
売れてて、TVアニメも好評で、2期も決まって、
natalie.mu
というところで、コミカライズ作画の漫画家の脱税が発覚。
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出版社であるスクエニは「打ち切らない」との判断とのことですが、同原作のコミカライズが小学館からも並行して出版されていることから、一部では小学館版が「納税版」、このスクエニ版が「脱税版」と不名誉な称号で呼ばれ揶揄され区別されているそうです。
まあ、自業自得。
自分は作品は好きですし、他人の脱税の責任をとって「納税版」で買い直す筋合いもないので継続して買って読みますが、一社会人としても一納税者としても軽蔑します。
キャンセルカルチャー的には、過去に脱税した漫画家くずれが元気にご活躍してる実績もありますし、相対的にこっちも打ち切りはギリギリセーフでいんじゃねえの、とは思います。
お仕事がんばってちゃんと税金納めて、打ち切らなかった関係者、特に大事な作品名に不名誉なミソをつけられた原作者に、借りを返して信頼を取り戻されてください。
打ち切られてたら、13巻まで買って読んでた自分も「未完の被害者」という関係者になるとこだったねえ。
今後メディア展開の度に本件スキャンダルが蒸し返されてケチがつくのも業腹ですし、自分が編集部の人間だったらキリのいいとこまでは現状維持で描かせつつ、読者から文句が出ないぐらい上位互換の作画担当者を探してきて、どこかのタイミングで作画者交代で引き継がせて損切りしますけど、どうなるでしょうね。
あと、脱税発覚以降、半年を経て初の刊行となった今巻の中で、脱税の件に関するコメントは出版社からも作画担当からも特に何もなかったことを申し添えておきます。
さて。
なろう小説のコミカライズ。

『薬屋のひとりごと』14巻より(日向夏/ねこクラゲ/七緒一綺/しのとうこ/スクウェア・エニックス)
古代中国の華やかな後宮を舞台に、美女ありイケメンありミステリーあり。
人攫いに後宮の下女として売り飛ばされた薬師で毒マニアの少女・猫猫(マオマオ)が、謎のイケメン高官・壬氏(じんし)の引き合いもあって上級寵妃のお付きの下女として、華やかな後宮内で起こる難事件を薬と毒の知識と花街出身の度胸で解決する時代ものの探偵もの。ちょっとラブコメも有り。
ちょっと話それますけど、この作品の後宮の、「人攫いに売られる」「親に売られる」という非人道的・犯罪的なスタートからの、階級社会の中での意外とのほほん牧歌的な生活、意外とめげずにたくましい本人(下女)たち、という「売られちゃったけどそこで割りと楽しく暮らしてます」的な非対称なアンバランスさは見ててちょっと面白いですね。

『薬屋のひとりごと』14巻より(日向夏/ねこクラゲ/七緒一綺/しのとうこ/スクウェア・エニックス)
「昔」のおおらかさ、たくましさ、アバウトさの表現として、意外とリアルだったりするんかしらん。「人権」の概念知らんから諦めがいいのかな。よくわからん。
さて。
前述のとおり、ガンガンとサンデーGXでそれぞれ同時にコミカライズされていて、サンデー版も出来物だと聞きますが、間違って読んでない方の続巻を買ってしまわないように気をつけましょう。
勧善懲悪というよりはヒロインが謎を解いて自分の利害(主に好奇心)を満たしたらそこで終わり(逮捕・検挙が目的ではない)という感じで、「犯人(たち)がその後どうなったのか」は描かれないことが多く、人によってはモヤモヤが残るというか、「大人な幕引き」のエピソードが多めですけど、自分はこれ系のモヤモヤは結構好きです。

『薬屋のひとりごと』14巻より(日向夏/ねこクラゲ/七緒一綺/しのとうこ/スクウェア・エニックス)
毒マニアの薬師が主人公って一見変化球のようでいて、「事件」の舞台は後宮ということもあり、「被害者」「犯人」もその多くが女性で、かつ犯行が(地位を損なわないよう)秘密裏に行われるケースが多いことを考えると、殺人の手段が「毒殺」に偏って主人公が薬師なのは、よく考えたら必然だったんだな、とか思いました。
作品を貫くモチーフとして、ヒロイン・猫猫と未満恋愛ラブコメを展開する謎のイケメン宦官「壬氏(じんし)は何者なのか」がありますが、皇帝家の閨閥の闇(?)に関わるエピソードで、次いで避暑地のアバンチュールと「壬氏暗殺計画」で猫猫と壬氏が行動を共にしたことで、だいぶ進展。
猫猫はそもそも恋愛不感症気味なのと、壬氏を宦官だと思っていることのダブルパンチで恋愛感情が成立していません。

『薬屋のひとりごと』14巻より(日向夏/ねこクラゲ/七緒一綺/しのとうこ/スクウェア・エニックス)
壬氏も側も宦官を偽装していることで、猫猫を「恋愛対象外」として、「気持ちを封印していた」というよりは「猫猫への自分の気持ちに無自覚だった」という感じでした。
が、実は壬氏が宦官ではないことが猫猫に明かされてしまったんですが、相変わらず恋愛不感症な猫猫ではなく、色んな意味で「高嶺の花」の側であるはずの壬氏の方が、恋愛感情のタガが外れてしまったっぽいですねw
「面白れー生意気庶民小娘への片想いを自覚しちゃった悩めるクール系王子様」
という風情で、「いったいこの作品のヒロインは誰なんだ」と思うぐらい可愛らしく艶っぽいw
こういう「高嶺の花ポジの逆転現象」は近年いろんな作品で見られますね。それとも自分が最近意識するようになっただけで、昔から定番なんかな。

『薬屋のひとりごと』14巻より(日向夏/ねこクラゲ/七緒一綺/しのとうこ/スクウェア・エニックス)
玉葉妃が帝の子を懐妊、しかし猫猫の見立てでは逆子だった。
危機感を募らせた猫猫は、国一番の医師として、かつて後宮で活躍したが理不尽に責と罪を負わされ追放された、自らの養父を推薦。
玉葉妃と壬氏の計らいもあり養父は妃たちの臨時の主治医のような立場で迎えられたものの、これをきっかけに猫猫は新たな陰謀劇に巻き込まれることとなった…
ということで、スキャンダルはあったけど中身は相変わらずスリリングで面白いです。当たり前かw
ヒキは強くスリリングなものの、エピソードの途中でもあり
「次巻に期待」
「『面白かった』ではなく『面白くなりそう』」
の意味で、自分基準で★4です。脱税スキャンダル明けにしゃあしゃあと★5をつけて良いものか、とか悩まなくて済みましたw

『薬屋のひとりごと』14巻より(日向夏/ねこクラゲ/七緒一綺/しのとうこ/スクウェア・エニックス)
作画も相変わらず美麗で見応えのある、見事なものでした。
それだけに、虚心で誉められないことが大変残念です。
aqm.hatenablog.jp
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