。

恋愛ものしては障害が適度にあって盛り上げる要素に事欠かないようでいて、「創作者とファン(消費者)」と恋愛感情が重なっているので「ファン心理と思春期の相互作用をお互い"恋愛感情"と錯誤しているだけでは?」という疑念が読んでいてずっとついて回ります。

ということで、それぞれの決意とその葛藤を描きつつ、恋愛要素をちょっと盛り上げに行った4巻。

出オチの楽しそうな設定を、現実に近づけていくためのハードルと、それを超えていくための葛藤と成長。

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「神絵師JKとOL腐女子」4巻より(さと/ヒーローズ)

社会人として、漫画家を志す高校生が「漫画のために高校を辞めたい」とか、両親に「大切な人がいる」とか、処世術としては愚の骨頂で、年上としては常識的にはブレーキ踏んであげないといけないところなんですけど、一方でこういう愚かしい衝動に突き動かされる人間が(自分とは違って)作品を創っていくんだろう、という気もして、年上の百合恋人であるアイのそうした微妙な心の機微が面白く描かれているなと思います。

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「神絵師JKとOL腐女子」4巻より(さと/ヒーローズ)

アイ、ミスミに対してアクセルもブレーキも踏める体勢はとりつつも、ミスミと一緒にアクセルを踏みこむことはあってもブレーキ踏まないんですよね。

「神(創作者)に対する民(消費者)」というアイ自身が語る卑下の陰に「何者にもなれなかった自分如きに才能ある若者のブレーキを踏む権利があろうはずがない」という切実な逡巡と重なっているようで、それと「未成年と相対する年上の社会人」としての葛藤がまた恋愛感情と重なっていて、シンプルだけど結構奥が深いというか、描かれてもいないアイの心理に勝手に「わかるわあ」ってなってしまいますね。

 

 

#くノ一ツバキの胸の内 6巻 評論(ネタバレ注意)

この表紙の下1/4ぐらいの余白はなんですかね。いや、オビで隠れる部分ってのはわかるんですけど、だからってw

外界から隔離された人里離れた山奥の里でくノ一として養成される少女たち。隔離されているが故に、彼女たちは「男」という存在を「先生が危険だという生き物」として断片的にしか知らず、ある者は倒すべき怪物として、ある者は幻の生き物として憧れを抱いていた。あかね組の年長の優等生の少女・ツバキも、自制しつつも男が気になるお年頃だった…

くノ一学校を舞台にした耳年増日常コメディ。

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「くノ一ツバキの胸の内」6巻より(山本崇一朗/小学館)

オイ、からかい上手の人のパクリみたいなんおるぞ、と思ったけど作者本人だったわ。

可愛い女の子をバリエーション豊かに描けるという多くの漫画家にとって垂涎のスキルを持つ作者が、そのスキルをフル活用するためだけに選んだような設定。というか可愛い女の子だけをひたすらたくさん描きたいだけの漫画。

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「くノ一ツバキの胸の内」6巻より(山本崇一朗/小学館)

別作の2作がメインヒロインにフォーカスした未満ラブコメということもあってか、とにかくいろんな「可愛い女の子」を髪型・髪色だけではなく顔の造りから描き分けるための練習というか習作のような漫画で、作話は良くも悪くもバニラというか、あってもなくてもいいような他愛のない日常話が中心。

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「くノ一ツバキの胸の内」6巻より(山本崇一朗/小学館)

正直、読み終わったら忘れちゃうような、そんな面白い話でもないんですけど、間と、あとは絵の可愛さの暴力で紙面を保たせてしまっているような印象。

と思ったら来年TVアニメ化ですって。

良くも悪くも素材のような原作で、設定も話も難しいところも何にもないので、「意外と」と言ったら失礼だけど小ちゃい子ども向けに大ヒットしそうな気もしますね。

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「くノ一ツバキの胸の内」6巻より(山本崇一朗/小学館)

昔でいう藤子不二雄枠とでもいうか、キャラもみんな無害でいい子たちで、それでいて可愛らしくて優しい話だし、子どもの視点で観たら意外と童話のように印象深いお話かもしれない。

アレですね、また声優さんいっぱい雇わんとねw

 

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