#AQM

あ、今日読んだ漫画

#からかい上手の高木さん 17巻 評論(ネタバレ注意)

中学校の同級生同士の恋愛未満を描いた隣の席ラブコメ。単純な西片くんをいつもからかってくる高木さん。

「××さんがなんとかかんとか」系の、元祖ではないが中興の祖ではあって、同級生純愛ラブコメのジャンルが息を吹き返し、スピンオフも複数抱えてちょっとした産業に。

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「からかい上手の高木さん」17巻より(山本崇一朗/小学館)

2021年に小学館漫画賞受賞、アニメがちょうどいま3期やってんのね。ペース的には来年に20巻に達して連載開始10周年、というところ。

読者が求めていることにキッチリと、ド安定、いつもの、可愛い、ピュア、胸キュン、です。もう毎巻、感想になに書くか困る。

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「からかい上手の高木さん」17巻より(山本崇一朗/小学館)

もう言っちゃえよ。何巻だと思ってんだよお前。

なんか今巻は一休さんの歌みたいに好き好き言ってんな。

前述の通り2023年に10周年、年2〜3冊ペースでたぶん20巻を迎えるメタな節目を迎える作品。

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「からかい上手の高木さん」17巻より(山本崇一朗/小学館)

教師が積極的にラブコメ展開に加担していくスタイル。

他作品への意欲も強く実際に成功もしてる作家なので、その辺が畳み頃っちゃ畳み頃だとは思いますけど、感想屋が感想に困る以外は特に畳まなきゃいけない理由もないので、そこを超えたらもう50巻100巻いく「ラブコメサザエさん」な作品になるんかな。

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「からかい上手の高木さん」17巻より(山本崇一朗/小学館)

それか特に最終回作らないで、描きたい時に描く不定期連載化するとかもアリなんかな。

終わっちゃったら終わっちゃったで、読者も作者もやっぱちょっと寂しいよねえ。

 

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#クマ撃ちの女 7巻 評論(ネタバレ注意)

熊狙いのライフル持ち*1女性猟師・チアキ(31)に密着取材を申し込むフリーライター・伊藤。2人は熊を求めて日々、北海道の山中に入る。

伊藤が取材を始めて最初の猟期が終わり、一旦シーズンブレイク。チアキを取材した伊藤の著書が出版され、それに伴ってチアキ自身もメディアに取材されたりもありつつ、二度目の猟期に。

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「クマ撃ちの女」7巻より(安島薮太/新潮社)

メディアに取り上げられたチアキに対する嫉視で?巻狩りで邪険に扱うベテラン猟師たちなど。

ここまでで猟師として経験を積んで成長しつつあるチアキ・伊藤と視点が同化した読者から見ると、「ざまぁ」的な俗っぽい「なろう」展開で、まあ楽しいんですけど。

チアキの師匠筋の初老の猟師以外、中堅〜若手の猟師は割りと俗っぽく描かれていて、猟のリアル・猟師のリアルを読者に感じさせようという作品なのかな、と思います。

普段交流のない男性猟師たちと一緒に巻狩りに駆り出されたチアキと伊藤。猟師たちは女だてらにクマ撃ち専門のチアキの腕前に懐疑的だが…という前巻の続きから。

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「クマ撃ちの女」7巻より(安島薮太/新潮社)

なろう小説かよってぐらいチアキ無双なんですけど、この漫画は主人公が絶好調のときほど次のダークでデンジャラスな展開の前フリみたいなとこあるので、逆に読んでて警戒感が高まるわw

からの、という後半。

猟師界隈もご多分に漏れず高齢化と後継者不足と聞きます。

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「クマ撃ちの女」7巻より(安島薮太/新潮社)

作者が「ソロでクマを撃つ若い女」という嘘を放り込んだこの作品を描く動機は、「ウケそうだ」以外にもそうした業界の憂いを知らしめたいという意図が多かれ少なかれあると思うんですけど、業界を憂う反面、この漫画読んでミーハーな気分で「自分もクマ撃ち始めました!」みたいなの絶対イヤだと思うんですよね。

なので警告の意味でもエクスキューズの意味でも、こうしたキツい展開・描写はこの漫画からなくせないだろうな、と思います。

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「クマ撃ちの女」7巻より(安島薮太/新潮社)

「何があったらこの漫画が完結するのか」「ラストをどう持っていくのか」を想像すると、ハッピーエンド、ビターエンド、バッドエンド、日々は続いていくエンド、何パターンか思いつきますけど、仮に「チアキがもうクマ撃ちをしなくなる」展開をラストに持ってくるとしたら、「クライマックスで何が起こったらチアキがクマ撃ちをしなくなるか」を考えると割りと暗澹としてしまいますね。

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「クマ撃ちの女」7巻より(安島薮太/新潮社)

誌面に描かれている限りでは、いろんな意味でクマ撃つ以外なんもねーもんな、この人。

たぶん始めた時からラストはある程度決まっているとは思うんですけど。

 

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*1:猟銃免許取得後、散弾銃所持10年以上が必要

FSS (NT2022年2月号 第17巻相当) 評論(ネタバレ注意)

ファイブスター物語、連続掲載継続中。

「第6話 時の詩女 アクト4-4 カーマントーの灯火 Both 3069」。

扉絵コミで13ページ。

  

他の号はこちらから。

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  • (余談)
  • (扉絵)
  • (本編)
  • (所感)
    • サリオン(扉絵)
    • 天照家
    • ツーマンセル
    • マーク2
    • サロメ
    • サリオン(本編)
    • タイトネイブ
    • ジャコー
    • グスコ&シェラスタ
    • 天照帝
    • 血の十字架
    • ログナー
    • 嗅ぎ回っている者=あやつ?
    • ラキシス
    • ゴリリダルリハ
    • スペクター&ポーター

以下、宣伝と余談のあとにネタバレ情報を含んで論評しますので閲覧ご注意。

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#売国機関 6巻 評論(ネタバレ注意)

東西の大国に挟まれ緩衝国として強制的に戦火の舞台にされた小さな共和国に、両大国の都合で今度は強制的に平和が訪れて一年。

強制された屈辱的な平和、両大国と唯々諾々と安保条約を結ぶ政権を、不満を募らせる左右の過激派は「売国奴」と罵り、暴徒・テロリストと化す。

前線で血を流し友を亡くしながら平和を勝ち取った「塹壕貴族」たちは、平和をすべての脅威から死守するべく、特務機関・軍務省法務局公衆衛生課独立大隊「オペラ座」、蔑称「売国機関」を設立。「平和の敵」と化した市民たちへ銃を向けた。

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「売国機関」6巻より(カルロ・ゼン/品佳直/新潮社)

お前も向けたやんけw

「幼女戦記」原作者による情報・防諜・公安もの。

主人公たち共和国の東に位置する大国である王国のタカ派の大使が前巻までで更迭、ハト派のやり手が後任として着任した直後に、正体不明の少数部隊が王国側から共和国に越境侵入し挑発行為を開始。共和国-王国間の国境周辺は緊張状態に。

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「売国機関」6巻より(カルロ・ゼン/品佳直/新潮社)

楽しそうすぎるぞw

政治的に穏便に事態の収束を図るべく指揮官としてオペラ座に送り込まれたのは、オペラ座の中心で愛国者のロフスキ少佐と同格で、愛国心より軍務への忠実さを旨とする切れ者・フランソワ少佐だった。

混迷する事態への解釈と対応方針について、ロフスキとフランソワは水と油だった…

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「売国機関」6巻より(カルロ・ゼン/品佳直/新潮社)

今エピソードの軸はざっくり意訳すると

①愛国心(で権限の逸脱も辞さず自己判断で)で動く軍人か、軍務に忠実で逸脱しない軍人か

②敵方を、「一枚岩で合理的な敵」と見做すか、「統合の取れていないある種のアホ」と見做すか

の二軸でロフスキとフランソワが対立しますが、事態が進んで②の解釈が一致すると①の軸も採るべき正解に吸収されてしまって結局やること一緒じゃねえかw という感じはします。

フランソワもいいキャラしとるね。

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「売国機関」6巻より(カルロ・ゼン/品佳直/新潮社)

②の軸はフィクションでよく見る「犯罪者側がプロであれば警察・公安側とある種の信頼関係が築ける」に少し似てますね。

駆け引きが通じるレベルにない相手は強権や暴力で殴ったもん勝ち、というw

今巻終了時点でエピソードは未完で、ぱっと見は王国ハト派の大使に「信頼関係が築ける対抗側」としての期待がかかる局面に見えますが、作者の意向というか流れ的には反対側の連邦の出方に重点が置かれるようで、「再度の開戦」は作品的に論外としても、自分には落としどころがまだ見えません。

次巻が出るまでに、自分が連邦だったら、王国大使だったら、オペラ座だったら、連邦軍をどのように利用して自陣に益のある収束を図るのか、自分の宿題にしておきたいと思います。

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「売国機関」6巻より(カルロ・ゼン/品佳直/新潮社)

なんやろね、「選挙」がキーワードっぽいけど。

 

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#最果てのソルテ 2巻 評論(ネタバレ注意)

大魔法戦争で汚染され、魔法が禁じられた世界。

孤児として村長に引き取られて育った少女・ソルテは、魔界へ続く「デタラメ洞窟」の入り口で瀕死の女・サリエラと出会う。

サリエラはソルテと同じく孤児で、村長に奴隷商に売られ、魔界と人界を行き来するサルベイジャーとして名を挙げた女だった。

サリエラの今際の際に立ち合い秘密を知ったソルテは同じく奴隷商に売られるが、それはソルテの冒険の序章に過ぎなかった。

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「最果てのソルテ」2巻より(水上悟志/マッグガーデン)

というガール・ミーツ・ディスティニーなファンタジー冒険もの。

「惑星のさみだれ」「スピリットサークル -魂環-」で知られる水上悟志の新作。まあ作者買い。

中世ヨーロッパ風世界観ですが、魔法の禁じられた世界、魔界の毒、魔法少女、封神演義の宝貝のようなアイテムに、ループ要素まで。

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「最果てのソルテ」2巻より(水上悟志/マッグガーデン)

ソルテ一行が早くも魔界に足を踏み入れ、回想シーンを通じてこの世界の秘密の一旦が明かされる2巻。

巻末には、作品世界の秘密の根源に関わる「グレン古文書」を(おそらく)ナマ収録。

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「最果てのソルテ」2巻より(水上悟志/マッグガーデン)

「猿の惑星」という有名な映画があって、自分は幼少期にTVで放映されたものを観ましたが、いま思うにアレが自分の「異世界転生メタ」「ループメタ」の原点だったように思います。

「ジャケットがネタバレ」で有名な作品でもありましたけど、

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あ、さすがにもうネタバレジャケットやめたんですねw

何の情報もない初見でのラストの衝撃、おさな心にすごかったですね。自分の生きている現代世界とそういう繋がり方をしている衝撃、「マジかっ!?」「映画ってすげえ!!」ってなる。

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「最果てのソルテ」2巻より(水上悟志/マッグガーデン)

「猿の惑星」がループや異世界の原体験だとか、そんなこと今まで考えたことなかったんですけど、この作品のこの巻を読んで、自然と頭に浮かんできました。

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「最果てのソルテ」2巻より(水上悟志/マッグガーデン)

今後10年は、この作品の行く末を見届けたい、という理由だけで生きていけそう。

 

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#空挺ドラゴンズ 12巻 評論(ネタバレ注意)

空飛ぶ龍を捕龍船(飛空艇)で狩る「龍捕り(おろちとり)」にまつわるファンタジー。狩った龍は解体して売ったり食ったりする。若干、風の谷の天空のなにか風味。

唐突に現れた、ヒロインの1人・ヴァニーの故国にまつわるエピソード。

故国の迎えの使者によって呼び戻されたヴァニーと、彼女を追った龍捕りの面々は、王国の泥沼の分断・内戦の元凶となった、駆除不能だった王宮に巣食う龍を退治。

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「空挺ドラゴンズ」12巻より(桑原太矩/講談社)

実は王家の生き残りだったヴァニーは内戦を終結させ、そして傷つき疲弊した故国を再び一つにまとめるため、国に残り王位を継ぐ決意をする。

龍捕りの仲間たちの反応は、そしてヴァニーの本心は果たして…

ということで、ヴァニーの故国の王国編が今巻で完結。

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「空挺ドラゴンズ」12巻より(桑原太矩/講談社)

前巻のヒキ以来、ヴァニーは国に残って新王となるのか、再び龍捕りの日々に復帰するのか、どちらを最終的に選択するのか、が焦点。

どうなったでしょうか。

ちょっと「ワンピース」のアラバスタ編ラストのビビの演説を思い出しますね。あれもう20年近く前なのか。

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「空挺ドラゴンズ」12巻より(桑原太矩/講談社)

漫画の演説シーンっていいですよね。こういうシーン、好きだわ。

どちらを選択してもヴァニーは誰かとお別れをしなければならないシチュエーション。

ちょっと切ない、良いエンディングでした。

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「空挺ドラゴンズ」12巻より(桑原太矩/講談社)

こういうコマも好きだわ。

元はと言えば、一同の乗艦たるクィン・ザザ号の修理で活動停止中から脇道に逸れまくった近巻でしたけど、ヒマしてるクルーの副業話を経て、ようやく話がクィン・ザザ号に戻ってきまして、

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「空挺ドラゴンズ」12巻より(桑原太矩/講談社)

修理・改修には新たなアイテムが必要そうで、なんかRPGゲーのクエストみたいになってきたな。まー楽しそうなw

 

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#僕の心のヤバイやつ 6巻 評論(ネタバレ注意)

「みつどもえ」の作者の現作。

ラブコメ漫画は数あれど、WEB連載で既読にも関わらず新刊が一番楽しみな作品。ちなみにこの記事の下の方に貼ったリンク(WEB連載)から6巻の続きが読めます。

主人公は、雑誌の専属モデルもこなす陽キャ美少女・山田を殺す妄想をする、中二病で陰キャでぼっちな男子中学生・市川。

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「僕の心のヤバイやつ」6巻より(桜井のりお/秋田書店)

図書館で偶然見かけた彼女は、一人でおにぎりを頬張りながらゴリラのような鼻歌を歌う、意外と割と残念な感じだった…

コメディの皮をかぶせた、エロで独りよがりで優しい中学生の、初恋の繊細な機微の描写。

市川と山田の中学2年のバレンタインから3年生を見送る卒業式まで。

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「僕の心のヤバイやつ」6巻より(桜井のりお/秋田書店)

♪テケテーン

ラブ・ストーリーは突然に

ラブ・ストーリーは突然に

  • 小田 和正
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

テケテーンはもうええっちゅうねん。

ヒロインを差し置く勢いで、少年誌掲載のラブコメの男子主人公にしては異例なぐらい、主人公の市川が読者から愛されている作品。

脇役ながら人気を博した「げんしけん」の斑目、「かぐや様」の石上などもそうですが、我々は臆病な陰キャの少年、「our guy」が高嶺の花に恋をして勇気を振り絞るお話にどうにも弱いようです。

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「僕の心のヤバイやつ」6巻より(桜井のりお/秋田書店)

なんだか「ジョジョ」第一部のツェペリの「勇気」に関する名ゼリフを思い出します。

今巻も市川に限らず、少年少女たちが勇気を出して一歩踏み出すシーンがたくさんあって、この半径数メートルの小さなスケールの作品が読者に存在しない記憶のデジャブを起こさせ共感を呼んでいるのは、これらのシーンで描かれる怖さと、

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「僕の心のヤバイやつ」6巻より(桜井のりお/秋田書店)

それを乗り越える勇気を出した(あるいは出せなかった)類似のもう忘れてしまった記憶を、多かれ少なかれ無意識に思い起こさせるせいなんだろうなと思います。

2〜3巻ぐらいからずっと「もう告白してくっつけよ」って読んでて思いますけど、じゃあ自分が好きだった子について「たぶん向こうも俺のこと好きだわ」って思った時に、そうできたかっていうとね。

はー、今巻も見どころ満載盛りだくさんでよかったわー。

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「僕の心のヤバイやつ」6巻より(桜井のりお/秋田書店)

あと今巻も萌子が出番は少ないながらよかったです。

「ん」て。

俺も萌子に恋愛相談に乗ってほしいわ。特に恋愛してねえけど。

 

あと話変わるけど僕ヤバ好きすぎて市川京太郎スカジャン買った。

表面・前。

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表面・後ろ。

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リバーシブル・前。

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リバーシブル・後ろ。

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おっさんがこのリバーシブル着てるとアレ的にアレなので黒い方しか着ないけど、デザイン可愛いので普通に着て出歩いてる。

 

いま見たらもうすぐ売り切れるようなので欲しい方はお早めに。

subroll.stores.jp

 

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#MFゴースト 13巻 評論(ネタバレ注意)

「MFゴースト」は「頭文字D」と同じ世界観、あっちが基本的に90年代を舞台にした作品であるのに対し、202X年が舞台の続編という位置づけです。大体20〜30年後?という感じ。前作の登場人物たちがおじさんになって脇役で大量に登場。

前作主人公の藤原拓海も本人は登場しないものの、主人公の師匠としてやたら名前がたくさん登場。

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「MFゴースト」13巻より(しげの秀一/講談社)

国産車でのマッチレースだった前作に対して、今作は海外製のゴージャスなハイエンドスーパーカーがグランプリレースを繰り広げるという、クルマ好きには眼福な作品。

基本的にはクルマがグルグル走って解説やドライバー自身がブツブツ言ってるだけの漫画なので、そういうのが苦手な人はやめときましょう。

とは言いつつも、今巻はレースとレースの間のサマーブレイク、クルマが走ってるシーンはほとんどない、幕間巻。

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「MFゴースト」13巻より(しげの秀一/講談社)

夏だ! 海だ! 水着回だ! ラブコメだ!

という、かっこいいクルマがグルグル走ってるのが好きで読んでるこの作品の読者には、概ね不評、大不評なラブコメ回。

もっさいラブコメ展開、正直「下手の横好き」で、読者がこの漫画に期待していることとはとんでもないミスマッチ起こしてますけど、普段の巻を見てても基本的にラブコメ描きたい人なんですよねこの人。

レースシーンにしろラブコメにしろ、作者のロマンチストな面が通底しているというか。

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「MFゴースト」13巻より(しげの秀一/講談社)

キャラと作者のモチベーションのために必要というか、読者の需要の有無や描写の巧拙はともかく、キャラの動機付け・心理描写も手を抜くことなく丁寧で、なにより作者自身が描いてて楽しそうで、描きたいことに誠実な人だなと思います。

これまでの実績や作者との年齢差や力関係を想像しても、編集者がなにか物申せる関係とも思えないし、どう考えても嫌々描いてるようには見えないし。

あと目が四角いのは13巻にもなってもはや文句言ってもしょうがないからもういい加減諦めろ。愛嬌だ愛嬌。

次巻から再びレース編とのことです。

 

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#アオのハコ 1〜3巻 評論(ネタバレ注意)

ネットの口コミで評判良いので、3巻発売を機に遅ればせながらまとめ読み。

週刊少年ジャンプ、本誌連載の青春漫画。

最初、少女漫画出身の作家さんかなと思ったんですが、Wikipediaを見るとジャンプスクール(?)出身、別名義でマガジン系で何作か描いて、現名義でジャンプに本作を連載とのことで、女性作家ですが少女漫画あんま関係なかった。

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「アオのハコ」巻より(三浦糀/集英社)

中高一貫校の中3の大喜(♂)は、中学のバドミントン部を引退後も高校入学後を見据えて高校のバド部の練習に参加。

同じ体育館で練習する女子バスケ部には有望選手で学校のアイドル、&ひとつ年上で大喜の憧れである千夏先輩(♀)がいた。

早朝自主練で千夏先輩と言葉を交わすようになった大喜が、ある朝、自宅で目覚めてリビングに降りると、そこには千夏先輩の姿が!

千夏先輩は親の海外転勤に際してもバスケの夢を諦められず、バスケ部OG同士の母親同士のツテで大喜の家に下宿することになった。

千夏先輩のバスケにかける覚悟を知った大喜は、千夏先輩のインターハイへの夢の邪魔にならないよう告白を控える代わりに、彼女にふさわしい男になるべく、自分もバドミントンでインターハイ出場を目指すことに。

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「アオのハコ」巻より(三浦糀/集英社)

300字ぐらい使ってネタバレしましたけど、ここまでで第2話ぐらいです。

という、同居ラブコメ…ラブコメじゃねえな、恋愛もの…恋愛だけでもねえな、恋愛と競技が強く結びついた青春もの。

競技の描写に熱量は感じますが、ジャンル「スポーツもの」っていうほどにはスポーツ中心の展開ではない感じです。

青春もの。まあ、タイトルも「アオのハコ」ですし。

最近タイトルに「アオ」や「ブルー」が入った作品、心なしか多いですね。

「ハコ」は彼らが多くの時間を練習で過ごす体育館のことかしらん?

 

あだち充の「ラフ」という名作がありますが、「スポーツと恋愛のバランス」的にはあれに近い感じです。

近い環境で練習する、違う競技、お互いインターハイを目指す、とか共通点が多い。

多くのあだち充作品に共通していますが、ラブコメながら主役2人がなんらかのスポーツ競技などに打ち込んでいて、

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「ラフ」9巻より(あだち充/小学館)

少年誌ラブコメを描くにあたってのあだち充の哲学のようなものでしょう。

ちなみに近年、ようやく電子化されました。

「アオのハコ」を読んで「こういうのが少女漫画誌じゃなくてジャンプに載るんだなあ」って一瞬思いましたけど、「タッチ」だって「ラフ」だって何十年も昔にサンデーに載ってたわけで、今さらな感想かな、という気もします。

その他、作者によって作品の基本構造として仕組まれた未満恋愛の微妙な三角関係など、あだち充作品と共通点の多い作品だな、と思います。

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「アオのハコ」巻より(三浦糀/集英社)

 

思い出しちゃった話ついでももう一つ。

タイトルに「アオ」がついて主人公がラケット競技やってるから、ってわけでもないですけど、ずっと昔に読んだ宮本輝の青春小説「青が散る」を思い出します。

あれもテニスをめぐる青春と主人公たちの恋愛が強く結びついた青春小説で、「アオのハコ」で主人公の大喜がバドミントンで覚醒というか強くなったシーンを読んで、

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「アオのハコ」巻より(三浦糀/集英社)

「『青が散る』にも確かこんなシーンあったなあ」と思ったりしました。

ただのよくある偶然でしょうけど有名な小説でもあるので、もしかしたら「アオのハコ」というタイトルは少し「青が散る」に掛かってるのかもしれないな、と思ったりもします。

文芸作品だった「青が散る」はただし、確かとても苦味が強いビターエンドでした。

 

近年の週刊少年ジャンプのラブコメ・恋愛枠は、毛色が少し違う2〜3作品で役割分担してるような感じがしますね。

この作品は「ピュア・爽やか・青春」寄りの正統派枠、という感じ。ヒロインたちは可憐ですが、いわゆるお色気描写はだいぶ控えめ、ギャグコメ要素も薄めです。

同居ものですが、主人公の両親が海外出張に行きがちなラブコメ作品と違ってヒロインの両親が海外に行き、同居の保護者である主人公の両親の存在も比較的きっちり描かれます。

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「アオのハコ」巻より(三浦糀/集英社)

恋愛もので「同居」って便利な萌えシチュな分、無理めなファンタジーな設定ですけど、他作と比べるとまだ割りと地に足がついた背景設定。

 

半・ジャンプ漫画、半・少女漫画という感じでどこか90年代チックなタッチの魅力的なビジュアルですが、ヒロインの魅力というよりは、憧れの相手との触れ合いや同居の秘密を共有するときめきで引っ張ってる感じです。

最近は「ハイスペだけどポンコツ持ち」のヒロインが隆盛してる中、

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「アオのハコ」2巻より(三浦糀/集英社)

「高嶺の花」ながら今のところあまり漫画的・記号的な欠点・弱点を持たないヒロイン。

競技優先で恋愛面で禁欲的な主役二人なので、恋愛もののヒロインとしての本性はまだよくわかりません。

強いて言えば、生真面目で不器用で融通が効かない、というところでしょうか。

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「アオのハコ」2巻より(三浦糀/集英社)

雛ちゃん何言い出すの。

ポンコツ属性よりも、本人が恋愛感情を封印してモノローグすら少なく、読者から匂わせ程度しか気持ちが見えないことで、「本当の気持ちを知りたい」と思わせるタイプのヒロイン。

南ちゃんタイプやね。あと「Bバージン」のユイとか。

少年目線から心中がミステリアスな存在、という意味では、やはり少女漫画じゃなくて少年・青年漫画のヒロインですね。

作品のクライマックスで一度だけ花が咲くタイプ。

 

主人公の動機が「インターハイのスター候補のヒロインにふさわしい男になるべく自分もインターハイを目指す」という、恋愛に対する煩悩を競技で昇華してるお話なので、

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「アオのハコ」巻より(三浦糀/集英社)

願いが成就するまでは恋愛面の動きが少ないというか、よく言えば繊細な、悪く言えばもどかしい描写がしばらく続きそうな、正統派の青春もの。

時間が流れていく時制の作品で、長くても大喜の高校2年(千夏先輩の高校3年)の夏が佳境になる作品かな、と。

口コミどおり面白いし、面白く在り続けそう、という匂いがしますね。

 

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#逃げ上手の若君 4巻 評論(ネタバレ注意)

「魔人探偵脳噛ネウロ」「暗殺教室」の松井優征の新作は、鎌倉時代末期〜南北朝時代〜室町時代初期を舞台にした歴史物。設定・登場人物は史実ベース。

鎌倉幕府のトップ・執権として世襲で地位を継いできた北条氏の嫡子の少年・北条時行。しかし、幕府と敵対する後醍醐天皇側に寝返った足利高氏(尊氏)により、鎌倉幕府は滅ぼされてしまう。

北条氏の滅亡により大切なものを全て奪われた時行は、信濃国の国守にして神官の諏訪家を頼りに落ち延び、足利への復讐を誓う。

という伝記もの。

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「逃げ上手の若君」4巻より(松井優征/集英社)

主人公・時行の持ち味は強い生存本能に基づく逃げの天才。

まだ9歳の時行を後見し成長を導かんとする諏訪頼重によって、小〜中のミッションが課されるような展開。

今巻は、信濃国 川中島にて国司の圧政に放棄した諏訪の郎党を落ち延びさせるべく、諏訪の使いとして蜂起の鉄火場へ。

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「逃げ上手の若君」4巻より(松井優征/集英社)

時行がそこで見たのは、国司への怒りと武士の美学によって、自分と真反対の「死にたがり」と化した武士たちだった…

川中島編は今巻2/3程度で完結、巻の後半はいよいよ鎌倉奪還に向けた新章に繋ぎます。

「武士道」として武士の美学が洗練されていく途中の時代、という感じで出てくる武士たちの美学も様々な中、

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「逃げ上手の若君」4巻より(松井優征/集英社)

現代に続く弓術・馬術・礼法の小笠原流の開祖?中興の祖?が本作の当面の絶対的な悪役として登場。

足利氏に対する不屈の抵抗の史実で知られる主人公の価値観を現代ナイズさせて読者の感情移入を図るとともに、当時の武士たちと価値観をぶつからせる建て付け。

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「逃げ上手の若君」4巻より(松井優征/集英社)

縦軸は当然シリアスなお話ですが、ちょこちょこギャグコメディを挟まずに入れらないモダンな作風と、掲載誌がそうは言っても少年向けの週刊少年ジャンプということもあり、平易に楽しく読めます。

比較的大規模な戦場の描写ですけど、少数精鋭の主人公の郎党それぞれに少年漫画らしいかっこいい見せ場が用意されてます。

少年漫画でコンテンツマイナーな時代・人物の伝記というハンデの中、わかりやすく面白く、正直よーやっとる。

キャラも作者もちょいちょいセンスというか頭がおかしい瞬間あるけどな。

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「逃げ上手の若君」4巻より(松井優征/集英社)

そのたとえ話、余計わかりにくいんですけどwww

「徒歩」と「トラック」で済む話に「カップル」と「巨大な原付」はどっから出てきたんだよwww

 

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#姫様“拷問”の時間です 8巻 評論(ネタバレ注意)

国王軍と魔王軍が衝突する世界。

国王軍の王女にして第三騎士団の団長・姫は、意思を持つ聖剣エクス(ツッコミ役)と共に魔王軍に囚われの身となった。

戦局を有利に導くべく、魔王軍はあらゆる手を使って敵の幹部である姫から秘密の情報を引き出そうとする…

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「姫様“拷問”の時間です」8巻より(春原ロビンソン/ひらけい/集英社)

という、ファンタジー世界を舞台にしたゆるーいコメディ漫画。

タイトルにも作中のセリフにも「拷問」という物騒な単語が踊りますが、中身はストレスなしのギャグコメディ。半分は実質グルメ漫画。

あとはもう黄金のワンパターンの手を変え品を変えの繰り返し。牧歌的で微笑ましい馴れ合いの世界。登場人物が全員なにかしらポンコツです。

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「姫様“拷問”の時間です」8巻より(春原ロビンソン/ひらけい/集英社)

本来あるべき物語の目的と手段の位相を少しづつズラして転倒させた挙句に目的がどこかに行方不明になるという、モノローグすらボケに回る、ボケにボケを重ねるナンセンスなメタコメディですが、「思考し発言する聖剣エクス」という、食欲の本能を人間と共有しない人外のツッコミ役キャラ配置の英断が、当初の目的からのズレを測る尺度(「ちびまる子ちゃん」のキートン山田役)として機能していて、

エクスの存在によって

「一体なにを読まされているんだ(真顔」

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「姫様“拷問”の時間です」8巻より(春原ロビンソン/ひらけい/集英社)

「一体なにを読まされているんだw」

に。

エクスがツッコミという仕事をしたりしなかったりするのがまたメリハリを効かせ、エクスがツッコまなかったツッコミ不在の回の投げっぱなしオチが効いてます。

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「姫様“拷問”の時間です」8巻より(春原ロビンソン/ひらけい/集英社)

なんだよコレw

ナンセンスなメタコメディのバリエーションがどこまで描けるのか読者が見守っているような作品。

読者の空気を読むに敏な作者であり、また読者のリアクションが可視化されやすいWEB連載ということもあり、飽きられる寸前でおそらく完結してしまう作品だと思われ、おそらくエンディングのバリエーションと採用案も作者の脳内で磨かれていることだろうと思いますが、

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「姫様“拷問”の時間です」8巻より(春原ロビンソン/ひらけい/集英社)

いつか完結することを寂しく思う反面、どんなエンディングを迎えるのか楽しみでもあります。

作画も良いですよね。

今巻の1話目で子どもたちのハンドベルを見守る姫の、慈愛と小さな尊敬に満ちた繊細な表情の表現。

 

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#デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い 3巻 評論(ネタバレ注意)

最強の悪魔デビィ・ザ・コルシファは最強故に地獄界で闘う相手がいなくなり、退屈しのぎに人間界へ現れた。人間界というか具体的にいうとその辺の高校生・六郎の部屋に現れた。

しかしゲームにかけてはクソ雑魚ポンコツだった最強の悪魔は、以来、人類の存亡を賭けて毎日、六郎の部屋に遊びにやってくることになった…

という、のじゃ語尾最強美女ヒロインのクソ雑魚チョロポンコツっぷりを愛でるギャグコメディ。

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「デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い」3巻(平方昌宏/集英社)

※この人が地獄最強の悪魔さんです

ルックスはジャンプ漫画っぽいですけど、平凡な少年の家に超常の何かがやってくる、という「オバケのQ太郎」的な藤子不二雄ワールド的な、非日常キャラによる日常ギャグコメ、という定番ジャンル。

出オチの一発ネタの繰り返しですけど、系で言えば「姫様拷問」と一緒というか、最近はキャラの魅力も相まって出オチの一発ネタをずっと楽しく読ませる作品が増えましたね。

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「デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い」3巻(平方昌宏/集英社)

メンヘラ彼女かな?

前巻のヒキから今巻は夏休みの海遊び編。海水浴、肝試し、花火、そして夏休みロス。

デビィの相変わらずの留まることを知らない雑魚っぷり。夏休みロスでダメ悪魔と化したデビィが、冬休みロスでダメ人間と化した私の心に沁みます。

新キャラ、デビィの従姉妹でロリギャル風・小悪魔系の悪魔、エルも新登場。

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「デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い」3巻(平方昌宏/集英社)

あとがきで作者も書いてますけど、ラブコメ要素がほとんどなかった1〜2巻と比べて、エルがかき回すおかげでラブコメ要素というか、六郎がデビィを異性として意識しちゃうシーンがちょっとずつ増えてきましたね。

最終回は「好きって言う」を賭けた鬼ごっこ勝負になっちゃってたりして!

そんで「今際の際に言ってやる」みたいなエンディングだったりして!

まあモダンなギャグコメらしく色恋沙汰にそうそう発展しないラブコメになり切れないユルい人間(悪魔)関係が、今のところこの漫画の面白さの源泉だと、カプ厨の自分も思いますけど!

連載時はたぶん情報なかったと思うんですけど、単行本化にあたってタイムリーというかなんというか、

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「デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い」3巻(平方昌宏/集英社)

祝!「うる星やつら」再アニメ化!という。

www.oricon.co.jp

デビザコも早くアニメ化されんかな。

もう1クール分ぐらいのエピソードは余裕で溜まってると思うんですけど!

 

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#キメツ学園! 1巻 評論(ネタバレ注意)

本編のおまけ漫画で作者自らによって度々描かれた二次創作「キメツ学園」が、他の漫画家によって連載化されたキャラもの公式スピンオフ。

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「キメツ学園!」1巻より(帆上夏希/吾峠呼世晴/集英社)

小中高の一貫教育校キメツ学園の日常ギャグコメディ。キャラはみんな二頭身のSD化。

柱の面々は主に教師役に、その他の鬼殺隊の面々や鬼が生徒役に。

当然、正統続編ではなく、本編とはパラレルな世界観の作品。

炭治郎が割りと品行方正で単品でギャグコメのキーになるトラブルを起こしにくいせいか、善逸が主役というか狂言回しポジションのエピソードが多い気がする。

本編がギャグコメ色も強めだったこともあって、リサイクルされたキャラたちの親和性というかギャグ適性も高くよく馴染んでます。みんな可愛いねw

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「キメツ学園!」1巻より(帆上夏希/吾峠呼世晴/集英社)

愛されキャラの宝庫で読者に人気の柱の面々に順々にスポット当てていくだけで当分ネタが保ちそうというか、勝手にネタが生まれてきそう。

甘露寺がキメツ学園の卒業生でピザ屋でバイトしてる大学生、と出番が少なそうな設定なのでテコ入れしてもっと出番増やして欲しい。

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「キメツ学園!」1巻より(帆上夏希/吾峠呼世晴/集英社)

まあ鬼滅ファン向けの楽しいファンアイテムです。アニメ2期もやってんでしたっけ。

本編は一年以上前に完結済ですけど、アニメはたぶん原作の全編アニメ化されるまで続いていくんでしょうし、しばらくは定期的にこうして「鬼滅の刃」が話題になり続けるんだろうな、と。

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「キメツ学園!」1巻より(帆上夏希/吾峠呼世晴/集英社)

昔「SDガンダム」がアニメ化されたのをちょっと懐かしく思い出しました。

この「キメツ学園」もアニメ化されたり、そんで本編よりも子どもに人気になっちゃったりしてぇ。

 

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#猫と竜 4巻 評論(ネタバレ注意)

親を喪い、卵から孵化した瞬間から、言葉と魔法を操る「森にすむ猫」(ケットシー)の子猫たちと一緒に母猫に育てられた竜。

自らを猫だと思い込んで育ち、長じて空を駆け火を吹き人間から「皇竜」と恐れられる存在となっても、その恩返しに猫の子孫たちの親代わりに狩りと魔法を教えその守護者を務めていた。

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「猫と竜」4巻より(佐々木泉/アマラ/マンガボックス)

ある日、森の猫を害したことからかつて竜が罰を与えた人間の王国に、森で育った猫の1匹がきまぐれで訪れ、幼い王子と親交を持つ。

猫の身を案じた竜は、再び人間の街に降り立つ…

で始まるファンタジーもの。もとは「なろう」小説、のコミカライズとのことです

竜と猫と人と魔法にまつわる、少し哀しく、とても優しいファンタジー作品。

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「猫と竜」4巻より(佐々木泉/アマラ/マンガボックス)

森で猫に育てられ長じて恩返しに猫を育て続ける竜。竜に育てられた猫は長じて世界各地へ。ある者は人の冒険者たちを見守り、ある者は人の勇者の師匠となり、ある者は人の王の良き友人となり、ある者は再び森の土に還る。

そういうお話。

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「猫と竜」4巻より(佐々木泉/アマラ/マンガボックス)

今巻は過去の登場した猫や人のその後が描かれるエピソードが比較的多め。

皇竜を育てた後に人間の魔法使いの少女の使い魔となったママ猫と、長じて優秀な魔法使いとなった少女のその後など。ママ猫の初心者の森への里帰り、皇竜との再会。

他、初心者の森で暮らす皇竜と猫たちの日常話など。

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「猫と竜」4巻より(佐々木泉/アマラ/マンガボックス)

相変わらずファンシーで牧歌的な優しい世界で安定してます。

もうちょいキビキビと電子書籍化さえしてくれれば、言うことないんですが。

 

猫と竜 (4)

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#猫と竜 3巻 評論(ネタバレ注意)

親を喪い、卵から孵化した瞬間から、言葉と魔法を操る「森にすむ猫」(ケットシー)の子猫たちと一緒に母猫に育てられた竜。

自らを猫だと思い込んで育ち、長じて空を駆け火を吹き人間から「皇竜」と恐れられる存在となっても、その恩返しに猫の子孫たちの親代わりに狩りと魔法を教えその守護者を務めていた。

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「猫と竜」3巻より(佐々木泉/アマラ/マンガボックス)

ある日、森の猫を害したことからかつて竜が罰を与えた人間の王国に、森で育った猫の1匹がきまぐれで訪れ、幼い王子と親交を持つ。

猫の身を案じた竜は、再び人間の街に降り立つ…

で始まるファンタジーもの。もとは「なろう」小説、のコミカライズとのことです

竜と猫と人と魔法にまつわる、少し哀しく、とても優しいファンタジー作品。童話、おとぎ話のような牧歌的な世界観を表紙がよく表しています。

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「猫と竜」3巻より(佐々木泉/アマラ/マンガボックス)

森で猫に育てられ長じて恩返しに猫を育て続ける竜。竜に育てられた猫は長じて世界各地へ。ある者は人の冒険者たちを見守り、ある者は人の勇者の師匠となり、ある者は人の王の良き友人となり、ある者は再び森の土に還る。

そういうお話。

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「猫と竜」3巻より(佐々木泉/アマラ/マンガボックス)

生命が生まれ育ちやがて地に還る間に、竜と猫と人とが織りなす美しい営為を童話的に印象的に情緒的に。

作品はお話・絵ともにとてもマッチしていて素晴らしいんですが、「このマンガがすごい!COMICS」といういかにも各方面にシガラミが多そうなレーベルなせいか、未だに電子書籍版がいつ出るんだかよくわからないやり方が続いていて、損してる作品のように思います。

この巻も紙書籍は2019年の刊ながら、電子書籍化されたのは2021年のはずです。2020年末にチェックした際はまだだったので。

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「猫と竜」3巻より(佐々木泉/アマラ/マンガボックス)

毎日この作品の商品ページを「電子書籍化はまだか」とクリックし続けて暮らすわけにもいかず、こっちの読む態度も自然と後回しで「思い出した時に探して読む」みたいないい加減な扱いになってしまって、なんだかせっかくの作品にも、良作に仕上げた作家陣にも申し訳なく思いますね。

 

猫と竜 (3)

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