#AQM

あ、今日読んだ漫画

#アナトミア―解剖してわかったことだが、人間は必ず死ぬようにできている― 1巻 評論(ネタバレ注意)

通常営業

ルネサンス期、15世紀末のミラノ公国。

当時の医療従事者「理髪外科医」を営む父親の助手・見習いを務める少年・サルヴァトーレ(通称・トト)は、しかし1000年前の医術書による旧態依然の医療知識体系や技術に疑問を持っていた。

熱が出たら腕を切って瀉血をして「悪い血」を排出し、血が止まらなくなったら傷口を焼きゴテで焼いて止血した。今日も患者の子どもが死んだ。

『アナトミア―解剖してわかったことだが、人間は必ず死ぬようにできている―』1巻より(高城玲/秋田書店)

人体の構造を知るべく日課として処刑場から遺体を貰い受ける道すがら、トトは同じく人体の構造に強い執着を示す男と出会う。

画家を名乗るその男は、芸術と医療、目的こそ異とするものの、「人体についてもっと知りたい」という同じ強い情動を示すトトに興味を抱き、

「俺と一緒に死体とか盗んで解剖しまくろうぜ!」

と誘うのだった。

『アナトミア―解剖してわかったことだが、人間は必ず死ぬようにできている―』1巻より(高城玲/秋田書店)

その男こそルネサンス期の超人として歴史に名を残す、レオナルド・ダ・ヴィンチその人だった。

という、少年トトをワトソン役にしたレオナルド・ダ・ヴィンチの伝記フィクション。

「男」の正体がレオナルド・ダ・ヴィンチであることは第1話の展開・演出上のクライマックスのサプライズで、これを語ることはネタバレなんですが、そこを隠すと自分は作品を語れないので、無料公開もされている第1話で開示される情報ということで赦してください。

レオナルド・ダ・ヴィンチがミラノに居を構えたのは1482年〜1499年とのことで、30〜47歳。

ja.wikipedia.org

作中おそらく30代前半ですかね。そのうち「ウィトルウィウス的人体図」(1487年)を描くエピソードも登場するかもしれません。

ja.wikipedia.org

『アナトミア―解剖してわかったことだが、人間は必ず死ぬようにできている―』1巻より(高城玲/秋田書店)

世界の原理が神から科学に移行しつつある時代、人間主観の知と好奇心の対象の最大単位が「宇宙」であるのに対し、最小単位である「人間(自分)の身体」をテーマにした作品で、『チ。―地球の運動について―』と対になるテーマを持った作品。

タイトルの『カタカナ ―サブタイトル―』の作りも似てますね。

ちなみに拷問描写がとても苦手な自分は、名作と聞く『チ。』は開幕が精緻でエグい拷問シーンだったので、3ページぐらいしか読んでません。

たぶん一生読まないと思う。好き嫌いじゃなくて、読めないのだ。

『アナトミア―解剖してわかったことだが、人間は必ず死ぬようにできている―』1巻より(高城玲/秋田書店)

本作『アナトミア』も冒頭に小さな子どもの患者に対する時代遅れで苦痛を伴う残酷な治療シーンが描かれますが、皮肉なことに作者の画力・描写力が精緻とは言えない荒削りなものだったおかげで、読むことができました。

身近に小さなお子さんがいる方は閲覧注意かもしれません。

掲載誌が秋田書店の月刊少女漫画誌『ミステリーボニータ』ということで、過去には『クジラの子らは砂上に歌う』、最近は『海が走るエンドロール』が載ってる雑誌。

ja.wikipedia.org

aqm.hatenablog.jp

基本的に女性誌なので本作はBL匂わせ風味というか、ダ・ヴィンチ青年がトト少年に壁ドンしたりとか、サービスシーンは基本的に女性向けかなと思います。

好奇心の超人レオナルド・ダ・ヴィンチと、医療の進化を模索する少年トトの、医療&解剖&芸術&死体泥棒ドラマを通じて、ルネサンス期の個人の「真理と真実を知りたい」という好奇心の渇望と希求、「変えたい」という情熱のドラマが、人類の進歩の歴史に繋がっていく野心的なテーマ。

サブタイトルからして、クラシックな不死願望と先端科学の対峙も予感されますね。

『アナトミア―解剖してわかったことだが、人間は必ず死ぬようにできている―』1巻より(高城玲/秋田書店)

医療漫画はいっぱいあって、解剖をテーマにした漫画も複数ありますが、舞台を解剖医学の黎明期に置いたこと、それをレオナルド・ダ・ヴィンチという超人を通じて芸術と連動させて、医療と芸術の両面から解剖学を攻めてるところが自分にとっては目新しい漫画になっています。

ちなみに漫画においては「美大卒が描く漫画」「格闘漫画」「エロ漫画」が、「人体描写三強」だなあ、と思います。

作者の初連載ということで画力や演出は荒削りで欠点なんか挙げたらキリがないですが、絵が上手くて話がつまらない漫然と描かれた漫画よりも、作者が描きたいテーマがわかりやすく骨太で、自分にとって価値がある作品でした。

学歴で漫画を描くでなし、作者の学歴も存じ上げませんが、美大卒の漫画家が取り組みそうなテーマではありますね。

荒削りな絵のルックスが苦手意識を感じさせるのか、単行本のセールスで苦戦しているとのことですが、折れずに描き続けて欲しい。

『アナトミア―解剖してわかったことだが、人間は必ず死ぬようにできている―』1巻より(高城玲/秋田書店)

我々は、技術的に荒削りながら硬い芯を持った若い漫画家が、読者の熱が憑依したかのように研ぎ澄まされて覚醒していく過程を、これまで何度も見てきましたから。

 

 

 

臨時営業 本作との出会いの特殊性に鑑みたメタ所感

本作の1巻は2023年の3/16が発売日でしたが、自分は昨日4/14に至るまでこの作品の存在を知りませんでした。

昨日、作者が書いたと思しき増田(はてな匿名ダイアリー)でセールスが伸びないぼやきが綴られ、

b.hatena.ne.jp

 ↓

新人漫画家だけど作品が面白いのに全然売れない

読んでみたいのでこっそりDMで作品名教えてくらさーい <a href="https://twitter.com/AQM_hatenablog" target="_blank" rel="noopener nofollow">@AQM_hatenablog</a> / 元増田に追記がないけど、ご本人でいいのかな? <a href="https://anond.hatelabo.jp/20230414134641" target="_blank" rel="noopener nofollow">https://anond.hatelabo.jp/20230414134641

2023/04/14 09:58

b.hatena.ne.jp

 ↓

b.hatena.ne.jp

 ↓

きのう書いた新人漫画家だけど

たぶん本人なんだと思うけど、元増田に追記でリンク貼ってくんねーと、他人から見たら本人かどうかわからねえだ/とりあえず1巻ポチったんで帰ったら読むます そういえば俺仕事中だったわ

2023/04/14 15:09

b.hatena.ne.jp

という、いつもとはだいぶ違う特殊な経緯で購入して読みました。

増田を読む限り、作者はセールスが伸びないことを嘆きこそすれ、他人にアドバイスを求めているようには見えません。

自分はそれを望んでいないプロの漫画家や編集者にアドバイスを差し上げるほど、漫画の作り方・描き方・売り方に詳しくありません。

ので、

一消費者として「なんで発売日に本作今巻を買わなかったのか」、

一読者として「本作今巻に不満に思ったこと」、

を「とある一読者」の実例サンプルとして書きます。「単行本が売れない理由」を考える参考になれば。

 

作品の存在を認知してませんでした

『海が走るエンドロール』は単行本で読んでいるとは言え、掲載誌の「ミステリーボニータ」は購読しておらず、ラインナップのチェックもしていません。

正直、『海が走るエンドロール』の掲載誌の正式名称が「ボニータ」ではなく「ミステリーボニータ」であることを昨日初めて知ったレベルでした。

www.akitashoten.co.jp

リンクの「ミステリーボニータ」のサイトを見ても、秋田書店の漫画雑誌だけで20誌もあり、特に「漫画雑誌を全部チェックできなくて申し訳ない」とも思いません。馬鹿馬鹿しい。

なお、6月号より同社の「月刊プリンセス」に移籍とのことです。

 

自分は翌月に購入する単行本を前月にあらかじめこちらのサイトでチェックしますが、

calendar.gameiroiro.comご覧のとおり漫画ってたくさんありますね…

自分は主に「作品タイトル」「作者名」「表紙のサムネの印象」でピンときたやつをリストアップして買って読みます。

本作今巻の発売日、3/16にちゃんとこの作品も載っていました。

「漫画コミック 発売日一覧」より抜粋 https://calendar.gameiroiro.com/manga.php?year=2023&month=3

『アナトミア』を探せ!

ちなみにこの日は先方のサイトに掲載されているだけで数えたら87冊(特装版など含む)が発売されていて、自分は

『化物語』(21) (KCデラックス) 
『それでも歩は寄せてくる』(14) (KCデラックス) 
『きらぼしお嬢様の求婚』(1) (KCデラックス) 
『葬送のフリーレン』 (10) (少年サンデーコミックス) 
『よふかしのうた』 (15) (少年サンデーコミックス) 
『トニカクカワイイ』 (23) (少年サンデーコミックス) 
『だもんで豊橋が好きって言っとるじゃん! 』(5) (バンブーコミックス) 
『スパロウズホテル 』(13) (バンブーコミックス) 

の8冊を買って読んで6冊の感想記事を書きました。

『豊橋』『スパロウ』も面白かったのにまだ感想ブログ記事を書けてないので早く書こうと思います。

『アナトミア』はこの日発売の漫画の購入9冊目、新作1巻としては2冊目、新人の新作1巻では唯一の購入になります。

という感じで、「私が『アナトミア』1巻を発売日に認知していなかった理由」は、主に

「漫画多すぎ」

で、これを解消するには吉祥寺にコロニーを落として地球上の漫画家の人口を半分に減らすしかないと思います。

 

タイトルについて

上記のように、漫画作品は大量のライバル作品たちとリストで並べられるので、タイトルに作品の情報を詰め込むのは時世的に自然な流れなんだと思います。

ベテラン漫画家の作品が途中でタイトルが変更されて長くなったケースもあります。

aqm.hatenablog.jp

aqm.hatenablog.jp

にしても、長えなw

はてなブログタグに作品タイトルが入りきらない、年に1回ぐらいの珍事が起きました。

 

Twitterのハッシュタグは多くの記号文字を受け付けないので、「アナトミア」で切れます。

ちなみに「アナトミア」の意味はわからなかったのでググって

「ああ、『ターヘル・アナトミア』の"アナトミア"か、"解剖学"ぐらいの意味か」

と思いました。

長いタイトルは情報を詰め込んで同好の士の目に止まる反面、近年流行しすぎて逆に没個性の海に沈みがちです。

自分は、長文タイトル作品は粗製濫造も含めて多すぎ・玉石混合すぎなので、よほどタイトル以外のメタ情報が(今回のように)琴線に触れない限りは、チェックする際に飛ばして、読む対象から外します。

長文タイトルの(美しさとは別の商業上の)是非というかメリットとデメリットはまあ、漫画家や編集者や出版社の方が、一読者よりお詳しいと思います。

 

画力と、作者自ら上げるハードル

現段階、画力が荒削りで、キャラデザインもキャッチーでなく、パッと見

「絵が綺麗だから買おう」

「キャラがかっこいい(可愛い)から買おう」

とはならず、

「もっと美男美女を、もっと美しく(可愛く)」

とは思います。

が、新人漫画家が初連載で荒削りなのは当然ですし、向上心と継続で洗練されて上手くなっていくのを何度も見てきたし、「絵を上手く描け」と言われたから「じゃあ」っつって上手くなるものでもないと思いますし。

ただ作者のパーソナリティとして、作中のセリフや作者本人の発言などで、画力・作品のハードルを、自分でやたら上げちゃう人だな、とは思います。

『アナトミア―解剖してわかったことだが、人間は必ず死ぬようにできている―』1巻より(高城玲/秋田書店)

『アナトミア―解剖してわかったことだが、人間は必ず死ぬようにできている―』1巻より(高城玲/秋田書店)

作品が面白いのに全然売れない 

そんな言い方されたら、

「どんだけ美しい少女なんだ」

「どんだけデッサン完璧な漫画なんだ」

「どんだけ面白いんだ」

とは思いますw

そもそも「人体の構造」「医療ドラマ」「芸術ドラマ」「伝記・歴史もの」という作品テーマやジャンル自体が、作品や画力に対するハードルを大いに上げていて、「もっと上手くなってから描けばよかったのに…」とも思います。

最初はとりあえずキューピットがてんで性悪な話とかにしとこうぜ…

その段階の新人が選ぶテーマじゃねえだろwww

 

冷静になると、題材がえらい特殊だから万人に刺さりづらいのかもしれない。

今!? 今なの!?

 

ただ自分は若い作家が、

他でもない自分自身が飛ぶことになるハードルを自分で上げることも、

冷静さを失って情熱のまま無鉄砲に突っ走ることも、

普通は名が売れたキャリア中盤〜晩年で描く伝記・歴史もので連載デビューしちゃうのも、

(テーマ的にも)いま自分が持っている全力を、出し惜しみも温存もせずに「俺には今なんだよ!」と出力することも、

その結果「なんで売れねえんだ!こんなに面白いのに!」ってなるのも、

とてもロックで良いことだと思っていて、とても好きです。

漫画家なんて基本的に「俺はもっと売れるべき」って思ってる奴しか生き残ってねーから。

なのでそのまま突き抜けろ。あ、クソバイスしてもうた。

 

医療シーンやルネサンス時代背景の描写の不足

医療もの漫画は『ブラック・ジャック』以来、医療シーン・手術シーンが作品の華で、「グロは苦手でも医療現場のエグみのスパイスは欲しい」ぐらいの自分は、今巻で切除された腕の縫合シーンが朝チュンスキップされて、

「他の面では自分でハードル上げる割に、手術シーンからは逃げるのか」

と少々がっかりしました。

『アナトミア―解剖してわかったことだが、人間は必ず死ぬようにできている―』1巻より(高城玲/秋田書店)

ただこれは逃げではなくて、作者の興味が人間ドラマに偏重していて「人間ドラマの一本足打法」で勝負したいことの表れである可能性もあって、自分は今のところよくわかりません。

同じように、「芸術」「ルネサンス期」とくると凡人的には壮麗な服飾や背景描写に期待してしまいますが、作者が「どうでもいい」と思っているのか、そこにもリソース割いてないな、と思います。

新人なのでアシスタントにコストがかけられないだけかもしれませんし、もちろん、全ての漫画、特に新人漫画家の作品の背景が森薫や三浦建太郎のように在る必要はありませんし、2〜3年後だったらAIアシスタントツールで解消できる話かもしれません。

 

BL匂わせ要素

自分はヘテロのおっさんでBLの素養がないので基本的に「not for me」で終わる話で、青年少年の壁ドンシーンは在っても無くても加点にも減点にもならないので、「ボニータ的に在った方がいいんでしょうね」以外、特に意見はないです。

『アナトミア―解剖してわかったことだが、人間は必ず死ぬようにできている―』1巻より(高城玲/秋田書店)

でも『海が走るエンドロール』の海くんぐらい可愛いと流石に萌えます。
なんの話。

 

WEB配信サイト

増田で紹介いただいた第1話試し読みのWEB配信サイトなんですが、

arc.akitashoten.co.jp

UIの意味がわからなくて第1話の後編に遷移できなかったので、業をにやして1巻を電子書籍で買いました。

秋田書店はWEB配信サイトを株式会社はてなの「GigaViewer」に替えましょう。

今のは読みにくいです。

 

評価

このブログでは烏滸がましいことに読んだ漫画に私の主観で星で点数をつけてるんですが、1巻は★3つでした。

採点基準はこんな感じで

       読まなきゃよかった 批判したら荒れるので記事にしない

 ★★     つまらなかった 批判したら荒れるので記事にしない

 ★★★    面白かった

 ★★★★   すごい好き

 ★★★★★  愛してる

 ★★★★★★ 人生のお供

「面白そう」な漫画だけを選んで買って読んでるつもりですが、結果的に買って読んだ漫画の半分は★1か★2です。偉そうですね。

他の★3つの漫画はこんな感じです。

aqm.hatenablog.jp

今回は面白い漫画を紹介していただいて、なにより描いていただいて、ありがとうございました。

2巻も楽しみにしています。

 

 

#妄想先生 2巻 評論(ネタバレ注意)

色咲桃子(26)は高校の英語教師で2年4組の担任。

男女関係に初心で、男子中学生のようにエロ妄想癖が強い彼女の脳内では、英語の授業の質問をしてくる男子生徒は自分の肉体目当て、副顧問を務める男子バスケ部の生徒たちは自分の肉体目当て、問題を起こし赤点を取って補習を受ける不良(?)は自分の肉体目当て、およそすべての男子生徒が全員、自分の肉体目当てに見えていた。

『妄想先生』2巻より(ゆずチリ/新潮社)

エロのことしか考えていないに決まっている思春期の高校生たち(※桃子先生目線)を立派な人間に教育すべく、桃子先生は今日もがんばるのだった。

という、出オチの一発ネタの妄想すれ違いコメディ。

一話につき6〜8ページ程度のほぼショートショートな軽めの漫画。

『妄想先生』2巻より(ゆずチリ/新潮社)

ビジュアルはキュートでセクシーな桃子先生の、スポーツ新聞の四面(エロ)記事のようにベタでオヤジっぽいエロ妄想の馬鹿馬鹿しさとバリエーション、独り相撲なノリツッコミの可笑しみ、というところ。

馬鹿馬鹿しくて可愛くてちょっとだけエッチ。

萌え&ちょいエロであることを除けば、軽くてちょっと笑える、ノリとしては新聞の4コマに近いです。

『妄想先生』2巻より(ゆずチリ/新潮社)

今巻は、生徒からのラブレター(妄想)、痴漢電車から女子生徒を守れ(妄想)、水着回・夏の海は危険がいっぱい(妄想)、女子生徒の動画配信は危険がいっぱい(妄想)、英語の教科書に出てくるエミリーが性的すぎる(妄想)、男女の幼馴染は危険がいっぱい(妄想)、除霊の儀式にも危険がいっぱい(妄想)、酒乱には危険がいっぱい(現実)、奥手女子には危険がいっぱい(妄想)、オタク男子には危険がいっぱい(妄想)、体育祭には危険がいっぱい(妄想)、などなど。

『妄想先生』2巻より(ゆずチリ/新潮社)

基本的にほぼ全部「この世のすべては危険が危ない(妄想)」です。

妄想ばっかだな。タイトル『妄想先生』だもんな。

今巻も、くだらないギャグコメとエロかわいいお色気ショットで気楽に楽しみましょう。

英語の教科書に出てくるエミリーでエロ妄想するやついいな。

『妄想先生』2巻より(ゆずチリ/新潮社)

『ウィッチウォッチ』といい、なんか英語教科書キャラはギャグコメと相性いいなあw

 

aqm.hatenablog.jp

aqm.hatenablog.jp

#新九郎、奔る! 13巻 評論(ネタバレ注意)

室町後期(戦国初期)の武将、北条早雲の幼少期からの伝記もの。享年64歳説を採用。

ja.wikipedia.org

中世代を舞台にした作品ながら、現代の話し言葉を大胆に採用、横文字もガンガン出てくる。おっさん達の政争劇は作者の本領発揮なイメージ。

『新九郎、奔る!』13巻より(ゆうきまさみ/小学館)

北条早雲の伝記を漫画の上手のゆうきまさみが、の時点で面白いに決まってんだけど、日本史の中でも複雑で難解なことで有名な応仁の乱がらみ。渋すぎるテーマをどう捌くのか。

駿河下向の第一幕と応仁の乱が終息し、名門・伊勢家の分家の当主として、目下の課題は

◎駿河の相続問題(甥の龍王を守護に)

◎お家の借金返済

◯荏原荘園の経営

△嫁取り

△立身出世

というところ。

『新九郎、奔る!』13巻より(ゆうきまさみ/小学館)

ここまでのこの作品での新九郎の描かれ方は「課題解決型」というか、解決してないものも多いので「課題累積型」というかw

実家の経営・荘園の経営、実姉の嫁ぎ先のお家騒動の調停、幕府への士官はなく実家の当主ながら無職、浮いた話の相手は人妻となり未だ独身、気がつけば少年武士だった新九郎もアゴ髭を蓄えるアラサーに、という、上級武士未満・中級官僚未満の悲哀、というところ。

『新九郎、奔る!』13巻より(ゆうきまさみ/小学館)

ただサムラーイの割りにここまでアクションシーン皆無の無職の割りには、やたら場数を踏んで経験値を貯めて、狡猾な寝技を使いこなしつつ、根っこの生真面目さとお人好しは相変わらず、という感じ。

近刊では倹約のため、掃除・修繕・裁縫などの家事仕事にも堪能に。

『新九郎、奔る!』13巻より(ゆうきまさみ/小学館)

今巻では、新九郎が抱えていた課題が、借金は徳政で帳消しになり、将軍・義尚の申次衆(秘書役)として念願だった士官も叶い、次巻ではどうも嫁取りしそう、というバタバタっと片付きました。

このまま行くと普通に京都で幕府で立身出世していきそうな気配もしますが、まあ、足利・室町幕府の命数もそんなに長くは…というメタ事情。

作中、飢饉や紛争や将軍家の親子喧嘩などはあれど、応仁の乱も一応は終息して、幕府がもうすぐぶっ潰れそうな匂いはまだしてきませんね。

『新九郎、奔る!』13巻より(ゆうきまさみ/小学館)

ただ申次衆として新九郎が仕える9代将軍・足利義尚は、史実もさることながら漫画のキャラとしての描かれ方が、早死にするろくでなしのボンボン丸出しでにんともかんともw

あとは、特に関東方面では現時点では新九郎に直接は影響しない出来事が多々描かれます。

物語のために作者が置きに行った出来事ではなく、史実準拠で後々バタフライエフェクトのように新九郎の人生に関わってくる話なので、漫画の作者も読者も我慢のしどころかな、とは思います。

『新九郎、奔る!』13巻より(ゆうきまさみ/小学館)

現時点では主人公が関わらない事件を延々やらざるを得ないのは、描くのも読むのも焦れるところなんですけど、将軍家のシモの揉め事まで拾うあの手この手で面白おかしく描いて凌いで、読者を飽きさせない・離さない技量はさすがの一言。

次巻は嫁取り、で良いのかな?

 

aqm.hatenablog.jp

#君は放課後インソムニア 12巻 評論(ネタバレ注意)

進学高の1年生、不眠症に悩む少年と不眠症に悩む少女が、昼寝場所にしようとした学校の天文台で出会うボーイミーツガール。

『君は放課後インソムニア』12巻より(オジロマコト/小学館)

ラブコメっつより青春恋愛日常もの。まるで美化された過去の思い出であるかのようにピュア度高め。

ヒロインの病気が作品全体に重たく影を落とし、読者にストレスも与え続けてきた作品。

主人公二人に思い入れが深いほど、読んでてジワジワと精神的にダメージが入り続ける、ちょっと意地悪な作りとも言えます。

『君は放課後インソムニア』12巻より(オジロマコト/小学館)

今巻は彼らの地元の「でか山祭り」、そして…

ちょうどTVアニメが始まったところですかね、その関連のニュースで知ったんですが、本作は舞台が実在の「石川県七尾市」なんだそうです。

ということで、今巻で描かれた「でか山祭り」も実在し、七尾市の公式サイトで紹介されていました。

www.city.nanao.lg.jp

『君は放課後インソムニア』12巻より(オジロマコト/小学館)

自分は『ロミオとジュリエット』の映画をもう何十年も前に見たっきりなんですけど、今巻の「祭りの夜と恋人たち」の雰囲気にもうあんまり憶えてないはずの映画『ロミオとジュリエット』をなんだか思い出してしまいました。

その後、ちょっと、軽くびっくり展開。

『君は放課後インソムニア』12巻より(オジロマコト/小学館)

作品当初から感じていたある種の不安は、もう感じなくなりました。いさきは強い子。

途中の巻なんか、ぶっちゃけ

「万が一の作者の気の迷いでいさきが死んじゃう前に、さっさと作品が終わってくれ〜」

って祈るような気持ちでしたけど。

そしたら今度は

「終わらないでくれ〜」

って、読者なんてのは勝手なものですねw

『君は放課後インソムニア』12巻より(オジロマコト/小学館)

ああ、また一つ、青春が終わっていく。

俺の青春ではないんだけど、青春が終わっていくなあ。

 

aqm.hatenablog.jp

#スーパーカブ 8巻 評論(ネタバレ注意)

父親は事故で他界、頼れる親戚もいないところに母親に失踪された大人しい女の子が通学用に中古のスーパーカブを買って乗る話。

1巻冒頭で出てくる「日野春駅」をググると、舞台は山梨県北杜市らしい。

『スーパーカブ』8巻より(蟹丹/トネ・コーケン/KADOKAWA)

原作は角川スニーカー文庫、小説の表紙絵は「明日ちゃんのセーラー服」の人。このコミカライズの人も、デビュー作より気持ち絵柄を原作表紙の人に寄せてていい雰囲気。

ヒロインたちも高校3年生になり、進路が気になる、というより「進路を気にしろ」と時間にせっつかれるお年頃。

バイク乗りのツテで、小熊とカブ友の礼子に雑誌の撮影のオファー。

『スーパーカブ』8巻より(蟹丹/トネ・コーケン/KADOKAWA)

その企画は、以前断念したカブによる富士山登頂に三たび挑戦し、「マイカブ」で富士山登頂成功。

という前巻を受けての今巻、季節は秋。

日常乗りのノーマルのカブで富士山登頂した無理がたたって、小熊と礼子のカブはボロボロに。

丁寧に修理し礼子のカブは快調に復帰するものの、小熊のカブはあっちを直せばこっちが壊れ、というカブらしからぬ受難の巻。

『スーパーカブ』8巻より(蟹丹/トネ・コーケン/KADOKAWA)

ついにはエンジン分解修理まで必要に…

富士山登頂で青春だーとか言ってる間に読んでるこっちは忘れてたんですけど、1巻冒頭、小熊は親に捨てられ貧困で友達もいなくて孤独で、カブだけが心の支えだったんだよな、と思い出させられる展開。

一つ一つのカブの故障とその修理費用がボディブローのように小熊の精神を圧迫し、なにより愛するカブが永遠に失われるかもしれないという恐怖。

『スーパーカブ』8巻より(蟹丹/トネ・コーケン/KADOKAWA)

子どもの立場でまだ経済力がない上に、大学進学に奨学金が見込めるとはいえ、経済的には孤立無援って辛いというか、しんどいよな…

今の自分は大人だし、一人で生きていくには十分と言っていい経済力もあって、小熊も10年後20年後には「あの頃はお金がなくてしんどかったな」と笑って話せるようになるのかもしれないですけど、

『スーパーカブ』8巻より(蟹丹/トネ・コーケン/KADOKAWA)

周囲が家庭環境に恵まれて経済的にも困窮してない(ように見える)中、17〜18歳で

「自分は孤独で貧乏だ」

と自覚するのは本当にしんどい。

女子高生の一人暮らしとか漫画の便利な都合でよくあるんですけど、小熊のはそういうアレじゃねえもんな。

小熊のカブへのこだわりは正直少々狂気じみてるところもあるんですけど、孤独で貧乏な小熊を支えて、親友との縁を繋いでくれたのはカブだったんだよなあ、と、今巻であらためて。

『スーパーカブ』8巻より(蟹丹/トネ・コーケン/KADOKAWA)

エンジンの分解修理代ぐらいおっさんが出してやりてえけど、でもそういう問題じゃねえんだよな。

ちょっと、小熊と同じような境遇の子どもを援助する寄付や基金ってどんなんがあるんだろう、って調べ始めてしまうものがありますね。

折れるな小熊。がんばれカブ。

 

aqm.hatenablog.jp

blog.livedoor.jp

FSS (NT2023年5月号 第18巻相当) 評論(ネタバレ注意)

このシンジくん可愛いなw

ファイブスター物語、連続掲載継続中。

「第6話 時の詩女 アクト5-2 終わりの始まり Both3069」。

扉絵コミで13ページ。

  

他の号はこちらから。

aqm.hatenablog.jp

  • (余談)
  • (扉絵)
  • (本編)
  • (所感)
    • 扉ページ
    • アイシャ
    • アレクトーとパルスェット
    • 「連合(枢軸)」
    • 虹姫
    • 「絶対デコースには勝てない」
    • ジョルジュ・スパンタウゼン
    • アーリィ・ブラスト
    • 実験体
    • 忍者マスター
    • 泉興京巴
    • アーリィの自撮り写真
    • パルスェット
    • 車移動&ドライブイン
    • デコース
    • ヨーン

以下、宣伝と余談のあとにネタバレ情報を含んで論評しますので閲覧ご注意。

続きを読む

#逃げ上手の若君 10巻 評論(ネタバレ注意)

「魔人探偵脳噛ネウロ」「暗殺教室」の松井優征の現作は、鎌倉時代末期〜南北朝時代〜室町時代初期を舞台にした歴史物。

設定・登場人物は史実ベース。

デビューから3作連続10巻到達は「週刊少年ジャンプ」本誌史上、初めてになるとのことです。

『逃げ上手の若君』10巻より(松井優征/集英社)

鎌倉幕府のトップ・執権として世襲で地位を継いできた北条氏の嫡子の少年・北条時行。しかし、幕府と敵対する後醍醐天皇側に寝返った足利高氏(尊氏)により、鎌倉幕府は滅ぼされてしまう。

北条氏の滅亡により大切なものを全て奪われた時行は、信濃国の国守にして神官の諏訪家を頼りに落ち延び、足利への復讐を誓う。

『逃げ上手の若君』10巻より(松井優征/集英社)

という伝記もの。シリアスに史実を追いつつも、演出としてギャグコメディ色も強い作品。

主人公・時行の持ち味は強い生存本能に基づく逃げの天才。

1335年3月、信濃動乱を経て、時行が歴史にその名を轟かしWikipediaに載るレベルの「中先代の乱」。「為に作品が始まったエピソード」、時行の人生のハイライトの一つ。

『逃げ上手の若君』10巻より(松井優征/集英社)

信濃国での諏訪一党による挙兵、北条時行としての名乗りを経て、進軍を開始、目指すは、京で全国を睥睨する高氏に代わり直弟・足利直義が治める、武家の総本山、鎌倉。

迎え撃つは直義の親衛、関東最強の庇番衆。渋川、岩松、斯波、吉良、上杉、一色、今川、石塔。

鎧を着たおっさんばっかりの地味な絵ヅラになりそうなところ、ゆうきまさみの『新九郎、奔る!』とはまた別のやり方で漫画ナイズ。というか、子孫一族の皆さんから怒られるギリギリを狙ったキャラ付けw

『逃げ上手の若君』10巻より(松井優征/集英社)

「破竹の勢い」との形容句そのままに、庇番衆の有力武将たちを撃破。

バトルシーンもさることながら、「死に様=行き様」というか、それぞれの戦う理由、逃げない理由、死んでもいい理由。

「一所懸命」は鎌倉時代の武士のスローガンみたいな言葉、と習いましたが、所領以外の何かのためにも文字通り「命懸け」で生命のやり取りに臨むそれぞれの心境は、

『逃げ上手の若君』10巻より(松井優征/集英社)

読んでいてなんとも形容し難いですね。

少なくとも、現代に対して「鎌倉時代のように在れ」とは言えませんから。

ただなんというか、時代が違って制度が違って倫理が違っても、正しいとか正しくないとかじゃなくて、「生命の営みだなあ」「人間の営みだなあ」というか。

『逃げ上手の若君』10巻より(松井優征/集英社)

我ながら何が言いたいんだかよくわからん感じで、次巻に続く。

 

aqm.hatenablog.jp

#売国機関 8巻 評論(ネタバレ注意)

腹立つ笑顔だなw

東西の大国に挟まれ緩衝国として強制的に戦火の舞台にされた小さな共和国に、両大国の都合で今度は強制的に平和が訪れて一年。

強制された屈辱的な平和、両大国と唯々諾々と安保条約を結ぶ政権を、不満を募らせる左右の過激派は「売国奴」と罵り、暴徒・テロリストと化す。

『売国機関』8巻より(カルロ・ゼン/品佳直/新潮社)

前線で血を流し友を亡くしながら平和を勝ち取った「塹壕貴族」たちは、平和をすべての脅威から死守するべく、特務機関・軍務省法務局公衆衛生課独立大隊「オペラ座」、蔑称「売国機関」を設立。「平和の敵」と化した市民たちへ銃を向けた。

「幼女戦記」原作者による情報・防諜・公安もの。

前巻、対王国強硬派と親王国派の野合による連立政権が発足。

今巻は、クーデター話。ひっどい話だなコレw

『売国機関』8巻より(カルロ・ゼン/品佳直/新潮社)

共和国軍内でクーデターを起こすことになる張本人たちをよそに、それぞれが一枚岩ではない共和国・連邦・王国のそれぞれの黒幕勢力が、利害が一致しないにも関わらずそれぞれの目的でクーデター計画を明に暗にサポート、そのすべての思惑を外して偶発的な事故をきっかけに暴発的にクーデター発生。

みんなが個別それぞれにちょっとずつ後押しした効果に、神の一手の最後の後押しも加わって、誰も望んでいなかったタイミングでのクーデター暴発で、関わったすべての国家の黒幕勢力がそれぞれに思惑を外して慌てふためく事態に。

『売国機関』8巻より(カルロ・ゼン/品佳直/新潮社)

こういうのも「スタンド・アローン・コンプレックス」っていうのかしらね。前巻の連立政権発足以来、喜劇だわw

真面目にクーデター起こす人たちがむしろ可哀想。

今巻表紙の連邦のバルヒェット大佐が独り安全圏から高みの見物で、作者視点というか読者視点というか。何が可笑しいって、あの人作中でも一、二を争う切れ者っぽいのに、論評してるだけで特に何にもしてないんですよねwww

「何もしない力」とでもいうか、全員がそれぞれに「状況を何とかするために何かしなければ」と動くことで状況が悪化する愚かしい状況の中、重要なポジションを占めるだけ占めて、しかし独り何もしないことで却って声望と評価を高めて、最後にちょこっとだけ動いて漁夫の利すら得る、というのはぜひ見習っていきたいw

SNSとかでも「何を言うか」より「何を言わないか」の方が重要だったりしますもんね。

『売国機関』8巻より(カルロ・ゼン/品佳直/新潮社)

同じ原作者の作品『幼女戦記』と比べてアクションは地味ですけど、人の世の陰謀劇・政争劇、複雑な情勢の機微が持つ生々しい滑稽さの描写にかけては、すくなくとも漫画においては当代一の作品。

作為と偶発の混合具合の生々しさでちょっと『銀河英雄伝説』や全盛期の士郎政宗作品を思い出しつつも、全員がそれぞれに企んだ結果の誰も望んでなかった結末の喜劇、という意味では、三谷幸喜作品を連想しちゃいますね。

『売国機関』8巻より(カルロ・ゼン/品佳直/新潮社)

起こっちゃってること自体は笑い事ではないんですけど。

 

aqm.hatenablog.jp

blog.livedoor.jp

#ルパン三世 異世界の姫君 6巻 評論(ネタバレ注意)

至宝「存在しない国の金貨」を盗みに入ったルパン三世一味は、盗みは首尾よく成功したものの、ICPO銭形警部の追跡を振り切るためにバラけたところで、それぞれが潜った扉を通じて中世ファンタジー異世界へ。

アイソプミア王国。

『ルパン三世 異世界の姫君』6巻より(モンキー・パンチ/エム・ピー・ワークス/内々けやき/佐伯庸介/秋田書店)

人間とエルフとドワーフの3つの種族による協定で成り立つ連合王国。しかし王宮は怪しげな魔女に壟断され、王国中を陰謀の影が覆っていた。

次元はドワーフの里で、五右衛門はエルフの森で、それぞれモンスターを退治するなどしつつ現地に馴染みつつ仲間との合流を目指し、亡命同然に家出し連れ戻される途中の王女を行きがかり上の都合で誘拐したルパンは、彼女の依頼で国盗りを目指すこととなった。

『ルパン三世 異世界の姫君』6巻より(モンキー・パンチ/エム・ピー・ワークス/内々けやき/佐伯庸介/秋田書店)

という、ルパン三世のお馴染みの一味が銭形ごと異世界ファンタジー世界に転移してしまうコミカライズ。

バラバラに転移したルパン・次元・五右衛門がそれぞれ旅の伴侶となったヒロイン(王女・エルフ美少女・ドワーフ美少女)を伴って合流、銭形警部もやってきて騎士団と共にルパンを追い、不二子は悪い魔法使いが牛耳る王宮に潜入して虎視眈々と漁夫の利を狙う、といつもの体制に。

物語のキーになりヒロインでもある王女が体制側である魔女に攫われ、ルパン一味が王女の奪還に王都に乗り込んで…というところ。

『ルパン三世 異世界の姫君』6巻より(モンキー・パンチ/エム・ピー・ワークス/内々けやき/佐伯庸介/秋田書店)

魔女の口から語られた王国の歴史と魔女の秘密。「生き残ってしまった魔女」の物語。

そしてルパンと銭形が正体を暴く、真の黒幕。

ということで、伏せられていた全てのカードがオープンにされ、ガチンコ肉弾戦のラストバトル。

『ルパン三世 異世界の姫君』6巻より(モンキー・パンチ/エム・ピー・ワークス/内々けやき/佐伯庸介/秋田書店)

王城に迫り来る魔物の大軍勢、それと対峙する次元と五右衛門、異世界オールスターズ。

一方の玉座では三段変形フリーザ様と化した黒幕と対峙するルパンと銭形。

ルパンシリーズを通じて珍しいぐらいのルパンの肉弾格闘戦、『鉄拳2』みたいなっとる!

銭形との連携技コレ「二重の極み」ではw

『ルパン三世 異世界の姫君』6巻より(モンキー・パンチ/エム・ピー・ワークス/内々けやき/佐伯庸介/秋田書店)

『ルパン三世』的に考えれば、謎が全て明かされた後のバトル描写はある意味「消化試合」ではあるんですけど、ルパンファミリーがバトルの見せ場で戦線を維持しつつ、最後のトドメはやっぱ姫と王子と魔女の、異世界組ですかね。

あと今巻、不二子が行方不明だなw ラストで美味しいところを虎視眈々と狙ってそう。

残りは1冊か2冊か。

自分の唯一の懸念は、ややもするとハッピーエンドから取りこぼされかねない魔女の行く末。

魔女に、魔女にもハッピーエンドを!頼む!

 

aqm.hatenablog.jp

#幼稚園WARS 2巻 評論(ネタバレ注意)

銃身下部のレールのエグレのエッジが強いですけど、表紙を飾るダグのハンドガンはたぶんワルサーP99。

『007』ジェームズ・ボンドが第18作『トゥモロー・ネバー・ダイ』から第21作『カジノ・ロワイヤル』まで使用。その後、過去作で常用していたワルサーPPK(写真下)に戻る。

リタがベレッタ92(M9)、ルークがコルト・パイソンの6インチ、ボスがコルト・ガバメント。

わーい、ガンアクションもの大好き!

国によって極秘で運営され、収監された凄腕の元・犯罪者たちを釈放と引き換えにボディガード兼「幼稚園の先生」として有期雇用し、誘拐や暗殺の対象にされる良家の子女を預かって護衛する、「世界一安全な幼稚園」。

元・伝説の殺し屋、囚人番号999、リタも、幼稚園教諭として子どもたちを日々護衛しながら、

『幼稚園WARS』2巻より(千葉侑生/集英社)

1年間の年季が明けて自由の身になることを、そしてイケメンの彼氏を作ることを夢見ていた…

という、「殺し屋×幼稚園の先生」なハードボイルド・アクション。名物編集「林士平」印。

昔、シュワルツェネッガー主演で凄腕刑事が潜入捜査で幼稚園の先生になる『キンダガートン・コップ』という映画がありましたが、あれに倣えば「キンダガートン・アサシン」という感じ。

『幼稚園WARS』2巻より(千葉侑生/集英社)

同じ「林士平」印の『SPY×FAMILY』は言うに及ばず『子連れ狼』の昔から、「ハードボイルドと幼児」は意外と相性が良いですね。

林編集作品らしく勢い・スピード・テンポ・ギャップ優先、無敵ヒロインでバトルというかガンアクションシーンもどこかコミカルに。

敵が子ども狙いの殺し屋たちなので返り討ちにしても倫理的にもOK!的なw

落書きみたいな抜いたギャグコメ絵の顔がなんとも可愛らしい。

『幼稚園WARS』2巻より(千葉侑生/集英社)

イージー・リーディングなコメディ進行ですけど、ダークな生い立ちの元・犯罪者たちが、子どもたちを護る仕事を通じて真人間として生まれ変わっていくシリアスなサブテーマも設定されていて、ガンアクションと併せてシリアス要素も美味しそう、という。

リタへの復讐を謀る殺し屋一家の襲来エピソードが今巻で決着。

幼稚園教諭の同僚・ハナとダグの大ピンチに、我らが最強ヒロイン・リタが颯爽と登場、「魔女」の二つ名を背負ってベレッタ1丁で殺し屋軍団をバッタバッタと薙ぎ倒す、厨二病ガンアクション好きには堪らない仕上がりになっております。眼福。

『幼稚園WARS』2巻より(千葉侑生/集英社)

「殺し屋一家」の子育てなんで真面目に論じるのも野暮ですけど、「毒親ブーム」もあってか、超克というより決別というか、親に対して「嫌いだった」と告げる漫画、近年本当に目につきますね。

まあ、殺し屋の、しかも漫画の話なんで、あまりこれで現実社会を測ろうとしすぎるのも、ネ、という。

 

漫画の話といえば、ラブコメ漫画のキャラ同士の未満恋愛を、見守ったり応援したり野次馬したりするキャラ、というのは『めぞん一刻』の昔から居て、

『めぞん一刻』14巻より(高橋留美子/小学館)

介入したり巻き込まれたり「当事者」化して

「そういうこともあるよね、同じ世界で生きてんだし」

と、まあ人間関係のドラマの一部だったりしたんですけど、

『めぞん一刻』14巻より(高橋留美子/小学館)

近年はそれとはちょっと違う、「もう少しメタ視点に寄ったキャラの表現」というか「読者代表」というか「楽屋オチ」というか、

「主人公/ヒロインの未満恋愛を、読者と一緒にカーテンのこっち側からコンテンツとして愛でる(消費する)キャラ」

自体がコンテンツ化してる例が増えたな、と思います。

「オタク(読者)視点の作品内在化」とでも言うか。

『僕の心のヤバイやつ』6巻より(桜井のりお/秋田書店)

『僕の心のヤバイやつ』6巻より(桜井のりお/秋田書店)

『宇崎ちゃんは遊びたい!』5巻より(丈/KADOKAWA)

「『推し』『担』概念の一般化」

「恋愛のリアリティショー化」

「作中のMOBや空気になって関係性に萌えたいオタクのコンテンツ化」

「SNSの隆盛によるオタクの行動(情報発信)の常態化」

が、漫画作品の中で顕在化してんのかな、と思ったりします。

彼ら彼女らは概ね、「読者の代表を主人公たちの近くに配置」した存在であり、役割は「傍観」「野次馬」「見守り」「応援」「援護」で、「読者の楽しみ方のガイドライン」と「背中を押す良い友人」でした。

で。

今巻新キャラのルークは、少女漫画好きのラブコメ好きで、周囲の人間関係をまさにリアル・リアリティショー、「恋愛コンテンツ」として消費するんですが、「傍観」「野次馬」「見守り」「応援」「援護」を超えて、

『幼稚園WARS』2巻より(千葉侑生/集英社)

「同僚(キャラ)同士の恋愛未満を、自分が楽しむために両片想い期間を長びかせる」

という目的に向けて、自分(と作品)の都合で妨害を始めるという、

「オタク(読者)視点」より更に新しい「オタク(作者)視点」、もしくは「もの言うオタク(読者)視点」の作品内在化の、新しいパターンだな、と思ったりしました。

これまでもトラブルメーカーはたくさんいましたし、「味方の来援を待つ」などの作中の作戦の都合・目的で「時間稼ぎ」をするキャラもたくさんいました。

が、「コンテンツの引き伸ばし」という作者にメタにダイレクトに寄り添った目的意識で未満恋愛を敢えて妨害して引き延ばすキャラの登場、というのはちょっとしたパラダイムシフトで、狭い用途ながら他の作品にも影響したりするのかね、とちょっと興味深いです。

「ラブコメ作品引き伸ばしの合法化」に見えなくもない、すごいアイデアだなコレw

現実にこんな奴が居たら、迷惑極まりない話なんですけどw

 

aqm.hatenablog.jp

blog.livedoor.jp

#山田くんとLv999の恋をする 1巻 評論(ネタバレ注意)

ちょっと前に主要な漫画賞について調べてブログの記事にしたんですが、

aqm.hatenablog.jp

その際に、本作が2022年の「みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞」と「ananマンガ大賞」の二冠で、ちょっと「お?」と思ったので。

どちらも居並ぶ漫画賞の中ではメジャーな賞じゃないんですけど、

特に「ananマンガ大賞」の選考方法が女らしくて男らしくて個性的で面白かったので、大賞に選考された本作を読んでみたいなとw

あと自分も昔ネトゲやってて、ネトゲ恋愛ものとか大好物なので。

yamadalv999-anime.com

ちょっと調べたらちょうどこの4月からTVアニメやってんですね。

『山田くんとLv999の恋をする』1巻より(ましろ/KADOKAWA)

女子大生の茜(あかね)は、彼氏・たくまの影響でネトゲ(MMO)をやっているが、そのネトゲでその彼氏・たくまが他の女性プレイヤーと浮気をし、浮気が本気になり、フラれた。

ゲーム内の狩場でモンスター相手にストレス発散をしていたところ、たまたま狩場に現れたギルドメンバーの山田(アフロ)。

世間話で失恋を愚痴ろうとするも、無愛想な山田に「興味はないすね」と冷たくあしらわれ、更なる余計なストレスと山田への八つ当たりヘイトを溜め込む茜。

『山田くんとLv999の恋をする』1巻より(ましろ/KADOKAWA)

近所でのMMOのオフラインイベント開催を知った茜は、エステで可愛くなって髪をセットして新しい服でおしゃれして、来場しているであろう元カレを見返して後悔させてやろうと企むが、向こうが新しい彼女連れで来ているのを見かけてメンタル撃沈。

動揺して人とぶつかり派手にずっこけたところに、「大丈夫すか?」と声をかけてきた美少年の口調は、どこかで聞いた覚えがあるものだった…

『山田くんとLv999の恋をする』1巻より(ましろ/KADOKAWA)

という、ネトゲガール・ミーツ・ギルメンボーイな、オタクカルチャーというかネトゲカルチャーをベースに、オンライン(ネトゲ)とオフライン(リアル)が交錯するラブコメ。

ラブコメというかまあ、展開も描写も絵も少女漫画ですよね。

無料公開されてる第1話からちょっと1ページ丸々引用しちゃいますが、ウェブトゥーンとはまた違う「スマホ・フレンドリー」というか、

『山田くんとLv999の恋をする』1巻より(ましろ/KADOKAWA)

スマホの画面で読みやすいように、基本1ページ3段(3コマ+α)、絵も字も大きめに描かれている作品。

単行本で読むと情報量がスカスカで読み応えないんじゃないかな、と一瞬思ったんですけど、コマのデカさを活かして、セリフも描き込みも詰め込む時には詰め込むので、絵もストーリーも思いのほか密度濃く進展します。

リアルはイケメンの山田は、しかしゲーム内と同じく無愛想で空気が読めず、しかし実はMMOは息抜きでやってるだけの本職はプロFPSゲーマーの有名人で、しかも年下の高校生で、

『山田くんとLv999の恋をする』1巻より(ましろ/KADOKAWA)

しかし恋愛まったく興味ない系の、流川やクラウドやヒイロ並みのコミュ症クール恋愛音痴だった…

という、可愛い系の女子大生のお姉さんと、無愛想クールな美少年の、マイルドなおねショタと言えなくも…大学生と高校生でおねショタとは言わんか。

いろいろとネトゲあるあるで、ネトゲ経験者の自分は読むとやっぱ面白いですw

 

Q.元カレ・たくまが彼女の茜を自分の所属するギルドに誘わないのはおかしいと思います

A.ある程度以上のガチ勢ギルド員は、個人的な知り合いを自分のガチ勢ギルドにいきなりは入れないことが多く、まったり系初心者ギルドを紹介したり、あるいはサブキャラの個人ギルドで遊ぶことが多いです

ギルドに迷惑をかけたくない、ネトゲの人間関係を彼女に見られたくない、彼女をネトゲの人間関係に知られたくない、などが主な理由です

 

Q.ネトゲでたまたま出会った男女が美男美女とか確率低すぎると思います

A.確率はそうなんですが、低確率で発生する少数事例においては、逆にある程度以上の美男美女じゃないと、オフ会で一目惚れが発生しないです

 

Q.プロゲーマーが高校生の美少年とか確率低すぎると思います

A.近年のプロチームはルックス、髪型や服装もチームがプロデュースして、金髪・茶髪マッシュルーム系の美少年売りが結構多く、また反射神経と頭の柔らかさがモノをいうFPSのプロデビューはだいたい高校生です

 

という感じで、キャラはハイスペ、出会いは最悪から徐々に気になる存在へ、など恋愛もの少女漫画らしい定番の誇張やお約束展開はあるものの、自分は意外とリアリティを感じる設定・展開で、「作者、やってたな」と。

ネトゲプレイヤーにも美男美女はいるし、オフ会すれば彼ら彼女らはモテるしね。

『山田くんとLv999の恋をする』1巻より(ましろ/KADOKAWA)

悲惨すねw

よくできた定番少女漫画の展開と描写、眼福な美少年・美少女に、ネトゲネタの嬉しいおまけ付きということで、前書きで作者が語るとおり、少女漫画とネトゲの両方が好きなら、ついでに流川やクラウド系の無愛想クール美少年がお好きなら、なかなか良作な出足の1巻でした。

ラブコメは男女共に、どこかラブリーでないとね。

1巻終わりがギルドのオフ会で「誰が誰さんなんだ?」と非常に2巻が気になるヒキw

続き読も。

 

aqm.hatenablog.jp

aqm.hatenablog.jp

#ウィッチウォッチ 10巻 評論(ネタバレ注意)

『SKET DANCE』『彼方のアストラ』の作者の現作。

乙木守仁は、超人的な身体能力を持つ鬼の末裔であることを隠して普通に暮らしていた。

守仁の高校入学を控えた春休み、長期出張で海外へ出発する父と入れ替わりに、魔女の聖地に修行に出ていた幼馴染のニコが帰還。

『ウィッチウォッチ』10巻より(篠原健太/集英社)

両家の同意のもと二人は一緒に暮らし、守仁はニコの使い魔として彼女を予言された災いから護衛することに。

6年ぶりに再会したニコは可愛らしく、しかし強力ながらどこかポンコツな魔女に成長していた…

という、幼馴染の鬼ボーイ・ミーツ・魔女ガール・アゲインに、ニコの使い魔となる同居仲間が守仁以外にも天狗、狼男、吸血鬼と増えて、同居日常ギャグ学園ラブコメたまにシリアスバトルな漫画に。

『ウィッチウォッチ』10巻より(篠原健太/集英社)

シリアスなバトルもので人気を博したカッコよ可愛いキャラたちの、ギャグだったり緩かったりする日常や恋愛・ラブコメをもっとじっくり見てみたい、というのは人気作であれば多かれ少なかれ発生して、多くの場合その役割は公式スピンオフや二次創作に託されることになるんですが、

「一次創作内で自分で全部やっちゃおう!」

「バトル・ギャグ・コメディ・ラブコメ・日常・ホラー・ファンタジー、少年漫画のジャンルを全部一作品内でやっちゃおう!」

『ウィッチウォッチ』10巻より(篠原健太/集英社)

という作品。

女の子可愛いんですけど、たまに描かれるフォトジェニックなポーズがまた可愛いよね。

今巻も、黒魔女(ウォーロック)と鬼の生き残りにまつわるシリアス伏線の中編エピソードと、それを挟む日常コメディ回とのハイブリッド巻。

開幕はニコたちの同級生の少女・クックと、隠れオタク教師・真桑先生の2人組の同人サークル「オシエシニッシ」のコミケ初参加エピソード。

『ウィッチウォッチ』10巻より(篠原健太/集英社)

ニコの褒め言葉、「近所の優しいおばあちゃん」みたいで、良いなあw

クリエイターものジャンルとして、『これ描いて死ね』とまで競合していくスタイル!

aqm.hatenablog.jp

サークル名「オシエシニッシ」は「推し」「絵師」「日誌」、「オシエシ」には「教え師(=教師)」「教え子」のダブルミーニングがかかっていてなかなか凝ったネーミング。

「ニッシ」もなんか掛かってんのかなと思ったけど、なんも思いつかん。

中編のシリアスエピソードは作話・演出ともに意外性もあってスリリングで先が楽しみですけど、

『ウィッチウォッチ』10巻より(篠原健太/集英社)

何が良いって「それはそれとして」ってまた日常コメディに回帰していくのが良いですよねw

シリアス要素に引っ張られて、コメディが楽しかった作品の雰囲気全体がダークになる漫画が普通なんですけど、キッパリ拒否して

「楽しむ時は楽しむ!戦う時は戦う!」

とメリハリつける宣言をしていくスタイルw

その分、シリアス展開に対する読者予感は予定調和というか、彼らが戦いで死んだりバッドエンドで終わるなんて誰も思わないんですけど、現代漫画的なホスピタリティのような気もするし、予定調和を裏切った時の落差もより大きいだろうなという気もします。

『ウィッチウォッチ』10巻より(篠原健太/集英社)

野郎キャラの女体化を可愛く描きすぎるのをやめろ!人気が出ちゃったらどうするつもりなんだ!

その後のハイクオリティなコメディ回のネタも、「配信者+性別逆転」というモダンなネタから、古典の透明人間ネタ、王道の画伯大喜利など、少年漫画のジャンル・ネタの高級デパート、一冊で「週刊少年ウィッチウォッチ第10号」という感じ。

強いて不満を言えば、ネムちゃんの出番がなかったぞ、ネムちゃんの!

 

 

aqm.hatenablog.jp

 

aqm.hatenablog.jp

#チェンソーマン 14巻 評論(ネタバレ注意)

父親の借金を背負って臓器を売りながら生き延びてきた野良犬少年デンジ。

悪魔ポチタとコンビを組んでヤクザの下で搾取されながら悪魔狩りを営むも、ヤクザが悪魔に乗っ取られ絶体絶命のピンチ。

ポチタと融合してヤクザを皆殺しにしたデンジは、チェーンソーの悪魔として美少女・マキマにスカウトされ、美少女魔人・パワーと組んで公安デビルハンターとして悪魔と戦う。

『チェンソーマン』14巻より(藤本タツキ/集英社)

悪魔との戦いを通じて知己や友人を得て、そして喪って、裏で全ての糸を引いていたマキマをすら打倒して、あれほど渇望した愛をささやかながら与える側になったデンジ。

第一部・完。

作者の数本の読み切りを挟んで約1年半ぶりの連載再開、第二部開始。同じ世界観で新キャラを主人公のように扱って、従来の主人公のデンジをはじめ旧作のキャラが登場しない導入、からの満を持してのデンジ登場。

『チェンソーマン』14巻より(藤本タツキ/集英社)

「自分で考えることを放棄する」のを、マキマで懲りとるw

旧作の「支配の悪魔」に匹敵するぐらい大仰で強そうな「戦争の悪魔」、そのラスボス(に乗っ取られた少女)視点で進行する物語。

単行本の冒頭に人物紹介コーナーもありますが、最初に主人公格として紹介されているのは、戦争の悪魔に憑依された少女・アサ。

物騒で血生臭い「チェンソーマン」世界観を使ってずっとコメディやってるような第二部。

『チェンソーマン』14巻より(藤本タツキ/集英社)
[第118話]チェンソーマン 第二部 - 藤本タツキ | 少年ジャンプ+

2〜3ページ、2人ともずっと口半開きでアホ丸出しでワロタ いろんなカメラアングルで12コマも使って同じ姿勢で「デンジ脊髄剣」を繰り返すだけw

2023/01/18 00:27

b.hatena.ne.jp

人間側の「悪魔は退治されるべき」という視点で言えば「戦争の悪魔」ヨルがラスボスですが、ヨルと憑依されたアサの視点で言えばチェンソーマンがラスボス。

なんですが、ダブル主人公(=ダブルラスボス)同士がお互いずっとトンチキに迷走し続けていて、人が死に血が流れ重要そうなキャラが登場し人類の存亡すらかかってるっぽい切迫感はあるのに、緊張感はまるでない謎の展開にw

『チェンソーマン』14巻より(藤本タツキ/集英社)

第一部とはまた別の意味で「一体なにを読まされているんだ」というw

今巻では、マキマの生まれ変わり、「支配の悪魔」ナユタがついに登場。作者自身の過去の短編「予言のナユタ」のヒロインのリメイク、セルフオマージュ。

切り取り方次第ではデンジ・アサ・ナユタの擬似三角関係、アサ・デンジ・吉田の擬似三角関係が重なり合った擬似四角関係展開に?

デンジとナユタの同居関係、少年と美少女との同居設定ですが、ラブコメというよりも、自分は

『チェンソーマン』14巻より(藤本タツキ/集英社)

『神聖モテモテ王国』1巻より(ながいけん/小学館)
[第121話]チェンソーマン 第二部 - 藤本タツキ | 少年ジャンプ+

口半開きで考えるデンジが『モテモテ王国』のファーザーみてえだなと思ったら、ふだんの言動も「ナオンたち〜ワシはチェンソーマンじゃよ〜」つってんのとたいして変わらない気がしてきた

2023/02/22 02:33

b.hatena.ne.jp

『神聖モテモテ王国』2巻より(ながいけん/小学館)

ただラブコメと『神聖モテモテ王国』のパロディで遊んで流してるだけのような気もしてしまうんですがw

ジャンプ+『チェンソーマン』第125話 冒頭広告より(藤本タツキ/集英社)

といいつつ、シリアス要素も進展し始めて1999年7月、「ノストラダムスの大予言」関連がキーに。

熱心なファンには「常識」ながらライトなファンには見落とされがちなんですけど、第一部で銃の悪魔の出現シーンで「1997年」と明記されていて時代設定が1990年代後半で、しかもソ連が存続してるパラレルワールドな世界観なんですよね。

『チェンソーマン』14巻より(藤本タツキ/集英社)

林士平編集の担当作品らしく、静と動、緩と急、ハードな展開とコミカルな展開を織り交ぜつつ、作品のゴールが提示されずライク・ア・ローリングストーンでどこに向かって転がってんだか予想がつかない作品ですけど、次巻あたりから本格的に本領を…

いややっぱわっかんねえなコレw

 

aqm.hatenablog.jp

aqm.hatenablog.jp

blog.livedoor.jp

#SPY×FAMILY 11巻 評論(ネタバレ注意)

凄腕スパイ・暗号名「黄昏」に下った新たな指令は、妻と新小学生の子どもを調達して敵国の名門校のPTAに潜入し、平和を脅かす危険な黒幕に近づくこと。

任務のために孤児院で適当に選んで引き取った娘・アーニャは、他人の心が読める超能力者だった。

『SPY×FAMILY』11巻より(遠藤達哉/集英社)

ひょんな縁からトントン拍子で任務のために妻に選んだおとなしげな美女・ヨルは、凄腕の殺し屋だった。

互いに正体を隠して家族になった3人。人の心が読めるアーニャだけがひとり全てを知り、新しいスパイの父と殺し屋の母に「わくわくっ…」としていた。

ロイドが艤装して精神科医として務める病院で、ロイドの能力と人望に嫉妬した上役がロイドをスパイ容疑で通報。

『SPY×FAMILY』11巻より(遠藤達哉/集英社)

『銀英伝』で、ヤン・ウェンリーへの嫉妬と妄想と偏見の果てに真実に辿り着いていたレンネンカンプを思い出しますねw

ヨルの弟のシスコンコメディ+ロイドとヨルのラブコメ回を挟んで、中編エピソード、バスジャック編。

『SPY×FAMILY』11巻より(遠藤達哉/集英社)

アーニャの通うイーデン校の博物館への遠足(?)のバスが反政府テロ組織「赤いサーカス」にジャックされ、黄昏はスパイ任務で遠方に。

アーニャと級友たちの大ピンチ!頼りになる黄昏とヨルもいない中、孤立無援のアーニャは…

という、シリアスとコメディが交錯するなかなか面白い中編。

『SPY×FAMILY』11巻より(遠藤達哉/集英社)

孤軍奮闘するアーニャのテレパス能力とコメディ要素が、テロ組織のシリアス要素をコミカルにねじ伏せてしまって、作者が提示したテーマに対して結末の軽さがややチグハグに感じなくもないです。

世界は残酷で理不尽で…で…こうなるのか、という。

黄昏の過去編のとおり「残酷な世界の理不尽と対峙する子ども」というのはこの漫画が抱えるテーマの一つですが、

『SPY×FAMILY』11巻より(遠藤達哉/集英社)

黄昏とヨルを封じられてアーニャが活躍するエピソード、ご都合主義的と捉えるか、人間の良心を信じた結末と捉えるか、子ども世代に対する期待の発露と捉えるか。

アニメ化も果たしアーニャ効果もあって、少年ジャンプ系の中でも特に世の子どもたちにも読まれ観られてる作品なので、作者的にも描ける物語・表現の幅にも自ずと制約が大きいことは想像に難くないですが、その中で自分はなにかこう、大人に向けた

「子どもたちの前で恥ずかしくないエレガントな大人でいようぜ」

という電波を、

『SPY×FAMILY』11巻より(遠藤達哉/集英社)

ダミアンの勇気との対比で、勝手に受信してしまいましたが。

 

aqm.hatenablog.jp

blog.livedoor.jp

#マリッジトキシン 4巻 評論(ネタバレ注意)

一時期、やたら「マリッジトキシン 水使い」で検索してうちのブログにやってくる人が多くて、「水使いって確か最初の方のやられ役だったけど、そんな重要キャラ?だったっけ?」と不思議に思ってたんですけど、今巻読んで、なるほどね。

これは確かに「マリッジトキシン 水使い」で検索したくなるわw

高名な暗殺稼業の名家の嫡男、下呂ヒカル。

『マリッジトキシン』4巻より(静脈/依田瑞稀/集英社)

一流の「毒使い」として活躍するものの、生育・生活環境から非モテまっしぐらで人並みの幸福は諦めているものの、家からは後継者作り・結婚を急かされ、ついに妹の人生が「家の犠牲」にされかけたの機に婚活を決意。

暗殺ターゲットだった凄腕の結婚詐欺師の"女"に請うて「婚活アドバイザー」になってもらい、かくて彼女を相棒に暗殺者の婚活が始まった…

という、暗殺バトルラブコメ。でいいのかなジャンル。

『マリッジトキシン』4巻より(静脈/依田瑞稀/集英社)

「毒使い暗殺者」「応援ガールラブコメ」「可愛い男の娘(もしくは女装男子)ヒロイン」の変化球に、時勢を反映した婚活がテーマ、キャラデザも高身長・黒髪・無愛想クール・デキるイケメン・ついでにメガネと、流川とか伏黒とかアキくんとかイケメンキャラの王道の系譜だったりと、「ツボというか定番性癖おさえてんなー」という今時のジャンプ作品マーケティングの優等生、という感じ。

本作は主人公の能力は「毒殺」ながら、少年漫画らしいバトルに持ち込みやすいしかけも。暗殺者ながらいわゆる「悪人しか殺さない」少年漫画タイプ。

『マリッジトキシン』4巻より(静脈/依田瑞稀/集英社)

なんだこのコマ。

暗殺と二足のわらじ、というより一石二鳥狙いの婚活方面で相棒になるメインヒロインですけど、男の娘(もしくは女装男子)。

エピソードごとに依頼主や護衛対象のゲストヒロインが替わって(増えて)いく『シティハンター』方式、でいいのかなコレ。

通常進行では攻略対象にならない「香役」が男の娘ヒロインで、「当たりヒロイン」を引くまで繰り返しガチャできるお得なシステム。

突然現れた「殺し屋狩り」との対峙から、そのままの流れで「獣使い」編へ。

獣使いがまあ、サイコホラー的マッドサイエンティストなんですけど、突然見開きでアップになる演出も含めていろいろ情緒不安定で、かえって小者に見えてしまうというかちょっとスベってる気もしますw

『マリッジトキシン』4巻より(静脈/依田瑞稀/集英社)

「強さ」「怖さ」の演出表現をいろいろ試して模索中、という感じ。

「殺し屋狩り」みたいな普通っぽさの中に隠れた狂気みたいのも同時に描いて、稚拙とは感じさせないですけど。

冨樫もこういう「悪役の怖さ」の演出が好きで、いろいろ試してたのを思い出します。

ヤンキーかわいいハムスター使い、クールというより自然体に狂気を秘めた殺し屋狩りと、脇を固める「相棒・仲間」ポジションにいい女いい男が徐々に揃いつつあって、キャラ萌え的視点ではとても眼福。

『マリッジトキシン』4巻より(静脈/依田瑞稀/集英社)

この2人はエピソードで使い捨てにしないで、レギュラー化してくれたら嬉しいね、と思いつつ、女装男子ヒロインの出番が少ねーぞーブーブー。

 

aqm.hatenablog.jp