#AQM

I oppose and protest the Russian invasion of Ukraine.

#SPY×FAMILY 6巻 評論(ネタバレ注意)

凄腕スパイ・暗号名「黄昏」に下った新たな指令は、妻と新小学生の子どもを調達して敵国の名門校のPTAに潜入し、平和を脅かす危険な黒幕に近づくこと。

任務のために孤児院で適当に選んで引き取った娘・アーニャは、他人の心が読める超能力者だった。

ひょんな縁からトントン拍子で任務のために妻に選んだおとなしげな美女・ヨルは、凄腕の殺し屋だった。

互いに正体を隠して家族になった3人。人の心が読めるアーニャだけがひとり全てを知り、新しいスパイの父と殺し屋の母に「わくわくっ…」としていた。

 

今年の12/21からの1週間は漫画の出版が豊作で、心静かに下半期まとめ記事などをしたためたい私からしたら嬉しいやら忙しいやら、既に2020ベストを発表しちまった各マンガ賞にとってもいい迷惑だろうな、と思いますが、極め付けは本来毎月4日の「ジャンプの日」に発売されるはずのこの漫画です。

なんなん12/28発売ってw 1/4発売でええやんけw あれか、林士平が1/4に「チェンソーマン」とこの作品の両方プロモーションするのが大変だから前倒ししたんか!?

嘘ですブログのネタ日照りになりがちな年末年始に発売を分散してくれてありがたい限りです。

 

黄昏のパートナーの座を狙う女性エージェント・夜帷と、黄昏が組んでの潜入任務。暗号を隠す絵画を賭けて闇のテニス大会に出場。

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「SPY×FAMILY」6巻より(遠藤達哉/集英社)

トップレベルのスパイの超人的な身体能力を駆使した超人テニス!見送るヨルの複雑な女心。

変顔ヒロイン・アーニャとお友達ベッキーのセレブなお買い物お出かけ。アーニャファッションショー開催!

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「SPY×FAMILY」6巻より(遠藤達哉/集英社)

未だ参加資格は持たないながら、イーデン校懇親会のチャンスに標的・デズモンド総裁への接触を図る黄昏。

オイオイ、この漫画終わっちゃうじゃねえか、という気になるヒキで次巻に続く。

 

通常クルージングに入った、ドタバタながらある意味予定調和な「スパイの通常任務などの日常回」エピソードで、メインディッシュはテニス回シリーズでしょうけど、ヨルとアーニャの出番が大幅に削られて、うーん…w という感じ。夜帷ヒロインで引っ張るにはちょっと荷が重いかな…

この漫画はコメディリリーフとしてアーニャの優秀さが突出してて、私も度々「エスパーよつばと!」と形容していますが、アーニャが出ないと面白さが半減しちゃうように感じてしまうというか、「アーニャの出番がない回」が比較されちゃうライバルが「アーニャの出番がある回」なのは、下手したら「ストーリーの縦軸なんかよりアーニャ出せ」になりかねない、この漫画の意外な弱点かもしんねーな、という。

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「SPY×FAMILY」6巻より(遠藤達哉/集英社)

素が面白いんで、まー贅沢な弱点ですけど。

 

SPY×FAMILY 6 (ジャンプコミックスDIGITAL)

SPY×FAMILY 6 (ジャンプコミックスDIGITAL)

  • 作者:遠藤達哉
  • 発売日: 2020/12/28
  • メディア: Kindle版

 

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#戦争は女の顔をしていない 2巻 評論(ネタバレ注意)

漫画「ヨルムンガンド」は武器商人のヒロインが、世界中に武器を売り歩きながら「世界から戦争を消し去りたい」という野望を抱く物語ですが、その最終話のタイトルは

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「ヨルムンガンド」11巻より(高橋慶太郎/小学館)

「恥の世紀」という印象深いものでした。

 

このブログの記事は、独ソ戦に従軍した女性たちに、原作者アレクシエーヴィチがインタビューして原稿にしたものを、翻訳者の三浦みどりが日本語に翻訳し、群像社によって編集され、岩波書店によって表記を修正され、速水螺旋人の監修のもと、小梅けいとが漫画化して、KADOKAWAによって編集された漫画を、私AQMが読んで、その感想を書くものです。

企業を「一人」とカウントしても、独ソ戦で起こった事実から少なくとも75年の時間と8人もの人間の手を介した果てに書かれている文章で、果たして戦争の「真実」に対してどれだけ迫れるものでしょうか。私はとても疑問です。

原作もコミカライズも読むことなくこの記事だけを読んでも、おそらく何の意味もないでしょう。少なくともWEBで無料で公開されている分だけでも、可能であればコミカライズの1巻と2巻を、財布と時間と本棚のスペースが許せば岩波現代文庫版を読んだ方が良いと思います。

言語が堪能であれば原語版を読むのが一番良いのかもしれません。私にはそれは無理なので、コミカライズの1巻を読んだ後、原作の日本語訳の文庫版を買って読んでみることにしました。 奥付によると2020年2月27日の版ということになっています。

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コミカライズの1巻を読んだ後、私はネットでこの作品に対する様々な感想を読みました。その中には「インタビュアーである原作者を美少女のように造形した漫画家が許せない」との意見もありました。私はこの作品のチャレンジ精神を大いに評価していたので、「なんて瑣末でくだらない感想だろう」と呆れました。

が、その後原作を読み、それからは原作に対する大いなる解釈違いで、私にも監修の速水螺旋人と漫画家の小梅けいとに対して言いたいことが、もっと言えば原作者のアレクシエーヴィチに対しても言いたいことが、たくさん生まれました。

これはノンフィクションの戦争の話で、そうなることが当たり前のように思います。解釈違いが生まれるのも、言いたいことが生まれるのも、作品に対して自分の脳みそで考えた証で、人の数だけ解釈違いと言いたいことが生まれるはずで、それは美少女キャラが許せないのと等しく価値があるはずだと今では思います。

確かに美少女キャラは彼女たちの醜い行動を糊塗し、必要以上に読者の同情心を煽るもので、アレクシエーヴィチのまるで墓荒らしのような冷酷なジャーナリズムにそぐわないかもしれません。

 

言いたいことがたくさんあるといえば、8月に作画・監修コンビと、大御所・富野由悠季との対談インタビューがネットで公開されました。

ddnavi.com

歯に衣着せず厳しいようでどこか優しい、叱咤と激励が入り混じるいかにもな富野節でした。

対談の中で富野はいかにも戦争を知る世代のように振る舞い、小梅けいとに「戦争を知らない世代としてフラットな目線での作品作りを期待する」と繰り返し語っています。第二次世界大戦・太平洋戦争が終結した時点で富野は3歳で、戦争直後の影響を受けた日本の社会についてはともかく、少なくとも戦場を見てきたかのように語る資格は彼にもありません。

この「戦争を直接知らない世代のジレンマ」については富野の7歳下のアレクシエーヴィチも原作中で

またもや「男の理屈」が聞かれる。「あんたは戦争に行ったことがないからな」でも、それってかえっていいことなのかもしれないでしょ。わたしは激しい憎悪を知らないし、わたしの見方は正常な見方、「戦時の見方」ではないのだから。

「戦争は女の顔をしていない」より

(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ著/三浦みどり訳/岩波現代文庫)

と愚痴っていて、一連のインタビューのやり取りはこれをなぞっています。

作画・監修の二人も原作を読んでいる富野もそれは当然承知しているはずで、私が思うにインタビューでの富野の偉そうな態度はこれを踏まえた、メディアと若い世代に向けた演技です。

 

今巻は1巻に比べて、エピソードが断片的で、原作者の主観の描写にも多くのページが割かれ、初見の読者がストレートに「感動」しにくい展開が続きます。

安い感動ポルノであれば、女たちは無垢で無謬で、戦争の一方的な被害者であって欲しい、1巻で見たように生命のために走り回る献身性を見せて欲しい、せめて戦争行為に罪の意識を抱えていて欲しいところですが、この2巻はそうはならず、戦争の生み出す複雑な利害関係やそれぞれの感情、人間の持つ二面性が顔を覗かせます。

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「戦争は女の顔をしていない」2巻より(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ/小梅けいと/速水螺旋人/KADOKAWA)

ソビエト連邦は内外に様々な矛盾を抱えた毀誉褒貶の激しい国家でしたが、少なくとも独ソ戦においてはドイツに一方的な条約破棄とともに奇襲先制され国土と国民の生命を蹂躙された立場で、復讐心と愛国心で従軍を志願した女性たちは「あのナチスドイツを自らの手で打倒した英雄的な女たち」と扱われても良さそうなものです。

が、現実はそうではありませんでした。

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「戦争は女の顔をしていない」2巻より(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ/小梅けいと/速水螺旋人/KADOKAWA)

戦場から社会に戻った彼女たちを待っていたのは、「悲惨な戦争を想起させる、結婚相手にしたくない、3K労働に従事したキレイじゃないイタい女」として彼女たちを避ける男たちと、

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「戦争は女の顔をしていない」2巻より(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ/小梅けいと/速水螺旋人/KADOKAWA)

「戦場に男漁りに行っていたんだろう」という、戦場に行かなかった女たちの見下した視線でした。

恋柱かよ。

あるいはそれは自分が持てなかった「勇気」を持つ彼女たちに対する嫉妬の裏返しだったのかもしれません。

戦後のソビエトのそうした空気を敏感に察したであろう彼女たちの多くは、戦場で体験したこと、戦場に居たことを、隠し、沈黙するようになりました。

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「戦争は女の顔をしていない」2巻より(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ/小梅けいと/速水螺旋人/KADOKAWA)

たまに口を開いた女の話は、「大局観に欠ける、センチメンタルでお涙頂戴の作り話」として一笑に付され、彼女たちは更に貝のように沈黙することになります。

そこをこじ開けにかかったのが原著者・スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチでした。

 

こう書くと、彼女たちはいかにも社会からの抑圧で沈黙していたように見えます。

でも、それだけだったでしょうか?

現に、現著者の原稿の出版が拒否されるシーンも度々登場し、彼女たちの話が抑圧されていたことは見て取れます。

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「戦争は女の顔をしていない」2巻より(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ/小梅けいと/速水螺旋人/KADOKAWA)

でも、本当にそれだけだったでしょうか?

 

平和な現代の私たちはブログやSNSにほとんどの場合「本当のこと」を書きません。それは大抵の「本当のこと」は書いたら非難され炎上することを知っているからですが、それはネットの抑圧であるのと同時に、未熟な人間が考え感じ行う「本当のこと」はしばしば間違っていたり他人を傷つけたりすることがあり「本当のこと」を書くことが自らの醜い人間性を暴いて形にして歴史に残してしまうことを知っているからです。

 

子どもだった頃、私はTVなどで戦争経験者が「今の若者には戦争経験者のような苦労が足りない」と語る度に、

「戦争を始めた、戦争を止められなかった、戦争に負けた恥の世代が
 戦争を繰り返させないための諫言ならともかく、
 『お前らは苦労が足りない』とはどういうことだろうか。
 なんでこんなに態度がデカいんだろう。彼らは恥を知らないんだろうか。」

と思っていました。思っただけで口にすることはありませんでした。口にすれば誰かを傷つけ、誰かから憎まれるだろうことぐらいは、当時の私も知っていたので。

どうか怒らないでください。バカな子どもの「本当のこと」、口にしなかったただの戯言です。

今の私は、社会がもっと複雑で、戦争を止められなかったことが必ずしも彼ら全員の罪ではないこと、我々の世代が戦争を経験していないことは別に我々の手柄でもなんでもないことを知っています。

 

この平和な現代の日本のSNS上でさえ、それでも醜い人間性が発露して毎日のようにぶつけ合われているというのに、1940年代の対ナチスドイツ戦時下で志願して従軍した彼女たちが行った所行が、「女性だから」という理由だけで清廉潔白であったとは私には思えません。

社会の抑圧の以前に、彼女たちは戦場で行った自らの残酷で愚かな所行を恥じていて、沈黙している理由の第一義はそれではないのか?

ジャーナリストとしてそれらを冷酷に、墓を暴くように、彼女たちの恥の記憶をこじ開けにかかったのが原著者・スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチでした。

 

アレクシエーヴィチが興味があるのは、彼女たちがスラスラを語る英雄的な武勇伝でもなければ、可哀想なお涙頂戴話でもありません。

アレクシエーヴィチが興味を抱き、記録に残し、歴史に残したいと思ったのは、彼女たちが墓まで持っていくつもりの懺悔、後悔していること、狂気に染まったことなどの「本当のこと」、人間としての恥の歴史でした。

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「戦争は女の顔をしていない」2巻より(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ/小梅けいと/速水螺旋人/KADOKAWA)

敵兵の死体を馬車が踏む瞬間の、人間の骨が砕ける瞬間の音と衝撃が、復讐心が満たされたのか「嬉しかった」と語るご婦人。こんな不気味なことを語る彼女を結婚相手に選ぼうとしないことは、果たして罪でしょうか。

なので彼女たちやその夫たちは、アレクシエーヴィチのインタビューをとても警戒し、私たちがSNSで炎上しないように注意するように、戦争の話をとても慎重に言葉を選んで語ろうとします。

彼女たちの名誉のために、彼女たちの周辺や彼女たち本人が、国家のそれと同じくらいとても分厚い鎧を着込んでインタビューに臨むことを、原作でもアレクシエーヴィチは度々愚痴っています。

このコミカライズでも著者の苦悩は取り入れられていますが、読者が期待する戦場体験談とはかけ離れたこの描写によって読者が離れることを危惧したのか、これでも取り上げられる量は少なく感じます。この真実に迫る難しさ、恥を歴史に残すことの困難さもまた、戦争の一部と言っていい重要な要素のはずですが、コミックのテーマとしてあまりに地味で、また作品の意義をも損なうものだと考えられたのかもしれません。

こうして「真実」は、「どこを切り取って語りたいか」という、体験した本人たちのバイアス、原作者のバイアス、コミカライズ作家のバイアス、そして私のバイアスを通じて形を変えていき、あなたがこのブログを読む頃には本来語られるべき趣旨はもう一欠片も残っていないのかもしれません。

 

アレクシエーヴィチはさすが後にノーベル文学賞を受賞するジャーナリストだけあって、実に冷徹に彼女たちの隠している「本当のこと」を暴こうとします。

アレクシエーヴィチは彼女たちを拷問したり、金で懐柔したり、ウォッカで酩酊させたりする代わりに、一日中世間話と身の上話に付き合い、時には彼女たちとともに泣いて、どうにかして彼女たちが油断して「本当のこと」をポロッと口にする瞬間が訪れるのを粘り強く待ちます。

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「戦争は女の顔をしていない」2巻より(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ/小梅けいと/速水螺旋人/KADOKAWA)

そうして膨大な時間で得られたほんのわずかの「本当のこと」をアレクシエーヴィチは原稿にし、時にはインタビューした相手に原稿案を送付して本人のチェックを待ちます。

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「戦争は女の顔をしていない」2巻より(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ/小梅けいと/速水螺旋人/KADOKAWA)

そしてしばしば、それを語った本人によって「なんでこんな話を原稿にするのか」と激怒されます。

彼女たちからしたら、本当は話すつもりのなかった、オフレコのつもりで油断してポロッと口にした「本当のこと」ばかりを文字起こしされて、「私の名誉を破滅させるつもりか」とびっくりしたことでしょう。

 

コミカライズ1巻の帯コメントで富野由悠季は「女たちは美しくも切なく強靭だった」と語り、先に挙げたインタビューでは

近代戦でどのように女性が蹂躙されているか。それは男に犯されるような蹂躙ではないのよね。戦争そのものに蹂躙されているんです。

と語っていますが、私がこの作品を読んで感じたのは「女たちもまた何かを蹂躙した」ということ、彼女たちが軍人である限り、戦争の一部として被害者は同時に加害者でもあったという、考えたらとても当たり前のことでした。

富野由悠季は同じインタビューで1巻の帯コメントについて

この本は公に出版されるものですから、お世辞で書きました。この言葉の意味には、すべて裏があります。正面切って、褒められたと思うな!

とも語っており、彼は基本的に「本当のこと」を直截には語らず、聞く者に自分で思考させようとすることをいつも心がけている、面倒臭いクソジジイです。

 

この作品は原作者が

戦争のことを聞いただけで、それを考えただけでむかつくような、そんな本が書けたら。戦争のことを考えることさえぞっとするような、そういう本を。将軍たち自身が吐き気をもよおしてしまうような本を。

「戦争は女の顔をしていない」より

(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ著/三浦みどり訳/岩波現代文庫)

と呪いのように志ざし、そのために行われたインタビューに基づくノンフィクションで、基本的に戦勝国であったはずのソ連赤軍の戦場における恥を、個人レベルで暴くものです。

原作には未だコミカライズされていないこんな一節があります。

赤ちゃんの声が聞こえれば全員が死ぬことになる。三十人全員が。おかわりでしょう?

決断が下された。

指揮官の命令を誰も伝えることができない、しかし、母親は自分で思い当たった。布切れを包んだ赤ちゃんを水の中に沈めて、長いこと押さえていた。赤ちゃんはもう泣かない。静まりかえっている。わたしたちは誰も眼をあげることができない。母親を見ることも、お互いの顔を見合わすことも

「戦争は女の顔をしていない」より

(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ著/三浦みどり訳/岩波現代文庫)

戦勝国の作家が勝利した戦争を描いてノーベル文学賞というとても名誉な賞を受賞したにも関わらず、アレクシエーヴィチは故国ベラルーシを石もて追われるように、欧州を転々と放浪しています。旧ソ連は、もしかしたらインタビューされた女たち自身も、ピラミッドを発掘される古代エジプト王の霊のように、この作品の存在を「恥の歴史」として呪っているのかもしれません。

そうなることにある程度自覚的であったにも関わらず、この「恥の歴史」の記録の筆を止めなかった原著者は、真にノーベル文学賞にふさわしいジャーナリストであると私は思いました。

不満はあります。いくらでもあります。自分が漫画家だったらこうは描かない!と思うことはたくさんあります。真剣に読めば読むほど不満はあって当たり前です。

ですが、ココ・ヘクマティアルと新しい世界を旅することが叶わず、未だ「恥の世紀」を生きる私にとって、このコミカライズの試みは非常に意義深いものだと、認めないわけにはいきません。

 

戦争は女の顔をしていない 2 (単行本コミックス)

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#幼女戦記 20巻 評論(ネタバレ注意)

サラリーマンがリストラ逆恨みで殺されて成仏の際に神に反抗した罰で、近代欧州っぽい異世界、WW1前のドイツそっくりな帝国の魔導師の素質持ちの女児に転生。

戦勝と栄達と安穏な後方勤務を夢見つつ、少佐の階級、エース・オブ・エース「白銀」「ラインの悪魔」の二つ名、第二〇三遊撃航空魔導大隊大隊長として、戦場の空を支配する主人公ターニャ・デグレチャフ11歳。

前巻の感想に

TVアニメの最終回に相当するエピソード。個人的なことですが、原作・劇場版を未体験の自分が知っている「幼女戦記」はここまでになります。

と書きましたが、まだ更にTVアニメ最終回相当の話が続きます。アニメの記憶がちょっと飛んでた。

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「幼女戦記」20巻より(東條チカ/カルロ・ゼン/KADOKAWA)

1冊かけてやるだけでも相当じっくりなのに、2冊に渡るというもの凄い密度。

TV版に追い抜かれ、追いかける形になったコミカライズが、尺のアドバンテージを活かした情報量の多さ・密度の違いでTV版視聴者済みの読者にも楽しめる、幸福なコミカライズ。

今巻で完全にTVアニメ化されたところまでをカバーし、というか見たことのないシーンまで含んで、公式に「第一部 完」とされています。

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「幼女戦記」20巻より(東條チカ/カルロ・ゼン/KADOKAWA)

数日前にAmazonの商品概要を覗いた際、「第一部 完」との記述を初めて見て、あれ、もしかして東條チカが作画から離れるのかな、と思いました。ラノベやなろうのコミカライズで部や章が変わるとコミカライズの作画者が交代することは稀にあります。

以前の感想にも書きましたが、これだけ描ける漫画家を他人の原作のコミカライズに何年拘束することが許されるんだろうか、とずっと思っています。

別にコミカライズを低く見ているつもりはなく、現在進行中のコミカライズを見渡しても「化物語」の大暮維人、「銀河英雄伝説」の藤崎竜、「アルスラーン戦記」の荒川弘など、終わりの見えないコミカライズにいま現在もキャリアを捧げている名手はたくさんいます。

ただ彼らは既に自分の作品で名を成したベテランと言っていい作家で、なぜか未だにWikipediaさえ見当たらない東條チカとは事情が異なります。

そうなんですよね、Wikipediaすらないんですよ。私はこの漫画家のことを全然まだ知りません。

原作のカルロ・ゼンはコミカライズの作画ガチャで出版社またぎでSSRばっか引くバカヅキで「運営のチートなんじゃねえか」と有名で、「幼女戦記」はその長女格ですが、どこでどうやってこの爆速・高クオリティの作画担当を見つけてきたの?

 

幸いなことに、今巻のあとがきに作画者のお別れの言葉があるでもなく、Twitterを見る限りでも

第二部以降も続投してくれるっぽくて、私の心配は赤の他人の余計なお世話のまったくの喜憂だったようで、一安心です。

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「幼女戦記」20巻より(東條チカ/カルロ・ゼン/KADOKAWA)

私は「幼女戦記」の原作を読みません。東條チカのコミカライズ版を読む楽しみが減ってしまいますから。

次巻から今度こそ正真正銘の「私の知らない物語」、世界大戦編です。とても楽しみです。

 

幼女戦記(20) (角川コミックス・エース)

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  • 作者:東條 チカ
  • 発売日: 2020/12/26
  • メディア: Kindle版

 

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#GIGANT 7巻 評論(ネタバレ注意)

AV女優・パピコと映画監督志望の高校生・横山田のボーイミーツガールに、未来ガジェット巨大化ツールや超常現象いたずらサイト「ETE(enjoy the end)」が絡む不条理SF。進撃の巨乳。

ETEにより新宿に現れた3体の巨人「サタン」。死刑の恩赦と引き換えに自衛隊と協力し未来ガジェットで巨大化して素っ裸で撃退したパピコ。一躍国民的ヒーローとして超人気タレントに転身。一方アメリカは巨人の駆逐に失敗し、国土を蹂躙される。

前巻の感想で

次巻からパピコが世界中に派遣される流れでしょうか?

って書いたんですけど、巨人の方から東京に来てくれることになりました☆

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「GIGANT」7巻より(奥浩哉/小学館)

いやもーこの漫画が超展開じゃなかった巻なんて一冊もなかったですけど、超展開だな今巻。あっという間に読み終わっちゃうのにいろいろ有り過ぎてお腹いっぱいw

例の正体不明のパンツ一丁の軍人たち(?)の正体も判明。

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「GIGANT」7巻より(奥浩哉/小学館)

ETEの正体、いま起こっていることの原因も判明。

意外と普通だな、とは思います。というかこの作者、その辺を凝ろうという興味が欠落してて、どの作品でもそうですけど。

超現実現象の原因やメカニズムとかよりも、その状況下で人間たちがどうするかをショッキングに描きたい人というか。

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「GIGANT」7巻より(奥浩哉/小学館)

もんの凄い絵を描くねこの人。なに食ったらこんな絵描こうと思いつくんだろうか。

いやー、もう、なんてところで次巻に続くの!こんなモヤモヤして年越せるか!俺も時間移動して未来に行って早よ次巻読みたいわ!

 

GIGANT(7) (ビッグコミックス)

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  • 作者:奥浩哉
  • 発売日: 2020/12/25
  • メディア: Kindle版

 

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#ご注文はうさぎですか? 9巻 評論(ネタバレ注意)

「ごちうさ」で憶えてると相変わらず「ごちそうはうさぎですか?」と勘違いする。

二度のTVアニメ化に劇場にOVAにTVアニメ三期も、と美少女4コマとしては大ベテラン感も漂う「ごちうさ」の1巻から9年目近くの9巻。

基本的にアニメでがっちり掴んだ固定ファンのハートがぴょんぴょんできればOK、キャラ愛と癒しのほのぼの系の多幸感あふれる美少女4コマで、「ギャグ」とか「コメディ」とかいうより「ジャンル:ごちうさ」みたいなゆるくてふわふわの優しい世界。

1年3ヶ月ぶりですかね。ちょっと間が空いてこの漫画読むのご無沙汰してて記憶が薄れかけてたけど、あれでしょ萌え系の可愛い女の子がいっぱい出てきて心がぴょんぴょんするやつで、なんかみんなで旅行行ってて「これ旅行終わったら完結するんじゃねえかな」と思った憶えがある。

で、読んだんですけど、あれ…この漫画こんな野放図でシュールだったっけ…

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「ご注文はうさぎですか?」9巻より(Koi/芳文社)

くだらなくていいわw 「フッ、面白れー女」って言う人みたいなるわ。

作風が変わったのか、自分の感性が変わったのか、と思って前の巻の感想を振り返って読んでみたら2年前の7巻の感想で

ちょいちょい「ごちうさ」の枠ハミ出してるというか、急に面白い間とか絵とかセリフとか毒とか。

って似たようなこと書いてたわ。忘れてた。

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「ご注文はうさぎですか?」9巻より(Koi/芳文社)

フッ、面白れー漫画。

旅行終わったら完結かな?ってちょっと思ってたんですけど、今巻から新レギュラーも3人も増えてまだまだ行く感じのようです。よかったよかった。

年末年始でヒマだし、1巻から読み返そうかな。

 

 

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#ぽんこつポン子 8巻 評論(ネタバレ注意)

少し未来の日本、静岡の海辺の片田舎の町の一軒家に住む、連れ添いを亡くしたジジイ・吉岡のもとに、一人暮らしを心配した家族の手配でメイドさんロボットが派遣される。ジジイは不承不承、ポンコツな彼女に「ポン子」と名付け彼女との暮らしを受け入れる。

どこか哀愁を背負ったツンデレな頑固ジジイをメイドロボのポンコツぶりが癒す、ジジロリでハートウォーミングなメイドロボット日常コメディ。

先月に続き2ヶ月連続刊行。この作者がやると「またお金を株で溶かしたの?」と心配になりますが、

もう溶かさないそうです。

孫の中学生のゆうなの文化祭に招待されて、東京を訪ねるジジイとポン子。高度にサイバー化されたイマドキの文化祭は

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「ぽんこつポン子」8巻より(矢寺圭太/小学館)

ぇーwww

暴走するサメロボットに取り付いてハッキングを試みるポン子!あんたネームの前の晩にサメ映画と攻殻機動隊観ただろwwwどんな文化祭だよwww

その他、同じく高度にサイバー化されてニンジャスレイヤーみたいになった新宿歌舞伎町「ネオKABUKI超(スーパー)」観光や、古びた技術を愛好して時代に取り残されたアキバなど。

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「ぽんこつポン子」8巻より(矢寺圭太/小学館)

秋葉原エラいことになっとる…

いつも片田舎の一軒家が中心だったんですけど、東京の雑踏や賑やかな文化祭の描写など、もしかしてこの人、絵すごく上手い?と感心してしまった。

ヒロインもエラいことになっとる…

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「ぽんこつポン子」8巻より(矢寺圭太/小学館)

絵ヅラだけ見たらもうなんの漫画だかわかんねえよw

やっと片田舎に帰ってきて落ち着いたと思ったら、いつになく不穏でシリアスなヒキで次巻に続く。

次巻は3月だそうです。

だぁらなんで前巻からは1ヶ月だったくせにこう続きが気になる時に限って次は3月なんだよ!!

さっさと印税また株で溶かして来月も新刊出してくれよ!!(応援)

 

ぽんこつポン子(8) (ビッグコミックス)

ぽんこつポン子(8) (ビッグコミックス)

  • 作者:矢寺圭太
  • 発売日: 2020/12/25
  • メディア: Kindle版

 

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#紛争でしたら八田まで 4巻 評論(ネタバレ注意)

表紙のメガネ美女、「地政学リスクコンサルタント」の八田百合がクライアントの依頼を受けて世界を股にかけて紛争を渡り歩き、地政学の知識と思考と調査能力と護身術で解決していく、美女!メガネ!インテリ!ハードボイルド!ワールドワイド!なかっけーお仕事もの。

ぼっちでメガネで日系で手ぶらのココ・へクマティアル、という感じ。

下品な方の出羽守っぽいというか、ちょっと「ブラック・ラグーン」みたいな洋画吹き替えワールドな感じ。

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紛争でしたら八田まで」4巻より(田素弘/講談社)

 

自分の読書歴で歴史小説から北方謙三を経由してハードボイルド小説方面に足を伸ばした時期があるんですが、派生というかあれハードボイルドにカウントしていいのかよくわからないですけど、一時期「池袋ウエストゲートパーク」(石田衣良)にハマってた時期がありました。TVドラマ版も好きで今でもDVD全巻を後生大事に持ってますけど、そっちじゃなくて原作小説の方。自分の解釈はあれ「若年性ハードボイルド」なんですw

長瀬が主人公を演じたTV版と違って、というか違うわけでもないんですけど、原作小説の真島マコトはエピソードが多いこともあって人格の描写の幅がより広くて、意外と読書家のインテリです。タカシも「Think Globally、 Act Locally」とか口走ってて、ちょっとTV版と雰囲気違うんですよね。

自分の世代は「MASTERキートン」で地政学や軍事の豆知識に触れたクチなんですけど、そういう意味では「紛争でしたら八田まで」はその後継かな、と思ったりするんですけど、主人公の百合を見てると性別もいろんな属性も全然違うのに、なんでか真島マコトがダブって見えます。

なんかこう、一見はクールでドライを気取ってるっぽいくせに内実は人情家で、ちょっとの暴力とあとは知恵と機転と胆力で、トラブルを解決してビターだけどスイートなハッピーエンドを手繰り寄せるところとか。百合が高級取りのコンサルタントなのに対して、マコトは果物屋の無職の息子ですけど。

 

今巻は前巻に引き続きインド編。

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紛争でしたら八田まで」4巻より(田素弘/講談社)

未だ色濃く残るカースト制度に人生を邪魔されて苦しむ若いカップルを、百合が手助けします。

前に進もうとする若者の人生を粋に感じて手助けして、最後の最後のオチは暴力に頼らないあたりも、ヒーロー像として百合を見てるとマコトを思い出すなやっぱ。

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「紛争でしたら八田まで」4巻より(田素弘/講談社)

すいませんね、他人の作品になぞらえて「似てる似てる」なんて褒め言葉どころか作家に対して失礼で嬉しくもなんともないでしょうけど、どっちも好きな主人公なので。

今巻も面白かった。

 

紛争でしたら八田まで(4) (モーニングコミックス)

紛争でしたら八田まで(4) (モーニングコミックス)

  • 作者:田素弘
  • 発売日: 2020/12/23
  • メディア: Kindle版

 

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#天国大魔境 5巻 評論(ネタバレ注意)

石黒正数のストーリーもの、ポストアポカリプス、AKIRAっぽくもあり、寄生獣っぽくもあり。シリアスでハードでミステリーでグロテスク。

2本立てでストーリーが進展してて、

 

①学園パート
「学園」と呼ばれる高度に科学化され閉鎖された環境で、職員達に観察されながら「外」の知識を欠落しながら平穏に暮らす少年少女達の生活

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「天国大魔境」5巻より(石黒正数/講談社)

 

②サバイバルパート
大崩壊の15年後の世界で正体不明の「天国」を探して旅する少年マルとボディーガードの少女キルコのロードムービー

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「天国大魔境」5巻より(石黒正数/講談社)

が今のところ交わらずに並行して進行。


便宜上、「ミステリー・サスペンス」というカテゴリタグをこの作品にも付けているんですが、その筋の人と話をしたところ、厳密にはミステリーと呼べる漫画作品は数えるほどしかなく、多くの漫画はミステリーにはあたらないとのことで、この作品がどうなのかわかりませんが、便宜上ここでは「ミステリー風」としましょうか。

 

最近、ミステリー風の漫画を、読むのはいいんですけど、感想を書くのが苦になってきました。

ミステリー風の作品は性質上、縦軸を貫く大きな謎があって、序盤〜中盤は伏線をばら撒いて張り巡らせて、主人公たちの行動によって終盤にこれが収束していきやがて謎が解けるのがカタルシス!ってのがまあ大体ミステリー風作品の建て付けかなと思うんですけど、

漫画、特に連載漫画って、単行本の間隔がまあ最低数ヶ月は空くんで、なんか相性悪い気がするんですよね。2時間の映画の「始まってから30分のところから60分のところまで」を、途中で劇場から出て途中から途中までの感想書かないじゃん。普通最後まで観るじゃん。

ミステリー、ミステリー風含めて、もともとは小説だったり舞台だったり映画だったり2時間ドラマだったり連続ドラマだったりある程度間隔がギュッと詰まっていて、続きが気になる読者なり観客なり視聴者なりが続きが気になってハフハフ言いながらイッキ読み・イッキ観に近い状態で最後まで観て、「はー、面白かった!」ってなるもんかなあ、と思うんですけど、

特に漫画の新刊でミステリー風読むと、「わっ、なにコレ気になる!…続きは半年後だけど」「盛り上がってきた!…続きはいつ出るかわかんないけど」みたいに冷めるというか、下手したら「どうせ続きは半年後のくせにもったいぶりやがって」ってちょっとムカついてくることもたまにあります。

考察要素とかで散りばめられたヒントを繋げたら予想が可能な建て付けだったら考えながら面白く読めるんですけど、作者の匙加減でどうにでも話が動いちゃう系だともう、もうアレよね。

たぶん、ジャンプ的な連載漫画の「毎話・毎巻に見せ場を!」という思想に毒されてるんだろうなー自分。とか思ったりもするんですけど。漫画家だって俺に感想書かれるためにミステリー風漫画を描いてるわけじゃねーし。

でも、思わせぶりなばかりでもったいぶっていつまでも進展しないミステリー風漫画にイライラした経験、アナタもございません?


ということで最近は、ミステリー風の漫画作品の新刊を追いかけるのも、一冊ずつ感想記事書くのもやめてしまいました。完結してからまとめて読むわ。作品の存続に貢献できなくてごめんなさい。


で、どミステリー風のこの作品のこの巻なんですけど、いやー、面白いね! 続きが気になるのに次巻はまた数ヶ月後なのも一緒なのにね! 俺もう言ってることメチャクチャだけど! わからん、全然わからん! 言語化する用意ができてない!

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「天国大魔境」5巻より(石黒正数/講談社)

もちろん漫画の楽しさって縦軸だけじゃないんで、衝撃の事実を小出しに明かしたり、細かいコメディ要素入れたり、魅力的なキャラ描いたり、小さな盛り上がり入れたり、派手なバトル入れたり、美麗な絵で魅せたり、いろいろあるんでしょうけど、この、自分がいかにもイライラしそうなジャンルの漫画の途中の巻がなんで平気で面白く読めるのか、全然わからん!

 

ということで、次までになんか考えときます。他の人の感想とか読んで勉強しよ。

とりあえず、今巻も面白かったです。なんで面白いと思ったのかは俺には自分でもよくわからん。

 

天国大魔境(5) (アフタヌーンコミックス)

天国大魔境(5) (アフタヌーンコミックス)

  • 作者:石黒正数
  • 発売日: 2020/12/23
  • メディア: Kindle版

 

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#日本国召喚 4巻 評論(ネタバレ注意)

エルフが首相を務め竜騎兵が空を駆ける、肥沃な国土を誇る中世ファンタジーなクワ・トイネ公国の上空に現れた、鉄の竜。続いて洋上に現れた鉄の城のような巨大艦船。

それらを操る、高度な文明と巨大な戦力を窺わせる彼らは、転移国家"日本国"を名乗り、哨戒機による領空侵犯を謝罪し国交を求めてきた。

日本との国交を樹立した矢先、折悪く野心的な軍事国家ロウリア王国が公国に侵攻、暴虐の限りを尽くし始め、公国は日本に支援を求める。

という、日本丸ごと異世界ファンタジー世界に転移しちゃった、なろう小説コミカライズ。「戦国自衛隊」「ゲート」寄りの俺TUEEE。日本側は外交官と自衛隊しか出てこなくて、地元の人たちの主観強め。特定の主人公やヒロインを置かずに回す感じ。

レンジャーによるロウリア国王捕縛作戦が決着し、対ロウリア戦争が終結。

と思ったらロウリアの裏で糸を引いてたっぽい超大国・パーパルディア皇国が本格的に登場。日本も国交を求めて交渉するも、

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「日本国召喚」4巻より(高野千春/みのろう/KADOKAWA)

感じわっるーw わかりやすく次の悪役っぽい。

と思ったらまた別の国、サムラーイが治める国が登場。

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「日本国召喚」4巻より(高野千春/みのろう/KADOKAWA)

すごく…キャラ…カブってます… ワノ国かよw

と思ったら、

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「日本国召喚」4巻より(高野千春/みのろう/KADOKAWA)

ええええwwwどこまで風呂敷ひろげんのこの作者www自衛隊働かせすぎでしょwww

 

という、日本丸ごと異世界転生の時点ですでに頭のネジがちょっと飛んでる感のある、自衛隊の俺TUEEEEで厨二病で荒唐無稽な妄想作品なんですけど、なんというか「毒を食らわば皿まで」ならぬ「厨二病を食らわば魔王まで」という感じで、やりたい放題すぎて楽しくなってきた。

妄想楽しい。いいぞもっとやれ。
 

日本国召喚 4 (MFC)

日本国召喚 4 (MFC)

  • 作者:高野 千春
  • 発売日: 2020/12/23
  • メディア: Kindle版

 

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#世界の終わりに柴犬と 3巻 評論(ネタバレ注意)

オールカラーを活かして柴犬が可愛く描かれます。何かの理由で人類が滅びた後の日本?をウロウロする、女子高生のご主人と喋る柴犬・ハルのギャグコメディ4コマ。ギャグ漫画なので人類が滅びてても特に困ってない。

「今日のさんぽんた」と並んで「現役二大柴犬漫画」と読んでいいかもしれない。

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ねえよそんなジャンル。

他の人類は出てこないものの、他の犬、たぬき、女神、サンタ、アヌビス神、オウム、河童、八百比丘尼、雪女、クマ、お稲荷さん、宇宙人などが脈絡なく登場し理由なく普通に日本語を話すのであまり寂しくない。

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「世界の終わりに柴犬と」3巻より(石原雄/KADOKAWA)

理不尽なキャラや設定を説明する気のなさ、理屈くさい長セリフ、身も蓋もないオチ、往年の「×(ペケ)」(新井理恵)を彷彿とさせる会話芸コメディ。

今巻は、ちょっと「あれ? この漫画こんなに面白かったっけ?」ってなってます。

人類より早く宇宙に行ったあの犬のその後に関するフィクション。二~三段オチの意外性があって楽しくて、優しい話だなーコレ。

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「世界の終わりに柴犬と」3巻より(石原雄/KADOKAWA)

巻末にライカの話と対になる少し長い描き下ろしエピソード、「夏の終わりで待つ君と」を収録。

ちょっ…おまっ…急にそんな…ずるいぞ…

この作品になにかメッセージがあるとすれば、作者の「私は犬が好きだ!!!」以外なんにもない漫画ですけど、

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「世界の終わりに柴犬と」3巻より(石原雄/KADOKAWA)

単行本の値段が上がるオールカラーなのもたぶん犬をカラーで描きたいだけの漫画ですけど、なんというかその、アカン泣くコレ。

 

余談ですけど、自分はスカジャン好きなんですけど、

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AQMの私物より

 

幕間でこんなイラストがあって

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「世界の終わりに柴犬と」3巻より(石原雄/KADOKAWA)

 

「いいなーコレ欲しいなー」とか言ってたら、

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「世界の終わりに柴犬と」3巻より(石原雄/KADOKAWA)

 

親切な人から商品化して4月に販売開始なことを教えてもらいまして、

https://cospa.co.jp/detail/id/00000102259

 

悩んだんですけど、

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ポチりました。

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がまんできなかった。

 

世界の終わりに柴犬と 3 (MFC)

世界の終わりに柴犬と 3 (MFC)

  • 作者:石原 雄
  • 発売日: 2020/12/23
  • メディア: Kindle版

 

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#とんがり帽子のアトリエ 8巻 評論(ネタバレ注意)

一部の魔法を「禁止魔法」として制約した世界の、魔法使い見習い少女たちの修行と冒険、ダークな雰囲気ただよう超正統派ファンタジー。

イレギュラーに魔法使い見習いになったヒロインのココ、その素質を狙って暗躍する禁止魔法使いたち、ココの巻き添えでトラブルに巻き込まれつつ彼女を守って戦う師匠と姉弟子たちの修行と成長の日々。

今巻からは魔法使いの祭典、「銀夜祭」だそうです。ここんとこ続いたシリアス展開に、お祭り騒ぎにちょっと一息かしらね。

ちょっと、なにうちのヒロインをナンパしてくれてんですかこのガキ!

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「とんがり帽子のアトリエ」8巻より(白浜鴎/講談社)

と、思ったら重っ! シリアス〜…お祭り本番は次巻以降に持ち越しです。

というわけで今回のテーマは「持つ者と持たざる者」「魔法使いに求められるコンプライアンス」というところでしょうか。

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「とんがり帽子のアトリエ」8巻より(白浜鴎/講談社)

自制の非常に厳しい、戒律と言っていいルールの下で魔法を操る魔法使いたち。その足下では禁忌さえ犯せば魔法で救える不幸を抱えた人がいくらでもいて、その状況がココに「その戒律に意味はあるのか」と囁きかけます。

キーフリー先生の語りのくだりはどちらかというと「魔法というより、漫画の話をしていますよね?」という感じでしたけど、その後のココたちはどちらかというとIT系のスタートアップのようですよね。魔法を活かしていかに社会に貢献するか。

そりゃユーザのプライバシー情報を無断でごっそりぶっこ抜きゃ、相当便利で高機能なレコメンドが可能なサービスが作れるでしょうね、的な。

ルールや禁則事項というものは基本的に性悪説というか運用する人間に対する「書いておかなきゃ言っておかなきゃ誰かがやらかす」という不信で増えていくもので、この作品の魔法使いたちの戒律や、これに反する破戒の魔法使い「つばあり帽」たちはその歴史を象徴するものです。

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「とんがり帽子のアトリエ」8巻より(白浜鴎/講談社)

漫画「ファイブスター物語」では、クバルカン法国の法王から騎士ミューズ・バン・レイバックに対して、厳格な戒律を超えて最良を選択する「次なる王たる資質」が望まれました。

この作品で作者がココや魔法使いたちに求めるものは果たしてなんでしょうか。

 

とんがり帽子のアトリエ(8) (モーニングコミックス)

とんがり帽子のアトリエ(8) (モーニングコミックス)

  • 作者:白浜鴎
  • 発売日: 2020/12/23
  • メディア: Kindle版

 

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#とんがり帽子のキッチン 2巻 評論(ネタバレ注意)

魔法使い見習い少女たちの修行と冒険のダークな雰囲気ただよう超正統派ファンタジー、「とんがり帽子のアトリエ」のグルメ・スピンオフ。

表紙のとおり、ヒロインズではなく、美青年な師匠ズがメイン。自分はBL感度低めですけど、マイルドなBL感がある気がする。

美大卒の超絶描き込み系の本編に見劣りしないくらい精緻で整った絵。

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「とんがり帽子のキッチン」2巻より(佐藤宏海/白浜鴎/講談社)

魔法で淹れる栞茶、栞茶を使った利き茶遊び・伏せ茶、紐魚の薫製のオープンサンド、紐魚の薫製のクリームパスタ、クレープみたいに多彩なとんがりパン各種、魔法菓子"雪の止まり木"、手つなぎ貝のトマトスープ、ダイエットメニュー・野菜のゼリー寄せ、鉄南瓜を使ったチーズフォンデュ、紐魚の尾焼き、毛皮茄子の肉詰め、花弁葱とチーズのパンスープ。

正直、ストーリーなんかないに等しく、「とんがり帽子」の登場人物たちが料理してメシ食ってるだけの漫画です。なにこの実在する風を装ったレシピと調理風景w

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「とんがり帽子のキッチン」2巻より(佐藤宏海/白浜鴎/講談社)

実在しない材料を魔法を使って料理しているケースも多く、現実の料理の何の参考にもなりませんが、なんというか空想する楽しみに溢れていて、楽しく美味しそうで良いですよね。

人類が魔法を身につけることがあったら、一番最初にやるべきことは空を飛ぶことかなと思いますけど、二番目にやるべきことは火球や電撃を飛ばして敵を攻撃したりすることよりも、料理に魔法を活かすことかもしれない。

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「とんがり帽子のキッチン」2巻より(佐藤宏海/白浜鴎/講談社)

子どもの頃に絵本で読んだ料理ってすごく美味しそうに見えて印象に残るもんですけど、これ大判でカラーで子ども向けに絵本にしたりとかしたらいんじゃないかなあ。

なんか魔法と料理に対する純粋な夢があっていいワ。

 

 

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#悪役令嬢転生おじさん 1巻 評論(ネタバレ注意)

異世界転生ものや悪役令嬢ものは何しろ数が多いので全部読んでたらキリがない上に、流行りのジャンルなので玉石混合というか、平たくいうと「タイトルに『悪役令嬢』って入れとけば売れるやろ」的なアレな漫画も多いので、よっっっっぽど話題になってるとか、何かしら琴線に触れたやつだけ読もう、と思ってんですけど、なんかよっっっっぽど話題になってるっぽいので読んだ。

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大丈夫かコレ初版が少なかっただけじゃねえのかコレ…Twitterで評判で書籍化…バズり漫画って出オチの一発ネタで背骨が薄い漫画が多くて勢いが長続きしないのよね…どっかで見た絵だなコレ…

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「悪役令嬢転生おじさん」1巻あとがきより(上山道郎/少年画報社)

ってこないだ「エイジ'87」が打ち切られたおっさんじゃねえかw なに新人みたいな売れ方してんだよw

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ということで。

乙女ゲーやってる娘ともリビングでオタク談義を交わす程度にオタク文化に造詣が深いバーコードハゲの公務員のおっさん(52)はトラック的なやつに轢かれた的なことで乙女ゲーの中の悪役令嬢に転生してしまった。

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「悪役令嬢転生おじさん」1巻より(上山道郎/少年画報社)

王侯貴族の子女が集う学園で、平民出のヒロインを虐める役どころの悪役令嬢だったが、おっさんはついつい地の人の良さと「娘の親」目線が出てしまい、乙女ゲー内の貴族学園はおかしな方向に展開していく…

という、異世界転生+悪役令嬢+生徒会+異世界おじさんな欲張りセットな新作。

前作は漫画家のおっさんが思春期の頃にタイムリープで吹っ飛ばされる話でしたが、今作は乙女ゲーの世界におっさんが吹っ飛ばされる話で、おっさんがどっかに吹っ飛ばされるの好きやな。

前作は青春アゲインなタイムリープものながら、打ち切りによる尺の問題もあってか遊びの少ないやや駆け足感の詰め込み感がありましたが、今作は「こんな軽くていい加減な漫画も描けるんだw」という感じでキレはありつつのんびりした感じで面白いです。

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「悪役令嬢転生おじさん」1巻より(上山道郎/少年画報社)

お嬢様がいちいちバーコードハゲのおっさんのスタンド背負ってんのツボなんだがw なんなんだよこの絵ヅラw

「異世界おじさん」とも若干テーマが被るんですけど、一口におじさんと言ってもいろんなおじさんがいるもので、こっちのおじさんはなんというか作者の性格を反映してか温和で真面目な癒し系というか、ガワだけ意地悪お嬢様なのとのギャップでほっこりしますね。

児童向け漫画のキャリアが長い作家さんなので、画面も見やすくわかりやすく安定感があります。作者のベテランなのに研究熱心で流行りものにも柔軟に手を拡げる様が、ヒロインのおっさんとオーバーラップして余計可笑しいわコレw

 

悪役令嬢転生おじさん(1) (ヤングキングコミックス)

悪役令嬢転生おじさん(1) (ヤングキングコミックス)

  • 作者:上山道郎
  • 発売日: 2020/12/16
  • メディア: Kindle版

 

(選書参考)

blog.livedoor.jp

#銀河英雄伝説 19巻 評論(ネタバレ注意)

田中芳樹の二重の意味で伝説的なスペースオペラ小説を「封神演義」の藤崎竜がコミカライズ。コミカライズにあたり戯画的な演出や展開のディティール変更も。

原作4〜5巻相当。前々巻の「皇帝誘拐・亡命事件」を受けて前巻で「神々の黄昏(ラグナロク)作戦」が発動、帝国が同盟に大規模長征を開始。

ヤン・ウェンリーが守るイゼルローン要塞にロイエンタールの別働隊を充てつつ、

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「銀河英雄伝説」19巻より(藤崎竜/田中芳樹/集英社)

本体はフェザーン回廊を突破。フェザーン本星を占領した上で同盟領へ。

窮地に陥った首都ハイネセンの司令部がヤンに送った指令は自由な裁量を認めた上で「最善を尽くせ」というものだった…

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「銀河英雄伝説」19巻より(藤崎竜/田中芳樹/集英社)

アイランズ国防委員長が、あの、「鉄拳」に出てた人ですよねコレ。

重厚な原作に対してポップに弾けた作画は今に始まったことじゃないというか藤崎竜にコミカライズさせる時点でわかってたことなんでアレですけどw

「封神演義」でブレイクする前、出立ての頃の藤崎竜って作品全体が王天君というか、ダークでナルシスティックなモノクロの世界が売りだったのが、隔世の感がありますね。当時の藤崎竜自身も2020年に銀英伝を自分がこういう風にコミカライズするなんてこれっぽっちも思ってなかっただろうな。

展開としては原作の一番美味しいところ、メインディッシュに手が届こうかというところ。

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「銀河英雄伝説」19巻より(藤崎竜/田中芳樹/集英社)

見開きもバンバン使ってますけど全然楽してなくて気合入ってんな!という感じ。

ラインハルトvsビュコックのランテマリオ会戦が開戦!というところで次巻に続く。

フェザーンにまつわる設定を大幅に改変した余波で、ユリアンのポジションも原作とだいぶ変わってしまっていますが、ヤン不在のこの会戦でユリアンが何を見るのか、原作付きコミカライズらしからぬ予想のつかなさで楽しみです。

 

 

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#ゆうきまさみのまだまだはてしない物語 評論(ネタバレ注意)

先週の土曜日の12月19日に62歳の誕生日を迎え、また今年は画業40周年にあたる大家・ゆうきまさみが、1985年の創刊以来「月刊ニュータイプ」で35年たった今も連載を続ける1/2ページのエッセイ漫画「ゆうきまさみのはてしない物語」の、3冊目、12年ぶりの単行本。

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「ゆうきまさみのまだまだはてしない物語」より(ゆうきまさみ/カドカワデジタルコミックス)

 ※10年前の原稿なので現在から見ると35年前です。

1,980円もしますが、12年に一度しか発行されない漫画だと思うと安く見えますね。彗星かよw

そういう本なので電子書籍版は出ないかなー、と思ってたんですが、kindle版も出してくれました。よかったよかった。

と思ったら、この本、横長版でしてPC版kindleで読もうとすると90度傾いて表示されるので字が多いこともあって実質読めません。Macbookなどのノートパソコンだったらこうすれば読めるかもしれない。

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自分はiPadで読みました。デバイスがいろいろあってよかったよかった。

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ちなみに明後日12/24には初の画集が出ます。

 

本作の内容は、2008年4月から2019年の12月までの連載分。単行本になるのに時間がかかり過ぎるので画業30周年と画業40周年が一冊の中で一緒くたに祝われるというw 歴史かよw

「鉄腕バーディー」のアニメ化、掲載していた「ヤングサンデー」の休刊、「ビッグコミックスピリッツ」への移籍、「でぃす×こみ」「白暮のクロニクル」の連載開始と完結、「新九郎、奔る!」の連載開始、その間に都条例問題や大震災や「エヴァ破」があったりと、いろいろございましたね。

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「ゆうきまさみのまだまだはてしない物語」より(ゆうきまさみ/カドカワデジタルコミックス)

月に一度の半ページ連載でエッセイ漫画ということでいろいろリラックスして描かれてます。

同じ高校出身なんだそうで、京極夏彦との対談も収録。

 

ゆうきまさみはTwitterもやってるんですけど、TwitterはしょせんTwitterでしかないので、月に1ページでもコツコツ描き続けているとこうして書籍としてパッケージになって歴史に残っていくんだな、という。

次巻が同じペースで出るとしたら2032年、ゆうきまさみ74歳ということになります。

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「ゆうきまさみのまだまだはてしない物語」より(ゆうきまさみ/カドカワデジタルコミックス)

自画像が歳を取らないのでなかなか実感が湧きませんが、我々読者も歳を取ったようにゆうきまさみも歳を取ります。

2017年に師匠筋の新谷かおるが66歳で筆を置いた後に、ゆうきまさみが新連載に選んだ題材が北条早雲の評伝という重厚なテーマだったので、

「この作品がゆうきまさみの最後の長編連載作品、作家としての『上がり』か」

と思ったんですが、本作の後書きによると

あと10年くらいはやっていけそうで…

とのことで、少し安心しました。

画業40周年おめでとうございます。ぜひまた10年後に50周年を祝いましょう。

「王家の紋章」の細川智栄子先生は85歳にして現役ですし、60周年もいけますね!と他人のキャリアではてしない皮算用を。

 

 

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